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AMAZON『英国メイドの世界』へ  ■講談社より刊行しました! 屋敷の暮らしと使用人の仕事が分かる『英国メイドの世界』
 -屋敷で働くメイド・執事の仕事が分かる資料本『英国メイドの世界』:第一章の試し読み開始
 -出版化時にこだわった「読みやすさ」と「分かりやすさ」

 ■英国ヴィクトリア朝・屋敷や貴族関連の資料/映像をお探しの方にオススメ
 『ダウントン・アビー』を見る前に読んでおきたいカントリーハウスと職場の解説

 -SPQR[英国メイドとヴィクトリア朝研究]更新中




2009-11-14 行動の結果に出会った縁

[]講談社BOXから『英国メイドの世界』を来年春予定で出版します

2009年08月に「出版決定」の話を書きました。今回はその続きとして、出版社名告知のOKを貰いましたので、書きます。(2010/11/06追記:『英国メイドの世界』、発売予定日は2010/11/11(木)です)


講談社BOX


レーベルとしては奈須きのこ先生、西尾維新先生、竜騎士07先生の作品を出しているところです。最近では『化物語』や『うみねこのなく頃に』、またゲーム『428』のノベライズ作品も出ています。


発表時期はまだ早いのですが、ちょうど今原稿も佳境で足元を見つめ直したいのと、いろいろと冬は同人イベントに出るので、この辺りで社名を出させて欲しいと相談し、OKを貰いました。昨年の出版決定から1年が経過し、本来は11月の出版予定でしたが、作業が膨らんだことや質を高めるための作業もあって、春先進行で推移しています。そのうち、講談社BOXのどこか公式のところでも情報を出してもらえるようにします。


サイズはA5を予定し、他はこれから決めていきます。久我の原稿と校正反映が若干遅延しているので、もう少し遅れるかもしれませんが、そこは頑張ります。


コミケカタログより分厚い『英国メイドの世界


講談社BOXに送付した経緯と決定までは、次のようなものです。


まず、相手を自分がどれだけ知っているか、そして自分の本が出版される余地があるのか、そして相手にメリットがどれだけ与えられるかを考えました。


講談社BOXに送付した経緯:接点探し

同人との親和性

2008年夏コミ終了後、「同人誌の出版をしてくれそうなところ」で検討し、同人コンテンツの親和性が高い編集部で考えました。歴史資料本ですが、歴史出版社では考えませんでした。たまたま2008年の夏コミコミケカタログ裏表紙は、「講談社BOX」が広告を出しており、そこでまず意識に入りました。講談社BOXのレーベル作家には同人出身の奈須きのこ先生と、竜騎士07先生がいて、同人に対しての理解もあるのだろうと。


また、自分はお二方の読者でした。


自分との接点探し/奈須きのこ先生

講談社BOXから発売された『DDD』も、そして小説『空の境界』を読者として買っていただけではなく、劇場版『空の境界』も視聴しに行っていました。読者として接していることや、1章ずつ制作する劇場版のようなイレギュラーなことにチャレンジしている編集部ならば、自分との親和性が高いかな、と考えました。


あと、これは偶然ですが、『英国メイドの世界』にご寄稿いただいたメイド資料ジャンルの先輩・阿羅本景様は、TYPE-MOON作品『Fate/hollow ataraxia』でシナリオを書かれていました。その阿羅本様に寄稿いただけたのは偶然の産物ですし、不思議な繋がりも感じています。


自分との接点探し/竜騎士07先生

ひぐらしのなく頃に』は大学時代の友人から非常に強く勧められ、プレイしていました。正月の3日目にプレイを開始し、次の日から会社が始まって、その週はずっと「仕事→ひぐらし→3時間睡眠」コースでした。


その経験もあって、2007年12月に作ったコミケ用新刊『MAID HACKS』では、『ひぐらし』に登場するメイド愛好家イリー(入江医師)にインスピレーションを得た方向で、少し今までと違った同人誌を作って見ることにしました。


そのプロセスでイリーの所属した機関「入江診療所」の名前を同人誌で使わせていただけないかと、竜騎士07様のサークルスタッフのBT様に確認しました。その経緯もあって、2007年冬コミで新刊を携えてBT様へご挨拶に伺ったところ、BT様のご紹介で、竜騎士07様にも、短い時間ですが、お話できました。


