ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん このページをアンテナに追加 RSSフィード


AMAZON『英国メイドの世界』へ  ■講談社より刊行しました! 屋敷の暮らしと使用人の仕事が分かる『英国メイドの世界』
 -屋敷で働くメイド・執事の仕事が分かる資料本『英国メイドの世界』:第一章の試し読み開始
 -出版化時にこだわった「読みやすさ」と「分かりやすさ」

 ■英国ヴィクトリア朝・屋敷や貴族関連の資料/映像をお探しの方にオススメ
 『ダウントン・アビー』を見る前に読んでおきたいカントリーハウスと職場の解説

 -SPQR[英国メイドとヴィクトリア朝研究]更新中




2017-07-22 出版準備

[]『日本のメイドカルチャー史(仮)』進捗報告と、ついでにコスプレのメイドブーム考察

星海社から年内に『日本のメイドカルチャー史(仮)』

上下巻を出版予定と告知をしたものの、校正を受ける前の段階で3ヶ月ぐらいを費やしています。というのも、校正で使うための引用元資料の準備と、掲載したい図版を、出版社に整理して送らなければならないからです。書いているときは良いのですが、いざ物理的に渡して、隙なく進めるには、なかなかに骨が折れました。実際には、私以上に、担当編集者の星海社・櫻井さんがいちばん大変なので日々感謝しております。


そして今日、上巻の校正戻しを受け取ってきます。星海社太田克史さんからも、そのボリュームについて、本日、言及をいただきました。


f:id:spqr:20170722083214j:image


というところで、着実に進んでいますので、お届けできるときまで、お待ちください。


ついでに、「データの多さ」について、今日、色々とつぶやいてみました。『日本のメイドカルチャー史(仮)』の製作裏話のようなものです。


[コラム]1999年のコミケで観測されたメイドコスプレブームを探る

ボリュームの感覚が麻痺しているかもしれないと思うのは、参考資料が変な規模になっていることにあらわれています。左が研究用のために入手した『ゴシック&ロリータバイブル』の創刊号からほぼ全巻、右が大宅壮一文庫でコピーした「メイド・コスプレ・ファミレス」など研究領域の約800記事ぐらいのコピーです。


f:id:spqr:20170722084045j:image  f:id:spqr:20170722084039j:image


他に数百になる情報ソースでは、世界で初めてのコスプレ&コミックMOOK。宝島社の雑誌『CUTiE』の特別編集として、1998年に刊行されたコスプレイヤーの写真が400人という規模です。


f:id:spqr:20170722084034p:image


この写真を見て、メイドコスプレを調べるという地道な作業をしました。


メイドコスプレが難しいのは、「メイド服的デザイン」が様々にあるため、メイドなのか識別が難しいことです。たとえばアリス服なのか、ナース的な位置付けなのか、世界名作的なエプロンドレスなのか、ゴスロリなのか。だいたいは頭の装飾品で判断することになります。コスプレの場合、作品名がセットなのでまだ楽です。


もう一冊、1999年刊行の『The COSPLAYER―松村昭宏写真集』という本も利用しました。こちらも300人以上のコスプレイヤーが撮影されているので、データとして十分です。もちろん、作品名とセットなので、メイドイメージのコスプレイヤーの出現頻度を計測できます。


The COSPLAYER―松村昭宏写真集

The COSPLAYER―松村昭宏写真集



もともと、この領域を調べようと思ったきっかけは、コミケにサークル参加しているときに毎回購入している『コミケットプレスvol.33』の特集「コスプレ進化論」P.6-7掲載年表に記載があった、1999年「メイドコスが大ブーム」との一文です。「メイドブーム」とある以上見過ごせず、それを、どうやって検証するかというのが課題でした。


f:id:spqr:20170722084028p:image


たまたま、この頃はコスプレブームのおかげもあって、前述した2冊のほかに、商業出版されていて入手可能な書籍があったので助かりました。なぜ「メイドコスが大ブーム」となったかは、表現された作品の傾向を見るといくつか軸があります。


1つ目はブームとなった『殻の中の小鳥』など集団でメイド合わせができ、目立つ作品の存在。かつ、集団で合わせたいので友人を巻き込みやすく、敷居が下がります。この傾向は『これが私の御主人様』や、最近では『Re:ゼロから始める異世界生活』のラム・レムのペアと似ています。


2つ目が様々な作品で、メイドキャラ・メイド的デザインが存在したこと。ただ、写真集の場合は「作品名」が見えますが、会場では「作品名がわからない」ことが多いので、類似したデザインに見えることで、それらを「メイドコス」と同じくくりで認識されやすい点です。


先のCUTiEのコスプレムックで、メイド・ウェイトレスとして観測できるのは『Piaキャロットへようこそ!2』(青制服2、別制服1)『ファイティングバイパーズ2』(ハニー7)、「メイド服を着たIZAM氏(SHAZNAボーカリスト)」、「オリジナルメイド」(6)、『ブラックマトリクス』(ミシェット2)、『カードキャプターさくら』(さくら・メイド服2)、『プチカラット』(シーモンド)、『雛鳥の囀り』(クレア)、『悠久幻想曲』(メロディー)、これにアリスなどを足すと30名近くいました(ミシェットはメイドではなくゴシック的な方向)。


コミケットプレス』に記載があった一文から1999年のメイドコスプレブームを探る、というようなプロセスの一部はこんな感じになっています。デジカメもなく、ネットのコスプレ写真共有サイトもない頃の話なので、過去の風景を探るのは本当に難しいです。


あとは、雑誌も「コスプレ」を含むキーワードで探しました。メイドコスプレ「的デザイン」が取り上げられた、調査範囲での初出は『SPA!』1995年12月6日号、『ヴァリアブル・ジオ』楠真奈美のコスプレをしている方でした。


オリジナルの「メイドさん」とコスプレイヤーが名乗り、作品名をあげなかった初出は、『スコラ』1998年11月22日号特集「超人気コスプレ美少女写真館 カワイイ女のコに会いたきゃコミケ&コスパに行けッ!!」です。


というようなことを、日々、調べております。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/spqr/20170722/p1