右舷日記

2013-03-22

京都会館:解体工事住民訴訟 原告の請求棄却−−地裁判決/京都@毎日新聞

| 14:04

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20130322ddlk26040499000c.html

京都会館:解体工事住民訴訟 原告の請求棄却−−地裁判決 /京都

毎日新聞 2013年03月22日 地方版

 京都会館第1ホール(京都市左京区)の解体工事で「貴重な歴史的・文化的価値が失われる」とし、文化財保護法や市の風致地区条例に違反するなどとして、市民112人が市を相手取り工事の差し止めを求めた住民訴訟判決が21日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は「工事は市の裁量を逸脱したとはいえない」として請求を棄却した。

 市は、老朽化のため京都会館の再整備に着手。同ホールはいったん解体され、世界水準のオペラなど多様な演出ができるように一部の高さを約27メートルから約30メートルに引き上げる計画を進めている。

 判決は、京都会館について「(文化的に)高い評価を受けてきた」と認めたうえで、文化財保護法の規定について「訓示ないし努力義務を定めた規定」と指摘。市の対応については「建物価値の継承と機能向上という相克の中で、文化財的価値に一定の配慮をしている」と判断した。

 原告側は記者会見し「市は『建物価値継承委員会』を設置したが形だけ、実体的な配慮はされていない」と不満を述べた。【田辺佑介】

細かいことですが、全くどうでもよい枝葉の話ですが。いいですか、これは記事内容に比べたら細かい表現の話なんですよ。と前置きしておいて。

この『建物価値継承委員会』に対して「不満を述べた」原告とは私ですが、本人は不満を述べたつもりはなく記者からの質問に対して判決およびその背景の解説をしたつもりでしたが、思うことがいくつか。

  • 原告は不満を述べた」じゃなくて、委員会の最終提言と判決文に書かれたことの事実関係についてちっとは調べて書いたらどうなのか。文書は簡単に手に入るわけだし。「誰それさんが○○と言いました」って、それ、間違いだったらそのまま垂れ流しちゃうんじゃないの。
    • 個々の記事について事実確認をしてる暇なんかなく、メディア全般で「誰それさんが○○と言いました」式の発信しかしてないからこの記事だけの問題じゃないって相場の問題かもしれないが、もう私はそれは相場だから勝手にのみこんで黙ってるって行動様式は止めたのだ。気になったらその都度言うのだ。
  • 「不満を述べた」って表記は、価値中立じゃないんじゃないの。「主張した」とかなら分かるけど。*1
  • いや私が自分から声明かなんかで一方的に述べたのなら、百歩譲って「不満を述べた」と言われても仕方ない状況もしれないが*2、自分から質問しておいて解説されたことを「不満を述べた」と言われても絶句するんですが。記者席の一同が眠そうだったから、オーバー寄りに喋った自覚は確かにあるけど。

*1:いや、なんでこうなっちゃうかはちょっと分かるよ。これ、「原告記者会見の中で、判決を不服とし、その理由として○○を挙げた」あたりが正確なところなのを、縮めて、判決に対して不満であることと、その理由を一緒に短く書こうとするからこうなるんでしょう。でも、それは正しくない。いくら字数が無かろうが正しくないものは正しくない。これが常態化してるなら改めるべきだし、上記「主張した」など字数が少ない言い方は他にある。

*2:それでも私は「不満」だと主観的な意味合いが濃くなってしまうので、新聞記事としては不適切だと思うけど。「不服」あたりなら中立だと思うけど、それは法律用語に被ってしまうから司法記者は避けるのか。

2013-03-21

住民訴訟

| 05:39

判決をよく読みこんでおりませんので、結果だけお伝えしますが、京都会館第一ホール解体の差止を求めた住民訴訟において、差止は認められませんでした。後ほど判決の解説を含めた追記をしますので、チェックして頂ければと思います。

3/24(日)京都会館 2013 〜今、つなげる声〜

| 05:39

ご案内が直前になってしまい、すみませんが、京都会館の催しが行われます。

京都会館 2013 〜今、つなげる声〜」

 http://kyoto2013.exblog.jp/18694620/

日 時 : 2013年3月24日(日) 12:00 〜 16:00

場 所 : 岡崎いきいき活動センター 会議室2

〇展 示:京都会館に関連する写真/テキスト/動画等のこれまでの記録

    (実際の活動やweb上での発言などをあつめたもの)

〇お話会:

    小暮宣雄 (京都橘大学現代ビジネス学部都市環境デザイン学科教授)

    松隈 洋 (京都工芸繊維大学教授)

    三上 侑貴 (弁護士・京都会館住民訴訟弁護団)

    地元岡崎地区住民の皆様/市民の皆様

京都会館がなければ出会わなかった市民有志が、自分たちなりの手作りの会を開催します。

この件に関わって、より深く京都の「まち」や建物と人との関係について考えるきっかけとなりました。

たくさんの専門家の方々に教えていただいたり、いろんな方々に出会ったり、そうした豊かな交流から学び取ったことを

自分たちの「声」にしてみよう。そうした気持ちが今回の企画につながりました。

当日は会場でお茶でも飲みながら、円座になって、京都会館のこれまで、これから、京都のまちの未来のことなどを出席者と共に語り合う予定です。ぜひお越しください。

ほっぺけほっぺけ 2013/03/26 08:25 京都会館改修に関しては「果たして部外者の自分がなんやら言っていいものか」とは思う一方、「フライタワー整備」を「景観(特に遠景)」を代償とする事をどう京都の人は思っているのか複雑な気がしていました。
そんなとき偶然か
モーニング2という雑誌に連載している「少年ノート」という作品が今月号で
「開発(処理場)」「行政」「文化に対する市民の意識」といった問題が浮上してきたので紹介。この作品、今までは「わーボーイソプラノ萌えですかぁ?」と思っていたら
「変声期に戸惑う少年達」と「開発によって環境が変わってしまうかもしれない」という
「変化への不安」が二重写しになる一方、オペラ上演を進める主人公達に「文化(オペラ)って公共の補助受けてるんでしょ?もっと必要としているところがあるのに」という意見が出てきて冷や水を浴びせられるという場面もあったりで
これからどう展開していくのか少し興味がでてきたので。

starboardstarboard 2013/03/29 14:36 みんながみんな「部外者が言っていいものか」「自分なんか素人だし」的な遠慮をした結果、開き直った一部の層のやりたい放題になっちゃったのが日本の現状だと思いますので、そういう遠慮は無しです! 京都の人は・・・どう思ってるか以前に、何が起こってるか知らないんですよ。新聞でもTVでも、いつ付けてもやってるくらいにならないと知らないので、どうやって知らせたらいいもんか途方に暮れますが。
もひとつ、仮に知っても、「自分なんかが何か思ったり言ったりしてもいいことなのか」「自分のような中途半端な人間よりちゃんとした人が、どっかでちゃんと考えてくれた結果なのだろう」という「謙虚を装った無責任」が、フツーの人のフツーの感覚としてあるんじゃないかと思うので・・・こういうことを考えると、苦しいです。
モーニングを読んでから返事しようと思ったら、なんやかんや忙しくて本屋の店頭に行く暇もなく。「少年ノート」検索してみたら柔らかそうな画が可愛いですね。

ほっぺけほっぺけ 2013/04/23 22:23 やっぱだめなみーものは駄目と言わなきゃならんだすかね。
自分も某原発の件や震災瓦礫焼却(反対じゃないけど検査はしっかりしてね)でちょっと顔出してますがうーん、いろいろ運動している中でも妙な派閥があったり大変です;
 "少年ノート"で上演する予定のオペラはブリテンの"ねじの回転"なんですけど、
・・・ガヴァネス繋がりで船戸明里の"アンダーザローズ"を読み返したい衝動が;
リアル本はかさばる上、登場人物の大半が心を病みまくっていて"読むとメンタルにくるヴィクトリアサイコホラー"な内容で処分したので今度は電子書籍に・・でも幻灯社の電子書籍ってシステムが厄介なんだよな;
ガヴァネスについては川本静子の「ガヴァネス-ヴィクトリア時代の<余った女達>」でもかなり抑圧された存在なことが描かれているので「ねじの回転」のプロローグの条件が無くても事件起こりそうだ;

starboardstarboard 2013/04/26 05:02 駄目なものは駄目ですし、瓦礫焼却はヤバいです。私はよりによって関東一円まで十数μSV/hまで上がった2011年3月15〜16日にいわき方面まで行ったのですが、同行者が鼻血を出し、その後合い重なる尋常じゃない身体症状に驚き、後にチェルノブイリ時の現地報告に全く同じ症状があるのを知り、なるほどと思った経緯があります。関西の避難者用住宅では、子供に身体症状が出て驚いて避難した母子連れは珍しくありません(書きませんが、福一の敷地近くではもっと過激なこともある)。それらは全て、公式には全く認定されていないし、ゆえに今の日本でもあるわけないからストレスや風評被害と言われています。広島の遺伝影響すらそうだし、過去の公害事件の初期はみなそうです。今言われてる基準は全然大丈夫じゃないんですよ。派閥はあるし変な暇人もいるでしょうが、それでも駄目なものは駄目です。
アンダーローズ、いいものを教えてもらったのでハンブルクで暇してる間に見てみます。便利だがこれでいいのか?な余暇の過ごし方だな・・・

