買収防衛策にも三分の利

企業買収に対する「買収防衛策は有害無益」なのだろうか?
買収防衛策に害があることは否定しない。だが、生きるために絶対必要な水でさえ、大量に摂取すると死に至る。何の害も無いものなどまず存在しない。害があるだけでは買収防衛策を否定する根拠とならない。
買収防衛策は無益なのだろうか?

しかし経営者が効率的な経営をしていても、何らかの悪意をもって株主価値を下げるために敵対的買収を行なう(あるいは行なうと脅迫する)ファンドがいるかもしれない。それに対抗するために北畑氏が提案している政策が、無議決権株や多議決権株などの種類株式である。北畑氏は、それが買収防衛策として有効だと信じているらしいが、残念ながら経済学の通説は逆である。

これは、種類株式が買収防衛策として有効でないというだけで、あらゆる買収防衛策が無効ということにはならないはずである*1市場には愚かな参加者が大勢いるから、経営者が効率的な経営をしているにも関わらず企業を買収しようとするケースが考えられる。経営者が効率的な経営をしさえすれば良いとは言えないはずである。ある程度の買収防衛策は、経営を安定化させるための保険と言えそうである。買収防衛策が有害無益であるよりも、完全競争市場という概念の方がよほど有害無益だろう。

*1:種類株式が買収防衛策として有効でないというのも、経済学の通説に過ぎないし