ソーダストリーム社CEO、入植地からの不撤退を宣言

10月12日、ソーダストリーム社のCEO、ダニエル・ビルンバウム氏(写真左)は、イギリス・ブライトンの地元紙「アーガス」に対し、「我々は、ミショル・アドミームの生産工場を閉鎖するつもりはない」と断言しました。ミショル・アドミームは、エルサレムの東側にあるマアレ・アドミーム入植地のなかにある工業団地です。ここで炭酸水メーカー・ソーダストリームの本体が製造されています。

ブライトンでは、今年8月にイギリス初のソーダストリーム専門店「エコストリーム」がオープンして以来、毎週、店の前で市民による抗議デモ(写真下)が行われています。ビルンバウム氏の発言は、このデモに対するコメントを求められてのものでした。彼は、「工場の労働者の多くはパレスチナ人であり、平均賃金以上の収入を得て家族を支えている。彼らの雇用を犠牲にすることはできない」とも述べています。

しかし、ソーダストリームパレスチナ人労働者は、イスラエル占領下で市民権を奪われ、労働組合を結成することすら許されていません。仮に平均賃金以上の収入があったにせよ、それは、パレスチナ人の平均賃金であって、イスラエル人のそれではあり得ません。イスラエル人労働者に比べ、はるかに低い賃金で搾取されているというのが実態です。
参考)Multi-Culturalism at the Soda Club Factory (Salwa Alenat, Kav LaOved)

しかも、現在、イスラエル軍は、マアレ・アドミーム入植地周辺に住むパレスチナ人約2300人の強制立ち退き計画を進めています。入植地を拡張し、西岸地区を南北に完全に分断する入植地ブロックを完成させるためです。この計画の犠牲となる周辺住民の多くは、もともと、イスラエル建国によってネゲブ地方にあった故郷を追われ、さらに、マアレ・アドミーム入植地建設によって、再度強制移住させられたベドウィンの人々です(写真下)。
参考)Stop the Transfer: Israel about to Expel Bedouin to Expand Settlements (Amnesty International)

パレスチナ人から奪った土地で工場を操業しながら、「パレスチナ人の雇用のため」とうそぶくソーダストリーム社の姿勢は、入植地拡大にまい進するイスラエル占領政策を忠実に反映したものだと言えます。

なお、ソーダストリーム社の違法入植地ビジネスの実態については、この冊子をぜひお買い求めください!


マアレ・アドミーム入植地拡大のために家を破壊され、テントで暮らすパレスチナ人の家族(2011年11月)