ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

図書館戦争、菅谷北斗星

現在、封切中の映画「図書館戦争」を観に行った。


この映画は4,5年前にアニメ動画にて観ていたものである。その時の印象は二つのことを当時の私に思い出させた。


一つは、古くは紀元前、中国の秦の始皇帝による書物を燃やした思想弾圧の「焚書坑儒」であり、もう一つは若い頃読んだジョージ・オーウエルの「1984年」(小説)であった。この内容は思想、弾圧など市民生活にあらゆる統制が加えられるという恐怖時代を描いたものである。


今回の映画では主演が岡田准一、ヒロインが榮倉奈々である。私の感想ではどうもアニメ動画の方が原作をうまく伝えているような気がした。今回、観てふと思ったのが将棋界の歴史に燦然とかがやく菅谷北斗星(本名 菅谷要)のことである。彼が生きた時代は戦前から戦後の将棋界である。観戦記文学の創始者であるとともに、数多くの将棋に関する評論、随筆、棋士論を残している。


戦中の昭和17年の某月に朝日新聞が「囲碁将棋とも紙面の都合により、この回を以って当分休載することにします」と社告を出している。戦時統制により他紙も「将棋欄」は衰退していくという、そういった暗い時代を生きてきたのも彼である。今回、「図書館戦争」を観たことにより、本を読む自由が奪われるような世界が来るようなことがあっては決していけないことであるとあらためて思った。そして、将棋にかぎらず、広く文芸、芸術などを自由に観たり、聞いたり、表現できる現代に一種の感謝の念を覚えるのである。


 最後に、北斗星の数ある著作より「詰将棋の話」という随筆を紹介したい。