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高度に発達した気遣いは、気違いと区別がつかない このページをアンテナに追加

srpglove

2016-11-24

[][]「ホノブーの氷菓ラノベなんかじゃないブー」

数日前、米澤穂信の青春ミステリ小説「古典部シリーズ」の第一作、『氷菓』の実写映画版のメインキャストが発表されました。

山崎賢人と広瀬アリスのW主演で「氷菓」実写化 - 映画ナタリー

実写化自体は以前から告知されていましたが、やはり「顔」となる俳優は多くの人が気になるらしく、ツイッターなどではこの話題で盛り上がっているようです。

その中には、えるたそ/ホータローはこんなのじゃない!なんでもかんでも安易に実写化するな!といった、まあ、実写化(に限らず他メディアへの展開)にはつきものな反応も当然あるのですが、それに対して、

氷菓古典部シリーズ)はアニメ原作ではないし、原作小説は元々ラノベではなく(イラストのない)一般文芸なのだから、二次元オタクコンテンツの実写化のような騒ぎ方をするのはおかしい*1

というような苦言?がちらほら見られました。

なるほど一理あるかもしれません。

たしかに、古典部シリーズは2012年に『氷菓』のタイトルでTVアニメ化されており、その際には文庫版のカバーもアニメ仕様になっていた*2ものの、これはあくまで一時的なキャンペーンです。


文庫版のレーベル角川文庫であり、通常の表紙は特に(アニメ・マンガ的な)人物イラストも使用されていない風景写真である以上、内容的にキャラクター性が強くとも、現在の古典部シリーズを無条件に「ライトノベル」とすることは難しいでしょう。

この意味では、上記の指摘は妥当であると言えます。イメージが崩れるもなにも、その「イメージ」は原作小説から派生した作品のものであり、同様に今回の映画もまた、元を同じくする別作品のひとつである以上、アニメとの違いを理由に批判するのはお門違い。至極真っ当な意見です。

が、「古典部は元々ラノベではない」という点についてはどうでしょうか。

古典部シリーズの一作目である『氷菓』は、角川書店ライトノベル新人賞である角川学園小説大賞で奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫(言わずもがなですが角川書店ライトノベルレーベルです)のサブレーベル、スニーカー・ミステリ倶楽部から刊行されています。これが、米澤穂信のデビュー作となります。

http://image.yodobashi.com/product/100/000/009/000/115/436/100000009000115436_10204.jpg

続いて、二作目の『愚者のエンドロール』も同様にスニーカーから出ていますが、残念ながらシリーズはそこで一旦打ち切りに(スニーカー・ミステリ倶楽部自体が休止)。

http://wing-auctions.c.yimg.jp/sim?furl=auctions.c.yimg.jp/images.auctions.yahoo.co.jp/image/ra183/users/6/9/1/7/jsbar_gintonic-img450x600-14675361398hg5pm17909.jpg

その後いろいろあって、三作目の『クドリャフカの順番』が、一般文芸の単行本として刊行されたことによりシリーズが再開。これに合わせて、一作目と二作目が角川(スニーカーじゃない)文庫に収録される。というのが大体の流れです。


まあ、スニーカー版愚者はイラスト担当が高野音彦だからともかくとして、スニーカー氷菓の表紙は登場人物イラストとはいえ五作目の『ふたりの距離の概算』の単行本版と同程度かそれ以上にあんまり「ラノベっぽくない」など細かい問題はありますが、ラノベレーベルであるスニーカー文庫が初出である以上、少なくとも「かつて古典部シリーズはラノベだった」というのは間違いないと言っていいでしょう。


念のために言っておきますが、これはあくまで「かつて」の話です。この情報が即、(現在の)古典部シリーズがラノベかどうかを完全に決定するわけではありません。ただ、こういった経緯、大げさに言えば「歴史」を踏まえた上で「氷菓ラノベじゃない」と主張するのと、知らないままに言い切ってしまうのでは、やはりちょっと違うのではないでしょうか。

何かを知らないこと、それ自体は仕方がありません。どんな人間でも常にどこかには欠けている知識があるものです。しかし、ついついこんなことも考えてしまうのです。「氷菓ラノベじゃない」と言う人々の一部が古典部ファンでありながらこれまでスニーカー時代のことを知らずにきたその理由には、もしかしたら、ライトノベルに対する何らかの感情、あるいは世間の空気が関係しているのではないか。そしてそれは、ラノベに限らずもっと大きな「歴史」についても言えるのではないか、と。


自分の考え過ぎだといいんですが。ああ、細かいことが気になってしまう僕の悪い癖!*3

そんな辛気くさい話より!映画の公開に先がけて!6年ぶり!古典部シリーズ待望の新刊!『いまさら翼といわれても』が、遂に11月30日に発売になるそうです!いやー楽しみですね!では皆さん、良い省エネライフを(^^)/~~~(自分は、さし当たって読む予定はありませんが)




(ほしいものリスト)

http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/9S6BGQY6R7A2

*1:余談だが、この件でもやはり「一般文芸」の意で「小説」「純文学」「文庫」などの単語を使う例が見られた。詳しくはこちらを参照。 「ラノベ」と「小説」と「純文学」とYシャツと心強さと - 高度に発達した気遣いは、気違いと区別がつかない

*2:正確には「文庫サイズの大型帯」という扱い。

*3水谷豊の声で読んでもらいたい。

ranobeprincessranobeprincess 2016/12/02 12:10 >、ラノベレーベルであるスニーカー文庫が初出である以上、少なくとも「かつて古典部シリーズはラノベだった」というのは間違いないと言っていいでしょう。

「ラノベレーベルから出ている」は「ラノベである」の必要条件かもしれないけど十分条件じゃない。以上。

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