2013-01-31

第3回公判の請求人陳述@京都会館解体差止 住民訴訟

| 20:36

第3回の公判で陳述した原稿を、そのまま公開します。提出後に誤記に気づいた部分を、取消し線を使って編集しています。

京都会館住民訴訟 最終(第3回)公判

日時:2013年01月31日(木)午後1時30分〜午後3時

場所:京都地方裁判所203号室

平成24年(行ウ)第33号 解体工事差止請求事件


請求人陳述 西本裕美

第1回の公判でも陳述させて頂いた西本です。再び陳述させて頂きます。

私はクラシック音楽とオペラの愛好家であり、本計画がこのジャンルをターゲットとして挙げながら、あまりにもこのジャンルに対する現実認識が出来ていないことに疑問を持っております。このような計画が実行に移され、京都市の財政や舞台芸術を取り巻く現状そして将来の見込みに対してアンバランスなハードが建設され、今後それを維持しなければならない事態に追い込まれることにより、結果的に、音楽や舞台芸術のための施設でありながら、音楽や舞台芸術そのものに貢献しない、むしろ本来ならソフトに費やすべき文化予算が、ハードの維持に占拠されてしまう、そのことにより音楽を志す若い人達への育成が出来なくなり、既設の楽団や施設などが切り捨てられる、そういった事態が生じることに強い懸念を感じて、今回の請求に至りました。

このような問題は日本全国で起こっております。私は今回の請求の準備作業の中で日本のオペラの上演史を調べまして、その会場をしらみつぶしに見ていくうちに、ヨーロッパでしたら首都にしかないような立派な施設が、日本の場合は全国津々浦々至るところにあり、しかも数年に一度、あるいは施設が出来て以来たった一度しかそのスペックをフルに使う公演が行われていないことを知りました。音楽関係者からは、作ったはいいが管理が出来ていないために、残念な結果になっている施設の話を度々聞きます。日本の場合はあまりにも施設を作ることそのものに予算が配分され過ぎ、文化の育成や若い人達の教育自体に回す配分がアンバランスであるのみならず、折角作ったその施設も、維持に充分な手当てがなされないために、充分な活用が出来ていないということが起こっております。

これまで日本はこの問題を騙し騙し乗り切って来ましたが、全体の財政がこれまでのようには期待出来ない中で、既に作られたハードが劣化し、そのメンテナンスのための予算が膨大に必要なタイミングに来ております。そのような社会状況の中で、これまでと同様に、なるべく大きな施設を作ればいい、大きな工事が出来ればよい、その後のことは考えないということを、これからも続けていいのか、私が訴えたいのはそのことであります。


同時に私は、私の愛する音楽と舞台芸術が、東山景観文化遺産の破壊の口実に使われることに、深い悲しみと憤りを感じております。これらの文化的諸側面は、お互いに尊重されるべきであり、いかにそれらを満足させつつ機能を満たして行くかという工夫の中から、その地ならではの個性や美が生まれるのです。それこそが文化です。都会の只中にあるのと同じ規模の施設を、緑豊かな山裾の公園地帯に作ろうとする、これは暴力であります。過去の例でも、周囲にスペースが広大にある山の中や湖のほとりに作る場合でも、まず適正な規模の計画とし、地下を活用し、周囲に配慮した形で計画されております。当然のことであります。その当然のことが、そういった配慮を最も必要とする京都で、何故出来ないのか、非常に残念に思っております。


この計画が、このような問題を包含するに至ったのは、計画の過程に原因があります。京都会館の改修にあたっては、10年以上の歳月をかけて準備がなされてきました。その中で各種の専門的調査、専門家による判断がなされて来ました。それを全く覆す形で今回の計画というのは決まっております。そこに全ての原因があります。

2002年度には耐震調査が実施され、建築物躯体の劣化程度は比較的良好であり、現行法の耐震要求を満たすためには部分的な壁の補強工事をすれば対応可能であることが示されました。そのための計画も具体的に示されております。現状の壁に沿って補強するものであり、控えめで現実的な計画です。

その後、利用者や市民へのアンケート調査や施設の現況調査などを経て、2006年度には、音楽関係者や建築専門家等を構成員とする京都会館再整備検討委員会が、ここまでの調査結果・京都会館に対する現状認識・それぞれの専門とする知見などを踏まえて、第一ホールに関しては、現状の建物の外観を保存又は一部拡張する改修を行うことが適当であるとの方向性を示しております。多数の分野の専門家を交えた検討で、各種の調査や現状認識を踏まえて出した結論がこれです。後に、京都市自身も、この方向性に従った再整備構想素案を策定しております。

京都市はさらに、音楽ホールを専門とするコンサルタント会社である株式会社ライトステージに依頼して、改修計画と概算工事費の見積もりを依頼しております。ここでは、多数の音楽ホール改修の経験を有する専門家の目から見て、現状の建物を前提に舞台内高さを多目的ホールとして標準的な18メートルとする改修を行えば、「今までできなかった演出を行うことができる」、「有名プロアーティストの興行が増え、近年減ってきている第1ホール稼働率を回復させることができる」「最近できた他の多目的ホールと比べても、充分な演出ができる」と述べられています。この改修にかかる費用は、積み上げと統計による二重のチェックの結果、最大で60億円と、今回の計画のために発表されている114億円の半分に近い金額が見積られています。

しかしながら、京都市は、こういった専門家の判断の積み重ねを覆して、「世界水準の舞台芸術」すなわち大型のオペラを上演可能とするために極端に大きな舞台規模を前提として、第一ホールを解体して全く別の建物とする計画を発表しました。この決定には、なんら公的なプロセス専門家も関与しておりません。「世界水準のオペラ」が出来るというのは市の誤った知識あるいは思い込みに基づくもので、いかなる専門家のサポートもありません。このことは最初の公判の日に述べましたので本日は繰り返しません。

この計画によって、世界水準の舞台芸術すなわち大型のオペラが出来るというのは大きな誤りであります。京都市は、この問題に対して、京都会館の建物価値継承委員会の委員であった、新国立劇場の技術部長である伊 藤 委員の発言を引用して出来ると主張して来ましたが、私は彼と個人的な面識があり、彼の名誉のためにも申さなければなりません。彼は、ミュージカルと演劇に関しては「大型」という言葉を使っていますが、大型オペラが可能とは一度も言っておりません。

通常オペラや演劇を行う多目的劇場は、舞台袖に、メイン舞台の他に、1.5面以上の面積を設けます。日本の津々浦々に様々な規模の劇場がありますが、ほぼ1.5面はクリアしております。稀に舞台全面が広くどこがメインでどこがメインなのか袖なのか区別しないフリースペースのような設計の劇場が(主に海外に)ありますが、この場合も舞台空間全体でメインと袖を合わせて2.5面に相当する空間があります。京都会館の第二ホールにも当然あります。しかるに京都会館第一ホールの建替計画、文化遺産の過半を解体し、百億円以上の工費を費やして作るこの計画には、充分な袖空間がありません。それなのに舞台内高さだけを、日本で最も大きい規模の劇場と同等とすると言うのです。このアンバランス、日本で最も高さに配慮すべき立地に、それに吊り合うだけの平面計画が不可能なのに、高さだけを最大級と合わせる、この皮肉な事態を分かって頂けますでしょうか。

たしかに、現状の京都会館は、舞台空間が奥に行くほど狭まっており、最低部が9メートルですから、50年以上前に出来たときとは違って、今の状況からすると、舞台内に高さが欲しいという意見自体は理解出来ます。ただし、これは過去の検討の中で、音楽関係の委員も入った検討委員会の中で、平面計画と釣り合う範囲内でどの程度が可能であり適正であるかという検討の中で結論が出ております。現状の建物の改修で可能な範囲内です。


