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January 13(Sat), 2018

読書記録『帰れぬ人びと』(鷺沢萠)02-2018

帰れぬ人びと (文春文庫)

帰れぬ人びと (文春文庫)

先に書いた本の著者、小関智弘作品きっかけで小説を書き始めたという、鷺沢萠(すでに故人)。これまで読んだこともないし、恥ずかしながら知りませんでした。

この本は短編集ですが(鷺沢萠の作品は短編かエッセイがほとんどのようだ)、表題作の「帰れぬ人びと」は当時、最年少で芥川賞候補ノミネートされたということ。小関氏が評価しているように、羽田とか、いまの大田区界隈の世界舞台で、具体的なその風景と、若い(幼い)登場人物心象風景が、個別具体的に描写される。個人的にもこの辺の地域は馴染み深い(上京してきて住んでいる期間が長い)ので、愛着が持てるし、各小編の空気感覚理解できる(時代は違うので錯覚もあるかもしれない)。

久しぶりにシンプルで力強く、「子どもの宝物」のような小説に出会うことができたような気がする。他にもいろいろ読んでみたいと思う。

January 08(Mon), 2018

読書記録『働きながら書く人の文章教室』(小関智弘)01-2018

働きながら書く人の文章教室 (岩波新書)

働きながら書く人の文章教室 (岩波新書)



自宅の本の整理をしていたら出てきたので再読(いちいち読んでいたら本の整理が全く進まないが)。

「文章教室」というよりは「働きながら書く人の」ということに重点が置かれている内容で、職業作家ではない「旋盤工・作家」であるところの筆者が、どのような視座でどのような対象を書いてきたが描かれる。具体的には、おもに東京大森羽田近辺の町工場で生き、働く人びととその周辺を描いてきたのだが、その過程で「働きながら書く」ことのもつ意義を語っている。

たまたまだが、バス運転手をしながら詩を書く主人公が出てくる映画、「パターソン」を思い出した(アダムドライバー主演で、永瀬正敏も出ています)。

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January 01(Mon), 2018

2017年日本公開で鑑賞した映画のおさらい(最終版)

年をまたいでしまったが、2017年に日本で公開され、実際に観に行った映画のおさらいは下記のとおり。「この世界の片隅に」は年初に観たし、ロングランなので入れてもいい気がしないでもないが、2016年公開なので外してある。各方面評価の高い「アトミック・ブロンド」は、ありがたいことにキネカ大森年末から上映してくれるらしいので、新年早々に観に行こうと思う。

ネオン・デーモン
沈黙 サイレン
人魚姫
ラビン
キングコング 髑髏島の巨神
ナイスガイズ
雨の日は会えない、晴れた日は君を思う
ラ・ラ・ランド
3月のライオン(前後編)
哭声 コクソン
ムーンライト
ゴースト・イン・ザ・シェル
アシュラ
メッセージ
ハクソー・リッジ
ライフ
マンチェスター・バイ・ザ・シー
パターソン
ダンケルク
エル
感染
ベイビー・ドライバー(残念ながら飛行機で鑑賞)
エイリアン コヴェナント
三度目の殺人
ドリーム
アウトレイジ最終章
エルネスト
ブレードランナー2049
ノクターナル・アニマルズ
ローガン・ラッキー
ゴッホ 最期の手紙

ゴジラ 怪獣惑星
探偵はBARにいる 3
否定と肯定
オレの獲物はビンラディン
オリエント急行殺人事件
オールアイズ・オン・ミー

ということで、自分のための備忘録ベスト9。これらは甲乙つけがたい。

「沈黙」
遠藤周作小説をスコセッシがようやく世に出した、日本における隠れキリシタン弾圧物語そもそも原作からして好きなのでやや贔屓目。日本ではイッセー尾形の名演など日本人キャストの注目度がとうぜん高くなってしまうが、売れっ子アンドリュー・ガーフィールドアダムドライバー宣教師役で大活躍台湾ロケのためか、森の音や雰囲気亜熱帯なのが個人的に非常に残念だった。書いてたら及第ではないような気がしてきた。原作の再現度が非常に高いという声も、その逆もある。自分としては、側はよくなぞられているようにみえるが、肝心の信仰の部分は深く描けていない、というか限界があると思っている。スコセッシはよくやっている、ありがとうと思う。岡田斗司夫が言っていたが、この原作の世界を映画で表現するのは非常に難しい。とにかく、これをきっかけに原作にもっと関わり合いたいと思った点で意義のある映画と思う。

