大島芳樹のカリフォルニア日記

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2005-08-11

[][] SqueakFest 05  SqueakFest 05を含むブックマーク

久々のAlan Kay講演レポートではある。以下はおおむね大島による訳。「私」ははだいたいのところAlanを指します。

今日はめずらしくコンピュータを使わないでプレゼンテーションをする。SqueakFestではいろいろな実地演習があるので、いつも見せるような例は後で実際に試してもらえるだろうから。また、言葉は聞いた人の頭の中にイメージを喚起するから。TVは何を想像するべきか強制するのが良くないところである。

Squeakは、productivity tool(実用の道具)ではない。実用の道具は、地点Aから地点Bに一番効率よく進めるように作られるが、教育というものは、人を違う人に変える事である。

言葉の使い方も大きく発展してきた。印刷技術西洋世界を完全に違う世界に変えた。ただ、コンピュータが印刷技術のように社会的な変化を起こすとすれば、実際にそれが起こるころには我々は皆死んでいるだろう。印刷技術がグーテンベルクによって発明されてから人間の思考方法にまで影響が及ぶまでには150年くらいかかったのだから。

Deweyは一時アメリカを代表する思想家と言われて、Montessoriの"soul mate"とも言える人であった。彼の教育理論は一時広く受け入れられたが、結局忘れられた。Logoも同様に一時広く受け入れられたが、忘れられた。問題は、だいたい人口の10%の人々はアイディアそのものに興味を持ってなんでもやるが、80%の人々は、結局周りの人みんなが賛成しないとなにもやろうとしない。

手書きの本は現代の価値に直して2-3百万ドルの価値があった。宝石などがちりばめられていたが、それは宝石のほうが安かったからである。グーテンベルクの本は「事務員3人分の年収程度」と言われていたので、7万ドルから8万ドルくらいだろうか。まだ手書きの本を模倣することが目的だったのでありとあらゆるリガチャーや飾り文字の活字があり、赤い字(rubicated)も使われていた。この40年後に、Aldus Manutiusが「移動図書館」を作るために、12ポイントの本を作り、6インチ×9インチフォーマットを作り、大文字小文字の区別を作り、イタリックフォントを作った。この本はだいたい100ドルくらいだった。100ドルになると、なくしてもそれほどはがっかりしない。今は、プールの上にゴムボートを浮かべて本を読んでいるときに12歳の甥っ子がボートをひっくり返しに来て本がだめになってもそれほどがっかりはしない。ただ、ラップトップコンピュータはまだそこまで達していない。Nicholas NegroponteのNavy Testにはまだ通らない。

もちろん内容も重要である。新しい技術は、古いアイディアを自動化することに使われる。Webは軽い雑誌のようなものである。コンピュータが新しいアイディアのために使われるころには我々は死んでいるだろう。PARCDTPソフトを作ったときも、我々は誰もまじめにそれを使うようにはならないということを知っていたが、古いアイディアを自動化する例を作る、というジェスチャーをした。

人間は自然によって配線された脳を使っている。過去に獲得された知識を使って未来を決めようとする。ホメロスイリアッドは、もともと口承文化の産物だったものを後から書きとめたものである。ラップ音楽も、口承文化の繰り返しであるといえる。口承やレトリックでは90%の情報記憶のために使われていて、10%だけが内容である。書き言葉がこれを変えて、印刷技術がさらにこれを変えた。

100ドルラップトップコンピュータである。4年前にNegroponteは某社に行き、「第三世界用のコンピュータを作るべきである」と言ったが、追い出された。そのことに腹を立てて自分でやることにしたのがこのプロジェクトである。カンボジアなどでは、紙が高いし保存も難しいので、laptop computerのほうが安いといえる。 iPodは60GBのハードディスクを持っているが、一冊の本が2, 3MB程度の情報量なので、30000冊くらいの本がiPodに入る。そうなると、ほとんどコスト無限に安いようなものである。ビジネスの人は、会社を成長させないとWall Streetから評価されないのだが、成長のためには第三世界に伸びていくしかない。そう思うとこのプロジェクトは必然のはずなのだが、ビジネスの人はわからなかった。

HDLTプロジェクトには、には最近タイが参加を表明した。ブラジル中国も参加する。ポータブルDVDプレイヤーが$122で売られているがこれからDVDを取り除いてキーボードをつけて、記憶装置を付ければ、目指すものに近い。$122ドルのうち$42はディスプレイ装置である。安いハードディスクは$40くらい、フラッシュメモリーは$15くらいである。ソフトウェアはただのものを使わなくてはならない。中国における支配的な見方は、コンピュータ教育の役には立たないというものである。先生カードをぱっとみせてそれを覚えさせるのが普通のやり方なので。アメリカでは、多くの地域でラップトップが導入されはじめている。第三世界では小学校先生の典型的な教育レベルは小学校卒業程度である。

オーバーラッピングウィンドウアイコン子供のために発明されたものである。本当のコンピュータ使いは7000とかあるUNIXコマンド記憶していることを誇りにする。アメリカの典型的な先生教育レベルは、その調査をすることを組合が拒むので難しかったりする。

第三世界にはそういうしがらみがない。子供に直接アプローチして新しいことができる。1516年までは本にページ番号を付けるという考えはなかった。次のページの最初の2語を前のページの最後に書いておいて、ページの順番を確認していた。ページ番号は、順番付けのためではなく、新しい議論の方法を発明するために、自分の本の中で前に行ったことを参照するための簡単なハイパーリンクをするのが動機だった。

