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2015-12-31

[]2015年を振り返って

2015年私的テレビシリーズアニメベスト5は次のとおり(順不同)。

  1. SHIROBAKO
  2. 少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-
  3. 『蒼穹のファフナー EXODUS』
  4. 城下町のダンデライオン
  5. スタミュ

昨年から今年にかけて、小説版も含めた『少年ハリウッド』シリーズに魅了された。『少ハリ』で感化された男性アイドル好きは『スタミュ』にも飛び火して、作風こそまったく異なるものの、こちらも前向きなキャラクターたちによる爽やかなストーリーに大いに元気をもらえた。

昨年から続いての『SHIROBAKO』は好エピソードの連発で密度が高いシリーズ、お仕事ものという性格もあって他作品と異なる視聴スタンスで臨めたことも強み。伸び伸びとした下級生と重めな上級生のドラマ重層が『スタミュ』に共通する響け!ユーフォニアム、おとぎ話的なプロットゆえにSFの原点を思い起こさせてくれた放課後のプレアデスも良かった。

ロボットアニメではシドニアの騎士 第九惑星戦役もすばらしかったが、1期シリーズとの総合で『蒼穹のファフナー EXODUS』をあげたい。リッチなバトル作画に生々しいキャラ描写そして骨太なドラマによる隙のなさ。何よりも老若男女関係ないヒロイズム表現が美しい。

癒し枠では『城下町のダンデライオン』とのんのんびより りぴーとが双璧。いわゆる美少女日常系が苦手な自分にとって、作画的にもドラマ的にも適度な動きのある『ダンデライオン』は理想的な日常もの。

「ミュージカルアニメ」の触れ込みで秋期にオンエアされた『スタミュ』そしてDance with Devilsも印象深い。ミュージカルパート抜きでも十分に楽しめたけど、シアトリカルな作品世界も含めてミュージカル演出がきれいに収まっていたのは『ダンデビ』のほう。音楽との呼吸もすばらしい。

ハードな世界観にドラマとキャスト陣の熱演のマッチングでは寄生獣 セイの格率が出色。中でも、パラサイトから人間にアプローチしようとあがく姿が鮮烈だった田村玲子は今年のベストヒロイン。秋期に分割1クール目がオンエアされたコンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜も見ごたえがあったが、これは2クール目を見終えた来年末の選考にとっておこうかと。時代背景が共通するヤング ブラック・ジャックとともに渋い存在感。

劇場アニメ作品は、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenzaそしてガールズ&パンツァー 劇場版』におけるライブ感あふれる戦闘描写が圧巻で、それぞれ複数回劇場を訪れることに。チームによる艦船あるいは戦車によるバトルの臨場感は『宇宙戦艦ヤマト』世代のツボを直撃してくれた。5年にわたったシリーズのクロージングとなるたまゆら〜卒業写真〜三部作も、初めて体験した監督・キャストによる舞台挨拶を含めて忘れられない思い出になりそう。

最後に、つつがなくアニメを楽しめる状況に感謝しつつ、今年のエントリを終えたいと思います。

それではみなさま良いお年を。

2015-12-30

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 第13話「新宿擾乱」(終)

脚本:會川昇 絵コンテ:中村里美 演出:矢野孝典 作画監督:稲留和美、三谷高史、斉藤英子、伊藤嘉之 メカ作画監督大塚健

【概要】

小笠原諸島の研究所における非道な超人体実験が明るみになり、世界的な「超人主義」の流れと呼応することで、ボルテージの高まった日本の若者たちは新宿で「超人革命」のために決起した。革命に突き進む若者たちとそれを阻止せんとする柴来人ら警察による対決を背景に、かたくなに超人の理想像を信じ続ける爾朗がクロードとの対決をへて暴走する。

【感想】

超人のあるべき姿にこだわり続けてきた爾朗は、学生側にも権力側にもくみしない中立的なものであり、だからこそ立場を超えた超人たちが暴走する彼を助けたクライマックスに盛り上がった。超人の能力は人々を笑顔にするためのものと態度で示したマウンテンホースの加勢、そして学生と警察の両方を成敗すると混乱に巻き込まれたアースちゃんの態度が、無言で爾朗を支持してくれるかのよう。

爾朗をめぐっての輝子と笑美のやりとりも見ごたえがあった。「魔界の女王」の本性を現した輝子はクロードすなわちかりそめの爾朗にとらわれている。それは超人と人間のあるべき関係を信じる爾朗へのリスペクトが、魔女ではない輝子のもう一つの人格と解釈できそう。笑美が輝子憎しと思いつつも彼女の身を案じてしまうのは、そこに爾朗の苦しみを重ねているからではなかろうか。

爾朗が神化20年8月の広島で見つかったラストが、偶然の産物であるらしい彼の恐るべき一面すなわち「怪獣」をうかがわせる。もう一人の爾朗として造られた多数の超人体実験の産物であるクロードがかなわなかったのは、爾朗がはらむ強大な力を想起させる。そこに、魔界の魔女というこちらも制御不能で強大な一面をもつ輝子が重なり、守護者である笑美の悲哀が浮かび上がるといった具合。

★★★★

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 総感

【総感】

前半はビジュアルとキャラクターのユニークさで楽しんでいたのだけど、さまざまな立場や思惑の登場人物が増えてきた中盤から密度について行けなくことがしばしばに。超人の理想を追い求める爾朗を中心に据えれば見やすくなりそうなところ、その価値観をゆさぶる動きが多方面から勃発するので混乱してしまうのだろう。エピソードを重ねるごとに神経衰弱みたいな視聴感覚が増していった。

序盤は自身のことを「人間」と称し「怪獣」を憎んでいたはずの爾朗が、超人どころか怪獣すらも逸脱しそうな本性を持っていた。分類不可能な爾朗はそのまま種族によらぬ融和を体現しているともいえるし、劇中におけるさまざまな主義主張の衝突にあたっての重石でもあったのだと認識を新たにする。

異世界からやってきた輝子は、そんな爾朗を観測する役回りにふさわしかったかと。人間から喜びを吸い上げる魔界の魔女としての一面は、人間と超人の融和を願う爾朗の理想に対する無言のカウンターだったのかもしれない。換言すると、最終話における笑美のセリフ「あの子(輝子)の前ではあなた(爾朗)は期待している姿になろうとしてしまう。すべての超人を救えるみたいに」は、爾朗と輝子それぞれの善と悪の拮抗を示唆しているようにも。ゆえに両者は引かれ合うのでは。

超人課のメンバーとしてフレキシブルな有能さを見せつつも肝心の内面は爾朗でカモフラージュしてきた笑美といい、権力側に属しながら爾朗と変わらぬであろう理想とのはざまで苦悩する来人といい、超人能力で人々を笑顔にできればいいじゃないかと自然体なマウンテンホースといい、システマティックに善悪を区別できるはずだったからこそ機能不全を起こしてしまうアースちゃんといい、爾朗と輝子を引き立てるサブキャラクターもそれぞれ魅力的だった。

さらには、爾朗の理想を守るかのように未来からサポートした兵馬、超人課を辞してからも暗躍を続ける宇宙外生命体の秋田、子供の味方というシンプルな属性が爾朗の理想と共鳴しそうな風郎太、そして爾朗の育ての親でありながらその理想に反した振る舞いが示唆された孫竹と、ドラマの下地は枚挙にいとまがない。

オンエア直前に漫然と抱いていた、レトロチックな特撮やアニメのミックスというイメージよりはうんと骨太な作品だった。下野した爾朗があるべき超人(と人間)の姿を問うであろう後半を楽しみに待ちたい。

★★★★

2015-12-29

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 第24話「終わりのセラフ」(終)

脚本:瀬古浩司 コンテ:徳土大介 演出:河井ゆう美、京極義昭、若野哲也、徳土大介 作画監督:井川麗奈、杉崎由佳、千葉崇明、手塚響平 モンスター作画監督:胡拓磨、エフェクト作画監督:柳隆太

【概要】

暴走したグレンの攻撃を受ける優一郎。同時に、暮人が起動させた「終わりのセラフ」が人間と吸血鬼の区別なく襲い始める。何とその本体は、士方の妹である未来だった。対して、新たに得た「家族」を守るため、優一郎もその身に宿る禁断の力を解放する。

【感想】

巨大な異形である「終わりのセラフ」を駆け上がる優一郎はもちろんのこと、彼に吹っ飛ばされ転がっていく暮人のアングルや、クローリーの急襲を察知するクルルの顔面に反射光を走らせての攻防など、ダイナミックでシャープなアクション作画の数々は見ごたえがあった。

第1クールのラストではフェリドが人間側とつながってそうな伏線が引かれたが、前回では柊真昼との「取引」がクルルに示唆され、今回はそのクルルが吸血鬼の裏切り者として糾弾される。帝鬼軍が進める「終わりのセラフ」の研究に吸血鬼が関わっていることは間違いなさそうだが、それも優一郎と未来の2人がいることで一層ややこしくなった。また、フェリドに「ナマナリ」と称されたグレンも実験体である可能性が。

離れ離れだった優一郎とミカエラが手を携える展開で一定の区切りはついたものの、風呂敷はさらに大きくなった感じ。

★★★

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 総感

【総感】

力強い描線による陰影の強いキャラクター、対照的に輪郭がぼかされた背景と、作画まわりはとても魅力的。ただ、第1クール目の初回で期待させられたバイオレンスアクションの迫力はいま一つだった。月鬼ノ組あるいは帝鬼軍内の内ゲバ的な展開がメインだったので仕方ないが、主人公たちのシノア隊がさほど苦戦することがなく(まったく歯が立たないことは多かったけど)、スリルを欠いたのが正直なところ。それまでほとんど出番のなかったサブキャラクター、相原あい子の散りざまが印象的だった第18話が、シリーズのベストエピソードだったくらいなので。

それでも、名古屋に向けて吸血鬼たちを討ちに行く展開になって、ストーリー的にはずいぶんと見やすくなった。最終目標だったクローリーが依然として強大すぎるのは、「終わりのセラフ」がもたらすパワーインフレを予感させるが、この2クールではその入り口がちらついた程度に終わり不完全燃焼。

最終話の感想でも述べたとおりだが、フェリドに拘束されたクルルから何かを託されたかに見えたミカエラなど、ダイナミックな物語が紡げそうな下地はあると思うので、機会があれば続編を見てみたい。

★★★

[]Dance with Devils 第十二幕「終わりと始まりのオーパンバル」(終)

脚本:金春智子 絵コンテ:藤森カズマ 演出:吉村愛 作画監督:荒木弥緒、一ノ瀬結梨、小谷杏子、宗崎暢芳、しんぼたくろう(中村プロダクション)

【概要】

とらわれたリツカを助けるために、ネスタの居城にやってきたレム、リンド、ウリエ、メィジ、シキ、ローエン。ネスタから血を吸われる寸前のリツカを奪い返し、手下のヴァンパイアたちを葬っていく。強敵のジェキを倒したリンドだったが、自身の実の父親であることを告げたネスタの誘惑にはまってしまい……。

【感想】

「ミュージカルアニメ」との触れ込みでスタートした本シリーズだったが、ラスボスであるヴァンパイアの王から主人公を助け出す展開になってようやくその本領が発揮された感。前話のミュージカルパートでも、不敵な笑みを浮かべるネスタのカットを入れるなど、シチュエーションがあいまった臨場感が出ていたけども、今回はリツカを守るレムとリンドそして対するジェキを横一直線上に並べるなど、通常の戦闘シーンにおいても舞台を意識したコンテワークが印象的。

物語的にはまずリンドの悲劇性が際立った。エクソシストとしての修練の成果でジェキを倒したくだりに同胞であるアズナの仇討ちと手向けが感じられ熱かったし、アクマたちとは違いテレポート能力を持たないがゆえにリツカの守護でレムに後れを取ってしまう姿が切なかった。

ボルテージが最高潮に達したのは、「禁断のグリモワール」を発動させたリツカがネスタの隠された心臓を看破するシークエンス。直接的な戦闘能力を持たないハンデを逆手にとって強力なボスを倒すギミックをファンタジックに表現してみせる。形見ともいえるナイフによってアズナを弔うとともに、父親に裏切られたリンドの無念を晴らし、さらには自身がさいなまれてきた禁断のグリモワールからの決別という三重奏になっており、ビジュアルにストーリーがシンクロした美しさ。

そして、レムたちアクマとの別れを歌い上げたミュージカルパート。前もって聞いていたミュージカルコレクション『Dance with Destinies』の楽曲だけでも情景が浮かんでくるほどだったのだけど、湖畔における映像が重なってなおのことすばらしい。リツカとレムとリンドによる柔らかいハーモニーから、最後はリツカの力強い独唱で締める曲展開が彼女の決意そのもので感動的。

★★★★

[]Dance with Devils 総感

【総感】

まず端正なキャラクターデザインが良かったし、ゴシックロマンな耽美系ファンタジーも好きなので、「ミュージカルアニメ」という触れ込みに左右されることなく初回からすんなりと入って行けた。「禁断のグリモワール」と紐づけされた自身が何者なのか知ろうとする主人公、立華リツカの意思の強さゆえの危なっかしさがドラマをけん引してくれた。中盤に正体が明かされた親友の葛葉アズナも含めてレギュラー陣すべてが禁断のグリモワールをめぐる当事者だったことも、作品世界そのものを舞台と考えれば納得がいく。

主人公をとりまく男性キャラクターたちについて。最終的にリツカを取り合う形になるレムとリンドを除くウリエ、メィジ、シキ、ローエンについては、イケメン属性を逆手にとった(?)コミカルな味が感じられたのが面白かった。本人たちはいたってシリアスなのだろうが、本命であるレムやリンドを背景にした空回り感がそうさせていた。ウリエの食えなさやメィジの強引さもさることながら、自虐的な堕天使のシキとポメラニアンに擬態したケルベロスのローエンのキャラクターがことさらユニークだった。

特に、先代の魔王マキシスの番犬を自称するローエンについては、生徒会におけるマスコットと一匹狼を兼ねているように感じられ、シリーズに通底するテーマである「嘘」の体現者のようだった。ポメラニアンが合唱する第七幕におけるミュージカルパートが象徴的だったし、ネスタに相対した第十一幕のミュージカルパートでは扇の要としての役回りだった。リツカに引かれつつも皆から引いた位置で全体を見渡すポジションは、まだマキシスに軸足があるから。

エクソシストの二人。ダンピールに生まれつきエクソシストを宿命づけられたリンドについては、リツカの守護者として重苦しい役回りだった。リツカの思いはレムに向けられたものの、今度は人間として一緒に暮らせるようになったラストで報われたと思いたい。アズナについては第十一幕の回想があったからこそ、リツカの恋心を際立たせる役目が果たせなかったことが残念だった。

リツカとレムの関係性について。二人とも感情表現が豊かなほうではないので、それぞれへの気持ちが伝わりにくかったきらいはある。リツカとレムが禁断のグリモワールを通じてひかれ合っていたことは、第八幕のダンスパーティーにおける会話からミュージカルパート、あるいは第十幕のミュージカルパートででウリエ、メィジ、シキに詰め寄られたくだりで分かるのだが。さらには、第二幕でレムがすすめた食事を口にしたリツカが、第五幕ではメィジがすすめた料理に手をつけなかった描写からもうかがえる。

シアトリカルなな世界観とシンプルな物語にキャッチーなキャラクターが映えており、周囲からの守護を受けつつも自らの運命を克服して新たな道を選び取るまでの主人公が実にきれいだった。

シリーズ中盤以降の追い込みがすばらしかった。次なる展開を拝めることを祈りつつ……。

★★★★

2015-12-28

[]K RETURN OF KINGS #13「Kings」(終)

脚本:あざの耕平 絵コンテ鈴木信吾、金澤洪充 演出:横峯克昌 作画監督:吉田誠、岡田直樹、立花昌之、植木理奈

【概要】

クロが御芍神を足止めしている間に、ついに比水とダモクレス石盤のもとにたどり着いたクロとネコ。王の力をもってしても石盤の破壊はかなわぬと言い放つ比水に対して、吠舞羅が開いた道にシロの秘策中の秘策が炸裂する。

【感想】

かつて迦具都玄示が引き起こしたダモクレスダウンの生き残りである比水とネコ。死からよみがえった前者に生きのびた後者。それがjungleと白米党ほかを分かつ分水嶺だったのかもしれない。自身がいったん死んだからこそ比水は人間の無力さに絶望し、異能力が至上の世界を作ろうとしたのだと。同じように無力さをかみ締めた磐舟が比水のバックアップに徹したこともうなずける。比水が目指した世界が必ずしも間違っているとは言い切れないからこそ、石盤とともに過去の遺物として崩壊した顛末が悲しい。

これまで良くも悪くもドレスデン石盤に左右されてきた世界ゆえに、そのしがらみから解放されることで人々は新たな可能性をつかんだとも解釈できそう。奇しくも比水の大願が形を変えて成就したとも言えるのではないか。そこから磐舟の最期の言葉を妄想してみたい。迦具都事件以降に比水の思想に共鳴した御芍神と五條が生き残り、新たな可能性を求めて旅立つ姿が良かった。