「ナイスガイズ!」
何も考えず笑いたい気分の時に観に行って、期待を裏切らなかった、あるいはそれ以上に楽しませてくれた映画。今年いちばん好きだといえる作品ひとつ(ベストワンは拮抗しているので)。デコボコ探偵のやりとりと、ダメ人間のゴズリングが嫌味なく笑わせてくれる。娘役もかわいい。
ちなみにおなじクライムコメディの「ローガン・ラッキー」もかなり期待度が高かったのだが、最後のタネ明かしが説明的すぎて萎えた。笑いにもキレがなかった。

「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」
ジェイク・ギレンホールは「なにかを失った」あるいは「なにかに取り憑かれる」人物の役が多いような気がするし、実際にかなりうまい。妻を事故で失ったがなぜか「悲しむことができない」男が、周りのもの解体(原題は「Demolition」)していくお話。あまりメディアに話が上らなかったと思うが、これは海外では2015年公開だったからか。

「ムーンライト」 
詩的でとてもパーソナルで大切な作品になった。

「アシュラ」 
アジアの街の胡散臭さ、ヤバさの過剰さ(たぶん)が凄まじく良い。笑えるしね。

「パターソン」
詩的でとてもパーソナルで大切な作品になった。その2

「ゴッホ 最期の手紙」
多数の画家が参加して作られたアニメーションゴッホ調の画の雰囲気に完全に世界を持っていかれる。

「ブレードランナー2049」
映像美。ゴズリング愛。

「ノクターナル・アニマルズ」
ただただ怖いが、ギレンホール愛。

むりやりベスト3をあげるとすれば、「ナイス・ガイズ!」「ムーンライト」「パターソン」。次点で「アシュラ」。

December 31(Sun), 2017

読書記録『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)38-2017

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

今年公開の映画が良かったようです(未鑑賞)。年末物語を読みたくなったので、原作を購入。森見登美彦の作品は初めて読んだが、あまりにも特徴的なので、他の作品の文体がどのようなものなのか気になる。本作についていうと、ちょっと軽妙すぎるというか、楽しくて登場人物も生き生きしているのだが、狙いすぎてて個人的には馴染めなかった。また中村佑介イラストビジュアル面で強烈なので、作品のイメージを方向付けるほどかと思う。

December 16(Sat), 2017

伊豆トレイルジャーニー 2017 備忘録

12/10(日)に伊豆トレイルジャーニーを走ったので備忘録的に、またネットのどこかにいるこれから参戦しようしているひとの参考になるかと思い、珍しく文字に残しておこうと思う。自分2016年に続き2度目のフィニッシュ。コース距離制限時間は2016と同じ。ただし途中の関門時間にやや変更あり(「完走できるかどうか」という点では、この関門時間の変更はほぼ影響なしと思われる)。

f:id:studionullity:20171210052557j:image:w360

伊豆トレイルジャーニー 2017
距離:71.7km/累積標⾼差(+)4,408m
*UTMB 資格審査レース申請予定(4 ポイント※新ポイント換算)
制限時間:14時間(6:00〜20:00)
トレイル率:81.4%
完走率:76.8% 1,220/1589人(2016は82.8%)
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参加資格は、「30km以上のトレイルランニング大会を完走したことがある者(2015年6月以降〜エントリ時点)」なので、そんなには厳しくない。それよりも抽選になる大会なので(2017年大会で1.6倍程度)、それほど高い倍率ではないが出場するためにはやや運も関係する。ちなみに一次募集当選者でも辞退する人が出るので、二次募集がある(実績)。

