#6 あっせんでの丁々発止、そして終結!
さて、いよいよあっせんが行われる日になりました。
その場では次のようなやりとりが行われましたようです。
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あっせん委員:申請人は給与改定について正当性がないと主張している。就業規則には明確に減給に関する記載がない。もし仮に勤怠状況の不良を理由とした減額であっても今回は大幅過ぎる。
D社:給与の減額については、本人の仕事ぶりを客観的に評価した結果を反映させたものです。
当社はまだ創業より間もない会社で徐々に制度を確立していっている段階ですが、前期より全社員に説明を行い、目標に対して結果はどうだったのかにより給与を改定するというシステムに変えました。
社員全員に周知していることであり、給与は上がった人も下がった人もいますが、それについてはみな当然のことと認識しています。
あっせん委員:懲戒による減給であれば労働基準法に減額幅の制限があるが、給与の改定が業務内容や能力などを査定した人事評価の結果であり、それが人事権の濫用にあたらなければ問題ない。
ただし、申請人が言うように基準もなしに行われているのであれば、説明がつか
ない。
D社:確立された給与テーブルを公表して、それを基準に改定しているわけではないが、各職位に応じた業務内容とそれに対応する給与のレンジは内規で決まっています。
Uさんの採用当初はリーダークラスを想定していたが、実際にその業務内容を任せることはできず、現時点では一般スタッフの中でもかなり低いランクにいると評価をせざるをえません。
あっせん委員:本人は、勤怠状況について何度か注意されたことは認めているが、日頃から厳しく言われていたわけではないと言っている。
また業務に関しては重要度が高い仕事にも関わっていると主張している。
D社:勤怠状況が悪いのももちろんだが、業務内容についても評価は低いです。
採用当初本人との話し合いで課したミッションについて結局一人立ちできず、他の担当に異動させました。
それで任せた仕事も要領が悪く、結局他の者が兼任で行ってしまった方が早いという報告が出ています。
こちらの評価資料をご覧ください。
あっせん委員:・・・・・
本人からは帰郷費用を負担して欲しいとも言ってきているが、それはともかく給与について一部分だけでも妥結できないだろうか。
D社:妥協できません。
あっせん委員:わかりました。それでは決裂ということですね。
申請人にはこの後、労働基準監督署からの働きかけや裁判などの方法があることを紹介する義務があるので、その件はご了承ください。
今回の件は、たとえ申請人が労働基準監督署に相談に行っても微妙な案件なので、おそらく結論は出ないでしょう。
(と言って、あっせん委員は申請人に結果を通知しに行く)
(戻ってきて)
あっせん委員:申請人は、欠勤や遅刻による不就労部分は給与から控除されていて、今回の減額は二重の懲罰行為になると主張している。
また、自分の働きぶりについては悪かった面もあるかもしれないが、今回の減額には納得していないと主張している。
こちらからは、相談窓口は労働者の味方となる立場から助言をしてくれるし、インターネットには自分には有利にとれる情報が載っているかもしれないが、それらは必ずしも法的に正しいとは言えず、甘い考えは捨てた方がいいと言ってある。
本人は、簡易裁判を使って裁判をしたいと言っている。
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あっせんは、このような流れで終了しました。
この後、本人はD社を退職して実家に帰省したようです。
会社に対し、ちょこちょこ捨て台詞のようなことは吐いていたようですが、この後何も具体的な行動を起こすことはありませんでした。
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#5 あっせん開始通知書が届いた!
