やり方は、死んで覚える

2010-10-12

[][]クルーグマン「サーチ理論から学べること」(2010-10-11)


ポール・クルーグマン「サーチ理論から学べること」 2010年10月11日のブログポスト


今年のダイアモンド、モーテンセン、ピサリデスのノーベル経済学賞*1は失業に関するサーチ理論の功績に対して贈られた。それって何?そしてなんで重要なの?


本当のことを言うと、これは僕が知るべきことを知っている分野というわけじゃないんだ。でも、短い読み物を書ける程度には分かっていると思う。


この一連の研究は多くの市場、とりわけ労働市場には古典的な需要・供給パラダイムが当てはまらないという事実に関するものなんだ。つまり、価格が速やかに上昇または下降することで、物を買いたい人が売りたい人を見つけられるように、またはその逆ができるようになるというのが当てはまらないってこと。その代わり、労働市場、あるいは住宅市場ではそれぞれ異質な売り手がそれぞれ異質な買い手と向かい合い、適切な相手を見つけるまでに時間と労力がかかることになる。これが「完全雇用」でも失業率がゼロではない理由なんだ。そして、構造的失業が問題となる理由。


今年のノーベル賞はこの観察の含意を解き明かした経済学者に贈られた。実証的な観察と経済政策に対して。


現在の関心事との関わりで言えば、最も関連が強い論文はブランチャードとダイアモンドのベバリッジ曲線*2―欠員と失業者との関係を示す曲線―についてのものだ。


論文の教えはどんなもの?論文は、構造的失業は実際の問題であり、そのボリュームは長い年月をかけて変化すると示している。しかし、失業率の短期的な変動は圧倒的に需要への全体的なショックの結果であるとも示している―これは実質的にケインジアン景気循環だ。


現在進行中の議論、僕らが直面している失業率の上昇が循環的なものか構造的なものかに関していえばその論文は確実に注目に値する。両者を区別する簡単な方法を教えてくれているんだ。

しかし、経済はかなり異なる効果をもたらす二種類のショックを受けている。総経済活動量(aggregate activity)の水準の変化は雇用創出率と雇用消失率を反対の方向に変化させる一方、(訳注 人材の)再配置プロセスの活発さの変化*3は雇用創出率と雇用消失率を同じ方向に変化させる。

僕らが見ているものはなんだろうか?次のはクリーブランド連銀による最近のデータだ。


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縦軸は欠員率。横軸は失業率。2000Q4から2010Q2までの四半期毎の値。季節調整済み。金融危機が生じた2007までが青線


どこをどう見てもこの図を見て分かったのは欠員の減少と失業者の増加の同時進行であり、それは総需要ショックであることを教えてくれている。


右下にある上昇はどうだろうか?僕を含めた多くはこれについて心配していた。しかし、僕らはブランチャードとダイアモンドをもっとしっかり読むべきだったんだ。彼らはなぜ景気循環が失業と欠員の関係で反時計回りスパイラルを生み出す傾向があるのかを慎重に説明してる。そう、これは僕らが予測すべきだったことにすぎないんだ。


ピーター・ダイアモンドの仕事は息をのむほどエレガントだ。こんなに優雅に複雑さに切り入って抜けることなんてだれもできない。


経済理論にとって幸せな日だ。


【追記】 道草の方に投稿した同内容の記事のコメント欄においてerickqchanさん、Okemosさん、prisoneronthewaterさんからご指摘いただきたくさん修正しました。修正箇所についてはこちらをご参照ください。 http://econdays.net/?p=1569

*1:正確にはノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞。原文では単にNobelとしている。Nobel prizeとすると入るであろうツッコミをかわすためだろうか。そうであるとするとその機微が楽しい。

*2:別名はUV曲線。平易な解説はこちら

*3:上手く訳せないのですが、おそらく構造的失業の調整が進むことにより構造的失業によって生じていた欠員率および失業率が同時に改善されることを言っているのだと思います。

