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BOY’S VOICE 〜永遠の少年たち〜

2006-08-05 悲劇の少年達(3) 〜ケンちゃん/宮脇康之

ケンちゃん

[][] 超人気子役の流転の日々

いつも気にかけていたわけではないのですが、ふとしたときに「彼はどうなったのかな?」と思い出していたのが、ケンちゃんシリーズで一世を風靡した宮脇康之さん。日本の高度経済成長・真っ只中、”あるべき幸せな家族”を絵に描いたようなホームドラマの中には、いつもケンちゃんの笑顔がありました。


己の少年時代を捧げたと思うほどにTVの住人だった、ケンちゃん*1。舌足らずの台詞廻し、愛嬌のある笑顔、ちょっと離れた目元、ふくれっ面をすれば「泣く子とケンちゃんには勝てない」というくらい我がままいっぱいでも憎めない男の子。当時、どれだけ多くの子供がこのケンちゃんの成長を見守っていたか。


リアルタイムでは、岡浩也*2のお兄ちゃんとして詰襟姿の学生服を着た、大人と子供の中間のようなケンちゃんが記憶に残っていますが、宮脇ケンちゃんも再放送で「へい、らっしゃい!」(すし屋のケンちゃん)なんて可愛い掛け声をかけていたのを覚えてるので、やはり同世代のような”近さ”を感じてしまいます。


青春ドラマ『ナッキーはつむじ風』を最後に私の記憶の中のケンちゃんは、姿を消しました。その後に見かけるのはもっぱら「あの人はいま」的な番組。その時、流れた映像でケンちゃんは、懐こい笑顔でグレーの作業服を着てプロパンガスの営業マンとして働いていてました。


まともな職業についていても長続きしない気がしたのは、ある共通項を感じたためです。子供時代に”超”がつく人気者だった人に多いのは、昔の華やかな時代を忘れられない・・・というパターン。普通の人生に飽き足らず、また芸能界に戻りたい、ともがくものの戻る場所はない、まるでピエロのような哀しさ。。。


【ブラウン管では日本一幸せな子役、実の家庭は崩壊】


ケンちゃんを忘れられなかったのは、その昔「朝日新聞」で連載記事を読んだからです。その小さな記事で、私は初めて自分が幼い頃楽しく見ていた子役の家庭は、幸せいっぱい、どころかボロボロだったことを知りました。ケンちゃんに付き添って朝から晩まで世話をする母親、日本一有名な息子を持った父親は教師業のかたわら、広報活動に精を出す。全く家族から忘れられた存在になった実の兄。


やがてケンちゃんが(後にあまり記憶がない、と語るほどの)多忙な芸能活動の裏側で、ジワジワと崩壊していく家族。父の浮気、両親の離婚、兄の自殺未遂、多額の借金に自宅も手放し・・・とまるでこっちがドラマ?のような悲劇です。何かが少しずつ狂い始めていくのを勘づきながらも、殺人的なスケジュールをこなすのに精一杯、の忙しい子役にはどうすることもできません。


ケンちゃん自身も今では想像も付かないほどの「大スター」扱いに正常な感覚を失っていく様が書かれていたのも怖かったです。数十万円*3のお小遣い、気に入らないスタッフをクビにする、ロケでホテルのVIPルームに宿泊など。もうここまでくると誰もが上を下に、の”お子役様”扱いです。


【ケンちゃんの過酷な人生】


『ケンちゃんの101回信じてよかった』という自伝には、子役時代から今に至るまでの詳細かつ赤裸々な内容が記されています。当時の”明るいケンちゃん”を大事にしたいなら読まないほうがいいかもしれないと思うほど、衝撃的でもあります。まさに愛・金・欲・人気に翻弄された人生そのものなのです。幸い、今の彼は家族も持ち、仕事でも成功しているようですがそうでもなければ浮かばれまい(笑)。


