ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん このページをアンテナに追加 RSSフィード


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2009-12-28 コミケ参加15回目+通巻16冊目

[]2007〜2009年の新刊/9年間の同人活動を振り返る

年末は振り返りを、ということで過去に作った同人誌を振り返りつつ、当時を思い起こそう企画です。2006年12月に同趣旨で2001〜2006年までのレビューを行いましたので続きです。


2001〜2006年までのレビュー:コミケ参加9回目+通巻10冊目+総ページ992!


2007年夏:ヴィクトリア朝の暮らしガイドブック:92P



1〜4巻をまとめた総集編を作りたかったものの、仕事との時間調整をうまく行えず、「総集編はこういう方向にします」との実例として当時書き直した執事の資料を入れました。


他にフットマンのFrederic Gorstがその使用人経歴の中で出会った人物たちを紹介する、どこに需要があるのか分からない資料を入れ込むなど、そこそこカオスな本でしたが、個人的には総集編の方向性が決まった一冊でした。


表紙と裏表紙は、GENSHIさんにお願いするようになった頃、GENSHIさんが描いて下さっていたカラーイラストがあり、いつか表紙として使いたかったのを、このタイミングでお願いしました。お屋敷です。


2007年冬:MAID HACKS:92P


自分にとって、転換点となる本があります。かつて『エマ ヴィクトリアンガイド』が出た時に作っていた3巻は、「戦える」との自負をくれて未来へ繋がりました、この本も先へ繋がる一冊でした。


「総集編作れない」「でも総集編の準備のために実在した使用人のエピソードを集めて紹介しようか」と、尊敬する研究者Pamela Sambrook氏の『Keeping Their Place』にならい、手記だけで編集する方針にしました。日記を読み直すと、おかしいことに、3週間ぐらいで入稿しています。


結果として、誰もが読みやすい方向性の本となったことや、キャッチーな表紙の案を思いついた瞬間に、「これは楽しい」と自分が楽しめた本でしたし、Uさんに形にしていただいたとき、手ごたえを感じました。ただ、「これはやりすぎてしまったけど、受け入れられるのか?」と印刷部数は抑えましたが、結果として『英国メイドの世界』に次ぐ頒布部数となりました。


コミティアのカタログ『ティアズマガジン』のレビューP&Rでも取り上げていただき、「自分が良いと思った本と、人が良いと思う本」の基準が一致した自分にとって実りが大きい一冊でした。もちろん、資料整理の目的で作ったこともあって、これがあったおかげで『英国メイドの世界』の作業が進みました。


2008年夏:英国メイドの世界 ヴィクトリア朝の暮らし総集編:572P


総集編を2007年に作るといって、2回のコミケを経過してしまったので、後がありませんでした。年始から作業を始めていましたが、作業量が膨大すぎて、どうにも自分を追い込めず、「そうだ、同人イベントに出てやる気を出そう!」と決め、何を思ったか5月の連休に前後した短期間に3つのイベントに連続参加しました。


すると、いろいろな意味で追い込まれました。出る度に、「新刊ありますか?」と聞かれることが想像以上に堪え、「やばいかも」と思っていましたが、「総集編は夏に出ます」と言い切って、自分を奮起させました。


参加を続けるうちに、「メイドが好きだったなぁ」と原点を思い出させていただいたり、偶然としか思えない出会いがあったり、同人イベントで人と出会えばこそ生まれる、プラスの効果が生まれました。


2008/04/27(日)『COMIC1☆2』「か12a」で参加してきました

『帝國メイド倶楽部九』参加&「原点回帰」の1日

コミティア84終了・偶然の出会いに囲まれて生きている


感想に書きましたように、見事なぐらい、「外堀」が埋まりました。総集編を作れない理由は無い、むしろ作りたいぐらいに自分を追い込みました。当時を思い出すと、胃の辺りが痛みます。