2010-09-10

[][]クルーグマン「デレバレッジとリレバレッジのパラドックス*1


9月5日のコラムの一部を詳述した内容になっています。


ポール・クルーグマン「デレバレッジとリレバレッジのパラドックス」 2010年9月3日のブログポスト


財政刺激策の問題が持ち上がるといつも「たくさん借り過ぎて生じた問題の解決策がもっと借りることだって信じるのはマヌケだけだよな」と割り込んで来るやつがいると思ってもらって間違いない。これはもっともらしく聞こえる――でも、重要な点を外してるんだ。合成の誤謬の存在だ。もしみんなが同時に借金を返そうとしたら、結果は経済収縮とデフレなんだよ。そのため、名目の借金が減ったときでさえ借金問題はもっと悪いことになる。他方、強力な財政刺激策は、経済を拡大し、マイルドなインフレを作り出すことによって実際には借金問題を解決する助けになり得るんだ。


図表を見てみよう。下の表は二つの時系列だ。一つ目は1929年から1948年のアメリカの総債務――公的部門と民間部門の合計――単位は10億ドル。二つ目は総債務のGDPに対する比だ。


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1929年から1933年まではみんなが借金を返そうとしていた――そして債務/GDP比は経済収縮とデフレのために急上昇した。第二次世界大戦の間とその直後は、巨額の借金があったが、それよりも早くGDPが成長したため借金の負担は低下することになった。


たしかに、これはパラドキシカルに見える――でも僕らはそういう世界に住んでるんだ。僕らは伝統的なルールが適用されない世界に生きているという事実を認めることをとても多くの人が拒んでいることが、僕らを来し方の世界にとどまらせているようだ。


追記 表の左の数値は両曲線に適用される。1933年の債務は1690億ドルで、GDPの299%だ。

*1レバレッジは借金をして資金を膨らませて投資等をすること。デレバレッジは借金を返してその状態を解消しようとすること。本文中ではみんなで同時に借金を返そうとする動きを指すと思われる。リレバレッジはレバレッジ比率を高めること。本文中では借金がある状態からさらに借金をして借金を返そうとすることか

2010-09-09

[][]クルーグマン「景気回復妄想」


ポール・クルーグマン「景気回復妄想」 2010年9月5日のブログポスト


最近、政治と社会の出来事は追いかけているが、経済の議論には通じていない人たちとたくさん話した。その結果、二つの心地よい幻想がまだそこにはあることがわかった。


幻想その1は我々は回復の途上にあるのであり、ただ期待していたペースより遅いだけだというものだ。公平のを期して言えば、ホワイトハウスがこれを言い続けている。


しかし、それは全く真実ではない。GDPは潜在率を下回って成長している。雇用は民間部門に限って見ても労働人口より遅い拡大しかしていない。失業率が5%に戻るまでにどれくらいの期間がかかるのか尋ねられたとすれば、その答えは永遠だ。


幻想その2は景気刺激策がきっと功を奏してくれるという考えだ。これは執行されていない財政支出がまだかなりあるという理由による。これについては僕が去年論じた。GDPの水準は執行された財政支出の総計に依るのではなく、各期に執行された財政支出の額に依るのであり、この額はすでにピークを過ぎた。また、GDP成長率は各期に執行された財政支出の変化に依っていて、それも去年ピークを迎えた*1。今からずっと下り坂なんだ。

[][]クルーグマン「景気刺激策が効果を生じるタイミング」


himajinaryさんがこの記事を元にした記事を書いています。今回訳すにあたっても参考にさせて頂きました。


ポール・クルーグマン「景気刺激策が効果を生じるタイミング」 2009年12月27日のブログポスト


来年の展望(心配だ…)について話すと、景気刺激策の効果が生じるタイミングについて多くの混乱があることがしばしば明らかになる。知識豊かな人たちでさえ「まだ1/3しか支出していないのだから、何が起きるか成り行きを見守ろう」という。メンジー・チンは最近この混乱に取り組もうとした。私の考えは次の通りだ。


模式化した数値例を使わせてほしい。これは実際の刺激策と完全には一致しない。政府支出と減税の区別をしていないし、実際より早く終了に向かう。しかし、考えを述べるには

十分に現実に近いと思う。この表を見てくれ


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表の中の"Rate"は各四半期の刺激策による支出額だ。"Change"は前の四半期との支出額の差。そして、"Cumulative"はその時点までの支出額の合計だ。



