『冷や酒と君の科白は後で効く―七人の句会』 (酒文ライブラリー)読了

冷や酒と君の科白は後で効く―七人の句会 (酒文ライブラリー)

冷や酒と君の科白は後で効く―七人の句会 (酒文ライブラリー)

なぜTaKaRa酒生活文化研究所が句会をやろうと思ったのか全然分かりませんが、
1999年夏から2001年正月までの間に9回下記のメンツで行われた句会の記録です。

まず苦界句会というのがなんだか分からないと思いますので、
Wikipediaに頼ります。

句会 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A5%E4%BC%9A

句会(くかい)は、複数の人間が自作の俳句を出し合い、評価・批評し合うために行われる集まり。現在では互選句会を指すことが多いが、特定の指導者が選や講評を行う場合もある。

この本でも、第一章を、宗匠である石寒太が、「句会とは何か」の説明に充て、
句会の楽しみ方を説明しています。
ヒコーは、非行でも罷工でも飛光でもなく、披講と書くんですね。

深夜特急〈第三便〉飛光よ、飛光よ

深夜特急〈第三便〉飛光よ、飛光よ

頁18
 高浜虚子は、自分が句を作るのはもちろんですが、「選もまた創作なり」と言いました。選を見ただけで、その人の力量がわかる、それほど選は大切なのです。

頁24
 また、句会では、あまり暗くせつなすぎる句には点が入りません。一読して読者を楽しく明るくさせる句のほうが、受け入れられやすいのです。正の句を心がけてください。負の世界は詠んだ人まで暗くしてしまうもの、

<参加者(カッコ内はこの句会内の俳号)のWikipedia
石寒太(寒太):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%AF%92%E5%A4%AA
内田春菊(春菊):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E6%98%A5%E8%8F%8A
高橋春男(不埒):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%98%A5%E7%94%B7
ねじめ正一
(エンジン):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%81%98%E3%82%81%E6%AD%A3%E4%B8%80
冨士眞奈美
(衾去):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%A8%E5%A3%AB%E7%9C%9E%E5%A5%88%E7%BE%8E
吉川潮(駄郎):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%B7%9D%E6%BD%AE
吉行和子(窓烏):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E8%A1%8C%E5%92%8C%E5%AD%90

題記の句は春菊作。同人のなかで一番経験が浅い(というか、ない)のが
春菊とのことですが、やはり一番てごわいのが春菊だったと思います。
題記が、川柳のようでいて、冷や酒が季語かと分かるレベルです。私は。

吉田類の句会、舟とか北舟とかが、最初から酒が出てきて、
飲みながらやる句会と検索出来るのに対し、この本の句会は飲酒度がよく分からないです。
お題も別に酒に限ったものではないし。酒生活文化研究所、よく分からない。
ただ、相互批評などのテープ起こしを読むのは、楽しくないこともないな、
と思いました。今ならニコ動やユーストで実況しちゃうのかもしれませんが。
以下、エピローグの互選ベスト句から、飲酒にまつわる句を抜粋。

熱燗や背で笑い合ふ二人連れ 駄郎

盃のひとつひとつに花の雨 不埒

昼酒の男ぶりよし秋扇 窓烏

ひれ酒で飲むと酔うよね人生だね 春菊

四つしかなかった。こじつけで、ほかの嗜癖っぽい句を。

最近よくパチンコ行くね心太 春菊

渋柿や毎度おなじみ虚言癖 不埒

告白もポインセチアの緋も虚ろ 衾去

電車下りホームの端から火事を見る エンジン

なにもかも見て見ぬ振りの案山子かな エンジン

この売女!なにをいまさらところてん エンジン

これからはずっとあなたにつくします 春菊

最後の句の季語は「つくし」
七句しかなかったので、あとはエッチな句を。

妊(みごも)りの掌に撫でられし柚子ひとつ 寒太

寄せ鍋の中でいちゃつく箸と箸 駄郎

つくしんぼ熟女の尻に圧死せり 駄郎

少年の指白きまま土筆摘む 窓烏

以上です。