演劇×劇場×文化施設建築

2019-01-03

<あすへ つながるTokyo> (2)お寺の小劇場50年 池袋演劇文化支える

都内有数の繁華街池袋大通りを外れたところに、南池袋公園寺院が集まる静かな一画がある。おそらく現存する都内最古の小劇場シアターグリーン」は、この中にある。隣には昨年建立され、人目を引く池袋大仏。この劇場から羽ばたいた人もいれば、青春の思い出を胸に演劇から離れた人もいる。小さな劇場は半世紀もの間、池袋演劇文化を支えてきた。

一九六八年、シアターグリーン(当時の名称は池袋アートシアター)は隣接する仙行寺の先代住職・朝比奈安成さん(78)が、経営するアパートの一階に開設した。

「当時の池袋戦後闇市雰囲気が残っていた。文化を担う人たちが行き交うことで街を変えられないかと父は考えたんです」

劇場支配人で、昨年住職を継いだ文邃(ぶんすい)さん(44)は、こう話す。

寺と劇場ギャップがありそうだが、「今も昔も、お寺の役割は人が集まる場所であること。地域に溶け込まないと、町寺はただの風景になってしまう」。そもそも芸能は神や仏にささげられたもの。お寺と相性が悪いはずがない。

二〇〇五年、老朽化したアパートがビルに建て替えられ、約百七十席から七十席まで大中小の三劇場を抱えるシアターコンプレックスに生まれ変わった。

劇場は「グリーンフェスタ」「学生芸術祭」という演劇祭も主催している。十二年続く学生芸術祭は大学生登竜門だ。「学内だけでやっていればいいという学生劇団が多かったが、同世代交流させたかった。そして才能がある人に、お金をもらって演劇をすることを経験してもらいたかった」

シアターグリーンの新春はここ数年、文邃さん主宰劇団「ざ☆くりもん」の三館同時公演で幕を開ける。三つの物語が一つにつながり、俳優が各ステージを行き来する。

そのうちの一つをシアターグリーン育ちの劇団ラビット番長主宰・井保三兎(さんと)さん(43)が演出する。

関西演劇をやっていた井保さんは、演劇情報誌に必ず載っていた「シアターグリーン」にあこがれ、上京した。「三つの劇場があるから、始めたばかりの人も中堅も、大きな劇場に出て行く直前の人も、ここに集まれる。演劇祭をやっているのも、すごくいいこと。他の劇団に刺激を受けたり、現実を思い知る場になっている」

国際アートカルチャー都市を掲げる豊島区は今年、国際イベント東アジア文化都市」を開催する。五十年前のシアターグリーンの夢がかなった今、文邃さんは改めて寺と文化の在り方を考えている。

成熟した街には精神のよりどころが必ずある。上っ面の文化ではなくお寺も演劇も心に効く薬でなければ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201901/CK2019010302000104.html

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