また、この計画が、多数の専門家の意見を無視していることも述べたいと思います。この計画に対しては、DOCOMOMO Japan、日本建築学会、日本建築家協会京都支部、そしてICOMOS20世紀遺産に関する学術委員会から指摘が寄せられております。これだけ多くの専門家集団がこの計画に危機を感じて表明していることを京都市は重く受け止めるべきです。イコモス20世紀委員会の意見書では、同委員会が国際的リソースを使って今回の計画の精査を行い、慎重を期すために外部専門家を起用して厳格で独立した評価を行ったうえで、この計画が「文化遺産への後戻り出来ない害を及ぼす」ものであると認定しています。京都市は解体工事に着手する前に、これらの専門家集団の指摘によって、今回の計画の有害性を知る機会は充分にありました。

京都会館の建物価値継承委員会の最終提言でも、この委員会は再整備基本計画を前提として基本設計の助けとなる範囲で限定的に活動する前提で設置されながらも、その範囲を超え、基本計画そのものに対する再考を促す強い提言を述べるに至りました。

こういった専門家の意見がありながら、京都市は計画をなんら修正することなく、今日に至っております。


音楽であろうと建築であろうと、専門家の意見は一貫して変わっていません。変わったのは京都市の政治的思惑だけです。政治的思惑が、科学や合理性に基づくべき判断に優先した結果どうなったかを、私達は今、地震対策のなされなかった原子力発電所活断層の上に設置された原子力発電所の存在によって目の当たりにしました。最初の公判でも申しましたが、私は、そのような状況をこれまで自分が放置してきたことを深く反省し、公共が誤った決定を行ったときに、これを科学的・合理的判断に基づいて是正することが日本社会を健全にする第一歩であると考え、今、この場に立っております。誤った計画を止め、是正する判断をお願いいたします。

2013-01-29

住民訴訟の最終公判@京都地裁

| 20:06

実はまだやっておりました。京都会館解体差止を求めた住民訴訟のお知らせです。東京から呼び戻されて陳述をする予定です。急に決まったので慌てて準備しております。

裁判では、旧建築物の改修で対応出来る範囲と建替の結果出来上がるプラン(袖や奥が最低限なのに高さだけ追求)との比較において、ホールとして対応可能な演目に大きな差がないのに、歴史的建造物と景観を壊し、倍額近い経費を費やして工事をすることは不当であるという主張をしています。

京都会館住民訴訟 最終(第3回)公判

日時:2013年01月31日(木)午後1時30分〜午後3時

場所:京都地方裁判所203号室

平成24年(行ウ)第33号 解体工事差止請求事件

原告 吉田和義 外111名

被告 京都市長 門川大作

京都地方裁判所 http://www.courts.go.jp/kyoto/

京都京都市中京区菊屋町(地下鉄丸太町駅1・3・5番出口から徒歩5分)

地図はこちら http://www.courts.go.jp/kyoto/about_tiho/syozai/kyotomain/index.html

2012-12-14

最高裁裁判官の国民審査、どうする?

| 04:13

衆議院議員選挙と同時に、最高裁裁判官の国民審査があります。国民投票によって裁判官を罷免出来るという国民の司法参加を保障する制度ですが、投票者の「過半数」が×印をつけないと罷免が成立しないために、この制度によって罷免が成立したことはなく、実質上形骸化してしまっています。

各世帯に配布される公報に、参考情報として、対象となる裁判官の経歴、任期中の主な判決、抱負が書かれていますが、最も参考になるであろう主な判決の情報は、そもそも各事件と法律に関する知識がないと読めず、また年間で千のオーダーの判決に対して3〜6件で、しかも本人がピックアップして自分で書いていますから、あまり参考になりません*1

一般人の中で考えられる範囲で最も理想的なパターンを考えても、日頃から注目している問題があって、それに関する裁判を含む社会の動向を知っていて、誰を罷免すべきかが判断出来るという状態がが、まず限界で、その人の仕事の全体を分かって判断出来る人はまず考えられないでしょう。

それでも、親切にも毎年何人かの方が、国民に関心が深いであろういくつかの観点をピックアップして、対象裁判官の関係する判決を調べ、「この問題についてこう考える人はこの人に×」的なアンチョコを作って下さってます。それを読んで考えたい人は「最高裁裁判官国民審査」で検索してみてください。

そういうサイトを調べる時間がない人も、読んでみてやっぱり分からんという人も、ここに挙げられた少数の視点だけで決めていいのかという慎重な人もいることでしょう。では国民審査の投票用紙はどうしたらいいのでしょうか。

そういう人のために、対象裁判官全てに×を付けるという運動が存在します。最近この運動が誤解を受けているのを目撃したのが、今回この文章を書き始めたきっかけなのですが、今検索したら、あまりにも古い話で検索しても簡単には出てこなかったので、書き残しておこうと思います。


全員に×を付けるという趣旨は、×の数字を底上げして、

  • 現時点では罷免に全く届かないが、全体の数字を底上げすることで、罷免が可能なレベルに少しでも近付ける。個別に判断している人達の手助けをする。
  • 裁判官に、各自の数字が上がることでプレッシャーを与え、国民の監視の目を意識させ、国民のことを考えた仕事をするように動機付ける。

この方法は、本当にこの考え方で×を付ける人が過半数に近づいた暁には通用しない運動ですが*2、現状のレベルでは意味を持つと思います。

個別の裁判官に関して判断する時間と自信のない方、参考になさって下さい。


今回の調べ物をしていたところ、1972年頃には、当時の野党が「国民審査で×を付けようキャンペーン」なんてものを展開していたことを知りました。http://miso.txt-nifty.com/shinsa/numbers.html

*1:ピックアップの仕方や何を書いて何を書かずに済ませるかによって、読み解ける人には読み解けるかもしれませんが、そんな人にはこの文章は必要ないことでしょう。

*2:この運動のことをはじめて知った若い頃は、こういうの嫌いでしたねえ。いついかなるときでも汎用性のある普遍でないとダメだなんて思ってましたから。青かった。

2012-12-13

京都の愚を繰り返すな

| 03:20

京都の愚というのは、全体の投票率を下げて全体の中の固定票(政党支持者や利権者層)の割合を高くして勝とうという戦略を有効にしてしまったことです。

http://d.hatena.ne.jp/starboard/20120208

あのときの京都市*1も、なんとなく盛り上がらない、入れたい人がいない、どうしたらいいのか分からない、もう結果が分かってるから行っても無駄という気分だったと思います。今週末は衆議院選挙ですね。似たような戦略を感じるのは私だけでしょうか。自分の周囲や調べて目に入る範囲内の感触*2が、報道と正反対という点も似ていると感じます。

国民の大多数である保守層にしても、これまで政権をとった経験のない党に政権を任せるのも懲りたし、元の自民党政権時代に戻るだけ、という気分の人が大多数だと思います。ところが、もう「元の」ではないのです*3

ところで、今の日本で戦争が起きる可能性に言及したら、頭がおかしいと言われるでしょうね。私は2011年3月15日に関西から福島に走ったときにそれを感じて、まさかと思いつつ、その後それを否定してくれる材料を探しているのですが、残念ながら裏切られっ放しです*4

まずドイツが戦争に突入したときのことを読んでください。

http://skmtsocial.tumblr.com/post/37628588064

次に、今回自民党が提示している憲法改正草案に何が書かれているかを見てください。

日本国憲法改正草案

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

条文現状改正草案
第99条(緊急事態の宣言の効果)対応無し緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
第21条(表現の自由)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。(第1項に追加で)
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。

この改正草案の全ての条文の対照とコメントが読めます。色の付いているコメント欄だけでも目を通してください。私なりに注目点を箇条書きにして挙げておきます。

http://www.geocities.jp/le_grand_concierge2/_geo_contents_/JaakuAmerika2/Jiminkenpo2012.htm

  • 天皇を国家元首に(第1条)
  • 国旗国家の制定・尊重義務(第3条)
  • 「戦争の放棄(第2章)」が「安全保障」と置き換えられ、自衛権の発動という名目であれば戦争や武力行使を可能とする表現になり(第9条)、第9条の2でそれに向けた制度的な準備が整えられている。
  • 第12条(国民の責務)、第13条(人としての尊重等)、第21条(表現の自由)、第29条(財産権)に「公益及び公の秩序」に反しないとの制約が統一して登場している*5
  • 第96条の憲法の改正において、衆参議院の三分の二以上の賛成が必要との要件が、過半数に緩められた(将来の改正への準備)。
  • 第97条の「基本的人権」がまるごと削除
  • 全体として、国家や公の秩序を前提として、国民はそれを尊重し守らなければならないというトーンに。憲法によって国家の行為を制限するという現在のあり方と逆である。