★★★☆

[]K RETURN OF KINGS 総感

【総感】

第1期シリーズではシロのキャラクターもあって煮え切らない印象に終始し、かえってスタイリッシュなキャラクター描写が鼻につくほどだったが、劇場版の吹っ切れたかのようにシンプルなストーリーに触れて、この第2期シリーズへの視聴意欲が上向きになった次第。結論から言うと、期待どおりストレートな物語にキャラクターが乗っかって、持ち前の様式美に作画クオリティがあいまって大いに楽しめた。

第1話のアバンで今は亡き周防のカリスマを提示して、異なる立場で彼の影響下にあるアンナ(吠舞羅)と宗像(セプター4)を比水(jungle)の陰謀阻止のためにシンクロさせる大筋にブレがなかった。単独ではマンパワーを欠くシロ(白米党)を参謀役にする配置も、研究者であるシロの出自も含めてクライマックスで生きた。周防の悲劇を繰り返すまいと異なる立場からアプローチしたアンナと宗像の思いの強さに、石盤でもって国を支えてきた「中尉」こと國常路大覚への敬意ゆえのシロの葬送が重ねて、比水の野望を阻止したクライマックスがおみごと。

これまでもあちこちで言及したけれど、緑のクランことjungleのコンセプトが秀逸だった。地下にを張り巡らせゆっくりと巨大化し、現れた地上部から一気に攻勢をかける周到さはまさに御芍神が自称する花のよう。しかし、その形容は首魁である比水のほうにこそふさわしい。植物の根としての緑のちゃぶ台と根なしで宙に浮く白銀のちゃぶ台、それぞれのパーソナルスペースを起点とした価値観の対置、これまた明快。

ダモクレスダウンによるドレスデン石盤の破壊で作品世界をリフレッシュする未練を残さない幕引きで、オリジナルアニメらしい気持のよい視聴後感を得られた。

★★★☆

[]蒼穹のファフナー EXODUS 第26話「竜宮島」(終)

脚本:冲方丁 絵コンテ:矢薙じょう、鷲尾直広、山岡信一羽原信義 演出:能戸隆、羽原信義 キャラクター作画監督:白井瑶子、平井久司、長屋侑利子、実原登 メカニック作画監督:大浪太

【概要】

グレゴリ型にそそのかされたミツヒロは潜在的な憎しみを暴走させる。一方で、同じように操られた人類軍の大多数は史彦からの働きかけで本来の使命を思い出し、アルヴィスの支援に回る。ベイグラントを叩くためにミツヒロのマークレゾンに立ち向かう一騎のザインと総士のニヒト。第三アルヴィスでは弱体化したアショーカを再生させるため、エメリーたちエスペラントがその身を捧げる。

【感想】

織姫のセリフどおり「存在」でも「無」でもない「絶望」がミツヒロすなわちグレゴリ型の憎悪の根源であるならば、消滅からの再生は悲劇ではないということ。フェストゥムとの共存を模索するアルヴィスならではの「希望」と言えそう。兄を殺された憎悪にとらわれて人間のまま死んだビリーとアルヴィスの理想のために人を殺めてきた真矢に美羽が感謝を述べたくだりが象徴的だった。ファフナー世界における人の尊厳とは何なのかを改めて考えさせられる。流浪の民のごとく存在と無を循環しながら終の場所を探し続ける、爽快感とは程遠いものの、本シリーズらしいクロージングだったと思う。

別れのシーンが多かったけど、ことさらに心に残ったのは芹と織姫のやりとり。芹を世話役に指名した織姫がいつしか食事の介助をするようになったように、絶望的な状況にあっての二人三脚がとても美しかった。弱さを見せることすら許されなかった織姫が、いつもの命令口調ではなく芹に甘えてみせる姿に泣けてしまって。

★★★☆

[]蒼穹のファフナー EXODUS 総感

【総感】

第1期シリーズ(無印)の記憶がかなり薄くなった状態での視聴だったが、総士のポエムなど悲劇性のおぜん立てには事欠かなかったので、シリーズを通じて視聴テンションが落ちることはなかった。

2クール目、派遣部隊とアルヴィスの合流前後からダイジェスト感が強くなって、情報密度に反して間延びしてしまった感はあるが、最終話でしっかりまとめてくれた。ヘスター・ギャロップが率いる新国連との因縁が残ったものの、そこは第三アルヴィスに移住した一騎たちのその後として描かれるかもしれない。

フェストゥムと「対話」をしながら先の見えない落としどころを探していく旅がシリーズの根幹なので、すっきりと爽快な視聴後感にならないことは承知しているつもり。最終話の感想でも触れたとおり「存在」と「無」の繰り返しが「希望」だろうから。たとえ肉体が消滅しても生きていた証は残る、人間として避けられない苦しみや醜さといかに向き合い超えていくかがテーマだったと解釈。

劇場版もかくやというクオリティを連発するバトルシークエンスは見ごたえがあったけど、同時に出口なしの息苦しさをも助長しているようで、面白かったとは単純に表現できない濃密な時間を体験させてくれた。

特筆しておきたいのは、キャストのボイスも含めた真矢のなまめかしい存在感。人間たちのひずみを一手に引き受けて苦悩する表情の数々は、フェストゥムに近しい超越者として描かれる一騎や総士のビジョンとしてはもちろんのこと、抗い続ける人々の生命力そのものに感じられる。

★★★★

2015-12-27

[]ノラガミ ARAGOTO 第12話「君の呼ぶ声」

脚本:赤尾でこ 絵コンテ迫井政行 演出:阿部雅司 作画監督:水畑健二、山崎秀樹、秋山英一、門智昭、丹澤学、福永智子、阪本望実、関口亮輔

【概要】

黄泉の入り口に戻された恵比寿は、夜トたちを救い出せる可能性を口にする。それは此岸の者による「魂呼び」だった。風穴の閉鎖が速くなっていくなか、ひよりは夜トたちの名前を呼ぶが、戻ってきたのは毘沙門だけだった。野良によると、夜トは本当の名前をひよりや雪音たちに教えていないという。追い打ちをかけるように、恵比寿を追って天の討伐隊が現れる。

【感想】

前回ラストではひよりがいけにえになるのかと思い込んでしまったが、どうやら勘違いだったようで。でも、ひよりが夜トの本当の名を直感したきっかけがあのミニ社だったくだりにはジーンときた。自身で名前を手書きした手づくりだったからこそ、別の読み方が頭に浮かぶという、一刻を争う状況で納得の流れだった。

毘沙門すらも圧倒するイザナミによるしつこい攻めはスリルを増していたし、天の討伐隊と恵比寿そして夜トによる二転三転する攻防も見ごたえがあった。帰還した夜トを責めるわけでもなく頭を抱きしめたひよりに頼ってくれと信頼を口にした雪音も良かった。それゆえに、ロングショットを中心に人物作画が崩れ気味だったのは惜しい。

★★★

[]機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ #13「葬送」

脚本:岡田麿里 絵コンテ:芦野芳晴 演出:ヤマトナオミチ キャラクター作画監督:戸井田珠里、中島渚 メカニック作画監督大張正己

【概要】

モビルスーツ戦と艦内白兵戦の両面からブルワーズを制圧した鉄華団。オルガは生き残ったブルワーズのヒューマン・デブリたちを引き取ることに。そして、鉄華団はメリビットの提案を受けて、戦死した昭弘の弟、昌弘の葬式をとり行うことになった。

【感想】

死んでいいヤツだからとクダル・ガデルを一刀両断した迷いのなさ、ブルワーズの子供たちを殺してしまったと自責するシノをたしなめる冷静さ、機械的なのか人間らしいのか読みにくい三日月のキャラクター造形が、最後のクーデリアとのやりとりで生きた。フミタンをマネして子供扱いしてしまった三日月が名瀬をマネした大人扱いで返してくる。その感情を交えた脊髄反射にうろたえるクーデリアが、まるで鉄華団の輝きと危うさを表現しているようだった。クーデリアが見い出した三日月の震えが刺さってくる。

名瀬いわく死が隣り合わせだからこそ燃え上がる感情がある。本シリーズにあってそれは子供も大人も関係ない。名瀬とアミダのキスよりも三日月からクーデリアへのキスに妙ななまめかしさがあったのは、つまるところそういうことなのだろうと。昌弘の葬送を背景にした生命力にむせかえりそうになる。

そして、パーティー会場におけるアルミリアとマクギリスの近いようで遠すぎる距離感との対照が際立つ。子供であることにじくじたる思いを抱くアルミリアと、子供であることを言い訳にできない鉄華団の面々とのギャップ。さらには、アルミリアを持ち上げつつ不敵な表情を浮かべるマクギリスの大人としての食えなさ。ゆえに、オルガをガキ扱いしたメリビットのしっぺ返しがことさらにきつい。

★★★☆

2015-12-26

[]うたわれるもの 偽りの仮面 第十二話「鎖の巫」

脚本:中村浩二郎 絵コンテ:島津裕行 演出:松村樹里亜 作画監督:中村和久

【概要】

皇女救出の功を認められ宮廷にてミカドに謁見することになったハク。褒美として賜ったのは鎖の巫と呼ばれる双子の少女たち、ウルゥルとサラァナだった。鎖の巫を白楼閣に連れ帰ったハクだったが、至れり尽くせりの忠誠を尽くす鎖の巫たちにタジタジの彼に、クオンたち女性陣の白い目が……。ハクがギブアップしたところで飴屋のおじいさんがやってくる。

【感想】

鎖の巫の過剰なサービス(?)に理不尽に怒るわけではなく白い目から知らんぷりを決め込むクオンたち女性陣のリアクションが自分好みで安心した。衣服を奪われて意気消沈したハクと入れ替わるように鎖の巫たちと打ち解けた女性陣の流れが、ラストのウコンとミカヅチの言葉につながる流れが自然。ハクのハーレムもとい仲間たちが勢ぞろいといったところ。

Cパート、それまでの和やかな雰囲気とは打って変わり、ヤマトに攻めてきたウズールッシャを「蛮族」と切り捨てるミカドと八柱将の苛烈さに凸凹ながら個性的なハクたちが重なって、さあこれからが楽しみ。

★★★

[]対魔導学園35試験小隊 第12話「限りなき願い」(終)

脚本:下山健人 絵コンテ:河村智之 演出:河村智之、日下直義 作画監督:山吉一幸澤入祐樹、井嶋けい子、本田創一、氏家嘉宏、神谷智大、野本正幸、原友樹

【概要】

ホーンテッドの奇襲によって串刺しにされたタケルにショックを受けたキセキが暴走を始める。ホーンテッドに苦戦する桜花はついにヴラドとの契約を決心した。いつ止まるとも分からない増殖を続けるキセキの身体だけを削いでいく桜花、うさぎ、マリ、斑鳩だったが、その前にラピスからすべての力をもらったタケルが戻ってくる。ひとりで決着をつけるとキセキのもとに向かったタケルだったが……。

【感想】

その異形とは裏腹にキセキの増殖はCG作画のチープさもあってまがまがしさを欠き、ゆえにバトルのスリルが伝わってこない。ホーンテッドの乱入で引き締まる流れはどこか違うのではないかと感じてしまう。ただ、第2話を受けての桜花の契約がシリーズ中に拝めたのは良かったし、最後に出てきたタケルが仲間たちもキセキも自分も助けようとする前向きさを見せたところも良かった。しかしながら、いずれの描写も迫力不足で印象に残らない仕上がり。

★★☆

[]対魔導学園35試験小隊 総感

【総感】

キャスト込みでキャラクターそのものには見どころがあったので、ヒロインズ各員の苦しみをタケルが半分背負ってやることで、クライマックスのキセキ編でタケルの苦しみをヒロインズ全員で背負い返すコール・アンド・レスポンスの熱量不足を招いたドラマの浅さが惜しい。人造人間としての好奇心ゆえに性的にオープンだった杉波斑鳩のキャラ造形など可能性は感じただけに。快楽殺人者的なホーンテッドなど敵側のキャラクターは類型的でいまひとつ。

第2話「英雄召喚」の桜花そしてタケルによるシャーブなバトルアクションに大いに期待したのだけど、その後は最終話まで尻すぼみだった。ベストエピソードが第9話のインターミッション的なコメディ2本立てだったことが象徴的。

★★

2015-12-25

[]おそ松さん 第12話「年末スペシャルさん」

【概要】

「ダメ松さん(仮)」と題したおそ松とトト子のナビゲートによる総集編。

【感想】

おそ松の「僕たちのひどいシーンばかり集めた」というセリフどおり、ハートウォーミングあるいはセンチメンタルなシーンをカットしたパッチワークがテンポ良かった。

(総集編のため評点なし)

[]牙狼〈GARO〉-紅蓮ノ月- 第十一話「斬牙」

脚本:和智正喜 絵コンテ:林明偉 演出:伴保典、板井寛樹 作画監督:日向正樹、高乗陽子、桑原剛、外山陽介 サブキャラクターデザイン大津直、楠本祐子 ホラーアニメーションデザイン:山下香織

【概要】

義賊として京で暗躍する袴垂の手下たちが蹴鞠を操る何者かに殺される。犯人は袴垂のかつての貴族仲間である藤原成通だった。袴垂は火羅化した成通に襲われるが、駆けつけた雷吼たちに火羅は逃走する。人間には火羅は倒せないと忠告を受けた袴垂はとりあえずその場を去る。袴垂は盗賊の大頭目、天戒丸から白銀の鎧を託されていた。

【感想】

黄金騎士の対となる白銀騎士がついに登場。それが頼信になるか袴垂になるか注目していた。貴族をやめた雷吼と貴族として残った頼信のほうがふさわしいと思えたが、予想に反して同じように貴族を捨てた袴垂が白銀騎士に。道長と対立して京から去った天戒丸の経緯からしても、権力の座にある者は魔戒騎士にふさわしくないのか、あるいは鎧を我が物にしようとする道長へのカウンターのいずれかだろう。

『-炎の刻印-』におけるアルフォンソとは違って、天戒丸が託したゴルバによる袴垂の修業描写は省略。ここら辺のあっさり加減は新シリーズのテイストに合っている。義賊をモットーとする袴垂に手下たちが異議を唱えていたくだりが気になるが、とりあえずは雷吼とのライバル関係の行方を楽しみにしたい。

★★★

[]コメット・ルシファー #12「星と少年」(終)

脚本:野村祐一 絵コンテ:菊地康仁 演出:鈴木孝聡 作画監督高橋裕一桂憲一郎、入江篤、酒井秀基

【概要】

黒いガーディアンに変身したアナトリア。ソウゴに擬態した黒いガーディアンはフェリアから「鍵」を取り出そうと誘惑する。そのたくらみを看破したフェリアに対して、黒いガーディアンはソウゴを取り込んでしまう。ソウゴを助けるためフェリアはモウラとともに黒いガーディアンを追って宇宙に飛び出す。

【感想】

これまでソウゴとモウラに助けられてきたフェリアが、今度はモウラとともにソウゴを助けに行く。ソウゴの手の甲に移ったものがフェリアの「鍵」だとすれば、モウラは天使(フェリア)と生命(ソウゴ)をつなぐブリッジのようなものか。惑星に生命をもたらす天使と惑星に破滅をもたらす文明というスケールの大きい背景が語られたものの、小ぢんまりとしたこれまでのドラマとのチグハグさばかりが目立った。

★★

[]コメット・ルシファー 総感

【総感】

鉱石好きの少年が鉱石の化身である少女と出会うことで母親が愛した鉱石の惑星を救ってその遺志を受け継ぐ。枠組みそのものはロマンにあふれていても、そこに命を吹き込むキャラクターやドラマがことごとく大味すぎて魅力を感じることができないまま。ビビッドに動くキャラクターやロボットのアクションにカタルシスを覚えることがなかったのは、クオリティ以前の物語によるところが大きい。

冒険にロボットに軍隊に恋愛とキャッチーな要素を山盛りにしたところで、ソウゴたち少年少女にそれらに伍するパワーを感じられなければ、作品世界が膨らんでいくはずもなく。ささやかなボーイ・ミーツ・ガールが鉱石を触媒にして惑星ギフトを救うまでのスケールアップを視聴者に体感させるには、決定的に欠けているものがあったとしか。ライバルのガスたちも類型の域を出ず魅力を欠いた。

オリジナル作品だったこともあり、少しでも美点を見い出すつもりで視聴完走したが、初回で感じた過去作品の焼き直しの寄せ集めというネガティブな印象からついぞ弾けることはなかった。惜しかったという言葉すら出てこないのは、作画スタッフやキャスト陣の健闘を思い起こすと、何とも心苦しくはあるが……。

2015-12-24

[]スタミュ 第12幕(終)