2007年当時はそこまでの話でしたが、講談社BOXを応募先として検討した時、そのレーベルで『ひぐらし』の小説を刊行している事実は、不思議に思えました。それだけお二方の影響力が大きい、というだけの話でもありますが、そういう接点を見つけるのは好きなのです。


編集部の方針と分厚さ

これは講談社BOXの方針をいろいろ調べていたところに見つけたことですが、小説に限らず、コミックスや批評までを幅広く刊行しており、自分の本が入る余地はあるかなと考えました。この市場に存在していない本を探しており、一緒に作って行けるのかなとも感じました。


また、友人が西尾維新先生のファンで(『ひぐらし』も彼のススメ)、それまでに何度か、刊行雑誌『パンドラ』の分厚さも聞いてもいました。講談社BOXは分厚い本も多いです。そうした分厚い本の中に自分の「コミケカタログより分厚い」を標榜した同人誌が加われる可能性はありそうに思えましたし、先方にならば分厚さを分かってもらえる気もしました。


応募と決定の流れ

応募

本当はもう一社にも送付していますが、そちらは講談社BOXほど自分の中での確実性が見出せず、送付しただけとなりました。連絡が先に来た方と話をできたら良いなと、考えていました。


正直な所、講談社BOX編集部から返事が来る確率は分かりませんでした。ただ、「一緒にできたら、お互いに面白い」との確信はありました。接点は幾つも自分の中にあったので、縁があるかなと感じていました。


連絡

そして2008年10月末、携帯電話の留守番電話に編集部の方からの連絡が入っていました。出版しましょう、なのでお会いしたいとの内容でした。留守番電話を何度も聞き直しました。お互いに時間的都合が合わず、11月になりましたが、会社帰りに講談社BOX編集部に足を運びました。


とても緊張しました。


幸運と縁

お会いしたのは担当編集になる方と、編集長でした。応募を見て、出版したいと考え、連絡をしたとお話をうかがいました。自分のような形で応募した人間が今までいなかったとのことでした。最初なのは運が良かったですし、分厚いから相当目立ったのも大きいかもしれません。エネルギーだけはこもっていました。


しかしそれ以上に運が良いことがありました。


担当編集の方がイギリス留学経験があり、ヴィクトリア朝メイドを扱った作品『エマ』をご存知だったことです。(2009/11/16修正:また、大学でもヴィクトリア朝文化を学ばれていたとのことでした。ヴィクトリア朝文化専門ではなく、論文でそこに関連する文化をやり、ヴィクトリア朝に興味を持っていたレベルとのこと) 事前に編集部の情報は何も知りませんでしたが、たまたま自分の理由で成功確率が高いと思い込んで選んだ編集部に、正に同人誌で扱った時代に詳しい方がいるのは、運命的でした。


タイミングとか、縁とか、いろんなものが繋がった感じがして、これはすごいなぁと、自分のことながら感心しました。そこでいろいろと方向性や想いを話して、実際に作って行きましょう、と出版が決まりました。その場でデザインやイラストの話なども出て、具体化していく実感が湧いてきました。


決定後に気づいたこと

総合出版社ゆえの総合力

もうひとつ、応募時に気づかなかったことがあります。講談社は様々な種類の書籍を刊行しており、出版社自体に巨大なノウハウがあります。編集部として刊行した経験がない種類の本でも、出版社として刊行していることは、それだけ受け入れの間口が広いことを意味します。


結果として、非常にレベルが高い校正の方をアテンドしていただけました。


多分、これが他の出版社を選んだ場合、このレベルの方と仕事をできなかったと思いますし、翻訳の校正という膨大な作業を行うだけのアセットも用意できなかったと感じています。レーベルとして尖っている部分と、全体で見たときの総合力、両方が揃っていたのは、とても幸運なことでした。


結果論で「メイド」繋がり

出版決定後に、気づいたことです。


西尾維新先生がメイドを好きらしいと聞いたことがあります。また、竜騎士07先生の作品『ひぐらし』『うみねこ』もメイドが出ています。さらに、奈須きのこ先生の作品でもメイドは出ていますし、TYPE-MOONでイラストを描かれる武内崇様はメイドスキーとうかがっています。


