先月あたりから今年のABEMAトーナメントが始まっている。
出場する棋士6人がすべて居飛車党だと正直あまり見る気がしない。
一人でも振り飛車党がいると俄然、状況が変わってくる。
いつ出番があるのか分からないから、端から見ることになる。
6月1日はそういう日だった。
全盛期は「さばきのアーティスト」と呼ばれた。
そしていつのころからか「ネバリのアーティスト」とも呼ばれるようになった。
やはり形勢を損ねて負けることも多くなってきたからであろう。
この日は、若手2人に負けて、稲葉8段とは必敗の将棋をネバリにネバって
最後のところで稲葉8段が逃げ方を間違ったので勝ちを拾った。
プロ棋士のネバリとはどういうものだろう。
アマチュアのくそネバリとは当然違うものだ。
おそらく妖しくネバリながら相手の悪手を誘うような希望が持てる手段なのだろう。
これは久保9段の天性というよりは、長年の熟達といった方が多分正しい。
つまり、場数を踏んだ<芸>である。
彼の関西での後継者は菅井8段と思っているが、久保9段にはまだまだ
枯れてほしくないのだ。
今回の詰将棋:17手詰