脚本:渡邊大輔 絵コンテ・演出:多田俊介 演出補:森山悠二郎 作画監督:山下喜光、佐々木睦美、堤谷典子、相澤伽月、遠藤大輔、渡邉亜彩美

【概要】

ついにやってきた綾薙祭当日。しかし、接近した台風によって屋外ステージが倒壊、team鳳の公演も含めて屋外ステージ開催分は中止、後日に教員と華桜会メンバーの前で改めて審査を行うとの決定が下る。何としても観客に自分たちのパフォーマンスを見てもらいたいと考えた星谷たちは、校舎の軒下でゲリラ公演という大胆な手段を敢行しようとするが……。

【感想】

鳳に頼らなくとも自分たちの手でハンドメイドな公演を立ち上げるteam鳳の自立ぶりは、第二幕におけるインプロ指南へのアンサーのようだった。そんな教え子たちを信じて見守る鳳を、かつて柊の方針に従った楪と漣がサポートする展開が静かに熱い。華桜会リーダーとしての責務を負う柊が自由に動けないからこその2人の役回り。実現したゲリラ公演にどこか安堵したかのような柊に、おそらくはteam鳳のパフォーマンスを認めるしかなかった暁。後者についてはいささか唐突に思えたが、これまではteam鳳の実力を直視しようとしなかったからだと脳内補完しておく。

星谷の「憧れの高校生」が鳳であったことは予想していたが、これについては総感で述べる。

★★★☆

[]スタミュ 総感

【総感】

はじめに

「ミュージカルアニメ」との触れ込みほどミュージカルパート単体での吸引力はなかったものの、ひたすら前向きな主人公、星谷悠太が綾薙学園の閉塞感に一石を投じるドラマとして実に爽やかな魅力があった。シリアスなドラマを鳳樹たち三年生が担うことによって、その下で星谷たち一年生が伸び伸び振る舞う二重構造は、まるでシリーズそのものが鳳によってプロデュースされた舞台のようでもあった。

team鳳について

星谷悠太: 「夢を諦める方法なんて、知らない」一貫したシンプルな思考は、ともすれば物語の平板さを招きかねないところだが、そこはコントラストとなる三年生のドラマがうまくバランスしてくれた。最初のオーディションで星谷の才能に光るものを、いや「憧れの高校生」だった自身のその先を星谷に見い出した鳳による、綾薙学園を変えたいというメッセージそのものがteam鳳だったろう。

那雪透: 当初から星谷の理解者だったように一貫してteam鳳を見守る役回り。彼お手製の弁当はバラバラだったメンバーを結びつけるとともに、パフォーマーの体力維持という縁の下の力持ちをも担ってくれた。ただ、双子の妹たちのリリーフはちょっと浮いていたかもしれない。

月皇海斗: 大スターである遥斗の弟というサラブレッドとは裏腹に兄へのコンプレックスをこじらせていたからこそ、遥斗が鳳に託したものを常に感じさせてくれた。鳳が評するように万能タイプゆえか存在感は控えめだったけど、team鳳の変化にシンクロしたかのような兄との雪解けが印象的。

天花寺翔: 同じサラブレッドでも月皇とは違うプライドの高さで、ゆえに反目していた星谷の目線になることでteam鳳のまとまりをもたらした。決めゼリフ「やぼすけ」に加え、照れから赤面してみせるなど、ルックスとは裏腹なツンデレ役として微笑ましかった。タヴィアンとのエピソードが象徴的。

空閑愁: インプロでの星谷への助け舟が象徴するように、偏見なく物事を見ることができるニュートラルな立ち位置。母親的な那雪の細やかさに対して父親的な大きさがあった。team鳳がまとまるにつれてボケ役を演じる変化がよかった。

桜会について

鳳樹: 第1話のミュージカルパートで、星谷たちを前にパフォーマンスを繰り広げる柊たちをよそに一人だけ室内で踊る描写のシュールさに面食らってしまったのだけど、それがそのままシリーズのシリアスな側面を示していたとは恐れ入った。天花寺の「やぼすけ」に並ぶ決めゼリフ「ボーイズ」の、場面によってニュアンスを変えながらも温かみを失わない響きが大好きで、かわいい教え子たちに対する華桜会への防波堤のようにも感じられ泣けてくる。

柊翼: 幼いころ一方的に本家の重圧を負わされた経緯は気の毒でならなかったが、それを知ってもなお鳳が離反の道を選んだのは、柊の役割を誰よりもリスペクトしていたからにほかならず。柊が華桜会そしてミュージカル学科を支えていたからこそ、鳳は遥斗からも託された変革に身を投じることができたのだ。

暁鏡司: 典型的なカウンター役ではあったけど、鳳にはできなかった柊へのサポート役としてバランスをとってくれた。最終話の感想でも触れたとおり、team鳳の実力を認めざるを得ないエピソードが少しでもあれば良かったかも。

楪=クリスチアン=リオン、漣朔也: 華桜会にあってはニュートラルな立場で、暁にそそのかされた柊に同調したり、team鳳によるゲリラ公演に助け舟を出したりと、鳳と柊それぞれを尊重できる振る舞いがさりげなく心強かった。

ライバルとなるteam柊について

重責ゆえに自由が効かない柊を代弁するかのような、辰巳琉唯から星谷へのエールが印象的だった。空閑と幼なじみである虎石和泉など過去からの因縁を要所要所で生かしつつ、学園のしがらみを超越したかのような戌峰誠士郎の規格外のコメディリリーフで和ませてくれる。思えば、合宿会における星谷と戌峰の競演は、自由な気風を綾薙学園にもたらす者同士として必然があったのだなと。

ミュージカルパートについて

動きとしては「新人お披露目公演」におけるteam柊とteam鳳の差を表現した細やかなダンス作画が白眉だったけど、前述した初回における華桜会のあいさつ代わり、合宿回におけるteam鳳の唐突な登場ぶり、「ワンワン軒」での着ぐるみパフォーマンスなど、ユーモラスな表現のほうがより楽しかった。

最後に

ある程度は予想できたことだが、星谷の「憧れの高校生」が鳳その人だったことで、シリーズにビシッと背骨が通った気がした。また、基本的に陽性の作風だからこそ雨の描写がことさら印象的に残った。スタートとなる「憧れの高校生」との出会いも雨、ラストとなる綾薙祭も雨。それらはネガな表情や態度を決して出さずひょうひょうと振る舞う鳳の涙雨のように感じられた。だからこそ、その雨を振り払うかのような「星屑」たちの輝きに元気をもらえたのだ。本当にありがとう。

★★★★

2015-12-23

[]Dance with Devils 第十一幕「漆黒と紅蓮のサンバ」

脚本:中瀬理香 絵コンテ・演出:高橋秀弥 作画監督:徳田夢之介、小宮山由美子、猿渡聖加

【概要】

ジェキに連れられヴァンパイア王、ネスタの居城にやってきたリツカ。そこでリツカはネスタからリンドの出生の秘密を知ることになる。ネスタは、禁断のグリモワールの力を得るためリツカが17歳の誕生日を迎える瞬間にその血を手に入れる必要があるという。アズナとの思い出から生きて帰ることを胸に誓ったリツカは、グリモワール取り出しの儀式に臨むが……。

【感想】

自身の真実に触れる旅の終着点ともいえる儀式を前にしてのリツカの表情がどれも美しい。ネスタに向かって怒りをあらわにする姿、ジェキの前で儀式への不安を問いただす姿、複雑な内面をみごとな人物作画で表現してみせる。そんなリツカを甘い言葉からねじ伏せにかかったジェキの極悪な妖艶さと、リツカを絶望のどん底に突き落とすネスタの凶悪な威厳も負けていない。

儀式にあたって身体を清めたリツカの死に装束ともいえるドレスの紺青も鮮烈。風呂で身体を洗ってくれた女性たちがヴァンパイアでないことに気づいたリツカが、おそらくは人間であっただろうアズナの言葉に生きる希望を見い出そうとする変化が感動的。ジェキに対して身の安全を確認したくだりも、戻れないかもしれないという不安が素直に表れていて、気丈ゆえのリツカのニュアンスを感じさせてくれた。

そして、マキシスの番犬であるローエンがリードしてのミュージカルパートはシリーズ最高の盛り上がり。ローエンのあさってへの忠誠心が結果的にレムとリンドの願いに沿っているところが妙味であり、本人が歌っていたようにあやふやなリツカへの感情をレムとリンド(とウリエとメィジとシキ)に投げているような構図が見える。アクマと違って「嘘」はつかないとうそぶきつつも、目的のためならば「嘘」を開き直るヴァンパイアどもにはこれ以上ないカウンター。

リツカのためを思って「嘘」をついてきたアズナが問い返した「嘘」の意味に、涙があふれて止まらない。

★★★★

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 第12話「八高超人墜落事件」

脚本:會川昇 絵コンテ:中村里美 演出:矢野孝典 作画監督:森島範子、村井孝司、青野厚司、ひのたかふみ メカ作画監督:長野伸明

【概要】

神化42年、輝子は学生運動が盛んになっていた府立八方高校の教師、長川神を訪ねるようになっていた。翌神化43年、札幌の病院で医師たちが惨殺される。彼らは超人の身体を使ったむごたらしい実験をしていたことから、怪剣クロードが犯人として疑われた。八方高校に墜落したソ連の超人、ガルボイ・ライカーを含めさまざまな超人にクロードの疑いがかけられる中、クロードを敵視する爾朗とクロードに肩入れする輝子の溝が深まっていく。

【感想】

孫竹の口から超人課の真の目的が語られ、秋田の正体までもがつまびらかにされ、爾朗が離反する理由が形を成していく。あとはクロードもしくは長川を介した爾朗と輝子の断絶が気になるところだが、変身した輝子はクロードを爾朗と思い込んでいるようだから一筋縄ではないかない。

また、長川のみならずクロードの仮面をかぶった里見もクロードの声を発したことから、あの仮面をかぶった者が「クロード」を演じている可能性もある。つまりは黒幕がクロードの名をかたって仕掛けをしていると。クロードの正体にさまざまな憶測がされることに納得できるし、思い人の超人に対する思い入れからクロードを爾朗に錯覚する輝子の内面も何となく伝わってくる。

あまりにも情報量が多すぎるせいかスピード感が損なわれてしまうのだけど、こちらの視聴態度が良くないのかもしれない。長川が輝子たちの世界を「あちらの方」と表現したのが気になるし、これ以上は考えるのをやめて次回を待とうと思う。もとより一つのエピソードで語れるシリーズではないのだし。

★★★

[]ワンパンマン #12「最強のヒーロー」(終)

脚本:鈴木智尋 絵コンテ・演出:夏目真悟 作画監督久保田誓 アクション作画監督:小田剛生

【概要】

苦戦を強いられたメルザルガルドの弱点を暴いたシルバーファングたちは反攻に移り、タツマキは超能力で敵宇宙船を攻撃し始める。そのころ、宇宙船内ではサイタマとボロスの戦いがヒートアップしていた。

【感想】

サイタマが月に飛ばされる直前のアクションの爆発力が圧巻。それだけでなく、月面の岩石を拾って地球に帰還するための力加減を測るサイタマの芝居が細かい。ただ、サイタマの勝利が予想できたので、目の前で繰り広げられる規格外のバトルに爽快感を得るには至らず。それでも、ワンパンで決着がつかなかった相手に何となく晴れやかなサイタマの表情は、同僚ヒーローたちを交えたこれからのドラマを夢想させてくれた。

★★★

[]ワンパンマン 総感

【総感】

ワンパンチで決着をつけてしまうサイタマを頂点に据えた作品世界、そこからいかに面白味を引き出すかを注視していたのだけど、このテレビシリーズに限っては不完全燃焼のまま終わってしまった感じ。

ある種の予定調和が前提である以上、サイタマのワンパンをいかに面白く見せるかがキモではなかったか。その意味では、モスキートよろしくモスキート娘を潰したシーンがシリーズのベストシーンだった。初回から印象づけられたグロテスクな描写とワンパンによる唐突さのマッチング、それが妙味になるかはシチュエーションによるところが大きいということ。なので、ボロスとの頂上決戦はその作画カロリーに比して冗長に感じられた。

強すぎる自身に空しさを感じてしまうサイタマの内面に一定の決着をつけてほしかったが、あいまみえる敵がまだまだ役不足なのか、あるいはサイタマの出口なしの憂いが永遠に続くのか、スッキリしない終わりになってしまった感じ。

メタルナイトやアマイマスクとの因縁を示唆されたジェノスに重心を移せば、ドラマ的にはまだまだ伸びしろがありそうな気もする。何となれば、サイタマと他のヒーローたちのパイプ役はジェノスなのだから。もっとも、これから先もサイタマが(ジェノスなど一部を除いて)人知れず強敵を葬るパターンが繰り返されれば飽きてしまいそう。最終話のボロス戦で何かを感じたであろうサイタマのその先を見てみたい。

★★★

2015-12-22

[]ノラガミ ARAGOTO 第11話「黄泉返り」

脚本:和場明子 絵コンテ平川哲生 演出:宮原秀二 作画監督:三輪和宏、藤巻裕一、小美野雅彦、秋山英一

【概要】

夜トを連れ戻すため黄泉の入口までやってきたひよりと雪音の前に陸巴が立ちはだかる。縛付をかける雪音だったが、野良としてすでに名を捨てていた陸巴には通じない。野良としての優位性でもって圧倒する陸巴にひよりと雪音は逃げるしかなく。その頃、毘沙門と兆麻たち神器も恵比寿を助けるために黄泉の入口に向かっていた。

【感想】

ここに来て陸巴の再登場は予想していなかったが、夜トと野良のコンビネーションを見る限り、雪音の引き立て役としての最後の役目と考えたほうが自然か。もっとも、陸巴が土台になったおかげで、雪音と野良という夜トにとっての新旧の神器の対決構図が映えたのも事実。

そして、二度までも救われながら感謝の言葉をかけることが出来なかった毘沙門が、言葉ではなく行動で夜トに借りを返すシーンが熱い。かつての夜トがまったく言い訳をしなかったからこそ、毘沙門による強引な助太刀に泣ける。ここでもひよりや雪音を気にかけていた兆麻がブリッジになっていて、神器ぐるみのコール・アンド・レスポンスになっていた。

記憶を取り戻し速やかに立ち直ったひよりの強さが今回も際立ったけど、その彼女がいけにえになりかねない展開になって、さあ夜トと雪音の真価が試されるクライマックスに。

★★★

[]ヤング ブラック・ジャック 第12話「狂騒の季節」(終)

脚本:森田眞由実 絵コンテ:鈴木卓夫、寺田和男 演出:前園文夫 作画監督斉藤圭太、陳占東、興村忠美、千葉茂、立石大典

【概要】

間はかつて顔面の手術をした大学生、今上エリと会う。間にとって記念すべき患者である彼女は、その後もひんぱんに間のもとを訪れていた。ある日、エリから間に別れを匂わせた葉書が届く。エリは下火になった学生運動から過激な革命活動に身を投じていたのだった。

【感想】

権力と革命のせめぎ合いで失われていく命をただただ救いたかった、若き間黒男の理想が「ブラック・ジャック」として結実する。山岳ベース事件をモデルにした本エピソードは、そんな主人公のドラマの仕上げにふさわしいと感じた。同じ人間によって傷つけられる人間を何度でも助ける、患者の命が尽きるまでは諦めない不屈の精神。

必死の思いで手術をほどこしたエリがわずかな延命で殺されてしまう結末に、ベトナム編の第6話におけるスティーブが重なる。人を殺める人間と人を助けようとする人間のいたちごっこに、保守でも革新でもない一匹狼「ブラック・ジャック」としての道を選ぶしかなかった間の重苦しさがにじむ。

★★★☆

[]ヤング ブラック・ジャック 総感

【総感】

第1話では演出過剰な手術シーンもあいまって大味な印象に終始したものの、第3話「脱走兵」から骨太さが先行して「ベトナムにて」三部作で良作と確信するに至った。学生運動が盛んだった時代背景が効いていて、権力に立ち向かう革新のはざまで帰属に関わらず傷つけられていく命を助けようとする間黒男の異端ぶりが際立つドラマになった。

第3話「脱走兵」での理想のためならば人命をも軽んじる反戦運動家たちの狂気は第12話「狂騒の季節」に引き継がれ、間の精神にほだされたかのように人間らしさを見せる青山などのもろさを晒してくれた。第4話から第6話「ベトナムにて」では戦場において容赦なく傷つけられていく人たちをひたすら救うだけの理想でキリコと共鳴、第7話から第8話「苦痛なき革命」では痛みという人間らしさの放棄がもたらす歪に戦争の後遺症を重ね、第9話から第11話「無残帳」では医師の理想を踏みにじる医学界の権威をさらけ出す。

これらすべてのエピソード群がブラック・ジャックの形成に関わっていく。金の亡者たるブラック・ジャックのありようは、保守であれ革新であれイデオロギーにじゅうりんされる人々を見てきた間なりの境地だったのかもしれない。第2話「拉致」において救ったレイモンドを除けば、間が施術した患者すべてが人間によって傷つけられた人たちだったことが象徴的。