それでは出てくるだろう3つの問いに答えよう。第一に、各期のGDPは刺激策がなかった場合よりもどれだけ高かっただろうか?これは"Rate"、つまりその期間に政府がどれだけの量の財とサービスを買ったかに依る。


第二の問いは、各四半期のGDP成長は刺激策がなかった場合よりもどれだけ多かったか?これは"Change"、つまり政府が前の四半期と比べてどれだけ多く物を買ったかに依る。


最後に、どれだけのお金が刺激策によりその時点までに支出されたか。“Cumulative”を見て、それから列の最終合計と比べてみるといい。


ポイントは“Rate”が逆U字カーブをたどることだ。GDP水準に対する最大効果は逆U字カーブの頂上で訪れるが、GDP成長率に対する最大効果はそれより早く、カーブが平になる前に訪れる*2。上の図表では支出のピークは2009年第2四半期だ。ということはもう過ぎてるね。2009年末までに全体の1/3以下の支出しかされていないとしてもこれが真相だ。


また、財政支出が終わろうとするとき(訳注・逆U字カーブを下るとき)、成長率に与える影響は逆向きに転じる。


下の図はなんだと思う?メンジーがドイツ銀行からのチャートを提示してくれたんだ。これは例えばゴールドマンサックスなどの他所の推計と類似している。


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これを見れば僕や他の多くの人がなんで来年後半のことを心配しているかわかると思う。

*1:前者は09年7-9月期が、後者は10年4-6月期がピークになっている。詳しくは下の記事へ。

*2:逆U字の頂点に向かって急速にカーブを昇っている時というのは政府が買う物の量が前期と比べて大幅に増えている時であり、GDP成長率も大幅に増える。

2010-09-07

[][]クルーグマン「2010年にやって来る1938年」


経済翻訳2度目の挑戦です。2箇所どうしても分からなかったところがあるので皆様のご教授、ご助力を乞いたく存じます。当該部分を赤字で示してありますのでコメントいただければ嬉しいです。

【追記】Twitterでerickqchanさんとsvnseedsさんに教えて頂いて赤字部分の日本語を修正しました。

【追記2】Twitterでhicksianさんから最後の前のパラグラフにおける文の脱落を指摘していただき、修正しました。


クルーグマン「2010年にやって来る1938年」ニューヨーク・タイムズ 2010年9月5日コラム


こんな状況がある。アメリカ経済は金融危機により痛んでいる。大統領の政策がダメージを和らげてはいるが、彼らは慎重すぎ、失業率は壊滅的に高いままだ。さらなる行動が明らかに必要とされている。しかし、国民は政府の積極主義を嫌っており、民主党は中間選挙で大敗を喫しようとしている。


この文の大統領は1938年のフランクリン・デラノ・ルーズベルトだ。もちろん、その後数年で大恐慌は終わった。1938年頃のアメリカの状態を見るのは、ためになると同時に希望を失わせる。ためになるというのは、それに続く回復の本質が今日の議論を支配している主張を反駁するものであるからだ。そして、希望を失わせるというのは1940年代に起こった奇跡のようなことがもう一度起きるのを期待するのは難しいからだ。


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現代において1930年代後半と同じことを繰り返すことになるとは僕らは思わなかった。オバマ大統領のエコノミストたちは、早すぎる景気刺激策の終了という1937年の失敗を繰り返さないことを約束した。しかし、小さすぎて期間が短すぎるプログラムをつくることでオバマはまさに同じことをしている。つまり、刺激策が続いている間は経済成長が押し上げられるが、失業はほんのちょっとしか減らず、そうしている内に刺激策は終了していくのだ。


そしてちょうど恐れていた人がいた通りに、政府の初期の経済対策の不十分さの結果、経済対策は、また国家は、政治の罠に着地しようとしている。追加的な刺激策が切実に必要とされている。しかし、初期の対策が説得力ある回復をもたらすのに失敗したことは、雇用を生み出す政府の行動への信用を失わせた。


