秋分

 九月二十二日からは、二十四節季の秋分です。昼夜の長さが同じになり、これからはしだいに日が短くなり、秋が深まっていきます。

 秋分の日を中日に、前後三日を含めた七日間が、秋のお彼岸です。先祖の霊を供養する仏事が行われる日です。また、古来より農業に関する神事も行われていました。神さまにも仏さまにも縁のあるころです。

 七十二侯の秋分初侯は、雷乃声を収む。夕立に伴う雷が鳴らなくなるころです。

 秋分の日にお供えするおはぎは、春にはぼた餅と呼ばれます。同じものです。春の牡丹、秋の萩に見立て、牡丹餅、御萩と呼ばれていました。ということですが、牡丹や萩に似ているかなあ?

 秋分の日にもっとも近い戊(つちのえ)の日を、秋分の社日(しゃにち)といいます。春に山からやってきて、作物を実らせてくれた田の神さまが、秋に山へ帰る日です。

 七十二侯の秋分次候は、蟄虫(すごもりのむし)戸をとざす。虫が隠れて戸をふさぐころです。

 七十二侯の秋分末候は、水始めて涸(か)れる。田から水を抜き、稲刈りの取りかかるころです。

 実りの秋、収穫の秋、真っ盛りです。

 忘れていました。旧暦八月十五日の満月は仲秋の名月です。新暦では九月十五日、つまり秋分より前でした。


  出典 白井明大・有賀一広『日本の七十二侯を楽しむ』東邦出版