それにしてもある意味、ケンちゃんは強い。けちょんけちょんに踏まれて、山のような借金をかかえ、転職35回以上、いつ死んでもおかしくないくらいの激動の人生、「人間ってここまでできるんだぁ」とある意味感嘆するほどです。苦難の時に知る人の身勝手さや情の深さ、有名人の裏話など、白黒おり交ぜて盛り沢山。


いろいろ読んでいて結局、彼は本当にTVのままの「ケンちゃん」だったのかもしれないと思いました。「ケンちゃん」だったからこそ幸せも不幸も山のように味わって、またこれから死ぬまで「ケンちゃん」を背負っていかなければならないでしょう。けれども彼に後悔の言葉はないのです。「ケンちゃん」は彼の誇りでもあるから。その潔さには、心を打たれました。


蛇足ですが、この私、子供の頃、ナマのケンちゃんにも会ってました。彼が中学生の頃だったでしょうか、地元のデパートに”サイン会”に来ていました。ものすごい人だかりだったことと母が撮影したピンボケの写真をおぼろげに覚えています。サインはもらえなかったけど、本人談を読むと、大半が代筆だったようなので、まあいいか(笑)。


ケンちゃんの101回信じてよかった

ケンちゃんの101回信じてよかった

 想像以上に盛り沢山でした。

チャコねえちゃん DVDコレクション

チャコねえちゃん DVDコレクション

 ケンちゃんシリーズはまだDVD化されてないようです。こちらはケンちゃんシリーズ前のチャコちゃんシリーズ。弟役でデビューでした。


悲劇の少年達
 1.高橋良明        ⇒ id:sugiee:20051211
 2.ジャッキー・クーガン ⇒ id:sugiee:20060106
 4.ショーン・レノン    ⇒ id:sugiee:20061112
 5.渡辺茂夫       ⇒ id:sugiee:20050630#p2
 6.ブラッド・レンフロ他 ⇒ id:sugiee:20080120

*1:役名なのですがこのブログの中でもこれで統一しています。

*2:後に二代目ケンちゃんとなります。

*3:時価にしたら、今の数百万円かも。

スナッチャースナッチャー 2006/08/07 08:17 sugieeさん、おはようございます。
けんちゃん!
テレビで舌足らずの台詞がまた・・可愛かった。
そんな“隠れた苦労”があったのですね。
天才子役といわれた芸能人で後の大成した人って
そう言えば・・なかなか名前が浮かばないかも・・。

今はすべてを乗り越えて、
自分の居場所を見つけられたのなら、よかったです。

sugieesugiee 2006/08/07 19:19 ケンちゃん世代ってそれだけでなんか時間を共有できますよね?
今になってあの素朴でどんくさい(笑)時代が懐かしいー。そして「子供は風の子」だった時代にちょっぴりひ弱なケン坊がいたんですよね。
確かに大人になった元・有名子役ってかなり少ないですね。もちろん、それなりに活躍されている方もいると思うのですが、子役イメージの脱却は、かなーり大変ですよね。私だって、安達祐美ちゃんが母親なんて未だに信じられませんから(笑)。

タクロウタクロウ 2009/01/24 11:27 1970年代にはケンちゃんシリーズは毎週放送したな。初代ケンちゃんを演じた宮脇康之は印象に残る。当時のケンちゃんは痩せてたんだ。ジャンケンケンちゃんからフルーツケンちゃんまで宮脇康之がケンちゃん役を演じたのが忘れられない。子役をやってたケンちゃんは成長して大人になり、肥満体になったんだ。ケンちゃんの父親役を演じた牟田悌三が心不全で亡くなった。享年80才。可愛がってくれた父親役の牟田さんのご冥福を祈る。

sugieesugiee 2009/01/25 23:47 タクロウさん、こんにちは。少年時代のケンちゃんは、本当に華奢で、幼顔のイメージが強いです。私は再放送で見たのですが。高校生になってケンちゃんを卒業しても、割と小柄で童顔だったので、なかなかイメチェンが難しかったのでしょうね。
牟田さんが最近お亡くなりになってとても寂しかったです。昔カタギのような”お父さん”ぶりがとても強く印象に残ってます。私もご冥福を祈りたいです。