D社の社長とTさんは、Uさんと面談して、なぜ評価が低く給料を下げざるを
えないのか、内容をまとめた書面を提示して説明しました。
Uさんは不服そうながらも、その場はだまって帰っていきました。
後でわかりましたが、Uさんの面談での目的は、その書面を入手することであり、
その書面を手がかりに攻撃をしかけてくることでした。
しばらく経って後、Tさんから以下のようなメールが届きました。
┌────────────────────────────────┐
岩沢様
お世話になります。
以前よりご相談させていただいているU氏の件、添付の書面が届きました。
今件、あっせんに応じるべきか否かを含め、ご相談させてください。
D社T
└────────────────────────────────┘
添付ファイルを開くと、「あっせん開始通知書」でした。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」により「紛争調整委員会による
あっせん制度」が設けられています。
Uさんがこの制度により紛争解決のあっせんを申請したようです。
この制度は、労働者・使用者という紛争当事者の間に第三者(あっせん委員)が
入り、双方の首長の要点を確かめた上、紛争を解決する具体的なあっせん案を
提示する等して、当事者間の話し合いを促進することにより、自主的な解決を
図る制度です。
あっせん案は、その受諾が強制されるものではありませんが、当事者間であっせん
案に合意した場合は、民法上の和解契約の効力を持つことになります。
費用がいっさいかからないということと、基本的にはその場で合意か打ち切りが
はっきりするので、時間もかからないという特徴があります。
あっせんの手続に参加するのも参加しないのも自由です。
あっせん案に双方が合意しないことも、もちろんあります。
Uさんが申請したあっせん申請書の内容を見ると、
「賃金は労働契約における重要な要素で、私の同意なく不利益に変更することは
できないはずである。会社から提出された『査定について』の記載には減給の
理由として勤怠の不良が挙げられている。これは懲戒のうちけん責処分が適用
されなければおかしい。減給処分に納得できないので、減給相当分、慰謝料、
帰郷生活資金の支払いを求める。」
というものでした。
Tさんから電話がかかってきました。
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Tさん:岩沢さん、先ほどメールした件なんですが、このあっせんに応じなか
ったらどうなりますか?
岩沢:このまま立ち消えになってくれればいいんですけどね。そうでなくUさん
があくまで会社に対して事を構えたいというのであれば考えられるのは、例えば
労働組合に加入して団体交渉を申し込んでくるということでしょうか。
もしくは、いきなり裁判というのも考えづらいですから、まずは労働審判の申し
立てをしてくるか、そんなことが想定できますね。
Tさん:なるほど。実際あっせんに参加した方がいいのでしょうか?それとも
参加しても意味はありませんか?
岩沢:参加しなくても問題はありません。参加することのメリットは、こちら側
が、きちんと問題を解決する姿勢を持っているということを示せること。
そして、この先どう進むにしても、ある程度相手の手の内も把握することができ
るのはいいことですし、Uさんに主張するだけしてもらって、言うだけ言っても
うまくいきそうにないという印象を抱かせることができるなら、この後何も言って
こなくなる可能性はありますね。
Tさん:そうですか。では参加するだけして、しっかりとこちらの主張をして
こようかな。
岩沢:はい、それも一手だと思います。こちらは今までの主張をあらためて
述べていくだけの話ですから。こちらの主張は仮に法廷で争うことになったと
しても、そうそう負けることはないと思いますし。
そんな話を経て、D社はあっせんに参加することになりました。
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#4 降給の理由を本人に明示!
さて、しばらくしてTさんから文書の原案が届きました。
Uさんの問題行動については、できるだけ多くの具体的事例を載せられた方がいいですし、「こちらからは彼が不適切な行為をあらためるよう何度も働きかけたけれど、結果として改まらなかった」という流れに持っていけるとよいので、以下のような事実確認の問い合わせをしました。
【勤怠について】
・欠勤や遅刻について、事前に連絡のないものや連絡方法として不適切なものはありましたか?
・遅刻、欠勤によって業務に支障をきたしましたか?
・勤怠についてどなたかから注意をしましたか?その結果として彼の行動は変わりましたか?
【ウェブの閲覧について】
・今回の査定期間中にも不適切な閲覧があったのですか?
・上司が注意した結果、彼の行動は改まりましたか?
・他の従業員への悪影響はありましたか?
【意欲や意識について】
・新卒レベルと同様であると判断せざるをえない、具体的な行動はどのよなものでしたか?
・この件について誰かから注意しましたか?
その結果彼の態度は改まりましたか?