つまり、1938年へようこそってことだ。


1937年のストーリー――財政赤字を減らす時だという主張に耳を傾けるというルーズベルトの破滅的な決定はよく知られている。37年の後に続く景気後退から引き出された誤った結論が国民の間に広がったことについてはそれより知られていない。ニューディール政策の再開を求める声はなく、有権者は財政拡大への信頼を失っていた。


1938年3月のギャラップ社の世論調査を見てみよう。不況と戦うために政府支出を増やすべきかという問いに対して、回答者の63%はノーとした。支出の拡大と法人税減税のどちらがよいかという問いに対しては、支出の拡大を選んだのはたった15%であり、63%が減税を選んだ。そして、1938年の選挙は民主党にとって大惨事となった。下院で70議席、上院で7議席を失った。


そして戦争がやって来た。


経済的な観点から言えば、第二次世界大戦は何よりも国債を原資とした政府支出の爆発だった。それは他では決して承認されないような規模だった。連邦政府は第二次大戦にいたる過程において1940年のGDPのおよそ2倍もの借り入れをした。これは現在の約30兆ドルに相当する。


戦争のだいぶ前にはその端数といえるような支出の提案に対してでも人々は今日言われているのと同じことを言っただろう。彼らは破滅的な負債とランナウェイ的なインフレーションを警告したはずだ。また、不況は大部分過剰な負債から生じたのだとも言っただろう。そして、この問題をさらなる国債発行で解決することは不可能であると宣言したはずだ。


でも何が起こったと思う?赤字財政支出は好況を作り出したんだ。そしてその好況が長期にわたる繁栄の基礎になった。公的部門と民間部門を合わせた経済全体の負債は、経済成長と未払い負債の実質価値を減らすインフレのおかげで、実際にはGDP比で見て低下している。

Overall debt in the economy ― public plus private ― actually fell as a percentage of G.D.P., thanks to economic growth and, yes, some inflation, which reduced the real value of outstanding debts.

戦後、民間部門の財務状態改善により、アメリカ経済は財政赤字を続けなくても繁栄することができた。


経済的な教訓はあきらかだ。経済が大きく落ち込んだときには、通常のルールは適用しない。厳格さは自滅的だ。みんなが同時に借金を返そうとしたら結果は不況とデフレだ。借金問題はもっとひどくなる。一国全体としては借金から抜け出すために支出することが可能であり、まさに必要とされている。

it is possible ― indeed, necessary ― for the nation as a whole to spend its way out of debt:

赤字財政支出の一時的な増加は、十分な規模で行われれば、過去の過剰によってもたらされた問題を解決することができる。


しかし1938年のストーリーはこれらの洞察を現実に適用するのがいかに難しいかも示している。フランクリン・ルーズベルトのもとにおいてさえ、大恐慌を終わらせるために必要なことをしようという政治的な意思はなかった。その解決は本質的に偶然に訪れただけだ。


今回はもっと上手くやるだろうと僕は願っていた。しかし、政治家も経済学者も同じく1930年代の教訓から学ばずに数十年を過ごし、さらにかつての間違いを全て繰り返すと心に決めたことが明らかになった。そして、少しむかつくのは中間選挙で大勝するのが、初めに僕らをこの失敗に陥れ、次いでそこから抜け出すための動きを妨害するためにできることならなんでもした人たちだということをはっきりと理解することだ。


でもいつでも忘れてはいけない。この不況は克服しうる。必要なのはほんのちょっとの知的明快さとたくさんの政治的意思だ。僕らがそれらの美徳を遠くない将来に僕らが見つけることを願う。

2010-06-22

[][]クルーグマン「今と後」


他所でエンターテイメント系の翻訳はしたことがあるのですが、経済の翻訳は初挑戦です。

経済も英語も拙い知識しかありませんが、今後努力していきます。翻訳の不備がありましたらコメント欄やTwitterでどうぞご指摘ください。

なお、小手先のものですが山形浩生さんのクルーグマン訳風にしてみました。これも研究します。


追記 svnseedsさんも同じコラムを訳されています。

http://d.hatena.ne.jp/svnseeds/20100622#p1



クルーグマン「今と後」 ニューヨーク・タイムズ2010年6月20日コラム


今、すなわち経済が落ち込んでいる間は支出し、後で、すなわち経済が回復してから節約しよう。それを理解するがどれだけむずかしいだろうか?