前述したとおり序盤では微妙だった手術シーンも、中盤以降はドライブのかかったストーリーに乗っかることで見られるものになっていたし、いばらによる耽美な演出が影を潜めていったのも良かった。間に関係する岡本そして藪のつかず離れずの距離感も絶妙な案配だった。

★★★☆

2015-12-21

[]学戦都市アスタリスク #12「グラヴィシーズ」(終)

脚本:菅原雪絵(ライトワークス) 絵コンテ小野学 演出:嵯峨敏 作画監督:針場裕子、石川洋一、橋口隼人

【概要】

綾斗とユリスはイレーネとプリシラとの試合にのぞむ。グラヴィシーズの特性を知った綾斗にはある秘策があった。綾斗とユリスは連携してイレーネを揺さぶりにかかるが……。

【感想】

力技で押しまくるイレーネに対してそれぞれの特技でもって対処する綾斗とユリス。一進一退の駆け引きの妙を堪能できるシチュエーションのはずなのに、スリルを覚えるには程遠い淡白な仕上がり。それなりに背景が描写されたにしてはイレーネとプリシラの必死さが伝わりにくかったし、綾斗とユリスのコンビもどこか浮ついて見えてしまう。1クール目の締めとしては盛り上がりを欠いた。

★★

[]学戦都市アスタリスク 総感

【総感】

コンセプトもキャラクターもアクションも手堅さこそ感じるものの、全体的に突出したところがなく印象に残りにくいシリーズだった。特に、主人公の綾斗と筆頭ヒロインのユリスのキャラクターの弱さが求心力不足をもたらしていた気がする。むしろ、紗夜や綺凛がメインのエピソードやクローディアの色仕掛けのほうが目立っていたくらいで。レギュラーキャラクターにまんべんなく出番を与えるつくりで全体像がボケてしまった印象。また、イレーネとプリシラの掘り下げに劇中描写ほどの深刻さが感じられないなど、キャラクター描写に上滑り感があった。

分割2クール目は余裕があれば視聴するかもしれないが、優先順位は低くなりそう。

★★

[]K RETURN OF KINGS #12「Knuckle bump

脚本:壁井ユカコ 絵コンテ鈴木信吾、島津裕行 演出:金澤洪充 作画監督:吉田誠、岡田直樹、植木理奈、立花昌之、武本大樹

【概要】

伏見によってドレスデン石盤があるjungleの秘密基地へのゲートが開かれた。宗像は立ちふさがる磐舟と一騎打ちを繰り広げる。その間に、シロの飛行船に乗った白米党と吠舞羅のメンバーがjungleアジトの内部へと突入した。jungleを裏切った伏見は五條に襲われるが、そこに八田が駆けつける。

【感想】

旧世代の灰色の王、磐舟をセプター4の宗像が倒し、新世代のjランカー、五條を吠舞羅の八田とセプター4の伏見が倒す。磐舟にかつての自分に似ていると言わしめた宗像に、八田(と伏見)にかつての自分たちに似ていると言わせた五條。職業人としてのクランズマンは粋がっていた子供からの脱皮、しかしながら子供じみた狂気に身をやつす老成もある。地下に根を張ったしぶとさとは裏腹なjungleのもろさを感じさせるクライマックス。

八田伏見の因縁にはへきえきすることも多かったのだけど、戦いをゲームと言ってはばからない五條のカウンターとして、反発しながらも認め合う二人の熱さが伝わってきた。共通するのは主を守りたいという思いそのもの。その熱気を引き継ぐかのように、劇場版の再戦となるクロと御芍神のマッチングをもってくる構成がおみごと。シリーズの持ち味である様式美にキャラクターが上手く乗っていた。

★★★☆

[]蒼穹のファフナー EXODUS 第25話「蒼穹作戦」

脚本:冲方丁 絵コンテ山岡信一、寺岡巌 演出:矢野孝典 キャラクター作画監督山岡信一前田明寿、加藤優、岸本誠司 メカニック作画監督:西井正典、松村拓哉

【概要】

宮島に帰還した真矢を含めた残りメンバーによる第四次蒼穹作戦が始まる。フェストゥムに乗っ取られた人類軍が進行してくる中、里奈と彗が搭乗するゼロファフナーによる大気圏外のベイグラント墜落ミッションをファフナー各機でサポート。しかし、人類軍からのミツヒロが搭乗したマークレゾンが立ちはだかる。

【感想】

暉が消滅した代わりに美三香が復活(厳密には違うだろうが)するなどクライマックスに来てキャラクターの出入りが激しい。同化を引き受けてくれた暉の意思を引き継ぐように彗の同化を引き受ける里奈を見ていると、人類のドン詰まりに立ち止まることを許されない竜宮島クルーの切迫感が伝わってくる。これでもかとテンションが高いエピソードが続くので中だるみしそうなものだが、エメリーとの別れや最後の敵として立ちはだかったミツヒロと、これまでの登場人物がしっかり収束してきたので散漫さは感じない。真矢を気に掛けるヘスターのようなつながりがバックになっているのも大きい。

★★★☆

2015-12-20

[]落第騎士の英雄譚 episode 12「無冠の剣王 II」(終)

脚本:ヤスカワショウゴ 絵コンテ:澤井幸次 演出:徳本善信、大沼心 アクション作監:中西和也、高瀬健一 作画監督:よち、野田康行、中西和也、明珍宇作、北原大地、山本亮

【概要】

赤座の企みによって収監先における尋問と試合の繰り返しで消耗していく一輝。しかし、世界中に中継するという条件で、刀華との試合は学園での開催が認められる。一輝のコンディションを知る刀華から兄に棄権してもらうよう頼まれた珠雫だったが、破軍学園に来て変わった兄の意思を尊重することに。そして、刀華も正々堂々と一輝を迎え撃つことを決意する。

【感想】

珠雫そしてステラからの語りかけによって色を帯びていく一輝の描写が感動的。ステラが炎の温かさで一輝の心を溶かすことで、幼いころから見守ってきた珠雫に花を持たせたように感じられて。剣術指南を通じて学生たちの支持を集めていったこれまでのストーリーもしっかり生きていた。

刀華との試合、スタミナ不足を起死回生に変える一刀修羅の応用「一刀羅刹」が一輝らしくてカタルシス満点。クロスレンジを得意とする刀華のプライドを引き出したという意味でも、尺こそ短かったものの珠雫戦とそん色ない名勝負だった。OP映像そのままにシャーブな映像演出の切れ味もすばらしい。

これまで一輝に降りかかる理不尽に怒りを見せるもののその都度制止されてきたステラが、馬脚を現した赤座をぶっ飛ばすシーンも痛快だった。耐えて耐えて栄冠を勝ち取った一輝にこれくらいのリリーフがあったってバチは当たるまい。

★★★☆

[]落第騎士の英雄譚 総感

【総感】

作品タイトルが物語るように、主人公の黒鉄一輝に注力した作劇の潔さが魅力だった。筆頭ヒロインであるステラの試合すらアバンで簡単に済ませてしまう徹底ぶり。孤独だった一輝の内面を周辺のキャラクターたちが溶かしていくドラマの純度の高さ。学園外でのトラブルをはさみつつ一輝の試合だけに割り切ることで七星剣武祭代表決定までスムーズに運んだシリーズ構成の上手さにもうなる。

ブレイザーとして規格外だったからこそ疎んじられきた一輝が、肉を切らせて骨を断つ薄氷を踏むような戦いぶりで勝ち進む姿は痛々しかったが、大人たちの企みに己の技術一本で立ち向かってみせるストイシズムから目が離せなかった。

ありがちなハーレム展開にせずステラとの相思相愛を早々に確立してしまったのも、重すぎる一輝とのバランスを考えれば良かったと思う。幼少時から黒鉄家で不遇だった一輝を知る珠雫をステラにとっての小姑的ポジションに据えたのも、父親を介して剣術指南をした絢瀬については彼を慕う生徒たちの代表に位置づけたのも、一輝を際立たせるに適切な案配だった。一輝が出場する試合以外では唯一尺をとって描かれた珠雫と刀華の試合も、ラストバトルにおける一輝を引き立てるものになっている。

個人的にインパクトがあったのは中性的な有栖院凪の万能ぶり。彼(彼女?)が一輝と珠雫あるいは一輝とステラのブリッジを柔軟にこなすことで、ストレスフルな展開にしなやかさをもたらしていたことは特筆しておきたい。いわゆるおネエキャラの超越感は本シリーズに限ったことではないが、凪については悩める各キャラクターに寄り添う誠実さが感じられた。

テレビアニメOP10選 2015に入れさせていただいたOP映像にも前述したシリーズのエッセンスが詰まっていて、改めて照準が定まった企画だったと思う。ストレートなドラマをケレン味たっぷりに見せる演出方向も黒鉄一輝のキャラクターそのままだった。

★★★☆

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 第23話「傲慢なアイ」

脚本:瀬古浩司 コンテ:金森陽子、肥塚正史 演出:金森陽子、河井ゆう美、肥塚正史作画監督:富田恵美、山本祐子、大杉尚広、門脇聡

【概要】

命令に従って空港にやってきた深夜たち月鬼ノ組。しかし、帝鬼軍のヘリが待っているはずの空港には何もなかった。仲間を失った怒りをシノアに向ける鳴海隊の井上。残されていた指令書が暮人からのものであることを知った鳴海は、深夜に逆らってグレンのもとに戻ろうとするが……。

【感想】

吸血鬼と人間の裏取り引きをあざ笑うかのような暮人の非道な野望がすべてを覆い尽くすほど。こうなると、フェリドどころか柊真昼と関係があったらしいクルルまでを含めた吸血鬼との対立軸があいまいになってくるのも必然か。シノアと暮人、三葉と葵に見られる血縁の断絶といったドラマや、せっかくミカエラを仲間に迎え入れた優一郎の加勢がカタルシスを欠くなど、壮絶なシチュエーションの割には淡々と流れていく描写が物足りない。

★★

[]機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ #12「暗礁」

脚本:根元俊三 絵コンテ:西澤晋 演出:うえだしげる キャラクター作画監督:小谷杏子 メカニック作画監督:阿部宗孝

【概要】

テイワズが開拓したデブリ帯の航路でブルワーズが待ち構えると予測したイサリビとハンマーヘッド。足の速い三日月のバルバトスとラフタの百里を先行させてブルワーズの敵艦に奇襲をかけることに。弟である昌弘を助けるため、遅れて昭弘もグレイズ改で出撃するが……。

【感想】

遅かれ早かれやってきたであろう子供たちの戦い、そのあまりのむごたらしさに凹む。CGSを乗っ取りタービンズと兄弟になったことで心身の安定を得つつある昭弘サイドに対して、依然として大人たちに搾取されるままの昌弘サイドの落差。それをアトラお手製のサンドイッチと支給された携帯食、あるいは勉強に目覚めた三日月と死後の世界に思いをはせるブルワーズの子供たちで表現してみせる容赦なさ。

家族は肉親しかいないとの昌弘の弁が引っかかるが、ブルワーズの同僚たちの間にはそれなりの絆があったはずで、昭弘をかばったくだりには自身の居場所を改めて宣言したようにも見えた。消極的な選択だったかもしれないけど、オルガのようなリーダーも不在で出口なしのヒューマン・デブリを受け入れるしかなかった昌弘の内面を考えると、単純な家族愛では処理できぬ重苦しさばかりが残る。

オルガの名瀬に対する「兄貴」と昌弘の昭弘に対する「兄貴」、同じ言葉に血縁が意味をなさない世界の理不尽さがにじむ。肉親との断絶に悩むクーデリアへの無言のメッセージにも感じられる。

★★★☆

2015-12-19

[]ノラガミ ARAGOTO 第10話「斯(か)く在りし望み」

脚本:赤尾でこ 絵コンテ迫井政行 演出:筑紫大介 作画監督:堀川耕一、阪本望実、秋山英一

【概要】

カピパーランドでの一件にふさぎ込んでいたひよりだったが、街中で再会した雪音の香りに忘れていた記憶を取り戻す。雪音によると夜トは依然として姿を消したままだという。そのころ、高天原では恵比寿に干渉しようとする上層部に毘沙門たち七福神が反旗をひるがえす。夜トが高天原にいるとの情報を得たひよりは雪音とともに現地に向かうことに。

【感想】

ひよりが神々を感知するセンサーの使いどころにうなる。記憶を失って別件でショックを受けたどん底からの立ち直りの早さは、さすが前向きなひよりらしくて好感。いなくなった夜トへの怒りが収まらない雪音への、そして禍津神としての宿命から抜けようと必死な夜トへのエールになっている。そして、夜トが人々のためでありたいと願う恵比寿を助ける理由がひよりの笑顔であるところに熱くなった。前回では迫力不足だったイザナミのしつこさも期待どおり。こうなると、野良の扱いすなわち「親父」との関係がどうなるか、そこがクライマックスの焦点になりそう。

★★★☆

[]牙狼〈GARO〉-紅蓮ノ月- 第十話「一寸」

脚本:猪爪慎一 絵コンテ:川尻善昭 演出:山口美浩 作画監督:小畑賢、服部憲知、永吉隆志 サブキャラクターデザイン:大津直、楠本祐子 ホラーアニメーションデザイン:山下香織

【概要】

下級陰陽師の住居にいたすべての陰陽師が一晩にして姿を消した。火羅の仕業を予想した雷吼と金時は、陰陽師がらみの案件でやる気のない星明を尻目に、火羅を討とうと動き出す。しかし、遭遇した火羅の小槌の一撃によって雷吼の身体に異変が。金時は雷吼を助けたいがために星明に頭を下げるが、続いて番犬所からも火羅対策を指示され不承不承引き受けることに。

【感想】

母方の祖父である賀茂保憲の登場で、いよいよ陰陽師を毛嫌いして魔戒法師になった星明のポジションが際立つ。人を食ったようにやる気のない態度はいつものことだが、両親にまつわる悲しみを乗り越えたことが分かるので、火羅にされた慈法和尚の討伐にちゅうちょする頼信に代わっての決断が静かに熱く伝わる。わだかまりを残しつつも信頼し合えるようになった雷吼と頼信が、番犬所と陰陽師の写し絵になっている構図も分かりやすい。

鬼の小槌によって小さくなるという『一寸法師』を脚色したエピソードが面白かった。スッポンの背中に乗った雷吼は『浦島太郎』のようであったし、平安モチーフの異世界ファンタジーらしい自由度が頼もしい。

★★★☆

[]対魔導学園35試験小隊 第11話「草薙タケル」

脚本:下山健人 絵コンテ:湊未來 演出:立仙裕俊 作画監督:原友樹、丹羽信礼、井嶋けい子、本田創一、山伏守

【概要】

桜花たちの計らいでキセキと二人きりの一日を過ごすことになったタケル。しかし、キセキは自身を殺してほしいとタケルに懇願してくる。タケルはお前を殺すときは俺も死ぬ時だとキセキを説得して守り抜くことを約束する。そんな二人の前に、タケルに強い憎しみを抱く京夜とホーンテッドに殺されたはずの吉水そっくりなレリックイーター、ネロが現れる。

【感想】

これまで部下たちの苦しみを半分ずつ背負ってきたタケルの、あまりにも重すぎる宿命を部下たちが分担して半分背負い返すクライマックスが熱い。ヒロインズそれぞれの当番回が下敷きになっていて、駆け足でニュアンス不足ではあったものの、無駄のないシリーズ構成であったことが分かる。

家のしきたりにしたがってキセキを殺すしかなかった草薙父に対して死ぬことができなかったキセキに、かなわぬ生への渇望が見て取れる。兄とは知らず唯一心を交わしたタケルがただ一人信頼できる人物であったとはふびんでならないが、そこに桜花たち35小隊がタケルを中心に束になることで、破滅に向かうキセキの半分を背負ってやることができるか。

京夜のレリックイーターとして復活したネロについては、キセキがそうであるように、対魔導学園とヴァルハラを跨いでのおぞましい背景を想像せざるを得ない。いみじくもそんな矛盾を腐した京夜がタケルを目の敵にしているのが示唆的。最終話で少しでも切り込んでもらいたいところ。

★★★

2015-12-18

[]コメット・ルシファー #11「堕ちた天使」

脚本:野村祐一 絵コンテ山本裕介、古川知宏、長井春樹 演出:森義博 作画監督:関口雅浩、鎌田均、糸島雅彦、小林利充

【概要】

行政府の研究施設「フォンゲルフ」に捕われてしまったフェリアを救い出すため、ソウゴとガーディアンはエリアシールドを破って侵入する。その一方で、カオンたちはシールドの発生装置を叩くことに。フォンゲルフの最上階ではゾーンボイルがフェリアを本来の姿に戻すための儀式を行おうとしていた。

