朋友達との再会(8/16)

格多がまた「我men去[口那]児?」と私に聞くが、慌てて
「あ、そうだ、どこに行くって聞いたって、こいつらには分からない
んだ!」
と言って、また電話の向こうと話だす。
その間にバファリンを飲み、とりあえず頭痛だけでもなんとかしよう
と試みる。

電話が終わり、
格「走[口巴]!」
り「えっ・・・。どこに??」
格「すぐそこだ!なんだ、薬なんか飲んで・・・。どこか悪いのか?」
り「う〜ん、ちょっと頭痛い。」
格「だいじょうぶか?」
り「うん、平気」
格「じゃ、行こう!」

この時私は、この子達と一緒ならば、どんなに具合が悪くても没問題だ
と思った。たとえ気持ち悪くなって吐いたとしても、この子達の前だっ
たら、どんな醜態をさらけだしても全然平気。
気を遣わないし、かえって安心だと思った。
頭は割れるように痛いし、吐き気は絶え間なく襲ってくるけど、なんだ
か心強くなって、一休さんに夢中のラールーにも元気に「走[口巴]!」
と声をかけて、夜の街へさあ、出発!

ロビー横のHARD ROCK CAFEならぬ”HARD YAK CAFE"の前を通り過ぎると、
中から「格多!」と声を掛けられ、女の子が走り出てきた。どうも友達
らしく、日本語の導遊とのこと。日本語で挨拶をする。

女の子「どこ行くの?」
格  「この子達と飲みに行くんだ。」
女の子「**(奥さんの名前。最後まで?でした。)は??」
格  「アムドに行った。」
女の子「ああ〜!奥さんがいないからって、他の女の子と夜、遊びに
行って〜!」
格多、マァマァと言った苦笑い。

外に出ると、ラールーが車をとってくるから先に行ってて、という。
中国で”車”といえば、自転車の事。一緒に行こうよと振り返ると、
ナント、バイクではないか!!
り「えっ!バイク?!」
そ「あぁ〜! 乗ってる所、写真撮りたい〜っ!」
そんな私達を無視して、スタスタと歩いて行ってしまう格多の後を、
二人して慌てて追いかける。
り「どこに行くの?」
格「そこ。」

と指さしたのは、ホテルの門を出て道路を渡ったすぐ脇の、おしゃれな
バー。 その名も”音楽庁”というジャズバーのような店で、建物もログ
ハウス風。 店内はろうそく(相変わらず、中国人は好きだねぇ。)の
明かりでほの暗く、壁にはジャズミュージシャンの写真が飾られ、さり
げなくジャズが流れている。

り「わあ〜、おしゃれ〜。」
そ「チベットにも、こんなんがあるようになったんやねぇ・・・。」

とりあえず飲物を注文する。
この子達と一緒ならば、本当だったら絶対[口卑]酒を”あびるように”
飲むはずの私も、海抜3,000m級の土地と高山病の前ではさすがに怖気ず
き、ふたりしてオレンジジュースを飲む。
ラールーも来て、まずは乾杯。
格「チベット料理は食べたか?」
り「うん、昨日、八覚街の餐庁で。」
格「うまかったか?」
り「うん!」
格「バター茶は? 飲んだ?」
り「うん、飲んだ。」
格「うまかったか?」
そ・り「うん!」
すると格多とラールー、二人してウェーッという顔をして、
ラ「うまかったのか? あれが?」
格「俺達はキライだ。」
り「え〜、なんで? おいしいよ〜。」
格「まぁ、オマエ達は昔、飲んだ事があるからな。初めてじゃない
  しな。」
そ・り「そうだねぇ。」
格「モモは食べたか?」
り「エッ!(突然・・・?)食べたよ。おいしかった。」
格「じゃがいものモモは?」
り 「じゃがものモモ? あった? そんなの?」
そ「いや、なかったよねぇ。食べとらん。」
格「アイヨ〜!食べてないのか! すんごくウマイんだぜ〜。ここで作
   れるかな? えい! 小姐! モモ、ある?」 
お店の小姐に早速注文するが、申し訳なさそうに断られる。
格「アイヨ〜・・・。そうだ!あそこの店に注文して持って来て
   貰おう!
  兄貴が向こうでレストランやってるんだよ!」
(兄貴? 兄貴なんていたっけ?? レストラン?)

状況がいまいち飲み込めない私とそーねい。
慌ただしく席を立ち上がり、出ていこうする格多に、

そ「格多! いいよ、わざわざ、そんな・・・。」
格「なんだ? 食べたいだろ?」
り「う、うん・・・。」
格「じゃあ、買ってくるよ!」
さっさと出ていってしまう。

そ「格多・・・。相変わらずや・・・。」
                         (つづく)