太陽の塔 / 森見登美彦 / ★★★★☆

太陽の塔

太陽の塔

日本には変態の集う大学がある。変態の素質を持った学生が自然と集まり、彼ら彼女らはすべからく一人前の変態へと成長を遂げて卒業する。そんな変態大学の頂点に経つのが京都市左京区にある京都大学である。かくいう私も一人前の変態となるべく京大を目指したが見事に玉砕した。その結果、中途半端な変態として今に至る。くそ。


ということで変態大学の頂点に立つ京大の中でも随一の変態度を誇る農学部の中でも変態を極めた主人公のおはなし。非モテ理系男子の留まることの知らない妄想が散りばめられた快作。もうあるあるが多すぎて笑いが止まらなかった。あるあるが多すぎて。非モテ理系男子。あるある。はぁ……。


そう、自虐こそ非モテ理系男子のアイデンティティに他ならない。我々は自らの価値を貶める一方で、誰よりも自分の存在意義を信じているのである。頭の中で。


すべての非モテ理系男子へ。そして非モテ理系男子として貴重な大学生活を終わらせたくない邪な輩へ。

恋愛はあくまで背徳の喜びであり、恥ずべきことであり、できることなら人目を避けて味わうべき禁断の果実である。それを、さも人生に当然実る果実のように、ところ構わず食い散らかし、汁気を他人に跳ね散らすことの罪深さを認識せねばならない。
満天下に轟く、腕を組んだ男女たちに言いたい。
「生きよ、(けれども少しは)恥じよ」と。

かつて飾磨はこう言った。
「我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている」


(29/50)