【感想】

ソウゴとモウラ、カオンとロマンとオットといったレギュラー陣の行動は、相変わらず段取りをこなしているようにしか見えない。罪滅ぼしに加勢したヴィーの大立ち回りにも動かされるものは希薄。第9話の感想で指摘したとおりライバルとしての魅力が乏しいガスの助太刀についても然り。「石」についた汚れというフェリアの悲劇性や、モウラの対である黒いガーディアンだったアナトリアとの対決など、目につく要素はあったものの、クライマックスに来てもインパクトを欠く。

★☆

2015-12-17

[]おそ松さん 第11話「クリスマスおそ松さん

脚本:松原秀 絵コンテ:神谷純、関谷真実子、藤田陽一 演出:井之川慎太郎 作画監督:鈴木恵、神戸環、窪敏、HAN SEUNGAH、福世真奈美、山本航

【概要】

「松野家のクリスマス」「ブラックサンタ」「逆ナン」「The Perfect Christmas」「プレゼント交換マッチ売りのイヤミ」「愛」「十四松とサンタ」「クリスマス飲み」「土下座」「ダヨーン相談室」のショートコント10本立て。

【感想】

第3話「こぼれ話集」以来となるショートコントのパッチワーク。毎回のようにこれをやられると飽きてしまいそうだが、やはりキャラクターの持ち味がいちばん生きるパターンに感じた。「The Perfect Christmas」では、いわくつきとなった第1話のイケメン形態が復活、ルックスが写実的になることでキャラクターの個性がデフォルメされるのは、6つ子のハンコ状態の裏返しとして興味深かった。トト子の暴走ぶりも見どころで、良い意味での玉石混淆な柔軟性が楽しい。

★★★☆

[]うたわれるもの 偽りの仮面 第十一話「皇女の火遊び」

脚本:福嶋幸典 絵コンテ:川村賢一 演出:土屋浩幸 作画監督:池田有、木宮亮介、中村和久、池上太郎、相澤秀亮、井元一彰

【概要】

愛しいオシュトルの気を引くためノスリ一党の協力を得て一芝居うったアンジュ。そのアイデアを口にしたハクも巻き込まれてしまう。ネコネからの進言では動かず、オウギによる矢のような催促に、ようやく重い腰を上げたオシュトル。アンジュが皇女であることを知ったノスリとオウギは右近衛大将の救援を前に逃亡を図るが、必死の懇願にほだされてしまい……。

【感想】

アンジュの火遊びたる三文芝居を委細承知のうえ堂々たる芝居で返したオシュトルの心意気がみごと。ハクが示唆した皇女としての影響力をハクとの本気の剣戟で表現し、自害を願い出るかたちでアンジュにきゅうを据える二段構え。ハクに対しては誘拐の発案者としての制裁とともに信頼する同志としてその実力を見極めるこれまた二重の意図を見い出すことができる。オシュトルがウコンとしてノスリとオウギを知っていた背景も効いていた。

また、熱く義理堅いがヘタレなところもあるノスリと有能ながら泰然自若としたオウギの凸凹姉弟も過去エピソード以上に立っていた。そして何といっても、物事のありのままを見抜くハクのまなざしが縦軸になっているところはこれまでと同じく。

★★★☆

2015-12-16

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 第11話「正義/自由/平和」

脚本:會川昇 絵コンテ:黒川智之、水島精二、三條なみみ 演出:大町生 作画監督:長谷部敦志、出雲誉明、中野彰子 メカ作画監督:長野伸明

【概要】

小笠原諸島の返還にともない、アメリカの潜水艦アンタレス号が横須賀にやってくる。港にはエンジェルスターズのライブ目当てに多くの人々が集まり、輝子たちも任務で潜入していた。そんなとき、群衆に潜んでいた超人たちの抗議行動に呼応したかのように、怪剣クロードなる超人が現れてアンタレス号を一刀両断した。アンタレス号は世界初の「超人型潜水艦」だったのだ。超人への解釈で爾朗と意見が割れた輝子はひとり北海道のクロードのもとを訪れる。

【感想】

悪を倒すために行動するクロードを媒介に超人をめぐるそれぞれの解釈にフォーカス。超人は人間に限るべきという帝都広告社の考えに反発しつつもクロードを超人と認めようとしない爾朗の矛盾。異世界の魔女である輝子のいら立ちはもっともであり、だからこそクロードへの接近にもうなずける。クロードが輝子を特別視するのも、既存の超人から外れた何かを感じとったからなのかも。

いずれにせよ、超人を兵隊として利用しようとする日本政府といい、超人なるカテゴリーは彼らに何を見い出すかという権力や大衆の身勝手によって左右されるのでは。「日本『怪獣』史」篇で宇宙怪獣を兵器として使うアメリカが描写されただけに、人間にもてあそばれるという意味では超人も怪獣もなんら変わりないと思えてくる。刑事としての使命感から超人を否定する柴が人間によって作られたサイボーグであることが示唆的。

★★★☆

[]ワンパンマン #11「全宇宙の覇者」

脚本:鈴木智尋 絵コンテ川尻善昭 演出:八田洋介 作画監督:金世俊、石橋翔祐

【概要】

A市を壊滅させた巨大宇宙船から現れた最上位戦闘員の一体であるメルザルガルドはA級ヒーローのイアイアンを圧倒する。そこに駆けつけたアトミック侍、金属バット、シルバーファング、ぷりぷりプリズナーたちS級ヒーローが立ち向かうが、強力な再生能力をもつメルザルガルドに決定的なダメージを与えられない。そのころ宇宙船の内部に単身乗り込んだサイタマは、最上位戦闘員の一体であるゲリュガンシュプを一蹴し、ダークマターの頭目であるボロスのもとにたどり着く。

【感想】

損傷したそばから再生していくメルザルガルドに打撃専門のヒーローばかり当てたせいで、サイタマが相対したらどんな結果になっただろうとそればかり考えてしまった。残る興味は宇宙船からの砲撃を防いでくれたタツマキがメルザルガルド戦に加勢してくれるか。もっとも、イアイアンが言うとおり強力な火炎を操るジェノスを投入すれば勝負がつきそうな気もする。

ボロスはサイタマの実力を察知したらしい。しかしながら、宇宙船の中で市民や他のヒーローたちに知られることなくボロスを倒してしまえば、サイタマへのこれまでどおりのインチキ呼ばわりは変わりそうにない。サイタマがひょうひょうと振る舞っているのでストレスはさほどでもないが、最終話で新たなフェーズを拝みたいところ。初回で印象づけられたサイタマの孤独感が宙ぶらりんのままではよろしくない。

★★★

2015-12-15

[]Dance with Devils 第十幕「欲望と偽りのタランテラ」

脚本:横手美智子 絵コンテ:藤森カズマ 演出:福本潔 作画監督:山村俊了、橋本真希、黒岩園加、安田祥子、清水勝祐、白川茉莉、櫻井拓郎

【概要】

レムとの戦いで深手を負ったリンドを治療するため、學園の保健室へやってきたリツカ。その一方で、いつまでも自身の気持ちに正直になれないレムにいら立ちをぶつけるウリエ、メィジ、シキ。そんな中、ヴァンパイアのジェキがリツカのもとに現れる。リツカの母親を守っているというジェキについていくことにしたリツカは、自身にまつわる衝撃の事実を知る。

【感想】

従兄妹からの告白にほだされただけではないだろうが、兄妹として積み重ねてきた歳月もあって急速にリンドに傾きつつあるリツカの変化が切ない。明言こそされていないものの、やはりリンドと同じ使命を全うしたアズナの存在が大きかったのではと想像する。

ジェキが明かしたリツカの正体はおおむね予想どおり。リンドがヴァンパイアと人間の混血であれば、彼が守護してきたリツカは人間とアクマの混血。すなわち、リツカは断絶した三勢力の融和のアイコンに成り得るかもしれない、だからこその禁断のグリモワール。魔王の娘であったことに取り乱さなかったリツカの心中は、これまで彼女に降りかかってきた試練を思えば想像に難くない。

アクマと違って「ヴァンパイアは嘘をつかない」とのジェキのセリフには、これまで嘘にまみれてきたリツカ周辺へのカウンターのようでいて、花を枯らした紅茶が示唆するように正義は感じられない。愛する者への「嘘」の肯定がシリーズのテーマと解釈しているので、「嘘」の否定に手段を選ばぬヴァンパイアはクライマックスの敵としてふさわしいと感じた。

屋上を舞台としてレムに素直になれよと迫るウリエ、メィジ、シキをミュージカルパートに仕立てた演出には思わず笑ってしまったが、いたってシリアスな展開においてシュールなフェーズを仕込むあたりが本シリーズの懐の深さでもある。ローエン当番回ポメラニアンがそうだったように。

★★★☆

[]スタミュ 第11幕

脚本:ハラダサヤカ 絵コンテ相澤伽月 演出:平田豊 作画監督:堤谷典子、遠藤大輔、石富結依奈

【概要】

鳳が去り綾薙祭に向けて5人で練習を始めたteam鳳。柊はそんな彼らにパンフレット撮影のボランティアスタッフを兼ねた実地研修を課す。team鳳がやってきた現場は、何と月皇遥斗の撮影だった。そして、team鳳は柊から鳳が去った真の理由を聞かされる。鳳への連絡をちゅうちょしていた星谷だったが、ついに会って思いを打ち明けることを決心した。

【感想】

暁たちからの圧力で決断を求めた柊の意に反して教え子たちを守ることにした鳳。柊のteam鳳に対する計らいはそんな鳳への罪滅ぼしと同時に、本家筋の重圧を背負わされた彼の声にならない苦しみが伝わってくるようだった。柊本人がteam鳳の才能を認めているかどうかは分からないものの、敬愛する鳳への信頼がそうさせたのだと思いたい。遥斗による星谷へのエールは、迷える綾薙学園の後輩たち皆に向けられたかのよう。

今回はクライマックスを前にしてバラバラだった「星屑」をまとめ上げた主人公の星谷の存在感を宣言するエピソードでもあった。鳳が去った理由について柊にただすきっかけとなった月皇といい、代わってムードメーカーを買って出た天花寺といい、最初から目をかけていた空閑による抱擁といい、彼らを振り返ることでリスペクトを示した那雪といい。遥斗に打ち明けたリーダーとしての悩みに仲間たちが応えてくれる、だからこそ鳳は教え子たちを信じて身を引くことができたのだと。

あの屋外舞台における星谷と鳳のデュエットもすばらしかった。星谷の歌唱を支えるかのような鳳のコーラスは、まさにひなの巣立ちをうながす親鳥のようであり。感情の高ぶりの解放がミュージカルパートの醍醐味だとすれば、シリーズ屈指の名場面だったように思う。

★★★★

2015-12-14

[]蒼穹のファフナー EXODUS 第24話「第三アルヴィス」

脚本:冲方丁 絵コンテ久行宏和 演出:矢野孝典 キャラクター作画監督:長屋侑利子 メカニック作画監督:古川信之 メカニック作画監督補佐:新井達也

【概要】

第一アルヴィス竜宮島の面々は、ついにナレインたちの移住先である第三アルヴィス海神島(わだつみじま)を見つけ上陸を果たす。しかし、そこにはウォーカー型を始めとするフェストゥムの悪意が待ち構えていた。奮闘するアルヴィスとナレインのファフナー隊だったが、ディアブロ型の群れそしてベイグラントによる衛星軌道上からの干渉により窮地におちいる。

【感想】

クライマックスに入って展開が早くなったせいか、絶体絶命のピンチになってもバトルシークエンスに1クール目ほどの凄みは感じられず。ジョーカー的な存在である操と甲洋の存在が危機感をスポイルしているようにも。それでも、弟が不在中の島を必死で守ってきた里奈と派遣部隊として一回り大きくなった暉の西尾姉弟による支え合いは美しかったし、操から「お母さん」と言われた容子の穏やかな表情には翔子そしてカノンと引き継がれるアルヴィスの「希望」が感じられた。カノンの未来予知を発展させたかのような操の新能力はもっとドラマティックに演出してほしかったと思いつつ。

「存在と無」を調和させる者となった総士に対して「存在と痛み」を調和させる者になった一騎。「世界の傷をふさぎ」とのカノンのセリフがあったが、美三香を再生させたように「痛み」は生きることを指しているようにも。そして、第1期シリーズ冒頭の一騎を思い起こすと、あまたの戦いをへてずいぶんと遠くへ来てしまったと感じる。それぞれ一騎のことを思い続けて逝ってしまった翔子とカノンの慈母のような表情に切なくなる。それでも生きなければならないのかと。

★★★☆

[]ヤング ブラック・ジャック 第11話「無残帳 その3」

脚本:森田眞由実 絵コンテ・演出:又野弘道 作画監督:清水健一、千葉茂、Lee Jun Jong、Hwang mi jung

【概要】

間は澪から教えてもらった山中の堂宇で百樹を見つける。変わり果てた百樹は宝たちへの復讐を決意した経緯を語りだした。自首せよとの間の説得にもかかわらず自らの手で裁くと言い放った百鬼は闇に消える。最後のターゲットである大剛景光は警察による厳重な護衛を受けていたが、現れた百樹に右足を奪われてしまう。そして間は宝の病室を訪れる。

【感想】

医学界の権威に屈しなかったとも屈したともとれる百樹そして間のその後があまりにも苦すぎる。医者としての能力や誇りだけではどうしようもない医学界の暗部に私刑という形でしか応えられなかった百樹も、彼を肯定することで無免許医としてのスタンスを固めていく間についても。医者としての純粋な使命感で救った宝からの心ない言葉に、百樹と間の運命が重なってきた。恩師である本間丈太郎の志がこのような形で引き継がれるとは。脳内を静かな憤りがやるせなさをもってこだまする。

★★★

2015-12-13

[]落第騎士の英雄譚 episode 11「無冠の剣王 I」

脚本:猪爪慎一 絵コンテ:二瓶勇一 演出:福多潤 アクション作監:高瀬健一 作画監督:野澤吉樹、山本亮友、北原章雄、さのえり、松岡秀明

【概要】

生徒会室に呼ばれた一輝とステラは、刀華が懇意にしている児童養護施設を訪れた。そこで一輝は戦闘能力だけではない刀華の一端に触れる。学園に戻った一輝たちの前に、国際魔導騎士連盟日本支部倫理委員会の長を務める赤座守が現れた。赤座は一輝の父親である黒鉄厳の部下でもあった。一輝は理事長の神宮寺から赤座が不穏な動きをしていることを聞かされていた。

【感想】

生徒会室〜児童養護施設における前半と一輝が倫理委員会の査問にかけられてからの後半の落差がすさまじい。刀華のカリスマ性にひかれてやまない一輝に恋の波乱を予感したのもつかの間、収監されての一輝そしてステラをめぐる描写の重さがすべてを押し流してしまう。

そんな中で、自分を責め始めたステラに喝を入れた珠雫には、前回の刀華との勝負が下敷きになっていて震えがくるほど。かつて不安から本領を発揮できなかった一輝に喝を入れたステラに思いが戻ってくる循環がいい。直接対決まで勝利を誓い合った二人を応援しようとする珠雫の心中がストレートに伝わってきて切なくなった。彼女の内面に寄り添う凪が見せる最低限なサポートの心強さよ。

また、一輝が収監されてからモノクロに暗転した画面の演出もストレート。ところどころにワンポイントで置かれる色が、「青」「黄」「赤」と変わっていく演出は信号機よろしく追い詰められた一輝の内面を示唆しているようで、だからこそ「赤」に偽装したステラの髪に奮い立った一輝が「青」を取り戻すくだりにグッと来たし、彼を再び突き落すことになる厳の「赤」い眼光の衝撃もいっそう大きくなる。ステラ側の動揺を表現するようなノイズも分かりやすい。

★★★☆

[]学戦都市アスタリスク #11「力と代償」

脚本:菅原雪絵(ライトワークス) 絵コンテ:大嶋博之 演出:浅見松雄 作画監督:南伸一郎、木下由美子、福島豊明

【概要】

紗夜が街中で迷子になったとの知らせを綺凛から受けた綾斗は、レヴォルフの男子学生に追われていたプリシラと出会う。プリシラを連れてビルの屋上まで逃げてきた綾斗だったが、そこにイレーネが襲い掛かってくる。イレーネは綾斗がプリシラに害をなしたと思い込んだのだった。プリシラに誤解を解かれたイレーネは、綾斗に借りを返すと言い出し……。

【感想】

自らの純星煌式武装「グラヴィシーズ」に飲まれつつあるイレーネの救済が本筋に浮上。妹を守るために泥をかぶる姉というモチーフは、綾斗のみならず感情移入してしまうには十分すぎるほど。ディルクへの借金返済は星武祭の成績とは別というが、だからこそイレーネが抱える見えざる苦悩が引っ掛かる。

クローディアの純星煌式武装を起点にグラヴィシーズの怖さを印象づけるなどキャラクターをまんべんなく使った話運びにはそつがないが、それゆえの淡白さも感じてしまう。幕間エピソードだからこそ、もうひと押し強力なパンチが欲しくなった。

