70デザイン項目
和歌山大学山岡研究室から引用。観察調査時の観点として活用できそうなので。
下記のデータベース化された70のデザイン項目を使って可視化(デザイン)を行います。
1. ユーザーインタフェース設計項目(29デザイン項目)
2. 感性設計項目(9デザイン項目)
3. ユニバーサルデザイン設計項目(9デザイン項目)
4. 安全(PL)設計項目(6デザイン項目)
5. ロバスト(頑強性)デザイン項目(5デザイン項目)
6. メンテナンス(保守性)項目(2デザイン項目)
7. エコロジーデザイン項目(5デザイン項目)
8. その他・ヒューマン・マシン・インタフェース関係項目(5デザイン項目)
70デザイン項目は汎用のため、業界独特の或いは企業特有の項目は各企業で独自にカスタマイズをすることが必要です。
http://www.wakayama-u.ac.jp/~yamaoka/HDT.html
(1)ユーザインタフェース設計項目(29項目)
■システムとして要求される項目
1)寛容性・柔軟性
ユーザの知識、経験、習熟度、好みなどに応じて、機器が柔軟に対応できるようにする。
2)習熟度対応
ユーザの習熟度に対応させる。
3)ユーザの保護
ユーザの身体に危害を加えないよう保護する。
4)ユニバーサルデザイン
健常者だけでなく身体障害者、高齢者などでも健常者と同等に操作できるインタフェースを提供する。
5)異文化対応
対象となるユーザの言語、習慣、宗教など、文化的背景を考慮する。
■ユーザのやる気の醸成
6)楽しさ
ユーザが積極的に操作に取り組み、また使いたいと感じられるような楽しさを提供する。
7)達成感
操作がうまくできる喜びをユーザに感じさせ、また使いたいと感じさせる。
8)ユーザの主体性の確保
業務の開始から完了まで、ユーザの意思で思い通りに操作できるようにする。
9)信頼感
ユーザとの間で信頼関係をもてるようにする。
■効率の良いインタアクションの構築
<効率の良い情報入手>
10)手がかり
初めて接する場合、操作方法を忘れている場合の、操作、思考をするためのよりどころを与える。
11)簡潔性
画面の表現や操作手順をシンプルにし、すっきりさせる。
<検索性>
12)検索容易性
多くの情報の中から、特定の情報の検索が容易に行えるようにする。
13)一覧性
使える機能の量うあ種類、操作の全体量、作業領域や表示内容の全体を把握できるように、一覧で表示する。
14)マッピング
情報の要素間の関係、人間と機器の関係がわかるように対応付ける(関係化)。
(マッピングとは、ある事象とある事象との対応づけ(関係化)のことである。)
15)識別性
情報の種類や質の違いが容易にわかるようにする。
<理解・判断の容易化>
16)一貫性
情報提示に関する構造や操作方法、レイアウトおよび用語を統一する。
17)メンタルモデル
ユーザがもっている、その機器についてのシステム像や操作概念に考慮する。
18)情報の多面的提供
ユーザが状況を判断できるように多面的に情報を提供する。
19)適切な用語・メッセージ
ユーザのレベルに合った用語、メッセージを使う。
20) 記憶負担の軽減
ユーザの記憶の負荷を最小限にすること。
<快適な操作>
21)身体的負担の軽減
ユーザが身体 的に苦痛、疲労を感じないようにする。無意識であっても負担をかけさせない。
22)操作感
操作をしたときにシステムから適切な反応があり、違和感を抱かないようにする。
23)操作の効率
手順の自動化、入力操作の最小化などにより、ユーザの操作量を少なくする。
■共通手段
24)強調
25)アフォーダンス
人の行動を誘発させるようにデザインする。(アフォーダンスは手がかりに近い概念ではあるが、手がかりより範囲が狭い。)
26)メタファ
ユーザの文化、経験および日常生活の知識を利用した比喩(メタファ)を使うことにより、ユーザの理解を容易にする。
27)動作原理
28)フィードバック
29)ヘルプ
(2)ユニバーサルデザイン設計項目(9項目)
1)調節 様なユーザ(障害者)に対して、機器側が調節して対応できることを意味
2)冗長度 インタフェースの入出力において、いくつかの代替案があることを意味
3)仕様、機能が見える インタフェースの透明性を高める手段を意味
4)フィードバック 機械側からユーザに対する反応
5)エラーに対して寛容 ユーザがエラーをした場合何らかの対応が機械側からなされるという意味
6)情報の入手
基本的には手がかりと識別性を媒介に、視覚だけでなく、聴覚、触覚を含めたマルチモーダルの観点からチェックする。例えば、視覚障害者には手がかりとして、操作上ポイントとなる個所に凸点をつけるとか操作量が分かるコントロール類(スライドスイッチや回転ツマミなど)を採用するとよい。
