仏御前虐殺事件の謎−祇王と仏御前− その1

いきなりぶっそうなタイトルですまぬ…。

平家物語をはじめとして、悪役のボスのような存在になっている平清盛
池禅尼って、清盛の継母ってだけじゃなくて平家のゴッドマザーみたいな存在で『宗子』さんっていうんだ」
「家盛って夭折してしまった池禅尼の不幸な息子ってだけじゃなくてそれなりに影響力あったんだ」
「信頼以外に頼長っていう摂関家のイケメンがいたんだ。(ゲイ疑惑強の日本史の先生に教わったけど、頼長についてはあまり語ってくれなかったなあ〜)


崇徳上皇サイコー(ぜったい【本人】から指名がはいっていると思う…)、
藤原忠実の役、ものすごく楽しそうに演じてる、
つくってて楽しいだろうな、このドラマ、と感じる。


宗子さん&家成の従兄妹コンビもものすごく面白い。
歴史上家成は今日か来週あたり死んでしまうけれど…。
頼長が手をつけている「男」は家成の縁者が多いという研究もあるみたいで、へーとか思っていたりします。
あと確証ではないけれど、宗子さんの年の離れた弟に「宗親」という人がいて、それがいわゆる「牧宗親」、北条時政の後妻のお父さんらしい。
そんないろんな点と線が面白くて本当は回毎にブログ更新したかったところですが…。


さて、話をもどして。


平清盛悪逆非道説のひとつに祇王と仏御前の課題があるのだよね。
実は今月一回英語のレッスンのために滋賀県野洲に通っている。
そのために野洲のことツィートしていたりするんですね。


で、ツィートのとおり、野洲というは清盛の愛妾祇王のふるさとで祇王野洲の英雄だ

という部分は以下のツィート抜粋。

祇王井川

平家物語のストーリーとしてはこんな感じ。

平家物語第一巻解説●
第一巻解説
6 祇王 (ぎわう)
 清盛の寵愛を得ていた祇王は、若い仏御前の出現でたちまち捨てらました。世をはかなんだ祇王はいったんは自殺まで考えましたが、母や妹とともに出家します。そこへ無常を悟り出家した仏がやってきます。仏を恨んでいた祇王もこれを迎え、四人とも往生を遂げました。

祗王
http://cubeaki.dip.jp/heike/heike-1/heike1-6.html


私が仏御前いっぺんに気に入ったのはこの剃髪後の姿を祇王にみせるシーン。


「仏御前っていさぎよすぎるwwww男らしすぎwww」


17歳(一説には19歳?)でしょう?
これから女性として面白いこともっとありそうなのに、もし祇王が「No」といったらどうするみたいなものをすべて捨て去って行動しているんだよね。
かっこいい生き方だよね?
こういうかっこいい女好きだね。ほれるねwww。


さとし個人のなんたら(そうやって楽しんでます…)で「平安鎌倉三大男気女子」と考えているのが、
まずは現在の和歌山県新宮市の女傑、通称「丹鶴姫(たんかくひめ)」、
「たつたはら(立田原)の女房」とよばれた鳥居禅尼
のちに甥の頼朝に地頭に任命され、鎌倉幕府御家人になった。

鳥居禅尼 - Wikipedia

源為義の娘、義朝の異母姉であり先の「りこうバカ」の行家の同母姉でもある。


そしていつも大河ドラマ平安末期に名前しか登場しない、今回出てくれるといいな♪の「幻の平安末期の女帝」、翮子内親王こと「八条院
八条院が、八条院が」とよくセリフのなかではでてくるのだけど、反平家派には重要な人物である。鳥羽院と美福門院の娘で近衛帝の同母姉で後白河上皇の異母妹である。
美福門院の影響があるので「天皇として」候補に挙がったが、それを知るやさっさと剃髪して権力争いからおりてしまったらしい。だが、広大な荘園という経済基盤に裏付けられた裏の権力は絶大なものでそれゆえに「反平家」のアイコンになっている。


かなりおおらかな人物であったとの記述があるらしい。
暲子内親王 - Wikipedia


そしてこの仏御前。いろいろな伝承その他によると現在の石川県小松市の出身で、永暦元年(1160年)、白河上皇がその地に来た際に任命された塔守・白河兵太夫の娘であり、本名は白河千歳(しらかわちとせ)、ある種の天才少女で特に仏教に関して造詣が深かったために「仏」と呼ばれた。つまり「仏御前」とは芸名、愛称のようなものであった。


【まるごと・こまつ・旅ナビ】仏御前の里


仏教に関して研鑽を重ねる一方で叔父の白河兵内の元で白拍子になる。


どちらかというともともと「仏道に精進したかった」人のようである。


というのも、今の葬式仏教になっている仏教ではわかりにくいが、当時の仏教には今で言う大学の研究・実践のような性格があり、哲学的なことのみならず美術から、建築土木、薬学、医学等もふくまれていた。つまり仏道修行をしたいという欲求は今風にいうと「大学に進学して女医になりたい」というもの近い感覚があった。


東京・足立区に瑞応寺という寺があり、ここに「夕顔観音伝説」というのがある。
この地で権勢をほこった千葉氏某の娘である夕顔姫も結婚して栄華をもとめるという幸せよりは仏道に精進し、塾?を経営しながら生活している。

真言宗瑞応寺/東京都足立区
※紙芝居があります…。
瑞応寺に伝わるお話/真言宗・瑞応寺


たぶん仏御前の本当の夢はそうだったのだろう。


ところが当時は尼僧にそれほどのステータスはない。仏道に関する秀才少女でありながら、一方で「宝塚男役」を思わせる美少女でかつ舞の名手である仏御前の才能を生かして世に出たいという周囲の思惑もあったと思われる。


つまり白河家は仏御前に家名の命運をかけた。


「神がくれたこの体 無駄にすれば罪になる@「狙いうち山本リンダではないが、西八条院へおもむき清盛に売り込んだ、というのは平家物語のとおりである。


ところが予想外のことがおきた。清盛が気に入ってしまったのだ。


祇王をはじめ、清盛の好みをみていると「男気のある女性が好きなのかな?」という気がする。もちろん清盛本人が己の実力ではいあがった人なので余計に男気=行動力のある人が好きなのかもしれない。


清盛と仏御前の出会いはちょうどNHK大河ドラマの第二話、「無頼の高平太」のワンシーン、白河法皇のもとに乗り込んでいく清盛、そして石清水八幡宮の臨時祭で華麗に舞う清盛、このシーンを清盛=仏御前、白河法皇=清盛と立場を変えて再現されたようなものではなかったか?


そりゃかっこいいわ!ほれるわ!
私もぜひ見てみたい。
そのように書くかはしらんが。
仏御前役には宝塚ベースの男らしい人希望。(また人選がむずかしくなる…)


でも結局頂点に上り詰めるがゆえに自由に生きることができなかった清盛と違い、わずか半年で「栄華なんてこんなもんか」と見切りをつけて飛び出していく。



白拍子というのはある種のFTMトランスジェンダーみたいなもので「女装と日本人」の著者三橋氏によると「成人男性ではなく、少年愛、美少年に対する」ものらしい。美少年をおもわせるモチーフが当時のはやりだったかもしれない。


(つづく)