★★☆

[]K RETURN OF KINGS #11「Kali-yuga」

脚本:鈴木鈴 絵コンテ鈴木信吾、金澤洪充 演出:横峯克昌 作画監督鈴木信吾古田誠岡田直樹、武本大樹

【概要】

jungleによって解放されたドレスデン石盤の影響によって、一般市民たちに異能力が芽生え始めて大混乱に。セプター4から罷免された宗像は善条を従えjungleの野望を止めるべく秘密基地に向かう。そこに比水が送り込んだ磐舟が立ちはだかる。

【感想】

宗像のために秘密基地へのゲートを開こうとした伏見といい、上官のあとを追うように辞職を決意した淡島といい、セプター4まわりは予想どおりの展開。もっとも、シリーズの持ち味からして様式美的なパターンは似合っているので問題なし。すべての市民を王にしようとする比水の野望に対して、自らも「ただの王」にしか過ぎないと静かに返した宗像が格好良い。宗像に対しては磐舟が、伏見に対してはスクナが当たる構図も明快。次回予告における八田との共闘に早くも盛り上がる。

★★★

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 第22話「優とミカ」

脚本:瀬古浩司 コンテ:宮地☆昌幸 演出:松下周平 作画監督加藤美穂、板倉健、山田歩、本田敬一

【概要】

シノアに促され気絶した優一郎を連れて逃げたミカエラは、人間の子供を追って廃墟になった食料品店に入った。空腹に耐えかねて子供の血を吸おうとしたミカエラだったが、すんでのところで自制する。苦しむミカエラに目覚めた優一郎が声をかけてきた。自分の血を吸えと言う優一郎に、ミカエラは人の血を吸ってしまうと名実ともに吸血鬼になってしまうと拒否するが……。

【感想】

二人きりで険がとれたように気安くミカエラに接する優一郎の穏やかさが印象的。そこには人間と吸血鬼の垣根なんてものはなく、ただ愛する家族がいるだけ。自身を襲う過酷な運命にもかかわらず、目の前の「家族」を助けたいとだけ願う優一郎のシンプルかつポジティブな思考はこれまでどおり。吸血鬼への復讐にとらわれていたかつての姿から、グレンたち新たな家族を得てミカエラの生存を知ってからの変化そのまま。むしろミカエラの人間に対する憎しみのほうが際立つという。

それを裏付けるかのような暮人による非人道的な実験。食うもの食われるものの関係にある吸血鬼と人間が分かり合える日が来るのか。クライマックスまで残り少ないので、人間と内通しているらしいフェリドからのアプローチもそろそろ拝みたいところ。

★★★

[]機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ #11「ヒューマン・デブリ

脚本:鴨志田一 絵コンテ・演出:綿田慎也 キャラクター作画監督:しんぼたくろう(中村プロダクション) メカニック作画監督:阿部慎吾

【概要】

哨戒任務中に謎のモビルスーツ隊の襲撃を受け絶体絶命の昭弘とタカキ。そにバルバトスが救援に現れる。敵の隊長機がバルバトスの相手をしている間に、タカキが人質にされそうになる。タカキの機体を拘束したモビルスーツに猛然と襲い掛かる昭弘。その敵機から自身の名を呼ぶ声が聞こえてきた。ラフタたちの増援を得た昭弘は辛くもタカキを奪還するが……。

【感想】

昭弘の弟がさっそく敵として登場とは出し惜しみしない展開。ヒューマン・デブリのように取引される子供たちがいるならば、CGSような阿頼耶識システムを利用する組織があちこちにいても不思議はない。大人からの独立を勝ち取った子供たちが、かつての自分たちのように大人に搾取される子供たちと戦わなければならぬ宿命は、宇宙に上がってからの鉄華団が順風満帆だったからこそ重くのしかかる。仮にオルガが誓ったように昌弘を助け出したとしても、昌弘の仲間たちそして居場所はすでにブルワーズの中にある。敵対する限り悲劇は避けられそうにない。すでに昌弘たちはペドロを失っているのだから。

実の弟と戦場であいまみえたことによる昭弘の苦しみを、昌弘から助け出した新たな弟分であるタカキの覚醒ですくい上げるラストに泣けた。そのきっかけが、昌弘も俺たちの兄弟だとのオルガによる精いっぱいの言葉だったことも。そして、ギャラルホルンのエリートでありながら義理の父に含むところがあるマクギリスのたたずまいが対照的。果たして、彼の理想と子供たちの夢が交わる瞬間は来るのか。

★★★

2015-12-12

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 第21話「裏切りのミカタ」

脚本:瀬古浩司 コンテ・演出:京極義昭 作画監督:胡拓磨、富田恵美、大杉尚広、山本祐子、管振宇 アクション作画監督:胡拓磨、片山貴仁

【概要】

グレンを助けたい一心で鬼呪装備の力を引き出す薬を過剰に摂取した優一郎は、精神世界における阿朱羅丸との対峙をへてグレンのもとに戻ってきた。クローリーを相手に果敢に立ち向かう優一郎だったが、それでもかなわず、士方の鬼箱王によって連れ出される。気を失った優一郎とともに逃走を図る深夜以下の月鬼ノ組だったが、そこに一体の吸血鬼が立ちはだかる。

【感想】

クローリーが襲い掛かってくる人間を殺さないのは、彼らを「家畜」扱いしているから、あるいは圧倒的な戦力差によって殺す必要がないと考えているからか。奇襲とはいえ序列が近いルカル・ウェスカーが滅ぼされたわけだから、クローリー主従の劣勢も見てみたかった。

優一郎をミカエラに託したシノアの行動について。家族にこだわるこれまでの優一郎を見てきたこと、グレンたち帝鬼軍の上層部が進める実験に不審を抱いていたこと、そして名古屋市庁舎において上官命令とはいえグレンを見捨ててしまったことなど、然るべき理由はいくつか想像できる。しかしながら、例えばシノアが戦場でミカエラの内面に触れるなどの伏線があれば、なおのこと没入できたように思われた。

吸血鬼から逃げて人間の世界に戻ろうと誓ったかつてから、優一郎を奪った人間どもを憎むようになったミカエラ。家族を至上にするがゆえに鬼に変化しつつある優一郎。吸血鬼の世界にも人間の世界にも居場所のない2人だからこそ、吸血鬼に軸足を置くきっかけとなるシノア隊のドラマが欲しかった気も。

シノアたちの裏切りによる月鬼ノ組の動揺を塗りつぶすようなクルルたち貴族の襲来は上手い引き。

★★★

[]うたわれるもの 偽りの仮面 第十話「恋慕」

脚本:眞島浩一 絵コンテ:川村賢一 演出:武市直子 作画監督:池上太郎

【概要】

オシュトルに恋をしているというアンジュのためクオンたち女性陣は協力する。そのころ、溝掃除の仕事をしていたハクは地下水路に落ちてしまう。そこには義賊として活動するノスリもいて……。

【感想】

丁寧なキャラクター描写が魅力の本シリーズではあるが、今回はありきたりで退屈だった。けんけんがくがくな女子会で答えが出なかったアンジュの恋愛相談に一発回答を出したハクが墓穴を掘ったオチは、キャラクター配置そのままで面白かったのだけど。

★★

[]対魔導学園35試験小隊 第10話「草薙キセキ」

脚本:下山健人 絵コンテ・演出:尾崎隆晴 作画監督:阿部恒、吉川佳織 銃器作画監督:氏家嘉宏

【概要】

タケルは仲間たちに内密に、最奥監獄に隔離されている妹のキセキと面会していた。魔導遺産の違法取引を抑えるべくB級危険指定の魔法使いに接近する35小隊だったが、発信機を看破され逆襲にあう。魔法使いを追って路地裏にやってきたタケルの前に隔離されていたはずのキセキが現れる。後からやってきた桜花たちにタケルは近づくなと警告するが……。

【感想】

コミカルだった前回でこなれたからなのか、うんと重い方向に振れた今回も楽しんで見ることができた。サンタコスのティッシュ配りに変装して魔法使いに近づこうとするマリたちのキャラいじりから、キセキをめぐっての桜花とタケルのシリアスなやりとりへの落差も自然だった。これまで自分たちの苦しみを背負ってくれたタケルのために、今度は仲間たちがタケルの苦しみを背負ってやるクライマックス。キャラクター描写がじっくりできておれば、熱いはずのシチュエーションにもっと盛り上がれたかと思うと惜しくなる。

★★☆

2015-12-11

[]終わりのセラフ 名古屋決戦編 第20話「鬼のコモリウタ」

脚本:瀬古浩司 コンテ:岩瀧智 演出:若野哲也 画監督:井川麗奈、杉崎由香、辻智子、荒井大

【概要】

クローリーに圧倒されたグレンはシノア隊に逃げろと命じる。グレンを助けようと命令無視する優一郎だったが、深夜そして隊の仲間たちから無理やり引きはがされる。グレンとのビジョンを脳裏にみた優一郎は、やはり家族を見捨てることはできないと過剰な薬を飲んでしまい……。

【概要】

ここのところ陰を潜めていたうっとうしい優一郎が久々に戻ってきてストレスフルな展開に。しかしながら、優一郎を助けるためだけに立場をかえりみず動くミカエラといい、「狂った世界」にくさびを打ち込むかのごときこの主人公コンビが作品世界の良心であることも疑いなく。「生きるのが辛い」ゆえにそうせざるを得ないのだと。

征志郎の部下をちゅうちょなく切り殺させた暮人とは裏腹に、クローリーのグレン隊への対処が甘すぎるのには没入を妨げられる。吸血鬼以上に醜い人間の一面として受け止めるべきなのか。

★★☆

[]おそ松さん 第10話「イヤミチビ太のレンタル彼女」

脚本:岡田幸生、松原秀 絵コンテひいろゆきな藤田陽一 演出:ひいろゆきな 作画監督:小和田良博、安彦英二

【概要】

貧乏にあえいでいたイヤミは公園で「レンタル彼女」なる商売を目にする。さっそくチビ太とダヨーンと3人でマネしてみるが、上手くいくはずもなく。そこでデカパンの研究所で美女に変身する薬をもらう。

【感想】

チョロ松に感情移入してイヤ代の誘惑にドキドキしてしまった自分を殴りたくなった(笑)。イヤミはともかくとして、真面目におでん屋をやっていると思っていたチビ太にはちょっとガッカリ。アバンの釣り堀における「耐性」をオチに持ってきて、さらには薬をもらってから蚊帳の外だったダヨーンで締めたCパートと、全体の構成が良くできていた。これまでで最凶のエピソードかもしれない。

★★★

[]コメット・ルシファー #10「深淵の祭壇」

脚本:待田堂子 絵コンテ山本裕介 演出:間島崇寛 作画監督:横井秀章、藤川太、熊田亜輝、日高真由美

【概要】

深淵の祭壇を目の前に野宿することになったソウゴにフェリアたち。フェリアはソウゴに対する感情に困惑しつつあった。ようやく祭壇にたどり着いた一行だが、儀式に臨んだフェリアが黒いガーディアンにとらわれて連れ去られてしまう。ソウゴはガーディアンに搭乗して後を追うが……。

【感想】

ソウゴにひかれていくフェリア。そんな二人に複雑な思いを抱きつつ応援するカオン。運命に引き裂かれたソウゴとカオン。落ち込んだのち立ち直るソウゴ。ガーディアン同士による空中戦のリッチなアクション作画。パーツはふんだんなのにもかかわらず組みあがったものに心を揺さぶられないのは、キャラクターの奥行きのなさとセリフ回しの凡庸さによるところが多いと思う。ド・モンの死はショックが大きい出来事のはずだが、事務的にすら感じられてしまうヴィーからの一報で取り乱しカオンの喝であっさり立ち直るソウゴのインスタントぶりを見ていると、いくらでもドラマティックになりそうなフェリアとの関係への没入を妨げられる。キャスト陣の熱演や作画スタッフの健闘に心苦しくはあるのだけど。

★☆

[]牙狼〈GARO〉-紅蓮ノ月- 第九話「光滅」

脚本:吉岡たかを 絵コンテ:コバヤシオサム 演出:Kim Min Sun 作画監督:Kim Bo Kyung、Lee Min Bae、Kim Myung Hyun、Kim Seong Beom サブキャラクターデザイン大津直、楠本祐子 ホラーアニメーションデザイン:山下香織

【概要】

食うものにも困った雷吼は番犬所に仕事をもらいに行く。稲荷から退治を請け負ったやっかいな敵は光を吸い込む火羅だった。輝きを奪われ暗黒化した黄金の鎧のせいで雷吼の性格が一変してしまう。番犬所からこのままでは雷吼が正気を失ってしまうと聞かされた星明は、かつての師である道魔法師のところへ助けを求めに訪れる。

【感想】

まるで火羅にとりつかれる人々をトレースしてみせるような雷吼の豹変ぶり。しかしながら、それは黄金の鎧の変化という外的な要因であり、雷吼の弱さに火羅が付け込んだわけではないところに注目したい。雷吼はいつも強く輝き続ける光でなければならぬ。だからこそ、星明はその身に闇を取り込んだのだと。陽である雷吼と陰である星明の二人三脚が改めて伝わってくるエピソードだった。敵であるはずの蘆屋道満サイド以上に番犬所のほうがうさんくさいのは前シリーズに同じく。

★★★

2015-12-10

[][]テレビアニメED10選 2015

こちらもOP10選と同じくセレクトに一切のバイアスなし。掲載はおおむね最速オンエア順。



『おとといおいで』 / 神様はじめました◎

画面中央で下から上にスクロールさせたスタッフクレジットの両側に、主人公の奈々生を起点としてキャラクターを対峙させながらバトンをつなげていく。わらべ唄を思わせる歌唱といい、本編のラストにイントロをかぶせ後半に次回予告を挿し込む構成といい、クロージングにぴったりな優しさが染み入る。



『笑顔になる』 / 幸腹グラフィティ

食べ物に対する3人の描き分けが見どころ。おなじみの北川勝利ソフトロックに本編そのままなリョウときりんによるハーモニーで幸せになれること請け合い。



『LAST TRAIN HOME』 / ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編

横スクロールによるキャラクターたちの穏やかな表情、インスト曲もあいまって、長かった旅の終わりといった風情がたまらない。仲良く列車の外をながめるポルナレフとイギーの後ろ姿がかわいい。



『永遠 never ever』 / 少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 50- (第24話)

ファンには言わずと知れた名曲に乗せて初代メンバーの足跡を描き出す温かみにあふれた筆致に何度見ても涙。それぞれのニックネームやシンボルが添えられたメンバーたちのイラストが、キャラクターデザインそのままな写実的なものにチェンジする演出に、小説版のストーリーが鮮やかによみがえる。転換点になるドリアンがまた素敵なんだ。



シュガーソングとビターステップ』 / 血界戦線

ひねくれた自分には技巧が鼻につく瞬間もなくはないが、これだけの動きを詰め込みつつスマートに見せるセンスとパッションには脱帽せざるを得ない。



『朝焼けのスターマイン』 / プラスティック・メモリーズ

限られた時間を精いっぱい生きたヒロインの表情や仕草の記憶。それらを包み込む優しい旋律にシルキーな歌声。見えるもの聞こえるもの感じるものすべてが愛おしい。



鎮魂歌 -レクイエム-』 / シドニアの騎士 第九惑星戦役

  • エンディングアニメーション制作:佐藤晋哉
  • 作詞・作曲・編曲:大隅智宇 歌:カスタマイZ

メカのパーツや内部構造を淡々と見せていくパターンは『マジンガーZ』のEDをほうふつとさせる。艶のあるボーカルがまた良い。キャラクターを拡張したロボットだからこそ醸せる哀愁もある。



『The Beginning』 / コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜

  • キャスト:横屋健太、三木達也、稲留和美、二階堂晶子、齋藤達哉、大藪芳広 助手:ちゃっぴい 作画監督伊藤嘉之
  • 作曲・編曲・音楽:山本陽介

へビーなリフとビートにポップなキャラクターとサイケなコラージュのミスマッチがクセになる。それぞれの個性を踏まえたキャラクターの動きが目に楽しい。



『SIX SAME FACES 〜今夜は最高!!!!!!〜』 / おそ松さん

不自然にスタイリッシュな楽曲におでんを合わせるいかがわしさは、自称おフランス帰りなイヤミのパーソナリティにふさわしい。世間における作品の受け入れ方を反映しているようにも。



『マドモ★アゼル』 / Dance with Devils

人間とヴァンパイアとアクマと堕天使の闇鍋状態にシャドウマンのシュールなムーブがスパイス。単なるイケメンを超えた5人のキャラクターの濃さもあって、それぞれケンカしながら自己主張しているようなアクの強さは本編そのままな感じ。格好良いのか格好悪いのか、気持ち良いのか気持ち悪いのか、何とも判断できない不思議な存在感を放つ映像作品。

