所沢市大字所沢字川越道西


発見日:‎2016‎年‎9月4日
発見場所:所沢市弥生町付近

所沢市大字所沢はかつては西武新宿線所沢駅航空公園駅新所沢駅の辺りまでをカバーする広い区域であった。それが1960年代から徐々に住居表示実施あるいは町名地番変更され、新しい町となっていった。1986年(昭和61年)に最後に残った区域が町名地番変更され「くすのき台」となり、大字所沢は消滅した。今回紹介するのは、1973年(昭和48年)に町名地番変更されて弥生町になった区域で発見したものである。

注目すべきは「字川越道西」である。通常良く見る小字名とは異彩を放っている。

そもそも字とは、江戸時代以前は町村より小さな土地の区画の単位であった。明治時代に地租改正が行われ、従来の字が整理統合され、新しい字となった。明治の町村合併により、旧来の町村名が大字となったため、それと区別するために小字とも呼ばれる。

この字の整理統合の際に、旧来の字から名前を引き継いだケースも多かったが、新しい字名が作られることもあった。中には機械的に「イロハ・・・」「甲乙丙・・・」などと名付けられることもあったという。今尾恵介「地名の楽しみ」によれば、清瀬市大字上清戸には「所沢道西」「所沢道東」「下田道西」「北中通西」「東京道東」・・・のように「道名+方角」で命名された小字が多く存在するらしい。所沢は清瀬と地理的に近いため、同じ命名法が使われたのかもしれない。