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――世の中、シロクロつけられることばかりですか?

2007-08-19 信じるものは救われる!?

あなたは『水は答えを知っている』(江本勝 著)という本を知っていますか。

私は、『金曜日のスマたちへ』(TBS系放送)の企画で、倖田來未の女子高校生向け臨時授業で紹介していたことがきっかけで、この本を手に取ってみた。

この本には次のような内容が書かれている。

コップに入れた水を二つ用意し、それぞれ「ありがとう」、「ばかやろう」と書かれた紙を張り、凍らせる。すると、「ありがとう」を貼りつけた水からは、美しい六角形の結晶ができるが、「ばかやろう」を貼りつけた水からは、形が崩れた汚い結晶ができたり、結晶自体が作られなかったりするという。

江本勝は“人の体は七割が水分でできている。つまり人は水なので、よい言葉を使うようにしましょう”と説く。「愛と感謝」世界を変えていくのだ、と。

倖田來未も芸能人が綺麗なのは、周りから「かわいい」、「美人」など、いい言葉をたくさん投げかけられるからだと言っていた。

合点!してしまった私は、身体の水をきれいにするよう心掛けた訳である。

ところが、今年に入ってから、この江本勝の主張をエセ科学だとする本が出版された。

その名も『水はなんにも知らないよ』(左巻健男 著)。

“無機の物質である水が言葉や音楽に反応するというのは考えられない”とのこと。どうやら『水は何にも知らないよ』で紹介されていた事象は、実験のやり方も大雑把で、温度も水蒸気の量も一定でないそうだ。水を凍らせるといろんな結晶ができるので、観察者がきれいな結晶を探せば見つかるだろうという。水が言葉を理解するということは荒唐無稽な話で、ニセ科学の典型的な例だと痛烈に批判している。

筆者は著書の中で、水に関わる他のエセ科学を紹介。それらを容易に信じてしまう日本人の科学リテラシーの低さを嘆いている。

『水は答えを知っている』は、道徳的に有効な説のため、教員団体(教育技術法則化運動「TOSS」)が飛びついたこともあり、学校教育の場にも広がった。筆者は、子どもたちに間違った科学知識が植えつけられることに危機感を覚えている。

さらに、科学的根拠がないにも関わらず、江本勝の団体が波動商売を行っていることは、如何なものかと思われる。

と言いつつ、御多分に洩れず私も、科学っぽい装いにだまされ、ホイホイと信じてしまった。科学リテラシーは、皆無である。

しかし、やはり汚い言葉を聞くと、イヤな気持ちになる。その言葉が自分に対してでなくても、不快になることは誰にでもあるはずだ。

逆に、綺麗な言葉や音を聞いていると、心が安らいでいく。

もちろん『水はなんにも知らないよ』の著者も、この原理は否定しないはずだ。

科学的な根拠がなくてもいい。きれいな言葉や音楽で、自分の心に流れる「水」が、浄化されると信じたい。信じるものは救われる、というのだから。

(敬称略)

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