それではどうすればいいのか(2012衆議院議員選挙)

自民・公明・民主・維新は、選挙後に合流して、ここで解説した動きを進めていくと思います。そういう目的の解散であり総選挙です。今回の選挙では、この動きを防ぐことが重要です。日本人は理想主義なので、全てにおいて欠点の無い候補者がいないと全てを放棄しがちな傾向にあると思いますが、政治においてはセカンド・ベストが重要です。上記4党の合計で過半数をとらせないことが重要です。また新党の乱立している今回の選挙では、票が拡散して死に票になるというのも意識しないといけません。死に票にしないために、下記を参考にしてください。

ロイターオンライン調査(サイトの下の方)

http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/politics


タブーについて、私の反省について

| 03:36

京都会館のことを扱って以来このブログは迷走して色んなことを扱うようになったわけですが、最近は、政治の話はタブーという日本の常識について、それに従って自粛してきた自分について、つくづく反省しています。

この問題は非常に複雑で一人で対応することは難しく、各人の専門性を持ち寄って多様な視点の意見を交わすことによって深まるというステップが不可欠で、一人で色々調べて完結することは非常に難しいだろうと思います。その難しさは、まるで、学校にも通わないで、定評のある教科書の存在も知らずに、たった一人でゼロから調べて、ひとつの学問に取り組むようなものです。

そのような性質を持つ問題について、社会的にタブーであり、話題にしてはならないということにしておけば、情報は共有されず、適切な判断は下されず、解決手段はいつも適当になり、状況は把握されず、どんどんズルズルになって人々の目にはどうしようもなく手の付けようがなくこじれた問題として写り、そのような状況に閉塞感と諦観が漂い、人々の関心は薄れ、益々投げやりになってしまうことでしょう。

ですから話さなければならないと思います。なんとしてもタブーを打ち破らなければならないと思います。タブーを守っている人々は、たぶん本人は、他人の気分を害しないように自分の言いたいことを飲み込んで貢献しているつもりだと思いますが、その行為の加害性(結果としての加害性)を自覚した方がいいと思います。日本人の自己犠牲精神が結果としてもたらす加害性というものについて、この2年見つめ続けざるを得ませんでした。

ネットというのは私には有難いメディアでして、内心では気に入らないんだけど波風立てないために仕方なく笑顔で応対してくれているのかも・・・と発信側が先回りして心配する必要はなく、気に入らなければ読まない、立ち去るという自由が受け手の側にあります。気に入らないと表明する自由もあります。自由はあなたの側にあります。

*1:のうち受動的な大多数。

*2:わざわざ反対意見を探した結果。

*3:これは、311以後、日本人が、大方の政治家が予想していたよりもずっと従順だということがバレてしまって、彼らがそれまで行っていたことよりも、もっと強硬なことを行っても大丈夫だと確信したのだと思います。

*4:全く荒唐無稽で現実味が無く何を言ってるのか分からないと思いますが、太平洋戦争に突入したときの国民もそんな気持ちだったろうと思います。

*5:これまでは「公共の福祉」に反しないという表現だった

嘘々実々嘘々実々 2012/12/16 10:28 恐ろしい事態が待っていそうですね。このことが争点にならない国って一体・・。

starboardstarboard 2012/12/19 02:08 選挙の結果が出た途端、早速マスコミで扱われはじめました。報道管制も311震災以後に露骨になって来た事態で、最初は緊急事態だからということから始まったと思うのですが、その後急速に既得権化しつつあります。残念ながら、日本人はこうなるとすぐ「仕方ない」と考えてしまって抵抗しない習性なので、完全に読まれてます。国民がこうだからなんぼでも「やったもん勝ち」が通用し続けてしまうのですが。
もう最近国外移住したくて仕方ないです。それじゃ無責任だと思うから留まってこんな注意喚起もしていたのですが、今回の件では、当事者がいいって言ってるならもういいじゃないかという気分に。

starboardstarboard 2012/12/19 04:46 なんか最近マーサッカーに完全同意なんですが、普通の国(ってなんだ?)は徴兵制をしても軍を持ってもそれが普通の国だと思うんですが、日本人の、誰も責任をとらずに、ひたすらやったもん勝ちをずるずる許して、全く合理的な判断無しに、みんなに従え精神で明確な拠り所なしに、ただただひたすら玉砕まで放置するという性質は、本当に、本気の本気で、こんなもの持たせたらアカンと思います。国民があまりにも短絡的で自己中心的な視点しかなく、真っ当な本来あるべき政治や言説(社会のための政治)を「うさんくさい」とか「うぜえ」としか思えず、自己中心的な言説や権力の取り合いにしかリアリティを感じられないんですから、私には明るい未来は想像出来ません。

2012-12-10

住民訴訟の第2回公判@京都地裁

| 09:24

まだやってたのかと言われそうですが、責任追及は今後もずっと行っていく予定です。

裁判では、旧建築物の改修で対応出来る範囲と建替の結果出来上がるプラン(袖や奥が最低限なのに高さだけ追求)との比較において、ホールとして対応可能な演目に大きな差がないのに、歴史的建造物と景観を壊し、倍額近い経費を費やして工事をすることは不当であるという主張をしています。

京都会館住民訴訟 第2回公判

日時:2013年12月19日(水)午後1時30分〜午後3時

場所:京都地方裁判所203号室

平成24年(行ウ)第33号 解体工事差止請求事件

原告 吉田和義 外111名

被告 京都市長 門川大作

京都地方裁判所 http://www.courts.go.jp/kyoto/

京都京都市中京区菊屋町(地下鉄丸太町駅1・3・5番出口から徒歩5分)

地図はこちら http://www.courts.go.jp/kyoto/about_tiho/syozai/kyotomain/index.html

ほっぺけほっぺけ 2012/12/13 21:41 「死の町」とえばグランドオペラ「悪魔ロベール」の引用があるんですけど「悪魔ロベール」ってフランス中世の有名な吟遊詩が元なんですね。

starboardstarboard 2012/12/14 11:34 悪魔ロベール知らなかったので調べてみました。ROHでは丁度今「悪魔ロベール」を上演しててDVD用の映像収録もあるとのこと。http://www.roh.org.uk/productions/robert-le-diable-by-laurent-pelly
マイヤベースのオペラって、話にはいっぱい聞くけど(読むけど)、通して聴いたことはないので、この機会にチェックしてみようと思います。死の都を見るときに役立つかも。日本では来年3月が何故か市の都イヤー(マンスリー)ですね。ここまで接近しなくてもいいんじゃないかと思うけど。

ほっぺけほっぺけ 2012/12/19 21:36 話題はずれますが
「ドン・ジョバンニ」を現代に移した"映画"「Juan」
動画じゃない画像がなぜだかドン・ジュアン(ジョバンニ)の全裸シャワーなのはおいといて(笑)、動画の方、現代に設定するとこーなるか。カタログの歌の前のトンズラは地下鉄ホームとか・・・一番気になるのはジュアン(ジョバンニ)が常に何か憂い顔というか憂鬱そうなんですよね。鉢合わせたエルヴィーラにもなんか半分まじめに聞いてるし・・・どんな映画なんだろう?

starboardstarboard 2012/12/20 05:39 おお、実はこれまだ観てないんです。NTSC待ちしてるうちに忙しくなって、そのままになってしまった。もうPALでいいから買って、お正月休みに観よっかな。人に(特にオペラ入門者に)貸したくなる予感ビシバシなのでNTSC待ちたかったんだけど、どうせ日本語字幕ないとダメだから、待っても仕方ないか。
ホルテン演出といえば男性ヌード。何度目だ。http://www.youtube.com/watch?v=28gikZh3fK8 ホルテンに限らず北欧文化における男性ヌード登場率(フルチンOK)は異常です。タブーじゃないってことなんでしょうが。

このJUANは動画だけ見てても、すごくリアルで身につまされます。http://www.youtube.com/watch?v=P_J8BjbvKrg ドンナ・エルヴィーラの年齢設定と、キャリアっぽいファッション等の設定と、そこから漂ってくる「頑張ってます」感は、直視し難いものを感じます。でも、そういう話だよねーつくづく、と納得してしまいます。ホルテン演出って、私には切実なものを突いてくるんですよ、いつも。

そういえばgalahadさんとこで、複数の人の感想が出てたような。http://galahad.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/juan-1b04.html