その後Tさんから返信があり、ウェブについては現場を押さえて注意したわけではないので、今回の書面からは省くことにして、以下の通り書面にまとめました。
┌────────────────────────────────┐
○年○月○日
○○部
U殿
D社
代表取締役○○
査定について
○年○月○日から○年○月○日の期間中における貴殿の査定結果は、以下の
理由により決定されています。
記
1.勤務状況の不良
貴殿は査定期間中において、欠勤が7日、遅刻が20回、しかもその遅刻の大半
は午後になってからの勤務であって大幅な時間遅れて出勤しています。
体調不良等の事情はあったにせよ、所定労働日の2割強も正常な勤務ができない
という状態では、業務上大きな支障が生じており、重要度の高い仕事を任せる
ことができず、会社としては大きな問題であると認識しています。
勤怠の状況を改善して欲しいということは、半年前の査定においても通知し、
その後も担当役員や上司からたびたび注意を行っていましたが、未だに改善
されていません。
しかもその理由は「寝坊」「寝過ごし」などが大半を占め、社会人としての
良識に欠けていると判断せざるを得ません。
2.事業への貢献度の低さ
貴殿に査定期間中に求めていた目標に比べて、実際の成果は著しく低いと判断
しています。
また、日頃の言動においても、事業目的を達成するために貢献しようという
意識が著しく低いと判断してます。
以 上
└────────────────────────────────┘
後日面談が実施され、社長とTさんから降給について(査定について)、この書面をもってUさんに説明してもらいました。
Uさんは納得がいかないようでしたが、とりあえずこの書面をもって帰っていったようです。
あとから考えれば、このときのUさんの目的はこの書面を手に入れることであって、この面談で自分の考えを主張することではなかったのでしょうね。
今件、当然このままで終了するはずもなく・・・
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#3 理由を書面にしろと要求してきた!
しばらく経って、Tさんからメールが届きました。
┌────────────────────────────────┐
HMパートナーズ 岩沢様
お世話になります、D社のTです。
目下社員と面談を行っている最中ですが、肝心のUは本日休んでいて、
「降給の理由を書面にしてほしい」とのメールが入っています。
また、おそらくどこかで相談していると思うのですが、不利益変更は認めら
れないとか、新しい条件を記載した雇用契約書の提示がなされていないとか、
色々なことを言ってきています。
どのように対応するべきでしょうか?
また、明日Uが出勤したら面談を実施する予定ですが、もしよろしければ
岩沢さんにも入っていただけないでしょうか?
ご検討をよろしくお願いします。
D社T
└────────────────────────────────┘
なるほど、そうきましたか。
勤務態度が悪く、仕事で結果を残せない、会社に対して給料に見合った貢献をしていない・・・
自分が果たさなければならない義務については棚に上げて、相手に対して権利ばかり要求する。
こういう人は往々にしてそうなんですよね。
そこで、次のように返信しました。
┌────────────────────────────────┐
D社T様
お世話になります。
給与改定の際に理由を記した文書を交付しなければならないという義務は
ありません。
もちろん、雇用契約書を提示する必要などありません。
ただUさんの場合、口頭だけではうまく伝わらない可能性がありますので、
今回は書面で明示するのも良いと思います。
文書にするとそれを外部に持ち出されるかもしれませんが、それを恐れて
いては先に進めませんので、どこに出されても恥ずかしくないものを作成
しましょう。
まずはTさんが内容のとりまとめをして、私に送っていただけますか?
拝見して添削させていただきますので。
なお、面談に私が同席するのはやぶさかではありませんが、おそらくUさん
は第三者が入ると態度を硬化させるので、今回は同席しない方がいいでしょう。
もし面談を仕切り直ししなければならないような状況になったのであれば、
次回からは同席させていただきます。
では、まずは文章の送付をお願いします。
HMパートナーズ 岩沢
└────────────────────────────────┘
こうして、文章をまとめる作業を開始しました。
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#2 給料を下げざるをえない理由!