メイドそのものは随分とメジャーでもありますが、メイドジャンルで活動した自分が応募する場所として、これほど接点が多いレーベルは他に無いでしょう。自分でも意外なぐらいなのですが、すべてのピースが揃っているところに、出会えたのです。


西尾維新先生ファンの友人の存在

もっとも、自分が講談社BOXに集まった作家の方たちと、このような「繋がり」を見出せるのは、先ほどふれた西尾維新先生の昔からの大ファンで、講談社BOXでの作品も買い続けていた大学時代の友人の影響が大きいです。(今年は『化物語』シリーズの通読を強く勧められ、はまりました)


友人独特の嗅覚で『ひぐらしのなく頃に』もオススメしてもらいました。当時は彼がはまっている理由が分かりませんでしたが、実際にやってみるとやばいぐらいに面白く、その影響で「じゃぁ、面白そうだと思って接していないものを」と決め、『Fate』から奈須きのこ先生作品全般に接し、はまりました。これは2007年です。


同人活動でもいろいろと支えてもらいましたが、この友人がいなければ講談社BOXに出会わず、接点が無かった可能性も高いのです。


まとめ

以上が、出版決定にいたるまでの経緯です。具体的な出版に向けてのプロセスはまた別の機会にご紹介したいと思いますが、同人レベルから商業レベルへの変化には、多くの方が関与し、また多くの作業が生じるので、個人作業と勝手が違い、順応していくのに苦労しました。今も相当、ご迷惑をおかけしている最中です。


ただ、今回に関しては同人活動を主体にしておかげで、だいたい相手に何を求め、自分で何ができるかの切り分けもできたように思えます。また、先方にもたらすメリットは純粋な売上げでは難しいかもしれないので、幾つかの「可能性・経験」ではないかと、考えています。


それが、このようにブログに書くことです。


出会いを作るのは自分主体で

今回の出版では、プロモーションや営業やその後の展開など、ある程度、自分から起案させて欲しいとお伝えして、実際に提案を幾つかしています。同人活動やネットを通じて、ある程度の勘所は分かってきていますし、それを同じように楽しみたいとも思っています。自分の本であり、自分が主体ですし、同人でもどのように読者と出会っていくのかを考えるのは、とても楽しいプロセスでした。


劇的に面白い小説というわけでもなく(資料本です)、講談社BOX編集部が今までに販売したことがない種類の本なので、とても扱いにくいと理解しています。会社レベルで考えれば費用対効果は相当悪いでしょう。時間も手間も小説以上にかかっているはずで、担当していただいている校正の方のレベルを考えると、正直、利益が出るのか気になります。なので、出版を決意してくれたことに感謝し、それ以外は自分が頑張って補っていこうと最初から模索しています。


しかし、運を天に任せた博打だとは思っていません。


同人(3ヶ月1,000部+半年400部で完売)で成果が出たことは自信となりますし、講談社BOXとならば、流通経路が圧倒的に増えること、本の質が上がること、そして同人ではなくなることでより多くの読者の方に出会えると考えています。


講談社BOXの読者でもある友人に読んでもらえているので、今まで出会えていないであろうBOX読者の方にも読んでもらえる可能性を期待していますし、また、今まで講談社BOXで出していない系統の本なので、講談社BOXにいなかった新しい読者の方にも手にとって貰いやすいとも考えています。


努力をするところは、幾らでもあると、同人で学んでいます。


同人誌1トンを刷った経緯と部数決定のプロセス


このエントリも、そうした同人での知見をまとめたものです。こうした着想がどこまで通じるのか、今回はさらにどこまで異なる着想を取り入れられるのかを、試される機会になります。


経験を共有する・「得がたい経験」を得る

いろいろな提案をすること自体が編集部の知見になれば良いと思いますし、出版以外での自分の体験(成功するか失敗するかは分からないにせよ)を編集部に価値として返せたら面白いなぁと考えています。情報の出し方や、出版への経緯をこのようにブログで公開していくことも、その一環となります。


今回は自分が「広告主」で、また「営業担当」でもあり、さらにネットでは「依頼を受けるメディア」にもなります。めったにできない経験です。同人ではすべて個人でやってきた部分も多いですが、今回は出版社の方と共に動きつつ、自分の方法論が商業出版の世界でも通じるのか試すつもりでいますし、そのプロセスでの予想しない出会いにも期待しています。