ROHのロベールは今BBCで配信中でした。あと3日あります。http://www.bbc.co.uk/programmes/b01p9cqn

ほっぺけほっぺけ 2012/12/20 18:41 >ROHのロベールは今BBCで配信中でした。あと3日あります。
 おお、ありがとうございます。自分はこれを機にCD買ってみんべと安くて早く買えるものを注文したら粗悪な録音(まさかこれが海賊盤というものなのか・・って正規の店で売ってるから違う;)だったのでBBC聴いてみます。
「Juan」
>ドンナ・エルヴィーラの年齢設定と、キャリアっぽいファッション等の設定と、そこから漂ってくる「頑張ってます」感は、直視し難いものを感じます。
これは現代設定ならではただの行かず後家でない強調ができたのかな・・。
 書き忘れていたけど「ドン・ジョバンニ」で注目される騎士長の銅像と地獄堕ち、これがHPの動画では「なるほど!」現代ですからアレのご登場なんですな。

ほっぺけほっぺけ 2013/01/03 20:44 おくればせながら明けましておめでとうございます。
年末から正月までちょっと「ご奉仕します☆ご主人様☆」ってちがーう!;某所でアフターケアに行ってましてお礼にいろいろ振る舞ってもらったのはありがたいんですが、・・甲殻類はダメな自分を再認識しました(でも何故リアスにカニ?北海道かな?)。
 そのとき携帯していったのが、「世の中の仕組みの理不尽にキれそうなアナタのココロを鎮める本」速水螺旋人著「大砲とスタンプ」だー。官僚眼鏡娘が主人公のミニタリー・オタクな漫画ですがガチガチのお役所娘と思いきや組織内の理不尽に対して戸惑ったりそれなりに理解ある上司や同僚とのつきあいのなかで柔軟(?)さもスキルに得ながら「あえて私はこうするーッ」と突き進む主人公は見ていて気持ちがいいすよ。
しかし速水氏といい映画「ゴティックメード」の永野(護)氏といい京都にはミリオタの漫画家が多い様な気がするのは何故だろう。

starboardstarboard 2013/01/08 02:43 あけましておめでとうございます。私は色んなものを分解しながら、ぬくぬく・うだうだ寝正月して過ごしましたです。カニだめっすか。地味に茹でても旨いけど洋風のカニ飯もいいですよ。「大砲とスタンプ」知らなかったので検索してみました。線がかわいいっすね。ミリオタは何処にでもいるんですよ。船ヲタ(船キチ)と隣接分野です。

2012-11-03

11/5 (月)「歴史的都市景観」シンポジウム

| 06:32

ユネスコの世界遺産40周年記念の会合が今京都市で開かれています。その一部を構成するシンポジウムのなかで、関係者より京都会館再整備事業に関する話題提供がなされる予定です。これが現在の建物を守るラスト・チャンスになると思います。是非足をお運び、どのように議論が展開するか、見届けてください。

世界遺産条約採択40周年記念

歴史的都市景観研究会・公開シンポジウム in 京都

「歴史的都市景観という概念の波及と共有」

The Odyssey of the Concept of Historic Urban Landscape

2012年11月5日(月)14 時〜17 時

共催:東京大学都市デザイン研究室、京都市

場所:国立京都国際会館 【日英同時通訳付、申込不要、無料】

ご挨拶: 西村幸夫[東京大学]

基調講演: 京都の歴史的都市景観

     寺田敏紀[京都市景観・まちづくりセンター]

パネル・ディスカッション:

・コーディネーター:西村幸夫[東京大学]

・パネリスト:寺田敏紀 [京都市]

  パオラ・ファリーニ [ローマ大学]

  呂舟先生[清華大学]

  ヨングタニット・ピモンサティアン[タマサート大学]

2012-11-02

英訳の日々

| 06:33

なんの因果か、ここんとこ毎日英訳漬けです。自分で書くことはあっても、他人様の文章を訳すなんて機会は殆どないので、勉強にはなるのだが、私はエンジニアであって事務屋じゃなーい!・・・と夜空に向かって主張してみる。これで分かったのは、自分で書くときは、英語にしやすいように元の文章自体を無意識に変えちゃうから、こういう原文のある翻訳みたいに元々表現しにくいものを無理矢理置き換えるという経験自体がこれまでなかったんですね。ということを自覚しました。

2012-11-01

今日も終わらない

| 00:57

毎日々々、いかにも日本的な「最終結論が決まるまでオープンに出来ずにああなってこうなっての連続ばかりでどんどん雁字搦めになって、オープン出来る頃には1ミリも動かせなっている」日本的なプロセスに取り込まれて行くなあ。いつぶっちゃけトーク出来る日が来るんだろう。王様の耳はロバの耳ー!だれか京都に遊びに来ませんか。そしたらぶっちゃけトークして聞かせるから。つーか誰か聞いて!切実に。

こういうときに限って、平和なおっかけ日記ネタなどが頭に浮かんで書きたくて仕方なくなるんだよね。はあ。

デスクワークに釘付けにされつつ、仕方ないのでずいぶん昔の録音を聞きながら、生だとやっぱ評価が甘くなるよなーと思いつつ、録音と実演時の色んな違いを思い返したりしながら、やっぱり机から離れられない毎日です。何言ってんのか分かんないですね、こりゃ。メモっといていつか文章化したいネタのひとつということで。


今日から11月です。P2 Koncerten 11月版を更新してる時間がありませんが、以下のURLでチェック出来ます。

P2 Konceten 英語(機械翻訳)


追記

ダメだ、ここまで来てムシャクシャして書きたくなった。私は技術屋だから、誤魔化しをしてると絶対それは出来たものがうまく働かないという形で返って来るし、技術屋以外の立場の人にも分かりやすく説明することが常時求められ、技術そのものを正確に伝えることは無理にしろ、それによるベネフィット・コスト・リスクが正確に伝わる程度には伝えないといけない。その習慣が体に染み付いている*1

こういう、物事をどうやってストレートに伝えず、連想ゲームみたいなことだけ答えつつ、言い方を変えて最後までそれを言わずに済ませるか、みたいな世界は、うぎゃあああ!となるなあ。

もっと恐ろしいのが、我々の生きている世界では、それは軽蔑の対象だが、それが臆面もなく出来るばかりか、ありえないトンデモ論法を引っ張ってきて無から有を生むことが出来る奴が優秀になってしまう世界があることだ。つまり、合理的な思考に基づいて合理的な結論を出すのではなく、与えられた結論に対して、それを補強する材料をありとあらゆるものを利用して捻り出して来ることが臆面もなく出来ることが求められるということだな。

なんて、いい年をした大人が言ってると、なんてナイーブなんだと呆れられてしまいますか。そもそも、そういうのが嫌いだから理系やってるからなあ。

私なんか、いつも自分が正しいか確信がなくて、さらに、認識可能な範囲では科学的に妥当そうでも、それが結果的に善いか不安で溜まらないから*2、絶対不可能な領域ではありますわな。そう言って現実を直視しないで逃げ回っていて、そういうシステムが巡り巡って我々の故郷に何をしたのかを目の当たりにしたから、絶対に向いてないこんなことをやっているのだけど。

*1:だから私の話には分かりやすくするための類型化や模式化が無意識に含まれていて、それをこういう文芸評論みたいな分野でやると、人によっては新鮮に感じるようだが、なんのことはない、別分野の習慣で常套手段であるだけだ。

*2:科学史には度々そういう事例がある。フロンは地上では安定なので夢の物質だったが、あまりにも安定過ぎて安定なまま大気圏まで到達して悪さをするとは誰も予測出来なかった。少量なら有効だが、あまりにも有効過ぎて大量に普及してしまったゆえに悪影響を及ぼす例もある。化学肥料や化石燃料なんかはそういう形態の害の及ぼし方をする。

2012-10-25

急>情報求む>世界のオペラハウスの図面

| 21:13

京都会館の関係で以下のオペラハウスの図面を急ぎ揃えなきゃいけないのですが、ベラネクの本を宛てにして安心していたところ、この本は音響の本なので、世界の主要オペラハウスを網羅しているのですが、ステージを省略した図面しか載っていなかったのです。舞台が問題になっているので、今回の目的には足りません。どこかからステージを含む図面を見つけて来ないといけません。

そこで、読者のみなさまにお願いです。以下のオペラハウスの図面を探しています。この本・雑誌に載ってるよという情報も熱烈歓迎です。お心当たりのある方は、コメント欄などで教えてください。

