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鳩時計が僕をつつくフィルム このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-01-16

[]四畳半神話大系、他


四畳半神話大系 (角川文庫)


 あの時ああしていれば僕の人生は今頃。


 ソフトボールサークル「ほんわか」、映画サークル「みそぎ」、謎の組織「福猫飯店」、「弟子求ム」という謎のビラ。四畳半に暮らす大学回生の主人公がそれぞれを選んだ場合のパラレルモノ。結末がすんごくイイです。


 僕たちはしばしば湯船につかりながら「あの時あっちを選んでいたら」と思い返すけれど、実際そっちを選んでも人生はたいして変化はないのかもしんない。続き以下に僕の場合を例に考察してみます。すんげー長い自分語りなんでご注意。



その他読んだ本




 乾燥した雑巾のような浪人生活を抜けるとそこは天国だった。今、僕の目の前には、桜の花びらと、芝のキャンパスと、有象無象のサークルがビラを配るという絵にかいたような四月が広がっている。女子ラクロス部ユニフォーム! 袖あまりのタートルネック! イエスディスイズキャンパスライフ


 助平顔で校内を練り歩くと僕の手元にはいくつかのサークルのビラが集まった。碁研、漫研、映研、考古研。なんか偏ってるな。でもまあ僕がやりたいことは既に決まっているんだよね。


 高校生の時、学祭ライブをする同級生にちょっと憧れた。自分がその舞台に立つ妄想をしたこともあった。そしてその妄想を現実にするために僕は大学に入ったと言っても過言ではない。ギターモテる。さあミュージックを始めよう。僕はバンドサークル「JFK」の部室をノックした。


 中にはマッチョで、ピアスで、タトゥーで、胸毛を生やした集団。えっと、みなさん、日本人ですか? 「ヒャッハー! 日本文学専攻だ!」ですか。あ、いえ、ちょっと通りかかっただけで、音楽とかあんまり興味ないっていうか……えっと、失礼しました。


 ヤバイ。明らかにヤバイ。あそこにいたら女の子よりおまわりさんにモテそうな感じだ。気を取り直して僕はビラをあさって考古学研究会「ひるね」の部室を探すことにした。やってみたかったんだよな、考古学。モロにマスターキートンの影響だけども。


 しかし探せど探せど部室が見つからない。後になって分かったことだけど僕の大学に「ひるね」という考古学研究会は存在しないらしい。誰が何のためにしたことかはわからないけど、その壮大なイタズラに引っかかった僕は三日間キャンパスを探し回って新歓の波に大いに乗り遅れた。


 新一年生にとって勝負の三日間を無駄に費やしてしまった僕に残されたカードは少ない。来るもの拒まずのチャラ系慣れ合いサークルか、バイトに生きるか。僕は学食一角をたまり場にしていたキャンプサークル「Best」と接触を試みた。


 居心地は悪くはなかった。人数が多かったこともありすぐに同級生と仲良くなり新歓キャンプでも楽しく過ごせた。悪かったのは運、かな。


 一年生の間には自宅から通学する「関東派」と、上京して一人暮らしの「田舎派」という二大派閥があり、その両者にちょっとしたいさかいが起こった。僕は神奈川県民のくせに田舎派に属していたため居心地の悪さに耐えきれず、結局退会してしまった。


 こうして僕は大学における居場所を失った。大学生活における居場所とは飯を食う場所と一緒に食う人である。駄サークルどもが朝から席を占拠するので学食に居場所はない。


 教室で孤独カレーパンをかじる毎日に嫌気がさし、学校のある駅までは行くがゲーセンに引きこもって講義に出ないという無意味な生活を続けていた。


 そんな梅雨の終わり。僕はゲーセンで声をかけられた。「あれ、君、語学で同じクラスだよね」と。ほとんどの講義をサボってはいたが、代返をしてくれる友人のいない僕は語学だけはマジメに出席していたので顔を覚えられていても不思議ではない。


 捨てる神あればなんとやら、である。僕に声をかけてくれたK君もサークルには無所属で、同様の人間たちと屋上でパンを食べているらしかった。不貞腐れていた僕と違って彼らは授業も真面目に受けてきちんとノートも取っている。


 僕は彼らのおかげで学校内の居場所と同時に三ヶ月分の授業の遅れまで取り戻せた。


 その後の僕は彼らに依存しっぱなしで、後期からの授業全てを彼らと同じものにし、二年時から始まるゼミとやらもよくわからないまま同じものに入った。


 主体性ゼロではあったけど、僕のキャンパスライフはそれなりに充実し、三年生になった時にはゼミの新歓コンパ新人の女の子にセクハラして往復ビンタされるくらいにはヒリヒリと色づいたものとなる。


 振り返ればなかなかに楽しい学生生活であった。しかし時々思うのである。もしあの時キャンプサークルに居座っていたら、謎の考古研の存在を突き止めていたら、バンドサークルでリンプビズキットのコピーをしていたら。僕にはもっとバラ色のキャンパスライフがあったのかもしれないな、と。



「それでもあんたは私に会うわよ。それより夕飯どうする?」


 ジョウガサキさんは時々こういう恐ろしいことをさらりと言う。ソファでジャンプを読みながら。あの時僕をビンタしたのと同じ、全てを知っているような顔で。


 でもまあ、確かにそうなのかもしれない。恐ろしいことに僕が退会したのと入れ違いでジョウガサキさんはキャンプサークルに入会している。つまり、この日記を書いている僕は「無サークル編」の主人公だが、「キャンプサークル編」の主人公の僕も間違いなくジョウガサキさんと出会うのである。


 大学なんて狭い世界だ。そう考えれば「バンドサークル編」の僕も、「謎の考古研編」の僕もどこかで彼女にビンタされていても不思議ではない。すなわち結論はこうだ。


 大学を選んだ時点で僕たちはジョウガサキさんルートに入ってしまったのだ。


 その後はフラグをどう処理しようと同じエンディングしか出ない。つまり僕の人生は大学受験よりもっと前から分岐していたのだ。どこまで遡れば別のルートに進めるのだろう。高校か? 中学か? いや、ある日突然曲がり角で食パン咥えた女の子にビンタされるかもしれない…… 


 東京から転校してきましたバチーン! 


 自転車のチェーンがはずれちゃってバチーン! 


 親方ぁ! 空から女の子がバチーン!


 この文章が壮大な「のろい」を描いたホラーSFなのか、「のろけ」を描いたラブコメディなのかは読者の判断に委ねるけど、僕的にはのろ(バチーン!)

電氣猫電氣猫 2009/01/16 12:42 のろし?(・ω・)

某マンガで「あいつらは、僕がとりもたなくたって、道端でだって出会ってたよ!」ってセリフがありました。
つまり、イベントではなくてシナリオなので、どんだけフラグ変えても出会います。
シアワセそうでなによりですねw

MalimoMalimo 2009/01/16 13:59 当人の主観とは異なるかもしれませんが、どう見ても「け」の方だと思います。
本当にあり(ry いえ、ごちそうさまでした(´∀`)

stanicstanic 2009/01/19 11:44 呪いだってば! 呪いなんだってば!

■電猫さん
幸せかどうかはわかりませんが、
最近ようやくビンタ耐性がついたな、と思います。

太ったとも言います。

■まりもさん
バレンタイン前にこんな日記書いたのは失敗だったかもしれません。
なんかこう自分の文章に蛭子さん的なものを感じます。