「接点を持つ方と出会う」ために

このような考え方自体が特殊かもしれませんが、自分は、まったく興味が無い人(ゼロの方)に読んで欲しいとは思っていませんし、読ませるだけの力があるとも楽観していません。しかし、読者となりえる可能性が既にある方(イギリスに興味がある・英文学を学んだ・イギリス旅行経験がある・メイドが好き・執事が好きなど)の中にある接点を見つけ、響かせ、本の存在に気づいて欲しいと考え、行動しています。


どんなに良いと思うものを作っても、読まれなければ評価されません。それは、同人活動で身をもって経験してきたことです。自分が作った本を読んで、考え方や物の見方がほんの少しでも変わって、楽しみを見出せていただけるような、相手の中にある「1」が、「2」にも「3」にも響くような、そんな本を目指しています。


同人時代には届けられなかった、出会えなかった多くの方に、今回は出会いたい、読んで欲しいと作っていますので、この接点つくりと出会いの機会は、出版まで、そして出版以降も続けていくつもりです。何よりも、これこそが同人イベントで、読者の方とお会いすることで教わったことです。


接点作りは職務経歴書の影響か

上で書いたように、「自分が応募するレーベルとの接点」も、応募を自覚する前に存在したもので、その時点では平面的なもの、それだけの価値でしかなかったと思います。しかし、そうした自分の中にある経験を見つけて、「過去」の意味を「現在」で変えていける、そこが楽しいと感じています。


以前から、何度かブログで「シンクロニシティ」について書いていますが、過去のすべてが現在に繋がっているわけではありません。しかし、多くの種をまいているから、現在を選択するときに、その過去と繋がりのあるものを選んでいるとも思いますし、過去を現在に応じて加工しているのかな、とも思います。そういう自分なりの「接点作り」を、大好きなスティーブ・ジョブスのあの演説で見つけました。


Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something ― your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.


http://sago.livedoor.biz/archives/50251043.html より引用

未来のことは分からないけど、過去にやってきたことを繋げていくことはできるし、今やっていることが未来に繋がっていくことを信じよう、との言葉ですね。自分が今、主体的に行っていること、自分で見つけたことが、こうして繋がっているのも不思議なものです。


と書くと難しそうですが、多分、これに気づいたのは「職務経歴書」です。久我は過去の転職活動で、本来高く評価されるスキル以外の会社でも、接点がありそうなところに申し込みました。人材バンクでは決して案件として出してくれそうもないところで、書類選考や面接を通過することが多い方だと思います。(その分、いっぱい落ちてもいますが) それも、相手の会社が求めるスキルや方向性との接点を自分の中で探して見つけられるかどうかというところと、仕事以外の経験も含めて自分の経験や仕事に求める方向性に合致する所があるか考えて、伝えているからだと思います。


なので、上に書いたようなことは、すべてが運ではなく、観察しているか、繋げているかの意識によるところが大きいです。運が良いかどうかは結果論で、過去に経験したことを現在で生かせるから、その過去の体験が「運が良い体験」になる、というところが大きいのではないかと。しかし、流れがあるときはその先の「本当の幸運」(今回で言えば編集の方がイギリス留学経験者という偶然)との出会いもあります。


同人に限らず、これには仕事や、ブログを書いてたまに反響を得た体験も影響していますが、いろいろな体験や自分が得たもので、どこまで行けるか挑戦しています。元々、自分でその読者の方と出会いの機会を作るのが大好きで、同人でも楽しんできました。だから、プロモーションも主体的に楽しんでいきます。


終わりに

原稿からの現実逃避で長くなりましたが、書店やネット(主にAMAZON?)で、お会いできれば幸いです。そのためにも、最後まで頑張ります。なんだかんだで、自分で同人誌を作ってきていると、気持ちが図太くなりますね。今まで同人イベントで出会ってきた方々の存在を、心強く感じていますので。


だいたい書きたいことを書いてしまったので、冬コミや今後の更新ネタが尽きました……集中します。


関連しそうなリンク

『英国メイドの世界』商業出版決定のお知らせ


出版進捗一覧

シンクロニシティ一覧

同人誌1トンを刷った経緯と部数決定のプロセス


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