『MAID HACSK』と同じく、『英国メイドの世界』もティアズマガジンに載りましたし、アキバBlog様で取り上げられて以降の完売続きは良い経験となりました。


2008年冬:9巻:終わりの始まり:92P


正直なところ、『英国メイドの世界』を作ったことで、燃え尽きていました。『英国メイドの世界』の在庫手配や再販準備などもやっていましたし、恒常的に同人活動を続けているような形で、意識の切り替えもうまくできませんでした。


そこで自分のモチベーションを上げてくれたのが、ヴィクトリア朝にメイドと結婚した紳士Arthur Munbyでした。彼はマニアックな趣味を満たす傍ら、使用人の墓碑銘をひたすら記録し、出版していました。『MAID HACKS』で使った資料で気になっていたので原文を探していて、見つけたことで、この作業は進みました。


詩人?変人?だから何?


もうひとつ、「屋敷の使用人」を総集編で書いた時に、「執事の仕事」に入りきらなかった領地経営を行う「ランド・スチュワード」の解説を行いました。これは当時の農村の資料の中に、たまたま詳細な記述を見つけたことで、情報を集約できました。


このときから、碧宇さんに表紙をお願いしています。自分的に「使用人の話はそろそろ終わりにしたい」と完結編への気持ちを込めて、「メイドがいたけれど、いない部屋」というメイド同人誌ながらもメイドがいない表紙というチャレンジをしました。


元々のイメージとしては、『FIVE STAR STORIES』のCHARACTERS4のクローソーの表紙、といって通じる方には通じるのではないかと。


2009年夏:英国執事の流儀:148P


この頃には商業出版が決まり、作業を行っていました。書き直しのために集めた執事資料が充実してきたことや、彼らの魅力をそれまでほとんど存在しない形で照らし出そうと考えて作った一冊です。


元々、2005年ぐらいに使用人の転職事情を書いた時から、使用人と現代人の状況に重なるところがあるなと思っていましたので、組織運営や部下のマネジメントの観点で執事を評価できるか、との視点を持ち込み、エピソードを整理しました。


個人的に『英国メイドの世界』を作ってしまった以上、「新刊は、常にそれを上回る部分を持つ」(視点や密度、なんでもいいので)ことを自分に課していました。オリジナリティと方向性は新しい境地を開けた本となりましたし、自分にとって財産となった作業だと思います。


2009年冬:英国メイドの世界ができるまで:44P


本当は20世紀の使用人事情を描いた完結編「使用人の世界の終わり」を書くつもりでしたが、出版作業が長期化し、20世紀の資料を読み込むのに時間がかかったこと、何よりも「商業版で、どこまで20世紀を扱うか」の見極めができなかったので、新刊を作るのに、内容的にも時間的にも今までで一番苦労しました。


ただ、逆に考え、この時期にしか作れない本にしようと思いました。「ひとつのサークルの同人活動がどんな体験をして、どこへ向かっていくのか」を書き、その上で「今までイベントで出会った方たちがいたから、本を作り続けられた」ことをお伝えする本にしました。


表紙は、1年半ぶりにメイドです(笑)


あと、出版はウェブでは告知しましたが、ウェブが見られているとも限らないので、新刊の形で直接ご報告したいとも思っています。今年の夏、コミケ会場で告知だけはしたんですが、忙しかったのか、気づかない方も意外と多くおりましたので。


同人活動として

いろいろと本を作ってきましたが、根底には「良い本を作る」「読者の方に驚きを与えたい」と、職人のような意識で人生の時間を費やしてきました。新刊を作り続けることや、常に新しい資料を探すこと、そして学会などへ活動を広げていくことは、司馬遼太郎さんの描く吉田松陰的に言えば、「狂」が無ければできないことかもしれません。馬鹿にならないと、狂ったように好きでないと、そして好きになる努力をしないと、時間は費やせません。


「狂」するに値する何かである「メイド」「屋敷」「執事」といった方向から同人活動そのものまで含めて、それらに出会ってしまった者として、何を表現していくか。


特に同人活動は自分にとって良い経験をくれました。恩返しというか、場の参加者として、この場がどれだけの可能性を持っているのか、どこまで行けるのかを模索している道半ばです。


いつもの振り返り

2008年を振り返って