60年代から子供コンピュータを大好きになる、ということは発見されていた。なぜか子供コンピュータを本当に大人がやるかっこよいことだ、と本能的に理解する。5歳児のナルシズムは、彼自身を世界の中心だと思わせる。これは、宇宙のどこにも(0, 0, 0)の点がないのと同じで、局所座標を使っているという言い方ができる。この事実を使って、局所座標だけでプログラムを書くようにすれば、子供でもプログラムができる、というのがLogoの発見だった。

円も足し算だけで書ける。微分幾何学は、たまたま今の科学が良く使う数学の形態でもあるので、最初から微分幾何学をはじめることができるはずである。

子供に本読みの習慣をつけるだけでも難しいことである。が、それを避けて簡単なことだけをさせていては、結局新しい"air guiter"文化を生むだけである。子供は楽しくやって、ちょっと音楽っぽいことをやっているつもりにもなるが、実際には何もしていない。特に、先生が何も微積分について判っていないときは、子供air guiterをさせてしまいがちである。Julia Nishijimaのようなすばらしい先生が必要である。第三世界のほうが、このサイクルを打ち破るのが簡単であろう。

アメリカでは、人口の1%だけがエンジニア学者や医者である。ただ、産業革命が起こってはいる。インドも同じように一部の高等教育を受けた人がいるが、産業革命は起こっていない。アメリカ産業革命の起こった第三世界である。世界の問題は70%の人が飲み水に不足していることと、女性教育である。HDLTは新しい考え方をもたらす。

Squeakの使われ方を世界で見れば、共通して言えるのは子供が楽しそうにしていれば大人は楽しいということである。子供コンピュータを使って何かしている!我々の未来は明るい!というように。が、実際にはアニメーションを作って、物語を作っているだけであることが多い。アメリカ憲法は、言葉で説明するのはとても難しい。お話の形にしてもこれ以上退屈はできない、というくらい退屈なものになるだろう。が、大事なのはその原理である。これは物語の形にはできない。

科学は物語では説明できない。これが根底である。旅行からだんなが帰ってきたとき、奥さんが喜べば「不在が愛を強くする」ということわざが使え、喜ばなければ「心はいつも一緒にいる」ということわざ(?)が使える。お互いに矛盾していても、誰もおかしいと思わない。Solonは、アテネの町中に知られている警句を掲示したのだが、みんな矛盾した警句を見てびっくりしたが、物語の世界では矛盾した話があっても問題はない。違う映画を見れば矛盾だらけである。劇場というのは60歳の人が27歳の役をやって、照明を暗くしたりして、これ以上人工的にはなりえないくらい人工的だが、劇場の仕組みは観客の知性を反射して返す鏡のようなもので、人々は涙を流すことができる。TVのような悪い劇場は、観客に物事を忘れさせるようにする。

理屈は危険である。頭の中で考えたことと実際の世界をつなげなくてはいけない。大体の「常識」は間違いである。BrunerのMACOSは五年生に文化人類学を教えるすばらしいカリキュラムだったが、危険視されてBrunerは一時アメリカから逃げなくてはいけなかった。ルター牢屋に入れられたとき、神と人々の間にある教会などをバイパスできればよいと思い、人々が自分で聖書を読めるようにすれば良いと思った。人々皆にラテン語を教えるか、聖書ドイツ語に訳すかという選択肢があったが、当時のドイツ語方言だらけだったので、まずラテン語のような一貫性のある文法を持ったドイツ語発明し、それに訳した。ルターはすばらしいユーザーインターフェイスデザイナーであったと言える。強力なアイディアを同定して、それが実世界で何をできるかを考えなくてはならない。

(Q&Aから)若い子供には、物語と論理を混ぜておくのは良いことである。そもそも興味を持たせるようにするだけでもその子供を変えることになる。どんなアメリカスラムであっても家にはテレビがある。

HDLTが失敗したとしても、既存の会社の多くが揺すられる。ブラジル人が、AIDS薬をリバースエンジニアリングしたら、大きな製薬会社は結局彼らのAIDS薬の価格を下げた。ビジネスの人は価格決定について判っているわけではなく、結局外的要因に対応しているだけであるので(面白いことが起こるはず)。

[] SqueakFest '05  SqueakFest '05を含むブックマーク

Columbia College of Chicagoメンバーによる、幼児教育に関する同じ内容のパネル。今日は、ちょっと質問をしてみました。

次は、AndreasによるTweakの紹介。categoryの紹介。ColorHolderとかdurationとか。

山宮さんに代わって、Bookの紹介。リアルデモだけに、作ったアニメーション

をいきなり消してしまった山宮さんであった。

最後にIndiana University, Pervasive Technology LabのRandy Heilandによる、自然の中にある数学をeToysを使って説明する、というカリキュラムの紹介。これは、彼がやりたいことになってしまっていて、生徒が付いてこられるやり方になっていたのかちょっと疑問ではあったが、とってもがんばっていた。

[] OYSY Sushi  OYSY Sushiを含むブックマーク

去年に続いて皆さんと行ってみました。ご飯に芯があり、マグロの鮮度にもちょっと疑問が出るような感じでした。いまいち。

young Squeakerの方々は変わり種寿司をたくさん頼んでいましたが、あまりの変り種度に敗北している人も多し。

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