演劇×劇場×文化施設建築

2016-03-05

山形県南陽市文化会館 森にいるような空間 /宮城

入り口を通るとすぐに、山形県南陽市産の大きなスギの柱8本が円を描いて立ち並ぶ「交流ラウンジ」へとつながる。柱上部の窓から光が降り注ぎ、森の中にいるような空間が広がる。

南陽市文化会館は、日本初の大型木造耐火文化ホールとされる。地上3階、地下1階建てで延べ床面積は約5900平方メートル。機械を入れるためコンクリートとした楽屋部分など一部を除き、木造とした。丸太材の使用量は約1万2400立方メートルという。

老朽化した旧市民会館が2011年3月の東日本大震災で被害を受け、建て直しが必要となった。同文化会館木造にこだわったのは、林業を通じて地域活性化につながるとの狙いからだった。

南陽市森林面積は約9500ヘクタールに及び、市の6割を占める。同文化会館安部史生主幹は「市内にはスギの人工林が多いが、林業の衰退などにより活用し切れていない面があり、人の手が入らなければ荒れてしまう」と指摘する。「南陽産のスギ材を使うことで林業再生雇用創出など地域への波及効果も期待した」と話す。

13年11月に建設工事が始まり、昨年10月に開館。国や県からの補助金、交付金を約33億円受け、総事業費約66億5000万円の半分をまかなった。

1403席の座席数を誇る大ホールは、昨年12月に「最大の木造コンサートホール」のギネス世界記録認定を受けた。要件の一つである「十分な音響性能」をクリアしてのものだ。

石こうボードをスギ材の間に組み込んだ三重構造の柱(集成材)を使用。建物を斜めに支える梁(はり)や、5本組の柱を使用するなどして高い耐火性・耐震性を実現した。木造大型建築を支える技術の向上も、建設を後押しした。

目指すのは、木ならではのぬくもりや質感、香りなどを五感で感じることのできるホール。安部主幹は「入って来て、初めに『木の香りがするね』と言ってくれる人もいます。また、小さい子供は、必ず木を触っていきます。このホールでは、そういう感じ方をしてほしい」と話す。

メモ

山形県南陽市三間通430の2。JR赤湯駅から北方向へ約1キロ、徒歩約15分。山形鉄道フラワー長井線南陽市役所駅からは徒歩1分。コンサート演劇などに使われる大ホールの他、小ホール、展示ギャラリー、和室・茶室なども備える。

http://mainichi.jp/articles/20160305/ddl/k04/070/051000c

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