演劇×劇場×文化施設建築

2017-03-18

市民が支える相生市文化会館 文化通じ地域の活力 ボランティア、延べ870人参加 /兵庫

昨年4月にオープンした相生市文化会館相生市相生6、愛称扶桑電通なぎさホール)で、20代〜70代の市民や近隣住民約80人が会館の運営を支える担い手になっている。「出演者も、支える裏方も地域の人。そんなステージを作りたい」が目標だ。文化を通じて地域の活力を作り出すため、日々奮闘している。

「天板、降ります」。2月中旬、クラシックコンサートの準備で、市から委託された舞台責任者松本健司さん(35)がボタン操作で高さ約20メートルから天板を降ろすと「裏方ボランティア」の男性6人が手際よく作業を始めた。約3メートル離れた棒と天板にチェーンをかけ、松本さんに「OKです」と合図する。天板は再度つり上げられ、音響舞台設定が整えられた。ボランティア舞台設営だけでなく、「表方」としてチケットの確認や客席への誘導、開演後のドアの開閉も分担する。

全国的には後発のなぎさホールが独自色を出すために打ち出したのが「市民との協働」だった。「住民自分たちが作ったホールとして、足しげく通ってもらいたい」(西角隆行館長)との狙いがある。市は基本計画から参加を呼び掛け、1階の中ホールの椅子は市民の意見を取り入れて、海の街・相生イメージした水色にした。

専門スタッフを手助けする担い手育成のため、市教委は開館前の2015年末からボランティア募集し、舞台用語接客備品の操作などを学んでもらった。開館後も「バレエ公演に使うマットの効率的な敷き方」など研修も重ね、今年2月上旬まで100事業以上に延べ約870人の市民らが参加した。

経験が長い裏方ボランティアの浅田照伸さん(73)は最新設備の取り扱いなどを新たに学ぶことが楽しいという。「カゲアナ」と呼ばれる開演前の場内放送や客席案内を担当する広岡和恵さん(70)も「また来たいと思えるように、笑顔接客を心がけている」。市民イベントの発案に関わる試みも始まり、2月末には市内の邦楽団体ロビーコンサートが開かれた。

市民協働の取り組みは始まったばかりだが、長年公立ホール運営に携わったNPO法人「いわてアートサポートセンター」の坂田裕一理事長は「地域のホールに求められるのは『広場』の役割。みんなで地元の宝を作っていけばいい」と応援する。

西角館長は「市民には達成感があり、新たな人とのつながりもできる。これまでとは違った化学反応が生まれてくるはず」と期待を寄せる。ホールが単なる建物だけでなく、地域と人がつながる「舞台」となれば存在意義は大きくなる。

http://mainichi.jp/articles/20170318/ddl/k28/040/425000c

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