2006-08-30 渡辺淳弥について

レディスはそれなりに評価しているけど、メンズに関しては良く思っていない人達が結構いるみたいです。
「コラボばかりで創造性が無い」
「儲ける事しか考えていない」
「カジュアルで着やすくて少しだけ捻ったアイテムばかり。わざわざコレクションで発表するような服なの?」
自分が見た印象では、こんな感じです。
最初にジュンヤのメンズを見た時はけっこう衝撃でした。
「あざといな」というのが第一印象でした。「売れそうだな」というのが第二印象です。
「みんなが古着屋やセレクトショップで探しているのは、多分こんな感じじゃないのかな?
そして、更にこんなだったらスゴク嬉しいんじゃないのかな?」
あの服は自分にとって、まさにそんな感じでした。
ジュンヤに自分の心の中を覗かれていて、しかもジュンヤには全部お見通しだったような、そんな悔しさと恥ずかしさがゴチャ混ぜになったような気持ちでした。
御三家(ギャルソン、ヨージ、ミヤケ)好きの人達はデザイナーの服しか着ない人が多いだろうから、ジュンヤのやっている事の全部はおそらく理解していないのではないかな?と思います。(古着屋とか、ミリタリーショップまでは服を見に行ったりはしないでしょ?)
デザイナー物の服というのは、あくまで「服」というものの極一部であって、実際はソレ以外にも色々な服というものが世の中には存在していて、それらにはファッションでは括れないような、面白さや魅力があったりします。
そして、ジュンヤはそれらを自分のファッションの中に盛り込もうとしています。
アイビー、エスニック、アメカジ、ミリタリー、ワークウェア、スポーツウェア、アウトドア、古着など、(あまりファッションと認識されていないジャンルの服も含めて)ありとあらゆる服の持っている魅力をミックスし、そしてそれらをフラットに提示する面白さがジュンヤの服にはあります。(勿論そこにはジュンヤ流のアレンジが加えられてます)
川久保やマルジェラを初めて見た時のような衝撃は確かに無いけれど、ジュンヤのメンズは間違いなく新しい領域を開拓したと思います。穏やかな衝撃とでも言ったらいいのでしょうか。
(むしろ普段デザイナーの服を着ないような人達の方が、魅力を感じたりするかもです)
(ジュンヤに関しては)自分はレディースの複雑なパターンを多用した手の込んだドレスよりもメンズの方が好きです。
レディスは確かにスゴイとは思うけど、川久保のやった領域からは出ていないと思います。(極論すると)スケールダウンしたものでしかないのでは?
その点、メンズは目新しい高度なテクニックは使ってはいないけど、ファッションに対する「考え方」や「距離の置き方」には新しさがあります。
(強引にまとめると)「高度な絵画テクニックを駆使した、美しい作品」より、(キチンと文脈への意味付けをした上で)「レディメイドのありきたりな便器をそのまま提示する」行為の方が創造的でクリエイティブなケースだってあるという事です。
補足:もちろん行き過ぎなコラボとかは不満だけど、ジュンヤがメンズでやった事への評価が少ないような気がしたので擁護のつもりで書いてみました。