  • ミラノ・スカラ座 解決済
  • 英国ロイヤルオペラ 解決済
  • フィレンツェ歌劇場 解決済
  • メトロポリタンオペラ(NY) 解決済
  • ベルリン歌劇場 解決済
  • パリ・オペラ ガルニエ解決済、バスティーユ求む
  • ウィーン国立歌劇場 解決済
  • 新国立劇場(日本) 解決済

以下はびわ湖ホールと兵庫芸文センターの例ですが、こんなイメージの図面があれば最高です。平面図だけでも有難いです。もっと簡単な模式図みたいなものでも助かります。多面舞台であることが一目で分かる絵がよいです。

オペラファンのみなさま、あなたの馴染みの劇場の公式サイトやパンフなどで模式図を見た記憶はないでしょうか?建築系のみなさま、事務所の本や雑誌にこれらが掲載されていませんか?是非お助けください。10/30(水)までに必要です。

ほっぺけほっぺけ 2012/10/26 07:19 とりあえず、
 まず「opera house plan」「opera house level plan」「opera house floor plan」
で画像検索するとノルウェー・オスロのオペラハウスとか
舞台関係者には悪名高い(脇なし・タッパなしヒィィ;)シドニー・オペラハウスの図面や
、大昔のバロック劇場の図面(袖の舞台絵で転換する奴なので袖スペースなし)
も出てくるので玉石混合なんですが; あとスカラ座は袖がほとんど無くて、奥舞台から装置を運んできて幕間に転換すると記憶してます。

 手元にある本で図書館でさがすと良いとおもわれるのは
・「演劇のための空間」以東正宗+シアターワークショップ SD別冊
昔の本で演劇用中心ですが、世界の劇場のほか国内の劇場の図面あり
・「わたしたちと劇場」清水裕之
世田谷パブリックシアターのプランを中心とした本
あと建築の設計事例集の本があるはずですがちと探してみます。

 地元劇場では
・「京都・南座の記録」六曜社
南座の改修の記録本。各階図面などあり。
歌舞伎小屋ということもあって、大道具を待機させておくスペースがあのぎりぎりのところに確保してあるんですな。
余談
 オペラにしても演劇にしても1公演上演するには主舞台の他に1.5面位あれば十分みたいです。

ほっぺけほっぺけ 2012/10/26 08:06 http://www.tmoh.com.tw/page/04-design/design_drawing.htm
台湾・台中(建設中)メトロポリタンオペラハウスの図面

galahadgalahad 2012/10/26 11:34 この本はどうでしょうか。 ベラネク本とかぶるかな。
http://www.amazon.co.jp/Auditorium-Acoustics-Architectural-Design-Michael/dp/0419245103/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1351217060&sr=1-1#_

あと、こちらにお問合せになったことはありますか?
http://www.oistat.org/content.asp?path=q9k73pf
もうすでにご存知でしたらすみません。

ほっぺけほっぺけ 2012/10/26 11:38 続いて図書館にあるだろうとおもわれる本
・GA現代建築シリーズ04 THEATER   二川幸夫企画・編集
 京都会館に東京文化会館、日生劇場、リヨン、まつもと市民など
・建築設計資料集成 拡張編 展示・芸能   日本建築学会編
 コヴェントガーデン、グライドボーン、大阪音大、京都春秋座など
・建築計画設計シリーズ27 音楽ホール・劇場   服部紀和編
・京都南座の記録-やわらかい劇場論   京都南座の記録出版委員会代表 山崎泰考

 整備後の京都会館第一ホールに一番近い舞台床面積はリヨンオペラでしょうか?
リヨンやスカラ座は多分吊り物とセリとあとは人海戦術で舞台転換してるのかな・・

ほっぺけほっぺけ 2012/10/26 11:54 余談
多面舞台は面積的には広いにこした事無いのですが
スラィディングステージとかは毎日別公演するか指輪一挙上演でもしないかぎりあまり使われなくなってきているようですね(費用の関係とかで)。
あと海外歌劇場の来日公演で神奈川県立ホールがよく使われるのは客席数の他、
舞台機構があちらの人(規格?)にとって使いやすいとかいう話を聞いたことがあります。

galahadgalahad 2012/10/26 13:18 中欧の劇場に特化した建築DB、WSOの簡単な図面付。これ系のDBか建築系学術論文DBを探すのがてっとり早いかもしれません。
http://www.theatre-architecture.eu/en/db/?filter%5Bcity%5D=Vienna&theatreId=334

starboardstarboard 2012/10/26 16:45 ほっぺけさん、galahadさん、早速の情報ありがとうございます。近場の図書館で以下の本はゲット出来そうです。「演劇のための空間」「京都・南座の記録 : やわらかい劇場論」「建築学会の展示・芸能」他はすぐに入手するのは難しそうです。国内の目ぼしいホールは既に入手済で、海外の古いオペラハウスは意外と図面に当たらないのです。theatre-architecture.euは時間を変えて何度かアクセスしているのですが、サーバエラーになってしまいます(サーバがないというエラー)。
このリストは京都市が文書で挙げたハウスで、実は訴訟の証拠として使うものなので、他の劇場ではなくこのハウスの図面が必要なんです。スカラは舞台が不便だったので最近改修したと聞きました。

galahadgalahad 2012/10/26 17:11 ベルリン国立歌劇場 舞台図面じゃないからダメかな。
http://www.oistat.org/media/activities/architecture/2010%20ac%20meeting%20report%20material/handout_berlin_state_opera_unter_den_linden.pdf
EUTA、私のところからはアクセスできるんですが、どうしたのでしょう?
Theatre Database EUTA で検索してその結果からは入れませんか。

miokmiok 2012/10/26 17:20 こんにちは。役に立つかわかりませんがいくつか送ってみます。ベルリンのウンターデンリンデンは今工事中ですが、古い図面がいいのでしょうか。

roh http://www.dixonjones.co.uk/www/dixon_jones.html

moh http://www.archdaily.com/163161/busan-metropolitan-opera-house-competition-proposal-index-architecture/2fplan-ai/

wien http://www.theatre-architecture.eu/db.htm?filter%5Blabel%5D=&filter%5Bcity%5D=&filter%5Bstate_id%5D=2&theatreId=334


Teatro Alla Scala http://www.teatroallascala.org/en/discover/theatre/virtual-tour.html
右舷さん、前に酔っぱらってくだらないメールをしてしまいました。すみませんでした。

miokmiok 2012/10/26 17:45 http://www.greatbuildings.com/buildings/Paris_Opera.html
ガルニエ宮ありました。

miokmiok 2012/10/26 17:57 何度もごめんなさい。
最初のウンターデンリンデンだと思います。
http://new.heimat.de/home/staatsoper/KleineBaugeschichte.pdf

MadokakipMadokakip 2012/10/27 00:07 こんにちは。メトですが、97年の日本公演にあわせて発売されたメトロポリタン オペラ ブックに舞台まわりもすべてふくめた平面図と断面図が掲載されています。縮尺とか数字は入ってないですし、細かい点でどこまで目的に沿えるかわかりませんが、多面舞台なのは十分わかるのではないかと思います。開きページに跨っているのでスキャンしずらいのですが、必要だったら連絡下さい。

starboardstarboard 2012/10/27 02:35 galahadさん、接続環境を変えたらEUTA繋がりました。劇場データベース役に立ってます。

miokさん、多数の図面を有難うございます。ウィーン、リンデン、ガルニエはそのまま使えそうです。リンデンの改築推移の図面は実に勉強になりますね。http://new.heimat.de/home/staatsoper/KleineBaugeschichte.pdf
以前にコメント頂いたことは覚えていますが、酔っ払ってメールは分からないんですが、もしかしてリアル知り合いの方でしょうか?ヒント下さい。

Madokakipさん、お久しぶりです!メトといえばこの方という真打に助けて頂けるとは心強いです。私がメトロポリタンとだけ書いたのが悪いのですが、意外とNYのメトが出てこなくて韓国の同名の劇場の情報が来てしまいました。
メトロポリタン・オペラ・ブックが今から入手できないか調べたのですが、さすがに15年前でこういったジャンルだと品切れで購入は難しそうです。東京文化会館の資料室にはあるそうですが、すぐに手に取ることは難しいので、該当頁をスキャンした電子データを送って頂けると非常に有難いです。アドレスはこちらです。http://d.hatena.ne.jp/starboard/about

MadokakipMadokakip 2012/10/27 10:03 お送りしました。届かないようでしたらこのコメント欄、当方のブログ、いずれでも結構ですので、ご連絡ください。

starboardstarboard 2012/10/28 03:26 Madokakipさん、無事受け取りました。本日気絶しておりまして、連絡が遅くなりましてすみませんです。図面これで充分です。本の記述も興味深く読みました。有難うございます。