■ウェアリングシューズ
装備のポイントは寒さと風対策になる。ここは個人差が出るので、寒さや風が強いところで行動したことのない人は、事前に似たような状況で自分の体やウェアリングを試しておくことが必須。自分はレインウェア(ウィンドシェルを兼ねる)、ウィンドシェルとしてレインパンツを終始着用していたが、下はショーツのひともけっこういた。よっぽど寒さに自信があるのでなければ、ウィンドシェルは必要。コースに出ている時間が短い速いひとはショーツでやり過ごせるが(走れるのでその間は寒くないし)、行動時間が相対的に長くなる遅いランナーほど、着用したほうがよいと思われる。自分が思っている以上に体温維持にエネルギーを使っているし、汗で濡れたウェアのまま風を受け続けるのは自殺行為。体温が下がってから着るのでは遅い。今年は去年より寒くて風が強く、完走率が下がったのも、そのせいかもしれない。

シューズは林道下りが多いので、後半に脚を残すためにはソールが厚いもののほうがいいかもしれない。ただし、あまりスタックハイトが高いと下りで足首が不安定になりがちなので、個人的には悩ましいところ。ちなみに自分は、ソールの返りと足との一体感がよい、アルトラでは軽量の部類に入るスペリオールを履いている(ロックプレートは入れている)が、ローンピークがいいかもしれない(伊豆でもローンピークの着用率がやはりアルトラのなかではいちばんだったと思う)。来年も走るならローンピークかティンプを試したい。

■コース
コースは、急登、飛ばすと危険な急な下りの階段もあるが、全体的には「走れる」、表現を変えれば「走らされる」レイアウト。勾配が比較的ないところは走ることができなければ、寒いし、楽しく走り切ることはできないかもしれない。

序盤は、数kmロードのあとトレイルに入ったところで渋滞する。なのでスタートからありえないスピードで走るのは上位100人もいないイメージだし、最初は道も広いので、ビビる必要はなく、いいタイムを狙うようなひとはできるだけ前でスタートするのがよい(完走が目標ならばスタート位置は気にしなくてもいい)。あるいは自分の予想順位くらいの位置でのスタートがベストといえるかもしれない。

■食料計画エイ
エイドは充実している。地元の温かい食べものもよい。ジェルもあるので、うまく利用すれば自分で携帯する補給食は削ることができる。もちろん緊急用に補給食は常に携帯すべきだが。今回は、エイドの食べものはおおよそいただいた。バナナポテトチップ、オレンジ、ジェル、地元の名物、あとソフトラスクやハイドレーションシステムの水の補給。電解質は、携帯食やエイドで取れていればそれと水で充分だが、後半の疲労が溜まった時に、エイドにあったスポーツドリンク(メダリスト)のクエン酸はおいしく感じられたので、気分転換にもなった。水だけだとソフトラスクの臭さでマズく感じられることも多いので、そういう意味でスポーツドリンクは有効だと感じた。

感想
これまで2回走っているが、季節、コース、運営ともにいい雰囲気で好きな大会である。ここに書いても届かないと思うが、運営・ボランティア応援の方々には本当に頭が下がる。あの寒さのなか、選手は走っているから比較的寒くないと思うが、動いていない彼(女)らはほんとうに寒かったことだろうと思う。ほんとうにありがたい、と思いながら、「おつかれさまでーす」とか「ありがとうございまーす」とか、なるべく伝えるようにしていたが、いちいち立ち止まって少し会話しつつ感謝を伝えたいところだった。

December 04(Mon), 2017

読書記録『それでも人生にイエスと言う』(V・E・フランクル)37-2017

それでも人生にイエスと言う

それでも人生にイエスと言う

夜と霧』で有名な精神科医、フランクルがナチス強制収容所から解放された翌年に行った3本の講義邦訳ニヒリズムに陥った世界において「生きる意味」を問うことについて講義している。たぶん3年くらい前に買って、読了できずに放置されていた。集中すれば3時間くらいで、読めそうな物量なのだが。

生きる意味は、問うものではなく、問われているものである、というのが主旨。「脱反省」というワードはなかなかよい。

December 02(Sat), 2017

2017 今年観た映画

今年は独身だからできることとして、映画館通いを意識的にしていた。あとで安く観る手段なんていくらでもあるが、映画館で観ることには大きな意味がある。音響、画面のデカさ、集中できる環境、なんかがそれだ。あとは、それらの集合によって、非日常感が強くなり、日々の瑣末なことから一時的に逃れることができる。これが非常に大きい。