非常に難しい。政治的議論の現在の状況が全てを物語っている。世界のそこかしこで政治家蓄え その反対(reverseとreserveを勘違いしてた)をすることに決めたようだ。彼(女)らは経済が助けを必要としているときに冷淡にしたがっており、長期的な財政問題に取り組むことに尻込みしてさえいる。


しかし、おそらくその問題のクリアーな説明は人々の心を変化させうる。だから短期と長期の財政赤字について語ろう。ぼくはアメリカの立場に焦点を当てるが、同じ話は他の国々にも当てはまりうる。


みんなもたぶん気づいている通り、現在アメリカ政府は大きな財政赤字を抱えている。しかしながら、この赤字は進行中の経済危機の結果であり、歳入の落ち込みと、金融システムを救うための並外れた歳出によるものなんだ。危機が収まるにつれて事態は改善する。議会予算局は、オバマ大統領による予算提案についての分析において、単年度の赤字は景気回復によって今年度GDPの10%から、2014年にはGDPの4%になると予測している。


残念ながら、それでは十分じゃない。仮に政府の単年度の借り入れがGDPの4%になったとしても、累計の債務は歳入よりも速く伸び続ける。さらに予算局は赤字額が2014年に底を打った後、主にヘルスケア費用の上昇のために再び上昇を始めると予測してる。


そう、アメリカは長期的な財政問題を抱えているんだ。この問題に対処するためには何より真っ先にヘルスケア費用をコントロール下に置く真剣な努力を払う必要がある。それをしなくちゃ何も上手くいかない。追加的な財源を見つけ、かつ/または、支出を削減することも必要だ。これは経済的問題としては難しくないだろう。特に、穏やかな、例えば5%の付加価値税はアメリカの全体的な税率を先進国の中で最低レベルにしたままで、財政のギャップを埋めるのに大いに役立つ。


しかし、結局のところ増税して、歳出を削減する必要があるのならば、今始めるべきじゃないのか?

違う。ぼくらは今始めるべきじゃない。


経済はいま深刻に落ち込んでいる。そして、そのような落ち込んだ経済は長期のダメージをもたらす。非常に高い失業率のまま過ぎていく一年一年が、長期の失業者の多くが労働力にもう復帰できない可能性を増やし、永続的な底辺階級としてしまう。新たな就職口よりも求職者の方が5倍も多い年々というのは、学校を卒業した数百万人のアメリカ人が社会人としての生活を始める機会を奪われていることを意味する。そして過ぎゆく毎月とともに、ぼくらは日本式のデフレの罠に漂い近づいている。


このような時にケチることは単に残酷なだけでなく、国家の将来を危機にさらす。そして、それは将来の債務負担を減らすことにもならない。今支出を切り詰めるのは経済回復を脅かし、そして、それにともない歳出の上昇の希望を脅かすことになるからだ。


ゆえに今は緊縮財政の時ではない。では、どのようにして緊縮財政の時が来たということを知ることができるだろうか。その答えは財政赤字問題が最優先とされるべき時、唯一の時、すなわち連銀が経済に対する牽引力を取り戻した時だ。そうであれば連銀は金利の引き下げによって増税と歳出削減の負の影響を埋め合わせることができる。


現在、連銀はそれをすることができない。コントロール可能な金利がゼロ近くにあり、それより下がることができないからである。しかし結局のところ、失業率が下がるにつれて―おそらく7%かそれ以下になったとき―連銀は起こりうるインフレを回避するために金利を上げたがるだろう。その時点において我々は問題に取り組むことが出来る。政府は歳出削減を始め、連銀は金利を上げないでおくことによって、これらの歳出削減は経済をスランプに押し戻さない。


