赤毛のアンシリーズ - 翻訳者比較(村岡訳・掛川訳・松本訳)
新潮文庫の村岡花子訳、講談社の掛川恭子訳、集英社の松本侑子訳を
比較してみます。
「赤毛のアン」第一章冒頭部分について、
各翻訳文と原文を以下に引用します。
原文はGutenberg.orgや、Literature.orgから入手可能です。
括弧()内はルビ(よみがな)が振られている箇所を表します。
村岡花子訳(1954)*1
第一章 レイチェル・リンド夫人の驚き
アヴォンリー街道(かいどう)をだらだらと下って行くと小さな窪地(くぼち)に出る。レイチェル・リンド夫人はここに住んでいた。まわりには、榛(はん)の木が茂(しげ)り、ずっと奥(おく)のほうのクスバート家の森から流れてくる小川がよこぎっていた。
掛川恭子訳(1999)*2
1 レイチェル・リンド、びっくりする
レイチェル・リンドは、アポンリーの村を通る街道が丘を下っていったところにある、小さな窪地(くぼち)に住んでいる。まわりをハンノキやフクシアに囲まれたその小さな窪地を、はるかかなたのカスバート家の森の奥で生まれた小川が横切っている。
松本侑子訳(2000)*3
第1章 レイチェル・リンド夫人の驚き
レイチェル・リンド夫人は、アヴォンリーの街道が、小さな窪地(くぼち)へとゆるやかに下っていくあたりに住んでいた。まわりには、ハンの木や、淑女の耳飾り(レディス・イヤドロップス)と呼ばれる野生のフクシアの花がしげり、そして、カスバート家の古びた屋敷のある森から流れてくる小川が横切っていた。
原文*4
Chapter I - Mrs. Rachel Lynde is Surprised
Mrs. Rachel Lynde lived just where the Avonlea main road dipped down into a little hollow, fringed with alders and ladies' eardrops and traversed by a brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert place;
読み比べてみると、それぞれに個性が見えて面白いですね。
情報量では松本侑子訳が圧倒的ですが、
やはり村岡花子訳の拡張高い日本語には愛着があります。
村岡花子については「村岡花子のまとめ」もご覧ください。
ご注意いただきたいこと。
初めて読む方は、松本郁子訳にはご注意を。
脚注で肝心なところがネタバレしてしまいます。
掛川恭子訳は、子どもにも読みやすい文体ですね。
英文と比較してみると、
松本侑子訳には、ところどころ説明的な"付け足し"があることが分かります。
やはり、原文を読まなければ…。
ちなみに、原文は下記のサイト↓で無料で読むことができます。
- ダウンロードして読む形式です.
- ブラウザ上で読むことができます.
各訳本のレビューもご覧ください。
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