2015-12-09

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 第10話「運命の幻影」

脚本:會川昇 絵コンテ・演出:亀井治 作画監督小平佳幸、斉藤英子、三谷高史、橋本敬史村木靖 

【概要】

身分や立場を問わず悪と認定した者を容赦なく抹殺していく団体、IQことインフェルナル・クイーン。その飛行船IQ号が超人課をターゲットに日本へと飛来して犯罪者を処刑し始める。IQのリーダーと同じ姿をした兵馬に疑いがかかり、国家公共保安部の赤光が超人課に乗り込んでくる。IQの台頭を予想していたという兵馬は自らの出自を語り始めた。

【感想】

時系列を前後にジャンプしていたこれまでのストーリー展開から一転、兵馬という一人の未来人の視点で時間をジャンプしてみせるダイナミズムに目まいがしてきた。

IQ号からエクウスに至る設計思想の変化に兵馬の内面が象徴されていたくだりが印象的で、物語の縦軸となる爾朗の超人に対する青臭い理想を肯定するかのようだった。それらを冷ややかなようで温かくもある笑美の視線をスパイスに、兵馬そのものを回答不能な矛盾とすることで救った輝子の優しさで包み込んでみせる。これまでの展開を踏まえつつメインキャラクターをまんべんなく生かした話運びがおみごと。

作品世界のすべてを掌握するような輝子に、第7話におけるウルのセリフ「異なる次元において支配者となることを義務づけられた者」がよみがえる。

★★★☆

[]ワンパンマン #10「かつてない程の危機

脚本:鈴木智尋 絵コンテ川尻善昭 演出:牛嶋新一郎 作画監督:小嶋慶祐、RYU SEUNGCHEO (DR MOVIE)

【概要】

S級ヒーローに非常招集がかかる。シルバーファングの道場を訪れていたジェノスにサイタマも同行することに。ヒーロー協会本部には一部を除くS級ヒーローのそうそうたる面子が集結していた。100%予言を的中させてきたシババワが「地球がヤバい」との予言を残して亡くなったという。半年以内というその予言は、サイタマの予感どおり当日に災害レベル竜以上の脅威として降りかかった。

【感想】

豪華キャストも含めたS級ヒーローの個性的な面々だけで楽しい。サイタマの実力を一部の者しか知らない状況はストレスフルだが、そこを崩すと作品の持ち味が損なわれてしまうから仕方ない。趣味でヒーローをやっているからこそ、ランクを問わずその他大勢のヒーローたちを陰から支えているサイタマが許容されているのかも。無免ライダーのような視点がむしろ引き締まるという。

★★★

2015-12-08

[]Dance with Devils 第九幕「秘め事と裏腹のウォークライ」

脚本:内海照子 絵コンテ:寺東克己 演出:三上喜子 作画監督:斉藤美香

【概要】

目の前でアズナが倒れたことで、リツカの感情が聖なるルクスの指輪の封印を壊し暴走してしまう。リンドは気を失ったリツカをエクソシスト協会に連れて行く。誕生日までエクソシスト協会にいれば安心だと言われたリツカだが、禁断のグリモワールである彼女に協会のおぞましい企みが迫る。リツカを救いだしたリンドは「ダンピール」なる自身の出自について語り始めた。

【感想】

凶刃に倒れたアズナを放置したリンドの行為は冷たく思えるが、よく考えれば決してそんなことはない。エクソシストであるリンドとアズナは、禁断のグリモワールであるリツカを守るためだけに命をささげてきた。ゆえに、どちらかが倒れようともリツカを守ることが第一優先であるはず。それは、目覚めたリツカにかけたリンドのセリフからもうかがえる。

リンドがアズナの意思を引き継いで守ってくれたからこそ、エクソシストであり大切な人である2人がリツカの中で一直線になり、レムを拒絶するに至ったクライマックスがひたすらに悲しい。リンドの告白に動じつつも受け入れたふうなリツカには、おそらくアズナとの日々が重なっていたのではと想像する。それがいわゆる吊り橋効果とは思いたくない。特別な自身をめぐって周囲の皆が嘘をついている状況において、彼女のよりどころは何なのか。

★★★☆

[]スタミュ 第10幕

脚本:坂井史世 絵コンテ・演出:金子伸吾 作画監督佐々木睦美、山下喜光

【概要】

鳳の華桜会脱退により自分たちが一般枠に降格になったことを知ったteam鳳の面々。柊によると鳳は休学届を出していた。綾薙祭の公演場所も特設野外ステージに変更になったteam鳳は、切り替えて練習メニューをこなしていくことに。そんな中、天花寺、月皇、空閑がそれぞれの所用で抜けてしまう。那雪は星谷を元気づけるため遊びに出ようと誘う。

【感想】

姿を消した鳳に対して取り乱すでもなく怒りをあらわにするでもないteam鳳の淡々とした描写については、それまで鳳がもたらしてきた自由な気風ゆえなのかもしれない。team鳳については空気が重くなり過ぎないよう鳳その人が計らっている気がしていたので。その分、ミュージカル学科の重さを華桜会が引き受けていたわけだ。

team鳳の象徴たるシュウマイについて考えてみる。シュウマイそのものは食事面ほかでメンバーを支えてきた那雪を示しているようにも思えるし、グリーンピースになぞらえられた鳳はクセのある人物像を表しているようにも。それらが調和することでteam鳳の持ち味になるイメージ。「ワンワン軒」でteam鳳がシュウマイの役を振られたのは、team柊からのメッセージであることは言うまでもなく。

★★★☆

2015-12-07

[蒼穹のファフナー]蒼穹のファフナー EXODUS 第23話「理由なき力」

脚本:冲方丁 絵コンテ:長澤剛 演出:長澤剛 キャラクター作画監督:実原登、高見明男 メカニック作画監督:新井達也

【概要】

アルヴィスは真矢と広登を取り戻すため、人類軍の将軍、ダッドリー・バーンズと交渉することに。交渉の場に派遣された溝口は、バーンズからヘスター・ギャロップの暗殺を要請された。へスターはフェストゥム因子に感染しない特異体質者5万人を選別するため20億人の人類を犠牲にするのだという。しかし、パペットとしてディラン・バーゼルを潜入させていたヘスターに暗殺計画は筒抜けだった。交戦規定アルファを発動させたヘスターを止めるため、真矢はマークジーベンで溝口を連れて脱出する。

【感想】

ダスティンたち人類軍が交戦規定アルファを粛々と発動できる理由が、リーダーたるヘスターの信念にあることが明かされる。ヘスターが人類のために手を汚してきた真矢に入れ込んだのは、決して父親の思想と結びつけただけではなさそう。いや、少しでも多くの人間たちを救うために少数の犠牲を飲んできた真矢こそが、アルヴィスの目指す希望の申し子なのかもしれない。ダスティンたち人類軍のファフナーをちゅうちょなく撃墜し、さらにはヘスターとの共倒れも辞さない覚悟に、同化現象から昏睡状態におちいった一騎の姿が重なってくる。パイロットスーツではなく私服でジーベンを駆る真矢の姿は妙ななまめかしさがあったが、あれこそが人としての叫びに思えてきた。

★★★☆

[]ヤング ブラック・ジャック 第10話「無残帳 その2」

脚本:森田眞由実 絵コンテ:鈴木卓夫 演出:山口頼房 作画監督半田大貴、桜井木ノ実、南伸一郎、飯飼一幸

【概要】

間の手術によって外科医として再出発するはずだった百樹だが、帝都大病院で彼が執刀予定だった手術がキャンセルになってしまう。あろうことか、検死解剖時の写真が患者に送られて猛反対されたのだった。数日後、澪から百樹が行方不明になったことを聞いた間と岡本。そのころ、多野の事故死をきっかけに宝とその周辺の医師たちが謎の襲撃を受ける。

【感想】

宝の切断された左腕の応急処置において岡本から強引に施術を奪い取った間がクライマックス。医師としての倫理に背いても目の前の命を助けたいという衝動、それが外科医として再生したいとの百樹の願いに向けられた結果が今回の悲劇なのだとしたら、あまりにも無慈悲と言わざるを得ず。非合法な間の措置が非合法な殺人鬼を生む、すなわち人の命を救うべき百樹の義手がいとも簡単に凶器に変わってしまう。だからこそ、間は宝の救命を果たしたのであり、その流れで次なる百樹の凶行を止めねばならぬ。間の将来を思いやる岡本の技術が届かないくだりもまた無慈悲。

★★★

2015-12-06

[]落第騎士の英雄譚 episode 10「深海の魔女 VS 雷切」

脚本:河鍋俊 絵コンテ・演出:徳本善信 アクション作監:中西和也 作画監督:よち、中西和也、明珍宇作、北原大地

【概要】

「雷切」の異名をとる学園最強の生徒会長、東堂刀華との試合が決まった珠雫は、人払いをして雷撃を想定した模擬戦に打ち込む。一輝の壮絶な半生を知り共に歩もうと決意した珠雫には、難敵を前にして期するものがあったのだ。一輝はそんな珠雫を案じて無理はしてほしくないと願うが……。

【感想】

ここのところ出番が少なめだった珠雫だが、彼女が敬愛する一輝の掘り下げが効いて、刀華との一戦はシリーズ屈指の名勝負になった。格上である刀華の内面には触れぬまま、あくまでも越えなければならない壁として割り切った話運びが奏功して、一輝たちに並びたいとひたすら願う珠雫による自身との戦いという純度が出来上がる。試合場を埋め尽くす氷はさしずめそんな彼女の決意の表れといったおもむき。

一輝をほうふつとさせる「抜き足」などシンプルな剣術のみで対する刀華に対して、遠距離から水と氷を駆使した奇策を畳み掛ける珠雫の戦いぶりに、必死で兄の背中に追いすがろうともがき苦しむ妹の心の叫びが伝わってくるようだった。そんな珠雫に応えようとするダイナミックな作画演出の切れ味は感動的。そして、最後まで勝つために手を尽くした珠雫への一輝なりのエールに救われる。

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第4話のリフレインのような珠雫の病室での目覚めも一輝を追いかけるかのごとし。それだけに、勝ってステラの祝福を受けた一輝に病室に入ることが出来なかった第4話に対して、負けて一輝たちに退室をうながすしかなかった今回の落差が残酷すぎる。願いとは裏腹に遠くなるばかりの兄の背中、そんな傷ついた珠雫を今度は病室内で包み込む凪の海のように深い優しさ。性別を超えた彼のしなやかさにはずるいと言いたくもなるが、だからこそ兄妹のブリッジになりえるのだろう。

★★★★

[]学戦都市アスタリスク #10「吸血暴姫」

脚本:菅原雪絵(ライトワークス) 絵コンテところともかず 演出:飛田剛 作画監督:浅井昭人、岩井優器、北村友幸

【概要】

紗夜と綺凛の応援のため会場に向かっていた綾斗とユリスは、街中で大立ち回りしているイレーネを目撃する。見知ったユリスではなく綾斗のほうに因縁をつけてきたイレーネを、後から現れた妹であるプリシラが収めてくれた。紗夜と綺凛のコンビは1回戦を順当に勝ち進み、綾斗とユリスのコンビも2回戦を余裕で突破する。そしてレスターとランディがイレーネとプリシラに挑むが……。

【感想】

鳳凰星武祭トーナメントが本格始動して異能力バトルものならではの面白味がようやく出てきた。アルルカントのテクノロジーに立ち向かう紗夜と綺凛、レヴォルフの企みを背後にしたイレーネの挑戦を受ける綾斗とユリス、大筋に二つの柱が出来たことで視聴意欲が高まる。

残念なのは紗夜と因縁が出来たと思われたレスターの扱いで、イレーネとプリシラの手の内を明かすという援護射撃は果たしたものの、不遇なポジションのまま終わりそうで気の毒。紗夜との次回予告がフォローとはあんまりではないか(しつこい)。

★★★

[]K RETURN OF KINGS #10「Keystone」

脚本:来楽零 絵コンテ鈴木信吾、島津裕行 演出:金澤洪充、山岸徹一 作画監督鈴木信吾古田誠岡田直樹

【概要】

宗像が姿を消したセプター4は総理によってこれまでの権限をはく奪され屯所での閉居を命じられる。そのころ、アンナはバーHOMRAに宗像を呼び出し、奪われたドレスデン石盤に取るべき手段を説く。石盤への対処方法を考えたシロは白銀のクランのシンボルと名前を決めることに。

【感想】

伏見の離反をきっかけに増長するjungleに対して散り散りになったセプター4、ドレスデン石盤の所有が移ったことでここまで変わるものか。石盤の良しも悪しも承知の上で、それでも破壊する道を選んだ吠舞羅の覚悟がいちばん据わっているように見えるのは、周防尊を失った悲しみを乗り越えたゆえだろうか。

改めて宗像の回想に触れると、周防のカリスマをよりどころにしていた吠舞羅の面々が、今は全員で新たな赤の王であるアンナを支えようとしていて、その柔軟性は「窮屈」そうなセプター4へのメッセージに思えてくる。そんなことは周防と何度も交わしてきた宗像には委細承知だろうけども。

一方で、シンボルと名前を決めたことでようやくクランとしてのまとまりが出てきた感のシロたちに安堵させられる。もっとも、シロの出自やこれまでの行動からの不穏さをぬぐえないのも事実であり、それはシロの内面ではなく外的な不可抗力として嫌な予感がしてしまう。jungleによる石盤の解放に反応したのがシロとアンナで宗像は予想しつつも無反応だったくだりがひっかかる。

★★★☆

[]機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ #10「明日からの手紙」

脚本:土屋理敬 絵コンテ:西澤晋 演出:大久保朋 キャラクター作画監督:牧孝雄、宇田早輝子 メカニック作画監督:宇田早輝子

【概要】

バルバトスの整備が済んでいない三日月を歳星に残し、鉄華団のイサリビはタービンズのハンマーヘッドとともに地球へ向かう。火星に残した家族からのメールに喜ぶビスケットやタカキ。そんなイサリビにテイワズからのお目付け役としてメリビット・ステープルトンが同乗することに。そして、昭弘はタカキをともなって哨戒任務に出る。

【感想】

火星からのメールを起点に浮かび上がるそれぞれの「家族」観。身寄りのない団員が多い鉄華団のたくましさが強調されればされるほど、両親が健在であっても幸せとは言えないとのクーデリアの境地が突き刺さる。男所帯にあって三日月とのハーレムを夢想するアトラに対して、大人の女の色香を振りまくメリビットに気もそぞろなユージンほか男性陣のギャップが何とも示唆的。

ストイックな昭弘がタカキに見せた人間味。それはオルガに同調した過去エピソードでも匂わされていたのだけど、ラフタからの指摘のとおり少し安心させられた。そんないわゆる死亡フラグを叩き壊す三日月のありようが、メリビットの誘惑(?)に耐えつつオルガが必死に守ろうとする家族を力強く肯定してくれる。ゆえに、女性たちにうつつを抜かす団員たちが危うさになっている構図にひかれもする。

メリビットについては、同じくよそ者でありいわくありげなフミタンとのやりとりを期待したい。

★★★☆

2015-12-05

[]コメット・ルシファー #9「伝えたい心」

脚本:大河内一楼 絵コンテ:名村英敏 演出:重原克也、喜多幡徹 作画監督:依田正彦、柳瀬譲二、門智昭、鳥山冬美、ぐんそう

【概要】

カオンたちを巻き込むまいとモウラとフェリアを「深淵の祭壇」に連れて行くことにしたソウゴ。しかし、祭壇付近で待ち伏せしていたヴィンセント部隊の攻撃を受ける。立ち向かうガーディアンだったが、ガス部隊も乱入し撃墜されフェリアも捕まってしまう。そのころ、ド・モンはソウゴたちへの攻撃をやめさせるためゾーンボイルに会うべく行政府に潜入していた。

【感想】

フェリアからガーディアンそしてソウゴ(ド・モン)と興味の対象が移ろっていくガスのありようが、シリーズの散漫さを象徴している気がした。以前はあれほどガーディアンとの一騎打ちにこだわっていたのに、集団戦による卑怯な手段を厭わなくなったところも。ここらがガス部隊に魅力を感じられない理由になってしまっている。育ての親への愛情をガスにぶつけるソウゴも、フェリアに話した「冷たい」というド・モン評が足を引っ張っている気が。もっとも、ここはソウゴの子供っぽさと受け止めるべきなのかもしれないが。

★★

[]牙狼〈GARO〉-紅蓮ノ月- 第八話「兄弟」

脚本:會川昇猪爪慎一 絵コンテ下田正美 演出:波多正美 作画監督:Yang Jeong Hui、Um Ik Hyeon、Kim Seong Beom ゲストキャラクターデザイン大津直、楠本祐子 ホラーアニメーションデザイン:山下香織

【概要】

多田新発意の郎党である渡辺綱は、夜の橋上で襲ってきた火羅を退治して腕を持ち帰る。屋敷に戻ってきた頼信にその戦利品を見せようとする綱だったが、腕は見当たらず、代わりに無数の火羅の腕が出現して床にふせていた新発意を襲い始める。事態を重くみた頼信は星明に助力を求めるが、彼女の代わりに源家に同行したのは雷吼だった。