Tさん:では、この下げ幅だといいとかダメとかいうことではなく、給料を下げるにあたって、きちんと理屈が通っているかどうかということなんですね。
岩沢:そうです。
御社の人事制度は今どのような形で運用しているのですか?
Tさん:半期ごとに目標を設定して、その達成度合いに応じて給与の改定を行っています。
評価基準が明確になっているわけではないのですが、おおまかにどのレベルの仕事を任せられるようになったかで改定額を決めています。
岩沢:なるほど。では、大体このくらいの仕事ができるのであれば、他の社員との比較感で、いくらからいくらという取り決めはあるのですね。
Tさん:はい、あります。
岩沢:であれば、その部分をきちんと理論武装していれば大丈夫そうですね。
ちなみに、Uさんの降給の理由はどういうものだったのですか?
Tさん:勤怠が悪く欠勤や遅刻が多かったこと、そのため仕事を任せることができなかったこと、それから会社に貢献しようという業務意欲がほとんど感じられないといったことでしょうか。
岩沢:そうなんですか。
Tさん:あと、周りの社員から、就業時間中に業務と関係のないウェブサイトをのぞいていたというクレームもあったみたいです。
岩沢:そうですか。結構問題社員だったんですね。
ちなみに、Uさんの改定後のグレードはどれくらいの想定なのですか?
Tさん:新入社員と同等のグレードです。
岩沢:Uさんにも何年かの社会人経験はありますよね?
新入社員と一緒でいいのですか?
Tさん:いや、任せられる仕事があまりないのですが、そうも言っていられない
ので、何とか見つけて簡単な仕事を任せていたのですよ。
ところが、それすらもなかなかあがってこないですからね。
ハッキリ言って新入社員以下なのですが、これより下がないのでこのグレードにしたということなんです。
岩沢:・・・そうですか。では、仕方がないかもしれませんね。
あとは伝え方でしょうか。
今回の給与改定の結果は、上司に伝えさせたとおっしゃっていましたよね?
Tさん:はい、そうです。
岩沢:上司からだけではなく、社長や人事担当のTさんも一緒に入って面談をして、きちんと伝えた方がいいのではないでしょうか?
今回の件にしても、Uさんの直属の上司が会社が言わんとするところをうまく伝えられているでしょうか?
Tさん:多少の食い違いはあるかもしれません。
岩沢:御社はまだ若い社員が多く、管理職にしてもまだ学んでいくべきことが多いのではないかと思います。
少なくともしばらくは、Uさんだけでなく社員の方全員に対して、トップ主導で会社の考えを直接社員に伝えた方がよいのではないですか?
管理職が育ってきたら、徐々に委譲していけばいいわけですから。
Tさん:そうかもしれませんね。
岩沢:やはり面談は大事ですよ。単に給与改定の結果を伝えるだけのものではないですから。
その社員の仕事ぶりを会社としてはどう考えているのかを伝えたうえで、次期に良いところを伸ばし悪いところを改善していくにはどうしたら良いのか作戦会議をしていく場ですからね。
最近会社と社員との間に距離が感じられるともおっしゃっていたではないですか?
この際にフェーストゥーフェースで腹を割って話をして、会社と社員のベクトル合わせをしてみてはいかがですか?
Tさん:わかりました。その方向で検討してみます。
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そう言ってTさんは帰っていきました。
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#1 給料減額の可否は?
ある日、顧問先D社の人事ご担当者、Tさんからメールが届きました。
曰く「今回の給与改定に伴い、社員と問題が生じています。給与改定の手続に問題点がなかったかどうか、お伺いしてご相談したいのですが、お時間をいただけないでしょうか?」とのこと。
(D社は、社長の人柄もあり、どちらかといえば社員に対して厳しい姿勢を求めることはあまりしない、やさしい社風であると認識していたので、少々意外な感じがしました。)
それは大事なことですので、早めに時間を調整してお話しを伺うことにし、メールの翌日に私どものオフィスにお越しいただくことになりました。
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さて当日、Tさんがお見えになりました。
Tさん:お世話になります。お時間をいただいてすみません。
岩沢:いいえ。どうぞおかけになってください。
Tさん:早速ですが、相談に乗ってください。
ご存じの通り、先日当社では給与改定を行いました。その結果を直属の上司が面談して伝えたのですが、社員のUさんがとても不満を持っているようなんです。
岩沢:なるほど。どういうことなんですか?
