「将棋世界」2018年8月号

2010年3月10日分から、試験的に書いています。
本家(2009年1月5日〜)は、こちらです。
http://stsimon.seesaa.net/


もうすぐ9月号が出るというのに(笑)。


8月号から始まった新連載に「強者の視点−棋士達の藤井将棋論」があります。
これは、トップ棋士や若手実力者が、藤井聡太七段(16)の将棋を語るというもの。
初回は13ページに及ぶ力の入った内容です。
そして、その初回の著者は、永瀬拓矢七段(25)です。
永瀬七段と言えば、将棋界屈指の勉強家(1日10時間とか)でもあり、独特の哲学を
持っています。「将棋は才能ではなく努力」「ソフトは弱くなるので使わない」
などです。


永瀬七段は、努力家だけでなく実力もあります。
話題となった「藤井聡太四段 炎の七番勝負」で、藤井四段に唯一勝っています。
実は、永瀬七段と藤井七段は練習将棋をしているという話もあります。
あまり、公にはなっていませんが。
ネットでは、永瀬七段が帰り際に藤井四段(当時)にお弁当を持たせている、という
噂もありました。
去年のイベントで、その件を永瀬七段に質問したら、やんわり否定していました(笑)。


さて、今回の連載で永瀬七段は、藤井七段のデビューから節目となる対局を分析して
棋風の微妙な変化について考察しています。流石の分析力です。
特に「目指しているものの高さ」については、非常に興味深いです。
そう言えば、藤井七段は相手の得意戦法を決して避けません。
避けないどころか、自分から飛び込んで行く感じなのです。
単に目先の勝負に拘るならば、相手の得意戦法は避ける筈ですからね。
そのあたりにも、「目指しているものの高さ」を感じます。


「藤井さんは2手目に△8四歩しか突きません」も衝撃的です。
指し手が決まっていると、相手に研究されて不利になる可能性が高まります。
それでも、自分にとって最善手ならば問題ない、という信念を感じます。
そんな状況で、通算勝率8割5分は異常に高いです。
将棋の歴史で実績№1の羽生竜王でさえ通算勝率は、7割1分ぐらいです。
つまり、通算勝率7割超えならば、タイトルを取る可能性が高いです。
今後、藤井七段は通算勝率8割超え維持の予感がします。
私は、20歳までにタイトルの3つか4つは取ってると思います(笑)。


でも、案外そういう見方は少ないようです。
特にプロ棋士は、どこかで壁に当たると思っている人が多い印象です。
ところが、永瀬七段の評価は高いです。
棋士はもっと藤井さんの評価を上げたほうが良いと思いますね」
棋譜を並べて勉強になり過ぎるくらいのレベルだと思います」
「今の棋士藤井聡太さんという存在に感謝すべきです」
「強いだけじゃない。「強い」の上を行ってる気がします」
やっと納得出来る藤井評を見ました。流石は、永瀬七段です。


現在は8大タイトルを8人で分け合う戦国時代です。天下平定は間違いなくFさん(笑)。