ほっぺけほっぺけ 2012/10/28 09:11 市が「こんな劇場でオペラを上演している」と主張しそうなのが
前述本の大阪音大カレッジオペラハウスと
昭和音大のテアトロ・ジーリオ・ショウワ
http://www.nagata.co.jp/news/news0704.html
でもこれは大学の公演だから上演出来るとか別棟に倉庫があるなど理由があるはずです。それにどちらも袖舞台の主舞台に対する床面積率は京都会館第一ホール整備計画よりは大きいはず。

starboardstarboard 2012/10/28 17:07 ほっぺけさん、実は表に出してないことで相談したいことがあるので、メールアドレスを教えてもらえませんか?ここにあるアドレスに連絡ください。http://d.hatena.ne.jp/starboard/about
比較的規模の小さなオペラに関しては改修で対応出来るとの主張をしているので、小さい分には問題ないです。改修で対応出来る範囲と今回の計画(袖や奥が最低限で高さだけ追求)の間に大きな差がないのに、歴史的建造物と景観を壊し、倍額近い経費を使って工事をすることは不当であるという主張をしています。

2012-10-16

住民訴訟の初公判@京都地裁

| 00:06

明日は京都会館住民訴訟の初公判です。私も陳述に立つ予定です。どなたでも傍聴可能です。是非傍聴にお越し下さい。

京都会館住民訴訟 第1回公判

日時:2013年10月17日(水)午後2時30分〜

場所:京都地方裁判所203号室

平成24年(行ウ)第33号 解体工事差止請求事件

原告 吉田和義 外111名

被告 京都市長 門川大作

京都地方裁判所 http://www.courts.go.jp/kyoto/

京都京都市中京区菊屋町(地下鉄丸太町駅1・3・5番出口から徒歩5分)

地図はこちら http://www.courts.go.jp/kyoto/about_tiho/syozai/kyotomain/index.html

本体解体工事の中止を 京都会館問題で署名3000人分提出@京都民報

| 00:06

またもや書いてくれるのはここだけか。

http://www.kyoto-minpo.net/archives/2012/10/16/post_9089.php

2012年10月16日 10:27 京都民報

本体解体工事の中止を 京都会館問題で署名3000人分提出

 京都会館の建て替え計画に反対し、保存を求めている「岡崎公園と疏水を考える会」と「京都会館再整備をじっくり考える会」は15日、京都市に対し、工事中止を求める要望署名約3000人分を提出しました。

 京都市が9月から始めた同会館第1ホールの解体工事が、16日から建物本体の取り壊し作業に入ることから、緊急に行われたもの。

 門川市長あての要望書は、戦後モダニズムを代表する建築物・同館の解体工事について「歴史的文化都市の名に恥じる行為」と指摘し、建て替え計画の再考を求めています。

 両会が収集した署名は総数1万4645人分で、同市への提出は3回目です。

京都会館解体工事中止求める要望書・市民団体が提出@京都新聞

| 02:37

京都新聞にも出ました。

http://www.jca.apc.org/jikkuri/docs/121016_kyoto_SFA.gif

ところで、この人に出してもらうなら何故もっと前に出してもらわなかったのかということですが、欲を言えばオペラハウスのマネージメント筋から出してもらいたく*1、直前まで努力していたということです。これが最近の遠征で気がそぞろだった理由ですね。


日本イコモス国内委員会と京都市のやり取り

| 23:58

イコモス20世紀遺産に関する国際学術委員会からの意見書を受けて、日本イコモス国内委員会の第14小委員会で検討が行われてきましたが、京都市とのやり取りが日本イコモス国内委員会のサイトで公開されました。その一連のやり取りを、前段部分を除いた抜粋して紹介します。


日本イコモス第14小委員会

リビング・ヘリテージとしての20世紀建築の保存・継承に関する課題検討

http://www.japan-icomos.org/workgroup14/index.html

日本イコモス国内委員会から京都市に送られた京都会館再整備計画に関する見解(2012年9月10日付)

http://www.japan-icomos.org/workgroup14/kyotokaikan_comment120910.pdf

(前略)しかしながら、

(4) 京都会館再整備基本設計において、20世紀建築のリビング・ヘリテージ(使われる建物としての継承)としての機能変化を含む改修などの変化に対して、継承すべき価値の判読が困難で、かつその資産のインテグリティ(完全性)の確保が合理的に示されていないこと。

(5) 京都会館再整備基本設計における資産のインテグリティ(完全性)が保たれているかの検証と、その確保のための新たな要求性能の再検討がなされていないこと。

(6) 「京都会館の建物価値継承に係わる検討委員会」提言の示す「近代建築を保存・継承する新たな道筋をつけること」に対する説明が不十分であること。

京都市は、(1)および(2)の点を止揚して、新たな京都会館のあり方を提案するのであれば、上記の(4)〜(6)の疑問点に対処し、かつ、その解決策が京都会館の最小限の改変案であることを合理的に示すべきであると考えます。

京都市が行う上記の作業を注視し、必要に応じて協働して検討するために、イコモス国内委員会拡大理事会(9月8日)において、国内委員会内に第14小委員会「リビング・ヘリテージとしての20世紀建築の保存・継承に関する課題検討(京都会館再整備計画に関する検討)」(主査:苅谷勇雅)を設置することとしました。また、その検討結果を国際学術委員会ISC20Cに報告する予定です。

日本イコモス国内委員会の見解に対する京都市のコメント(2012年9月11日受領)

http://www.japan-icomos.org/workgroup14/kyoto_answer_jpicomos120911.pdf

日本イコモス国内委員会から市長あて「京都会館再整備計画に関する見解」に対するコメント

京都会館再整備について,これまで本市が京都会館の建物価値を認めて慎重に検討を重ねてきたことには評価いただいている。その一方で,再整備に関して,なお丁寧に説明すべき点があるとの御指摘をいただいたと理解している。

○ 本日,いただいた御指摘については誠実に対応し,建物本体の本格的な解体に取り掛かるまで,仮囲いや建物内部の付属設備などの撤去を行っている期間である約1箇月を目途に,日本イコモスの御協力をいただきながら,再整備基本設計の取りまとめに至る経過の説明等に,精力的に取り組んでまいりたい。

京都市としては,英知を集めて再整備に取り組んできており,その内容については,必ず御理解をいただけると確信している。

日本イコモス国内委員会第14小委員会による質問状(2012年9月26日付)

http://www.japan-icomos.org/workgroup14/kyotokaikan_question120926.pdf

(前略)第一ホール「建物本体の本格的解体」着手前に御回答いただけますよう、お願い申し上げます。

質問事項

  • ? 京都市としてどのように京都会館第一ホールの機能上の課題を整理し、どのように新たな要求性能を設定したか、経過を追って合理的、論理的、また具体的にお示しください。
  • ? 上記において、第一ホールに対する新たな要求性能が京都会館全体の建築的、文化的価値のインテグリティを継承・担保し得る範囲内のものであるかの検証をどのように行ったか、また、その要求性能の妥当性等についてどのように検討したか、お示しください。
  • ? 第一ホール全面解体除去後においても、実際に京都会館全体として建築的、文化的価値が継承され、そのインテグリティが担保され得ることが証明できるか、お示しください。
  • ? 第一ホールを全面解体除去するとした場合、建築の当初の部分や材料の保存の側面も含めどのように建物価値を継承し得るのか、お示しください。
  • ? 以上の点を踏まえ、京都会館建築的、文化的価値継承の観点から、第一ホール再建後において、どのようにそのインテグリティを確保するのか、具体的方策を示してください。また、その準備のために解体前及び解体中にどのような調査や作業等を行うのか、スケジュールも含めて具体的にお示しください。

質問状に対する京都市の回答(2012年10月9日付)

http://www.japan-icomos.org/workgroup14/kyoto_answer_jpicomos121009.pdf

  • 1「京都市としてどのように京都会館第一ホールの機能上の課題を整理し,どのように新たな要求性能を設定したか,経過を追って合理的,論理的,また具体的にお示しください。」

(前略)再整備の検討を重ねる段階においては,建築後50年に満たないこともあり,本市として国の文化財としての指定や登録について検討することはなかった。まして,現在,学術的に議論されているリビング・ヘリテージとしての「インテグリティ」の確保という観点からの検討は行ったことはなかった。まずは,経過としてこのような状況の中で再整備の検討が進んできたことについては御理解を願いたい。

(中略:検討の経緯)

