バーティミアス

海外ファンタジー小説。海外作品、ファンタジー共々苦手な私だが、【バーティミアス】シリーズは好んでいる。ファンタジー独特の感情移入し難い世界観が、不思議と理解し易く、違和感すら覚えることがなかった。彼らの世界へ、一種の憧れをも抱かさられるくらいだ。主人公らがまた良い個性をしている。長さを感じさせることがない。完結作は賛否が分かれそうだ。

失踪HOLIDAY

作者にしては珍しく、全体的に平坦とした優しい雰囲気で話は進む。【ほのぼの】といった表現が的確かも知れない。
私的には収録作【しあわせは子猫のかたち】に作者らしさが出ていると考える。やり切れない、しかしあたたかな切なさをこうも巧みに表現できる作家はそうはいないのではないのだろうか。

野ブタ。をプロデュース

一人称の語り口には思わず笑いが漏れる程。感動や共感を覚えさせることを目的としていないと思われるので、ちょっとした気分転換感覚で手に取るくらいが良いかもしれない。情景描写などは殆ど省かれ、起承転結も薄く、オチも納得し難いため、賛否の分かれる作品かも知れない。

玩具修理者

表題作【玩具修理者】は読み易く、理解し易く、しかし衝撃的。グロテスクなのだが、不思議とページを捲る指が進んでゆく魅力がある。
収録作【酔歩する男】は話を理解するのに少々頭を使う。しかし、表題作を上回る面白味があるといっても過言ではない。作者の魅惑的で不可思議な世界にいつのまにか夢中になる自分に気づかされる。

“文学少女”と死にたがりの道化

キャラクター等に、魅力が感じられない。すべてに新鮮味がなく、用意された設定も意味のない結果として終わっている。シリーズものらしくまだ明かされない話が多々あるようだが、キャラに魅力が感じられないのだからそれらにも興味が湧くこともない。全体に王道すぎるため、目新しさを求めている大多数の者にはお勧め出来ないかも知れない。
太宰治】が要として話が進むため、若年層向けの【人間失格】解説本として考え、読む方が利用価値があるかも知れない。