『壊れやすいもの』読了

壊れやすいもの

壊れやすいもの

版元公式
https://www.kadokawa.co.jp/product/200710000514/

パーティで女の子に話しかけるには」の原作が入った短編集。
版元品切れが読めるという誘惑に負けて、図書館で借りました。
映画に併せて刷り直したり、文庫化してスチール写真を表紙にしたりしなかった、
理由は、読んでみてすぐ分かりました。地味で、内容バラバラで、詩も多いから。

2018-04-01
映画「パーティで女の子に話しかけるには
(原題:How to talk to girls at parties)劇場鑑賞
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20180401/1522599091

ニール・ゲイマン Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3
本書のカバー折り返し作者紹介の写真とWikipediaの写真は同じです。
アメコミ「サンドマン」の原作者としてあまりにも有名
と折り返しには書いてありますが、そもそもサンドマン知りませんでした。
アヴェンジャーの一員でしょうか。マーベルでしょうか。違うのでしょうか。
これまでの作品でヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞獲ってるとのことで、
邦訳はすべて角川だとか。そのせいか、本書、各作品の原題が書いてないです。

Fragile Things: includes How to Talk to Girls at Parties

Fragile Things: includes How to Talk to Girls at Parties

"Fragile Things: Short Fictions and Wonders" Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Fragile_Things
<上記による各作品の原題>
"The Mapmaker" ←邦訳未収録??
"A Study in Emerald" 翠色エメラルドの習作
"The Fairy Reel" 妖精のリール
"October in the Chair" 十月の集まり
"The Hidden Chamber" 秘密の部屋
"Forbidden Brides of the Faceless Slaves in the Secret House of the Night of Dread Desire"
 顔なき奴隷の禁断の花嫁が、恐ろしい欲望の夜の秘密の館で
"The Flints of Memory Lane" メモリー・レーンの燧石
"Closing Time" 閉店時間
"Going Wodwo" 森人ウードゥになる
"Bitter Grounds" 苦いコーヒー
"Other People" 他人
"Keepsakes and Treasures: A Love Story" 形見と宝
"Good Boys Deserve Favors" よい子にはごほうびを
"The Facts in the Case of the Departure of Miss Finch"
ミス・フィンチ失踪事件の真相
"Strange Little Girls" ストレンジ・リトル・ガールズ
"Harlequin Valentine" ハーレクインのヴァレンタイン
"Locks"
ロックと鍵ロック
"The Problem of Susan" スーザンの問題
"Instructions" 指示
"How Do You Think It Feels?" どんな気持ちかわかる?
"My Life" おれの人生
"Fifteen Painted Cards from a Vampire Tarot"
ヴァンパイア・タロットの十五枚の絵入りカード
"Feeders and Eaters"  食う者、食わせる者
"Diseasemaker's Croup" 疾病考案者性喉頭
"In the End" 最後に
"Goliath" ゴリアテ
"Pages from a Journal Found in a Shoebox Left in a Greyhound Bus Somewhere Between Tulsa, Oklahoma, and Louisville, Kentucky" オクラホマ州タルサとケンタッキー州ルイヴィルのあいだのどこかで、グレイハウンド・バスに置き忘れられた靴箱の中の、日記の数ページ
"How to Talk to Girls at Parties" パーティで女の子に話しかけるには
"The Day the Saucers Came" 円盤が来た日
"Sunbird" サンバード
"Inventing Aladdin" アラディン創造
The Monarch of the Glen – a novella-length sequel to Gaiman's novel American Gods inspired by Beowulf and set in remote areas of Scotland
谷間の王者―『アメリカン・ゴッズ』後日譚
この後、作者による作品紹介と訳者(金原)あとがき

各話それぞれの感想は書きません。「翡翠色の習作」は、
ケジャリーを食べてみたいと思い、「苦いコーヒー」は、
ハッシュパピーを食べてみたいと思いました。

ケジャリー Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%83%BC
ハッシュパピー Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Hushpuppy

ゴリアテ」は、ATと言う単語に、IBM社のパソコンの、
モデル名という訳注がついてますが、PC/AT互換機のことを、
あちらでは略してATと呼んでたのでしょうか。
呼んでそうな感じもする英語版Wikipedia
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/69/IBM_PC_AT.jpg/450px-IBM_PC_AT.jpg
https://en.wikipedia.org/wiki/IBM_Personal_Computer/AT
https://ja.wikipedia.org/wiki/PC/AT%E4%BA%92%E6%8F%9B%E6%A9%9F

映画のクロイドンと言う街は架空ですうと何かで読みましたが、
原作の本書では、他の作品でもクロイドンが出てきます。
作者によるクロイドンクロニクルなのか。映画と原作は細部がかなり違ってて、
映画だと主人公はパンクに傾倒してますが、原作はそれほど、です。

ニール・ヤングの孤独の旅路を、ドイツへの交換留学のあいだ、
ずっと聞いてたとか、そんなくらい。で、原作は、ほかの小説も、
一体何が起こってるのか、具体的に書かれていないので、何が起こったのか、
書いてないのですが、映画だと、はっきり、お尻の穴をいじくられたと、
セリフでも言ってますし、うまいことお尻をフレームから外して、
でも手が伸びてる先がそこだよ分かるよみたいなカットがあります。
ヘドウィグちえみウィズアングリーインチはあいまいを許さない。

小説は、たぶん、オシリに集約されるような単純さを避け、
読者の想像力を喚起したいのだろうと思いました。
「おれの人生」という詩なんか、食器洗い機がなぜ人間を溶かすのか、
さっぱり分かりませんです。作者は映画ベーオウルフのホン書いてますが、
まったくこの脚本が映画化されると思ってなかったそうです。
食えない業界人。この短編集は、鮨を食べる話が比較的多いです。

この短編集に比較的近い感想を読後持った本というと、
台湾の呉明益の『歩道橋の魔術師』かな〜、と。

2016-05-24『歩道橋の魔術師』 (エクス・リブリス)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20160524/1464102230

なんというか、発展途上国でないので、魔術的リアリズムという言葉を、
使えない、封じられてる、万能な殺し文句なのに使えず残念、
じゃあどう呼ぶか、という問題を止揚している小説集ってことで。
発展途上国文化人類学で先進国は社会学、日本はそれに加えて、
ドメスな自国のみ対象の学問、民俗学も持ってるでゴワス。以上

【後報】
あと、タルサは、須賀田さんの作者ローレンス・ブロックの短編集で、
その話だけ雑誌初出がない単行本直接収録のヒドい話で、
ヒドい目に逢う日本車を運転してショッピングセンターに来る女性が、
住んでる街です。それで覚えている。

2014-01-17
ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)読了
http://d.hatena.ne.jp/stantsiya_iriya/20140117/1389964462

(2018/4/22)