しかし、そのような取り組みの時はずっと先のことだ。たぶん二年かそれ以上。後に節約するのを計画しておきつつ、今は支出するのが責任ある態度だ。


先ほど言ったように、多くの政治家がその反対をすることに決めたようだ。多くの議員たちは長期失業者の救済に対して、まして逼迫した状況の地方政府の救済に対して、そんな余裕はないとして反対した。そのようにすることによって、我々が本当に助けを必要としている時期において支出を覆し、経済回復を危機にさらしている。さらにヘルスケア費用をコントロールしようという努力は"death penal"の悲鳴(訳注:回復の見込みのない患者について保険適用を却下するという死の委員会="death penal"が設置されるというデマが流れたらしい)に直面した。


最も大きな声で赤字を難詰する人のうちの幾人かは、数百万ドルの資産相続したラッキーな一握りのアメリカ人の減税のために一所懸命働いた人たちだ。これは経済にとって今なにも役に立たないが、永続的に毎年数十億ドルの歳出を減らしている。


しかし政治家たちは財政的に責任を負っていることについてきっと誠実であるのだろう。ぼくは彼(女)らに言いたい。時期が悪いですよと。そう、長期的な財政赤字は解決する必要があるが、それは必要な時に経済を助けることを拒むことによってではない。

2009-07-29

[]あなたはなぜ値札にダマされるのか


本書を類書と比べた場合に一番に気づくのは文章の読みやすさ。翻訳もおそらく元の文章も優れているのだろう、すいすいと読み進められて楽しい。その点、読みにくく疑問符のつく訳が多かった「世界は感情で動く」と対照的。


以下本当にただのメモ。

  1. 損失回避とコミットメントが同時に働いた時の逃れがたい力。楽観主義が現れる。ベトナム戦争、イラク戦争。これについては神経学的な解明を期待したい。
  2. 価値基準。割引された年間チケットを買った人は演劇に出かける回数が少なかった。地下鉄構内での有名バイオリニストによるストラディバリウスを使用した難曲の演奏。他に、
  3. 価値基準+評価バイアスドラフト指名順位が出場時間に与える影響はタフさの要素や敏捷性の要素よりも大きかった(得点力の要素よりは小さい?)。他の要素を調整しても、ドラフト指名順位が一つ下がる毎にプレー時間が23分間減少した。その影響は調査終了の5年目まで続いた。
  4. 「ドラグネット」のフライデー刑事の「事実だけを述べてくれ」というフレーズがこの本にも一緒に読んでいたアカロフ、シラー「アニマルスピリット」にも出てきた。
  5. 刑事被告人の弁護士に対する評価、ベンチャーキャピタリスト投資した会社のCEOに対する評価では同様に「話を聞いてくれるか」「どのくらいの頻度で報告があるか」を非常に重視していた。
  6. ロシアのクイズ・ミリオネアでウソの回答を教えるオーディエンス。実力が伴わない者が偶然によって富を得るのをよしとしない。農村共同体の価値観を都市に持ち込んだため?(証拠はなし)。国や民族で異なる公平性の考え方。
  7. 市場規範と社会規範に対応するだろう快楽中枢と博愛中枢。同時に働くと快楽中枢が勝っちゃう。

2009-06-17

[]東京国立博物館の混雑状況まとめ


東京国立博物館の公式サイトに掲載されている会場状況です。比較検討しやすいように一つにまとめてみました。各展覧会のタイトルをクリックすると掲載ページに移動できます。


北斎展 2005年10月25日(火)〜12月4日(日)

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書の至宝−日本と中国 2006年1月11日(水)〜2月19日(日)

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プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展 2006年7月4日(火)〜8月27日(日)

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特別展「仏像 一木にこめられた祈り」 2006年10月3日(火)〜12月3日(日)

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特別展「大徳川展」 2007年10月10日(水)〜12月2日(日)

土日

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火水木

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特別展「国宝 阿修羅展」 2009年3月31日(火)〜6月7日(日)

火水木 ※2009年6月2日(火)〜4日(木)は20:00まで開館時間延長

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土日祝日

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※これのみ最終3日間の混雑予想

特別展「対決−巨匠たちの日本美術」 2008年7月8日(火)〜8月17日(日)

2008年8月15日(金)(夜間開館)

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2008年8月16日(土)、2008年8月17日(日)

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