【感想】

おおよその予想はついていたが、雷吼のモデルは源頼光だったとの種明かし。雷吼に壮絶な過去があったことは、普段のひょうひょうとした姿から想像しにくいが、すでに委細承知で魔戒騎士として腹を括っていたと。これまでは頼りなくも感じられた雷吼が大きく見えてきた。むしろ清和源氏を託された弟の頼信のほうがプレッシャーではないのか。だからこそ、源氏に伝わる黄金の鎧を雷吼が背負うことにしたのかも。

★★★

[]うたわれるもの 偽りの仮面 第九話「神眠りし國の使者

脚本:鴻野貴光 絵コンテ・演出:おざわかずひろ 作画監督:木宮亮介

【概要】

ヤマトの帝都にトゥスクルからの使者が訪れることに。ウコンからの依頼で使者の調査をすることになったハクが白楼閣に戻ると、何かに怯えるように荷物をまとめていたクオンが待っていた。クオンはハクにすぐさまこの場を離れようと言うのだが……。

【感想】

前シリーズを知っている身とすれば、アルルゥカミュがお姉ちゃんというのも変な感じで、年齢よりもしっかりしたクオンが苦手意識を持つのも分かる気がした。クオンのことを見ていないようで見ていたハクで丸く収めるオチが優しくてよい。串焼きで慰労してくれたウコンによって災難続きだったハクが報われたCパートに安堵させられる。

★★★

[]対魔導学園35試験小隊 第9話「第35酔いどれ小隊」/第9.5話「クレイジーサマータイム

脚本:下山健人 絵コンテ:湊未來 演出:日下直義 作画監督:野本正幸

【概要】

「第35酔いどれ小隊」: 斑鳩が引っ張ってきた違法な魔導遺産の取引現場はクラブだった。桜花とうさぎとマリはホステスに、タケルはボーイに扮して潜入する。

「クレイジーサマータイム」: 海開きから夏が終わらなくて困っているとの要請を受けた35小隊。魔導遺産あるいは魔女の仕業を疑って捜索にあたるが……。

【感想】

「第35酔いどれ小隊」: クラブの従業員として潜入捜査した押収品によって学園で酔っぱらうというオチがひねっていて面白かった。

「クレイジーサマータイム」: 夏が苦手な斑鳩と泳げない桜花と腹を壊したタケル抜きで結成された「ミニ35小隊」だったが、これまでよりもチームワークが感じられたような。

お気楽なショート二本立てでキャラクターの持ち味が生きていたように思う。シリアスなエピソード群の強度が足りないこともあり、これで喜んでいるわけにもいかないけど。

★★★

2015-12-04

[][]テレビアニメOP10選 2015

セレクトにバイアスは一切なし、純粋に気に入ったもの。掲載はおおむね最速オンエア順。



『宝箱−TREASURE BOX−』 / SHIROBAKO

小気味よく切り替わる映像による武蔵野アニメーションの慌ただしさを優しく包んでくれるような楽曲がとにかく素敵。ちょっぴりトラッド風味なアレンジに軽やかでしなやかなボーカルがすばらしく爽やかで、宮森たちへのエールであり視聴者にとっての癒しでもあり。今でもカーオーディオのヘビーローテーション



『HOLLY TRIP』 / 少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 50-

第1期シリーズのOP曲『ハロー世界』があまりにも完璧なアンセムだったので、第一印象では相対的に地味に感じられたけど、本編のストーリー進行すなわちメンバーたちの成長とシンクロして次第に色を帯びてきた。初代メンバーに現メンバーを重ねるカットを舞台袖から見守るようなシャチョウとテッシーとキャットについ目頭が熱くなる。



『Believe in yourself』 / ベイビーステップ 第2シリーズ

第1シリーズと同じ楽曲だったからこそ、強力なライバルたちを交え目まぐるしく展開するコンテワークに主人公のステップアップが伝わる。特にサビに入ってからのギアチェンジはほれぼれするほどカッコいい。作品タイトルの由来でありシリーズの起点ともなったアレックスからのメッセージで締めるラストカットが、栄一郎に初心を忘れるなと言っているようだ。



『Hello, world!』 / 血界戦線

作画における(分かりやすい)技巧面ではEDに譲るが、楽曲とのトータルではゴージャス感が前面に出たこのOPのほうが好き。ヘルサレムズ・ロットの喧騒を切り裂いてみせるシャープな演出が混沌を感じさせるあたり、本編のテイストそのまま。



『くちづけDiamond』 / 山田くんと7人の魔女

にじみを強調したキャラクターにところどころちらつく白いバックというシックな画面作りと男性ボーカルの渋みが最高のマッチングをみせる。主人公視点の「魔女」なるミステリアスな存在感を温かみある筆致で表現。硬かった序盤の表情がサビとともに弾けるキャラクターの変化も鮮やか。美少女オリエンテッドな作品にありがちな甘さが控えめなところが自分好み。過不足がまったくない絶妙なトータルバランス。

参考リンク: 山田くんと7人の魔女のOPについて - 物理的領域の因果的閉包性



Ring Ring Rainbow!!』 / 城下町のダンデライオン

主人公の茜を縦軸にした櫻田一家への細やかな愛情表現は本編そのまま。監視カメラを茜の目をフィルターとして虹色に変化させたり、空を飛ぶ茜の表情をズームを変えつつ細かくつけるなど、よくよく見れば技巧が凝らされてはいるのだけど、最近やや食傷気味なポップさを強調した演出よりはナチュラルで好ましい。歌詞の最初と最後に出てくる「一緒に」は、国民(視聴者)に対する呼びかけにもなっていて、愛でもって小さな勇気を振り絞る茜たち国王一家の笑顔から元気をもらえる。



こだまことだま』 / のんのんびより りぴーと

いきなりメイン4人の口バクに歌唱を合わせるような導入部がキャッチー。水面から青空に転じた第1期シリーズの導入部に比べると、視聴者のキャラクターへの愛着を踏まえた上での計らいに思えた。田畑や山野の緑色を基調に、空の青、夕焼けの赤、落ち葉の黄、雪の白、さまざまな花々と、鮮やかな色のチェンジに次ぐチェンジがキャラクターたちを生き生きと彩る。



『I am Just Feeling Alive』 / ヤング ブラック・ジャック

中盤で描写されるハスに尽きる。物語のキーポイントとなるベトナムの国花であり、その花言葉は「雄弁」「休養」「沈着」「神聖」「清らかな心」「離れゆく愛」、そして大賀ハスに象徴される不滅をも想起させる。まさに若きブラック・ジャック間黒男の多面性にふさわしい。映像のセンスは古臭いけども作品世界に合っているし、青臭い歌唱も間そのものという感じ。クールを装いつつ水面下では必死でもがき苦しんでいる不格好さがいいのだ。機銃掃射によって散る花弁(間のメタファーと解釈)が全体をつなぎとめている。

参考リンク: 花言葉事典: ハス,はす(蓮) 花言葉を解説する花ことば、誕生花の辞典



アイデンティティ』 / 落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)

ブラスがファンキーな楽曲に黒と赤を基調にしたソリッドな配色が映える。血を流す一輝のために血の涙を流すステラ、あまたのライバルたちと剣を交えつつ、来るべき頂上決戦に向けて駆け抜ける二人への賛歌。本編そのままに照準がピタリと定まったシャープな映像作品。



『紅蓮ノ月 〜隠されし闇物語〜』 / 牙狼〈GARO〉-紅蓮ノ月-

中世ヨーロッパを舞台にした『-炎の刻印-』のハードロック路線から一転、オリエンタルな旋律と演奏は平安の日本に合わせたものか。しかしながら、メラメラと燃え上がるような情念をたたえた楽曲コンセプトに寸分のブレはなく。2話単位でJAMプロのメンバーがボーカルを交代する趣向にもしびれる。サビにあわせて紅みを帯びていく月をバックに浮かび上がる5人がクライマックス。

2015-12-03

[]ワンパンマン #09「不屈の正義」

脚本:鈴木智尋 絵コンテ川尻善昭 演出:吉沢俊一 作画監督亀田祥倫

【概要】

避難所に現れた深海王に恐怖する一般人たち。そこにジェノスが立ちはだかる。ジェノスは持てる能力を総動員して深海王に善戦するが、逃げる子供をかばって致命傷を負ってしまう。続いて無免ライダーが駆けつけたものの、C級に歯が立つはずもなく。今度こそ絶体絶命の状況にようやくサイタマが現れる。

【感想】

かなわないことを知りつつも果敢に深海王に立ち向かい玉砕した無免ライダーへのエールに冷水を浴びせるようなサイタマの圧倒的な力。強すぎて憎たらしいという次元ではなく、「インチキ」なるレッテルで可視化すらしてもらえないところにサイタマの空しさが重なる。常人レベルのトレーニングでありえない強さを身に着けた過去もサイタマの「インチキ」を示唆するもの。しかしながら、これまでに見せられてきた戦果の数々は間違いなくサイタマの実力であり、それは彼を慕うジェノスが誰よりも体現しているはず。そこで、B級に昇格したことによりサイタマに降りかかるであろう試練について言及したヒーロー協会審査員たちの思惑が気になる。サイタマの強さは(ジェノス以外の)誰がどのように定義するのだろうかと。

★★★☆

[]おそ松さん 第9話「チビ太とおでん」「恋する十四松」

脚本:松原秀 絵コンテ:神谷純、関谷真実子 演出:大野和寿、関谷真実子 作画監督窪敏、塚本歩、鈴木恵、沼田くみ子、松井啓一郎

【概要】

「チビ太とおでん」: チビ太の屋台にカラ松が一人でやってきた。仕事が決まらないカラ松の相談にのったチビ太は勝手に勘違いをして……。

「恋する十四松」: いつもは底抜けに明るい十四松の様子が明らかに変だ。外出した十四松のあとをつけたおそ松たちは驚愕の事実を知ることに。

【感想】

「チビ太とおでん」: 最後まで笑いのセンスが合わずじまい。6つ子全員を一度に相手にするほうがチビ太の持ち味が出るのではなかという気がした。

「恋する十四松」: 「異常に明るく、異常にバカ」(公式サイトより)な十四松のセンチメンタルな内面。最後の最後で落としてくるかとの予想が見事に裏切られた。どんなに深刻なときもバカをやって笑わせてくれる十四松。彼女はそんな誠実さ惚れたのだろうから、いつも変わらぬ十四松へのリスペクトと解釈。

★★☆

2015-12-02

[]ノラガミ ARAGOTO 第9話「糸の切れる音」

脚本:福田裕子 絵コンテ増井壮一 演出:中川聡 作画監督:藤巻裕一、関口亮輔

【概要】

夜トが姿を消して一ヶ月がたった。小福と大黒は高天原の「かむはかり」に出向くが、そこにも夜トの姿はなく。前回から間を置かずに開かれた「かむはかり」の目的は、妖を使役する術師が七福神にいるとの疑いからだった。その頃、夜トは野良の依頼にしたがい一人の術師を連れ戻すために黄泉の世界に踏み入っていた。そこにはイザナミなる恐ろしい主がいるという。

【感想】

腐れ縁の野良との関係を切れない夜トに、彼のことを忘れつつあるひより。夜トのために心乱さぬよう自制できるようになった雪音の成長をみると、再びバラバラになりつつある3人が何ともやるせない。妖の使役にこだわる恵比寿の内面がよく分からないので、夜トとの決闘におけるカタルシスは薄かったが、野良と共犯でごまかされた感じ。登場前からその脅威が強調されたイザナミのなまめかしい不気味さはハイライトのはずだったが、作画演出の低調で不発気味だった。

★★★

[]コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜 第9話「果てしなき家族の果て」

脚本:辻真先 絵コンテ:吉田徹 演出:孫承希 作画監督:稲留和美 メカ作画監督:横屋健太

【概要】

古美術店で暮らす6人家族。彼らには不死の超人の疑いがかけられていた。家族のひとりである畑山早苗の夫、稔は、神化16年における戦争でアメリカの捕虜になっていた。6人家族は稔に居場所を知らせるために不死をアピールしているようす。アメリカから帰還してくる稔と6人家族の再会を狙って保護しようと動く超人課だったが、そこにたもとををわかった爾朗が現れる。

【感想】

超人の常識すら超える不死の家族に自身の超人像を投影する爾朗だが、守護される必要がないイレギュラーをすべての超人に適用しようとは無理がある。ここだけ拾うと超人課のほうに分がありそうな気がするものの、爾朗が超人の自立を不死の家族に託したのであれば話は違ってくる。

不死の家族が自らそろっての死を選んだのは、終わることのない人生に空しさを感じたからに思える。生命の誕生は偶然の産物であるとの教師の説を受け入れられない森野シゲルに不死の家族にしかわからないであろう苦しみがにじむ。それでも死ぬことがかなわない彼らこそが超人にふさわしいと思いつつ、天弓ナイトのように使命に殉じて人々の記憶に残るヒロイズムのほうが超人らしいとも。それこそが超人課と爾朗の分水嶺なのかもしれない。

★★★☆

2015-12-01

[]Dance with Devils 第八幕「仮初のワルツ」

脚本:金春智子 絵コンテ・演出:清水久敏 作画監督:松下郁子、本多みゆき、高原修司

【概要】

四皇學園の學園祭が始まった。リツカはリンドとアズナに護衛されながら初めての學園祭を楽しむ。リツカはウリエ、メィジ、シキから夜のダンスパーティーのパートナーに誘われる。パーティーでは振る舞われたジュースに王冠が入っていた男女1組がキングとクイーンとして壇上で踊るとのこと。リツカが飲み干したグラスには王冠が、そして男子の王冠は……。

【感想】

困惑しながらもリンドとアズナの護衛を謹んで受けるアズナの穏やかな表情にホッとさせられる。リツカだけでなく転校してきたばかりのリンドにとっても學園祭は見るもの聞くものが新鮮な体験であり、二人を案内するアズナに先行してリツカを守護してきた献身がさりげなく伝わってきたのがよかった。

ダンスパーティーで選ばれたキングとクイーンという衆人が注目するシチュエーションでの二人は、現在こそ闇にまぎれているが世界の命運を左右しかねないグリモワールを示唆しているかのよう。作為のなかった偶然(王冠)による結びつきが、リツカとレムの宿命的な関係を予見させる。ミュージカルパートのパステル調の演出は、とまどいながらもレムにひかれるリツカの内面が感じられた。

だからこそ、その後にヴァンパイアという異物によってエクソシストたちを排除するかのような悲劇への暗転が際立つ。正邪とは別の次元でグリモワールは宙をさまよったまま。周囲の皆がそれぞれ嘘をついていることを知りながら、それでも真心をよりどころに助けを求めずにはいられないリツカの自分探しが重心になっている。

★★★☆

[]スタミュ 第9幕

脚本:渡邊大輔 絵コンテ平田豊、黒澤雅之 演出:稲本隆史 作画監督:遠藤大輔、石富結依奈

【概要】

綾薙祭公演に向けて稽古に励むteam鳳は次第にまとまりつつあった。しかし、柊たち華桜会に呼び出された鳳は、綾薙学園の伝統と品位にふさわしくないとの理由でteam鳳の綾薙祭出場停止を命じられる。そんな鳳の脳裏に柊との過去から現在がよみがえるのだった。そして鳳の選択は……。

【感想】

自由に遊びたい鳳の軽やかさとは対照的に、柊家の後継者として強制的に組み込まれてしまった柊の責務の重さがのしかかる。そんな柊の苦悩を知りつつも、チーム月皇そして華桜会と二度までも脱退の道を選んだ鳳は身勝手に思えるが、綾薙学園の伝統を崩さないことには前に進めない何かがあるのだろう。華桜会に加入した際に送ったエールのとおり、月皇遥斗は綾薙の伝統を守りつつ鳳のスタンスも支持しているわけだから、クライマックスではteam鳳とteam柊の競演による新しい可能性に期待してしまう。

オレンジジュースを使った遥斗から鳳と柊へのメッセージが形を変えて星谷たちに伝達されたくだりにうなった。バカをやってみせる星谷たちの目線になって自分もバカになってみせた鳳は、遥斗からの説教を自分流で教え子たちに伝えようとしている。これは想像するしかないが、遥斗による稽古も厳しさの中にいくらかの楽しさがあったのではないだろうか。鳳はそこを抽出して発展させようとしている、そう思いたい。

おそらくはかつての自身にインスパイアされてミュージカルの道を選んだ星谷の奔放さが、感謝という格好で鳳に返ってくるダンス指南の温かさに泣けた。回想における髪型からして鳳がteam月皇から脱退した前後だったと想像するが、自由を求めて雨の中を踊る姿に、ミュージカルにまったく縁のなかった星谷という金の卵が引き寄せられる運命。星谷の前で一心不乱に踊るかつての姿といい、今回の華桜会脱退の告知といい、降りしきる雨がひょうひょうとした表情を崩さない鳳が柊のために流す涙に見えた。

★★★★☆