ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

王将戦・尼崎対局

 第66期王将戦第2局が1月23日・24日に尼崎市で開催された。
王将戦での尼崎市開催は2年連続となる。
昨年のカードは郷田王将vs羽生挑戦者で、羽生さんがめずらしく飛車を振っていたので急遽、二日目の大盤解説会へ出かけたものの定員120名のイス席が満員なので入場を断られた。せっかく九州から来ているので立見席でもよいからと食い下がってみたものの、つれなく断られたいきさつがあるので尼崎には正直、好い印象を持っていない。
 今回はひいきの久保九段の登場で満を持して、初日の解説会へ出かけた。
午後からの開演だったが、30人前後の入場者でこれが夕方の封じ手まで変わることなく、いささか拍子抜けとなった。
[

 タイトル戦(二日制)の初日は手の進行が遅く中盤の入り口ぐらいで指し掛けとなることが多いものである。
私のように詰将棋を趣味とする者は指し将棋に対しては詰むや詰まざるやの迫力ある終盤を期待し且つ重視する傾向がある。ところが、今回、初日とはいえ思いがけないその内容の豊かさに驚いた。
先手、意表の78飛から、お互いに隙あらばポイントを挙げる手はないかと探りあいつつ、手を殺しあうような指し手。そういった一連の流れがあらためて好局・名局というものを対局者が創りあげていくものだと感じられた。
一例をあげれば、10手目に後手から77角成、同桂と角交換してから45角と打ったらどうなるのか、あるいは86歩、同歩、同飛と走られたら先手はどう対処するのだろうかなどと序盤からきめ細かな解説がなされた。
 解説にあたった<ごきげん中飛車だけは指すという>北浜八段の解説振りも私にとって分かり易かったことも功を奏したかも知れない。午後の半日、指し手がゆったり進んでもあまり退屈さは感じられなかったのである。
 午後3時過ぎには「よしもとのシャンプーハット」てつじさんが飛び入り登壇して解説会に花を添えてくれた。
45手目先手65桂で本格的な戦いとなった。そして49手目69飛が封じ手となった。
二日目はモバイル観戦となった。
71角、77角とお互いが角を打ち込んだあたりはそれぞれ我が道を行くという感じとなる。
と金付きの2枚飛車の攻めが身近に迫るなか、17玉の早逃げを交えて3枚の細かい攻めをつないでなんとか先手が押し切って113手で久保挑戦者が勝利した。
これで2連勝で望外のスタートとなり、このままストレートにいくとも思えない。
将棋内容も接戦であり、さらなる好局を期待したい。