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2009-05-01 すべてが繋がっている

[]ガーデナーを調べていたらディナーに繋がる

最近、ヴィクトリア朝のディナーの給仕方法が載っているマニュアルを読み直した後で、ガーデナーの調べ物をしていたところ、この2つが繋がりました。


ディナーで使うテーブルの上を飾り立てる観葉植物や花々を、屋敷のヘッドガーデナーは育てています。執事と協力しながら、最終的な姿を完成させるのですが、そもそもなぜこの習慣が始まったのか、今まで読んできた資料ではわかりませんでした。


ところが、ガーデナーの資料を読み込んでいたところ、1860年代にロシア式の料理の出し方(現在のフランス料理のように、一皿ずつコース料理を給仕する)が流行し始めた頃に、この習慣が始まったと言うのです。


それまではテーブルの上に料理を盛った皿を乗せていたのですが、ロシア式に切り替わった際、そうした皿が消えて、テーブル上にスペースが出来ました。その空いた空間をデコレーションに使うようになったのがきっかけとのことです。


執事の資料を読んでいると、たとえば主人と一緒に出かけるシューティングの仕事(本来はGamekeeper)の描写に出会うこともあります。逆に、Gamekeeperの資料で、シューティングの時のランチメニューを知り、それを準備したキッチンスタッフの仕事や、アルコールを用意した執事の姿が浮かび上がることもあります。


パーラーメイドの登場や、それまで詳しくなかった運転手についても、彼らが普及する前後を知っている同時代の執事(ヴィクトリア朝〜第一次大戦後)の手記の中で、知ることが多いです。


話が逸れましたが、執事・ハウスキーパー・ガーデナー、そしてコーチマンまで含めて屋敷中のスタッフの資源が集中するディナーとは、その極限であり、様々な角度から光を当てると、より輝きが際立つ「イベント」と言えます。


屋敷の中の仕事を理解するには、ひとつの側面だけではなく、他の部署からの視点(自分にとって書くに値しない当たり前が他人にとって貴重な情報、ということが往々にしてあります)があると、対象を見極める精度も上がります。


その点では、「主人たちの視点」や、「屋敷の子供たちの視点」もまた、観測点としては有効なのでしょう。今はまだわずかな視点しか築けていませんが、足場を組み立て、対象に近づけば近づくほどに、知りたいことは増えていきます。


知れば知るほどに、己の無知を思い知ります。


それが、自分を夢中にさせるのでしょうか。


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