(a)視覚:見やすい(大きな文字にし、高コントラストにする。急な視線移動を避ける)
(b)聴覚:聞きやすい、聞こえる
(c)触覚:手がかりを触る
(d)身体的側面:楽な姿勢
(e)環境的側面:最適の照度、グレアレス、空調など
7)情報の理解・判断(ここでは一般的な分かりやすくするための方策を提示)
(a)情報は逐次提示し、一画面には一つのタスクのみ提示する
(b)アイコンなどの図記号を手がかりにする
(c)メタファやアナロジーを用いて、記憶の負担を軽くする
(d)再生(ルールなどの暗記)でなく再認(メニュなどによる選択)による選択
8)操作
(a)楽な姿勢:無理な姿勢をさせない。
(b)フィット性:道具などの操作具となじみが良いこと
・触覚面:滑らない
(c)操作力:軽い力で操作できること
(d)操作方法
・2つの動作を同時にしたり、微妙な操作をするのでなく、ワンアクションで簡単に操作できること
・片手で操作できること
・慣れている方法を採用する
(e)環境的側面:最適の照度、グレアレス、空調など
9)情報や操作の連続性
情報や操作の流れが途切れないこと。つまり、「情報入手」→「理解・判断」→「操作」における各ステップでのスムーズな流れが確保されることである。これは、通常、目に付きやすいサブタスクレベルでのユニバーサルデザイン上の問題点の解決のみ注力することが多く、タスクの流れの観点から問題点を解決するという視点が無いため抽出された項目である。例えば、駅で車椅子用にエレベータを設置しても、そこに行くまでに数段の階段があり、使いづらいということがよく起こっている。
(3)感性設計項目(9項目)
(a)デザインイメージ:「近代的」、「懐古的」や「しゃれた」などのデザインイメージに関する要素
(b)色彩:「安心感のある色」、「斬新な色」などの色の要素
(c)フィット性:「形状がフィット」、「包み込む感覚」などの機器と人間との一体感のある感覚
(d)形態:「シンプルな形」、「スマートな形」などの形態の要素
(e)機能性・利便性:「機能が良い」、「使いやすい」などの機能や利便性に関する要素
(f)雰囲気:「インテリア良い」、「落ちついた雰囲気」など
(g)新しい組み合わせ:「映像と音楽に組み合わせ」、「異種の調和」などの今までに無い組み合わせによる効果
(h)質感:「素材の持つ豊かさ」、「素材の新しい使い方」など質感の持つ要素
(i)意外性:新しい組み合わせと関係が深いが、感性を感じさせる基本的な項目である
感性設計項目の階層において、第5階層(最下層)には「新しい組み合わせ」、「意外性」、第4階層には「機能性・利便性」、「質感」、第3階層には「色彩」、「フィット性」、「形態」、第2階層には「デザインイメージ」、第1階層には「雰囲気」が位置づけられている。9項目は更に機能的側面からグループ化を図り、感性の基本構成要素として、「新しい組み合わせ」、「意外性」、インタフェース要素として、「機能性・利性」、「質感」、「色彩」、「フィット性」、「形態」の5項目、最後に感性そのものを感じさせる「デザインイメージ」、「雰囲気」に大きく分類した。感性の基本構成要素は、設計対象物に感性を引き起こすための要素として理解することができ、感性のインタフェース要素は、人間と機器との関係を円滑にするものである。
(4)安全性(PL)項目(6項目)
(a)危険の除去
(b)フール・プルーフ(fool proof)設計を行う
操作ミスをしても、人間に対し安全になっている設計:左右(上下)非対称構造のコネクター誤挿 入防止
(c)タンパー・プルーフ(tamper proof)設計を行う
安全装置を取り外したするなどのいたずらに対する防止設計:特別の工具でないと回せないネジ
(d)保護装置(危険隔離)
人間と危険を隔離する方法:ロボットに対する柵、扇風機のガードなど
(e)インターロック機能を考えた設計(広い意味ではフール・プルーフであるがここでは独立させた)
操作が一連の順序に従わないと実行できない設計:脱水中に洗濯機のカバーを開けると脱水槽は止まる
(f)警告表示
製品に潜む危険についてユーザに警告するための表示
(5)ロバストデザイン項目(5項目)
(a)材料を変える:エレベータの操作盤(ステンレス版)
(b)形状に配慮する:エッジの形状を避ける、面取りの形状にする
(c)構造を検討する
(d)応力に対し逃げのデザインをする:システム全体に力がかからないようにする
(e)ユーザの無意識な行動に対応したデザイン
ユーザの無意識に行われる行動に対し、補強などを行う
(6)メンテナンス(保守性)項目(2項目)
(a)近接性の確保
作業スペース、最適作業姿勢の確保、最適な作業時間、最適取りつけレイアウト
(b)修復性の確保
構造の簡素化、分解のしやすさ、部品交換の容易性、部品のユニット・標準化、工具の統一プラグイン化