その結果,第一ホールを安全に使用し続けるための耐震性能向上を図るには建物内部での大規模な補強を必要とするなど大規模工事とならざるを得ず,結果として空間的に建物の利用方法やデザインなどに大幅な変化と制約を及ぼすこととなり,現状の形で第一ホールを保存することはできないことが明らかになった。このため,第一ホールはやむを得ず現在の外郭壁面の位置をほぼ継承しながら建て替えることとし,中庭を中心とした現在の空間構成を継承しながら第二ホールや会議場などの部分は耐震性向上やバリアフリー化など全面的な改修を行うことを方針とした京都会館再整備基本計画を平成23年6月に策定したものである。(後略)


  • 2「上記において,第一ホールに対する新たな要求性能が京都会館全体の建築的,文化的価値のインテグリティを継承・担保し得る範囲内のものであるかの検証をどのように行ったか,また,その要求性能の妥当性等についてどのように検討したか,お示しください。」

(前略) また,再整備の過程においては,「1」で掲げたDOCOMOMO Japanや財団法人日本建築学会からの要望書における指摘事項を踏まえて,大庇の保存やピロティから中庭に至る空間構成を保存するなど,再整備内容を検討し,建物価値継承の実現を図ったものである。

このように,京都会館が,この岡崎の地で市民や利用者に受け入れられる機能を維持しつつ,ホールとして再生し,生き続けていくこと,それこそが,京都会館京都会館であり続けることであり,京都市と多くの京都市民が考える京都会館におけるインテグリティであると考えている。

そして,京都会館京都会館としてあり続けるためには,第一ホールの機能の抜本的な改善が必要不可欠であった。

(中略)

第一ホールの躯体を保存したままフライを付加する案についても,「1」で先述したような様々な機会に検討が続けられた。

しかし,舞台が2階部分にあるという根本的な問題や六角形のホールが持つ機能不全,改修する場合の構造上の補強の問題やフライを既存躯体に付け足した場合のデザイン処理の問題(西側疏水に面して約3m躯体が張り出したり,大庇の部分的なカットが必要など)など,機能のみならずデザインとしての総合的な問題が次々と明らかになってきた。

このように,第一ホールの要求性能を満たし,京都会館京都会館として継承していくためには,最終的には建替えという選択肢しかなかったものである。

なお,京都会館の建物価値継承に係る検討委員会において,設計者である香山壽夫氏(現在の日本でホール建築の第一人者で日本建築学会作品賞,芸術院賞,村野藤吾賞等を受賞)も交えた真摯な議論の上,第一ホールについては,建替えは行うが,深い軒庇から下部については基本的に既存部分の建物価値を継承しつつ,フライタワーを空に溶けていくよう,素材感やデザインを工夫し,景観に与える影響が過度なものとならないように配慮した。

以上のように,京都会館再整備に当たっては10数年にわたり,多くの検証がハード・ソフト両面から市民や利用者,専門家等も交えてなされてきた。その要求性能は京都会館全体の建築的,文化的価値のインテグリティを継承,担保し得る範囲であると考えており,今後も実施設計,施工の過程において,インテグリティの継承に努めるものである。


  • 3「第一ホール全面解体除去後においても,実際に京都会館全体として建築的,文化的価値が継承され,そのインテグリティが担保され得ることが証明できるか,お示しください。」

京都会館は第一ホールだけではなく,中庭を中心とした第二ホールや会議場棟も含めた建物全体の空間構成に,その文化的,景観的価値がある。

特に,岡崎文化ゾーンのメインストリートである二条通り沿いのケヤキ並木をバックにした会議場棟と第二ホールは,建築そのものを保存し,中庭に至るピロティを通した冷泉通りまでの抜けについては,全体の空間構成の中で活かしている。

また,第一ホールはその位置での建替えであり,全体の空間構成を継承することが京都会館建築的・文化的価値のインテグリティを継承・担保し得るものであるといえる。

中庭の共通ロビーは雨天の際の待ち空間として利用者から待ち望まれていたものであるが,大庇内で設置することにより,中庭の空間を狭めない最低限の広さとし,ガラスのカーテンウォールにより外部と一体感を感じるようなデザインとして手摺を内部化して,保存・継承に努めるとともに,カーテンウォール自体は鉄骨造による別構造として,将来的に復元も可能な構造としている。

第一ホールについても,建物全体の外観の特色ともいえる大庇,手摺,ブリックタイル等,デザインについては基本的に継承していくものであり,機能的に最低限付加されたものを除いては,建物全体の価値が継承されておりそのインテグリティに問題はないと判断している。

付加されたデザインについては,現代の日本を代表する建築家である香山壽夫氏が,「保存再生されつつ建物が生き続けることは建築芸術の本質である。また優れた保存再生とは,単に老朽化した部分を補修することではなく,時代ごとの新しい価値を古い価値の上に重ねていくことでなくてはならない」とまさに現代建築の保存・再生におけるインテグリティについて述べておられる。

このように京都市としては,第一ホール解体撤去後も京都会館全体としてインテグリティについて担保し続けていると考えており,今後もそのための努力を続ける。


  • 4「第一ホールを全面解体除去するとした場合,建築の当初の部分や材料の保存の側面も含めどのように建物価値を継承し得るのか,お示しください。」

京都会館の建物価値継承に係る委員会でも,素材の継承について,部材ごとに丁寧に議論を行い, 基本設計に活かした。

第一ホールについては,「1」,「2」で先述した理由から建て替えざるを得なかったが,京都会館全体の特色ともいえる空間構成を守りながら,その位置で建て替えるとともに建物全体の特色でもある水平ラインを活かした大庇や手摺等をデザイン・素材を尊重するとともに外壁のブリックタイルもその素材感を現代によみがえらせるよう,努力する。

解体工事においては,第一ホールの特色あるディテール(タイルや大庇)の部分採取により当時の工法等を復元に活かすとともに,PC造の手摺については限りなく再活用を図る等,今後の実施設計や復元工事に反映できるように対処する。

ただし,内部空間については,第一ホールはその機能において根本的な問題を抱えており,舞台, 客席も含めて新たなデザインを創造していくことから,その外観について建物価値を継承していく ものとしている。


  • 5「以上の点を踏まえ,京都会館建築的,文化的価値継承の観点から,第一ホール再建後において,どのようにそのインテグリティを確保するのか,具体的方策を示してください。また,その準備のために解体前及び解体中にどのような調査や作業等を行うのか,スケジュールも含めて具体的にお示しください。」

第一ホール再建後のインテグリティ確保の方策に関して,基本設計と並行して実施した「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」の取組については先述のとおりであり,取りまとめられた基本設計の内容は,京都会館の建物価値を継承しつつ,公共ホールとしての機能再生と安全性の確保を図るもので,多くの市民や利用者の皆様の御期待に応えるために,現時点で考え得る最適な計画であると考えている。

なお,基本設計受託者である香山壽夫氏には,引き続き,実施設計の監修者として再整備に携わっていただき,京都会館の建物価値継承が確実に図れるよう,取り組むこととしている。

現在,京都会館では10月中旬からの本格的な躯体の解体工事に向けて作業を進めているところである。その一方で,ISC20C(20世紀遺産に関する国際学術委員会)から提出された意見書を踏まえて,日本イコモス国内委員会第14小委員会の御指導を仰ぎながら,本格的な躯体の解体工事と並行して,

? 素材及び部材の再利用拡大を検討するための調査(具体的には第一ホール北側部分の手摺に第一ホールの既存外部手摺の再利用を検討)

? 解体工事を通じた記録報告書の作成

を実施することとし,現在,スケジュール等について具体的な調整を行っているところである。

上記の調査及び報告書の作成は,京都市においては当初,想定していなかったものであるが,ISC20C及び日本イコモス国内委員会からいただいた指摘を真摯に受け止め,京都会館建築的, 文化的価値継承の観点から,これまでの取組に加えて新たに取り組むこととしたものである。したがって,その結果について,できる限り尊重,実現を図ることとする。

日本イコモス国内委員会の質問は、20世紀専門委員会がこのプランは建物価値を継承していないと認定したところから出発しているわけですが、一向に変わらない主張を繰り返しているわけで、専門委員会の認定を愚弄していると言ってもいいでしょう。大体、調査や委員会の結論が出る度にそれと矛盾することをしてきたのに、調査や委員会を設置して慎重に進めてきたとか言われても、おかしいわけです。ただ、一般的な感性の日本人が相手だと、こうやって言い張っていれば相手が黙ってしまうので、これまでずっとそれが通ってきたわけです。そういうことは止めなければならないと、つくづく思います。

*1:昨シーズンからROHのディレクターになったあの人辺りに。