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2008-12-04

サンカの末裔

| 10:35

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

私が生まれた広島県の被差別部落のはずれに、

ひとりだけ、掘っ立て小屋のような家に住む孤老がいた。

うちの部落の住民のほとんどは、定住・農耕を生活の基盤に置く人々だったが、

竹細工と魚とりを生業にするその老人は、ボサボサの白髪の仙人めいた風貌で、

明らかに私たちとは違う文化圏の住人であることを感じさせた。

家の外を歩いていて、たまにその孤老を見かけることはあったが、

面識もなく、なんとなくその風貌が子供心に不気味だったこともあり、

口をきいたことはなかった。


当時(1980年代中頃)は、部落解放運動の一環として、郷土の部落史づくりが盛んになっていた頃で、

各地で聞き取り調査が行われていた。

そんな流れの中、父がその孤老に話を聞きにいくというので、私も一緒についていき、

島根県の方まで竹細工や魚を売り歩いていた話や、道具を使わずに魚を捕まえる方法など、

いろいろ面白い話を聞いた。

一般的な広島弁とは違う、ちょっと引っかかるような独特の発声が印象的だった。

たぶん実家には当時の録音テープが残っていると思う。帰ったら聞きなおしてみたい。


その後は、外でじいちゃんと顔をあわせたら、あいさつするようになった。

にっこり笑ってあいさつを返してくれたじいちゃんの苗字は「竹屋」だった。

たぶん通称がそのまま呼び名になって定着したのだろう。


数年前、『サムライチャンプルー』制作中の渡辺信一郎監督に取材したとき、この話をしたら、

身を乗り出して聞いてくださった。

おそらく、じいちゃんは、サンカの末裔だったのではないか。

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