「 運命を拓く 」作:中村天風 ※注:長文です

運命を拓く 天風瞑想録

運命を拓く 天風瞑想録

この題名を見て「なんかウサン臭いなあ」と思った貴方。正解!
俗に言う「成功術」「成功本」と呼ばれる本です。
「成功本を読んでいる人ってキモ〜い」っていうのが一般的な意見で。
私も大いに同意なのですが。
でも、この本、普通の成功本とひと味違うんです。

●この本の経緯

どうやらこの本の作者は
日本に溢れる成功術の元祖となった人らしい。
なんせ、この人。明治時代の人。
天風流の教えを広める団体を始めたのが大正時代。
まさに成功術やライフハックの源流!
巷にあふれる仕事で成功する系とか、幸せになる方法とか。
あの辺のコンプレックスを煽る商売は、ほとんどこの中村天風が源流らしいのですよ。
あくまで噂ですけど。噂。
そんなわけで、成功術業界の元祖を知りたくて読んでみました。


●率直な感想

さて。
前置きが長くなりました。
これだけけなしておきながら、この本の感想。
私個人の意見としてですが「なかなか良かったです!」なのです。
ただし、おすすめはできない。

●適正が必要です

まず、この本を読むには適性があります。

  • 思春期にこの世の真実を考え始めて、今でもあきらめず真剣に研究してる
  • 宗教や神様、オーラの泉は嫌いではない
  • 自分は神経質な方だ
  • 世の中をひっくり返すような発見をしたい

この4つの条件を全て満たす人にはお薦め。
でも、一個でも満足できないようなら読まない方が良いでしょう。
特に「私はあの世を認めない!」と豪語する人には絶対お薦めしません。
だって「霊」という言葉がたくさん出て来てそれが「存在する物」として扱われるから。
でも、この本中では、亡霊とか霊魂って意味ではありません。
スターウォーズに出て来た「フォース」に近い意味で扱われてます。


●あらすじ

中村天風の講演会を記録した構成です。
いきなり、この世の真実から入ります。
ズバッっと言ってくれます。
そして、この真実の説明と解説が最後まで続く、という印象。
悪い言い方をすれば情報商材系のHPでありがちな同じ言葉がダラダラ続いて洗脳的な感じです。
全体的に、熱血口調。
昔気質のおっさん、と言った感じでしょうか。
私は熱血嫌いなのですが、この本に関してはあまりイヤな感じではありません。
熱血人間にありがちな弱者切り捨て感が少なくて気持ちよかった。



●感想

ここまでblog読んでくれてありがとうございます!
さて
  「じゃあ、真実ってなんなんよ!?」
と疑問が出てるかと思いますので。
大雑把に言ってしまうと、この本では

  • 哲学とはあらゆる事の源を探る学問である。みんなもっと哲学しやがれ!
  • 宇宙霊が生命の源である!
  • 人の心が、その霊を具現化する
  • 心を積極的で正しい状態にしないと、霊が良い状態で具現化しない
  • 全ての人の人生の目的は「人類の進化へ貢献する事」である!

って感じ。
もう、この辺の印象は各個人にお任せします。
私なりの意見はあるのですが、さすがにblogっていう公の場では言えない内容ですよね?w


この作者「中村天風」さんは。
私と同じくらい神経質な人です w
かわいそうに・・・。でも、おもしろい。
ただ私は、中村天風ほど身体が強くはないのでここまで熱血にはなれなかった。
良くもあり悪くもあり・・・



【長所その1】
一般的に「ある事の真理」を説明するのに例えが用いられるが、
この本は、例えの用い方が秀逸。
かなりわかりやすい。
しっくりくる。
キリスト教の聖書と同じくらいのわかりやすさで迫って来る。


【長所その2】
恐怖がいかに人生の目的を阻害するかについて。
じっくり書かれている。
仏教では、人の煩悩には自惚れ・食欲・性欲・金欲・・・など多数あるけど、その中に「恐れ」も入っている。
これだけしっかり「恐れ」の有害性を説いている本は初めて見た。
そして、それの克服法がなかなか見事であるように感じる。


【長所その3】
明るい積極的思考がこの本ではお薦めされている。
すごく難しい事なんだけど、この本では上手に説明されていて。
だれでも実践できそうな感じ。


【長所その4】
自分に自信の無い人にはおすすめです。
励まされるだけじゃなくて「なんで自信がなくなってしまうのか?」という
原因についても掘り下げることができます。



【短所その1】
結局の所、よくありがちな成功本と同じ。
自分に暗示をかけるとか。
幸運だと思い込め、とか。
ただ、元祖である、という点では優秀です


【短所その2】
心の弱っている人にはすぐ効きます。
っていうか、一発で洗脳されます。
洗脳効果は高いです。
文章の表面的な所しか読めない人にもお薦めできません。
お金全部吸い取られます w


【短所その3】
インテリ臭い人には、この本を読んだ、という事実自体教えない方が良いです。
有害図書扱いされます w
正直、私がこのblogに感想を載せる事自体危険行為だと認識してます。
面倒が起こったら、この記事消します


【短所その4】
平気で神を否定してます。
信仰深い人に、この本を読んだという事実を伝えるのは人間関係を悪化させます。


【短所その5】

  • すでに、自己中でやりたい放題な人。
  • ヤリまくりで、人生を堪能しまくっている人。
  • 身体が強くて弱者を平気でいじめる人。
  • 「私、頭がいいの!」とか思ってる人。
  • 「なんだかんだで世の中お金が全てですよ」とか言っちゃう人。

こういう自制の利かない人が読むと、余計やりたい放題の粗暴になります。
読ませない方が良いです。



●印象的な言葉

 「美しくしておきべき心の花園に、自分から汚物を振りまいて歩いているような事をして・・・」
 

→ ここで言う"汚物"は、
  自分の病気や運命を悲しんだり恨んだりする行為の事。
  悲しんだり恨んだりの感情は人なのでOKだけど、それを
  ずっと心に留めてしまうのは花園に汚物を振りまくような
  行為である、といった比喩。