Tさん:Uさんの場合、給料をかなり減額しました。金額にして5万円以上、率にして20%強です。この措置自体、何か法律的に問題はありますか?
岩沢:懲戒による減給処分については、労働基準法第91条に定めがあります。
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(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
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今回のお話しは、懲戒ではなく、対象期間中の仕事ぶりを評価して、その結果として降給したということですよね?
この場合、その降給が客観的に見て妥当性があるかどうかが問われます。
まずは、会社と労働者の間での契約がどうなっていたのか?給料についてどういう約束をしていたか?ということです。
給料が減額になることが予見できないような状況においていきなり下げてしまったら、それは約束違反ということになり、いわゆる不利益変更の問題になります。
そうではなく、人事制度により評価の基準や給与改定のルールが決まっていて、そのルールに則って給与改定が行われたということであれば、元々その基準により給料は上がるかもしれないし下がるかもしれないという約束だったということになりますので、問題はありません。
それ以外のケースであれば、例えば人件費に手をつけないと会社の経営が傾いてしまうとか、仕事の内容が大きく変わってその内容に見合った給料に変更したとか、降給するのに十分な理由がある場合は認められることがあります。
Tさん:なるほど。では、この下げ幅だといいとかダメとかいうことではなく、きちんと理屈が通っているかどうかということなんですね・・・
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#14 ついに決着!!
X社に対して、Aさんが管理監督者には該当せず未払い賃金が存在していことについては絶対に譲れないこと、そして(問題を早期解決できるのであれば)未払い賃金の減額については話に応じてもよい旨、メールで連絡しました。
どうやら、X社からその回答が届いたようです。
┌────────────────────────────────┐
title:回答が来ました
岩沢さん
桜がちらほら咲き始めていますね。
でも、夜はまだ寒いです。
先程、以下の通り会社からメールが来ました。
「割増賃金として」お支払いいただけるようです。
この内容でお受けしようと思います。
返信する際に、何か注意する点や、確認した方が良いことがありましたら
教えていただけますでしょうか?
宜しくお願いいたします。
A
「Aさん
割増賃金を1ヶ月12万円として4月〜7月の4ヶ月分、合計48万円を別途
支給するということでいかがでしょうか?
3月については、お約束通り全日有給の特別休暇扱いとし、33万円を
お支払いします。
こちらの条件でお受けいただけないでしょうか?
J 」
└────────────────────────────────┘
Aさんがこの条件で満足しているのであれば、何ら異存はありません。
以下のように返信しました。
┌────────────────────────────────┐
title:Re:回答が来ました
Aさん
話がまとまりそうでよかったですね。
ここまできたら、特に注意する事もないと思います。
あとは、お互いが気持ちよくお別れできるようにしてください。
HMパートナーズ 岩沢
└────────────────────────────────┘
Aさんからはこのような返信がきました。
┌────────────────────────────────┐
title:Re:回答が来ました
岩沢さん
わかりました。
ありがとうございます。
そのように致します。
A
└────────────────────────────────┘
予想していたよりは、早く決着がつきました。
Aさんが納得できればそれが一番です。良かった・・・
おそらく、会社側に専門家がついていたからこそ、問題を荒立てることなく決着をつけることができたのではないかと思います。
社長と取締役だけだったら、法的に自分の置かれている状況を、理性を持って判断できずに、決着がつくまでかなり荒れたでしょうね。
矢面に立つのはAさんですから、彼女が費やさなければならない手間や時間及びストレスにさらされる度合いと、獲得できた成果とを比較して、一定程度満足のいく結果を得ることができた言っていいでしょうか。
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