2016年の公開作品もあるが、とりあえず今年観た映画リスト。あと今年は12月の残りで「オレの獲物はビンラディン」は観る。「オリエント急行殺人事件」も観るかも。「アトミック・ブロンド」、トム・クルーズの「バリー・シール」は観たかったがタイミング合わずテレビWOWOWネットで観た旧作は省いている。ジャンルは偏らず観たつもりだ。少しでも食指が動いたら食わず嫌い理性的に排して(笑)コミットするようにした。

この世界の片隅に
ネオン・デーモン
沈黙 サイレン
人魚姫
ラビン
キングコング 髑髏島の巨神
ナイスガイズ!
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
ラ・ラ・ランド 3回
3月のライオン(前後編)
哭声 コクソン
ムーンライト 2回
ゴースト・イン・ザ・シェル
アシュラ 2回
メッセージ
ハクソー・リッジ
ライフ
マンチェスター・バイ・ザ・シー
パターソン
ダンケルク
エル
感染
ベイビー・ドライバー(残念ながら飛行機で鑑賞)
エイリアン コヴェナント
三度目の殺人
ドリーム
アウトレイジ最終章
エルネスト
ブレードランナー2049 2回
ノクターナル・アニマルズ
ローガン・ラッキー
ゴッホ 最期の手紙

ゴジラ 怪獣惑星
探偵はBARにいる 3

どれがいちばんよかったかと考えると、けっこう拮抗するのでこれから考えてみます。俳優としてはお気に入りライアン・ゴズリングジェイク・ギレンホール鉄板。今年の俳優自分的ヒットは、「沈黙」、「パターソン」、「ローガン・ラッキー」のアダムドライバー(スター・ウォーズはまったく観ない)。あと、「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ガーフィールドは「あら、そんな表情もできるのね」的によかった。

November 19(Sun), 2017

読書記録『チェ・ゲバラ伝 増補版』(三好徹)36-2017

増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)

増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)

日本語で読めるゲバラ関連の本で、もっと網羅的かつ魂がこもっているものは本書ではないかと思われる(完全に主観)。類書はいくつかあるが、キューバ革命からゲバラの死まで、いっきに読ませる勢いがある。これまでゲバラ関連の映画もいくつか観たが、「ゲバラ前史」といえる青春映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を置いて、ほかに「おもしろい」のがない。

今年観たオダギリジョー主演の「エルネスト」も、ゲバラが広島訪問したあたりまでは、日本人としては惹きつけられる映画だったが、なぜゲバラがそこまでして革命に身を投じたのか、そしてゲバラとともにボリビアで革命に身を投じた日系人フレディ・マエムラもなぜそこまでゲリラ戦に惹きつけられたのか、映画の短い尺のなかでは、事前の知識がないとよくわからない。

November 08(Wed), 2017

読書記録『ブレードランナーの未来世紀』(町山智浩)35-2017

映画を新旧で観たので。

ポストモダンの話とかひさびさに読んだぜ。そういう文脈で捉える映画なのね。ヴェンチューリとかボードリヤールとか懐かしい。

November 01(Wed), 2017

読書記録『高岳親王航海記』(澁澤龍彦)34-2017

高丘親王航海記 (文春文庫)

高丘親王航海記 (文春文庫)

薬子の変皇太子地位から除され、出家して天竺を目指し、マレー半島南端に消えたといわれる高岳親王を主人公にした航海記。ほぼフィクション

尊敬する畏友のひとりが激しく勧めていたので。ひとことでいうと、自由度が高すぎて、こういう発想でものを書くことのできる人間いたことに驚き、未読だったことが悔やまれる。知識とか技術だけではなく、遊び心や人間の存在に対する愛着(ライトな執着といってもいい)がなければこういうものは書けない。『快楽主義哲学』(文春文庫)という本も書いているので合わせて読みたい。

余談になるが、大学時代に旅したマレー半島付近が出てくるので、それも読んでいて楽しかった。