こきょう


 
少し前になるけれど、畠山美由紀嬢の新譜を購入した。
彼女のファンになってから・・・もう何年だろう。
10年経つのかしら。
Double Famousの「Souvenir」を知人にお借りしてからだから。
それまでの彼女の歌と詞は、彼女個人の恋愛であったり
幼い頃の追憶であったり、彼女を育ててきた音楽であったり
そういうものに彩られた音楽だった。
それを、彼女の歌声と感性と言うフィルターを通して
私のこころに入って来ていた。
 
今回のアルバムは、事前に知ったタイトルから覚悟をしていた。
今年起きてしまった大震災。
彼女のふるさと気仙沼も大きな被害を受けた。
その経験から生まれたアルバム。
彼女の、生まれ故郷やその土地の人々への愛情は知っていた。
つもりだった。
でも、そんなの「つもり」に過ぎなかったのだと思い知った。
 
こちらが戸惑ってしまうくらいの、愛。
気仙沼へ、東北へ、そして人びとへ。
「愛」としか言えないものが、溢れていた。
全編オリジナルではなく、カヴァーも要所要所に。
それも全て「愛」にあふれた選曲。
希望を込めた歌声。
途中、彼女のポエトリーリーディングがひとつある。
私はそれを聴いて泣いてしまった。
私が生まれ育った場所は全然違うのだけれど、
それでも共通する「ふるさとへの愛」が良く解る。
 
今までの「女性性」から「母性(あるいは父性)」の方へ
大きくシフトチェンジした印象を受けた。
 
私は購入した音源は、大体車のナビHDDに録音して
運転のお供にするのだけれど、これはそう出来ない。
もっとパーソナルな空間でしか聴けないし、聴きたくない。
夜、自室で、ヘッドホンで寝る前に聴きたいな、と思った。
彼女の、ふるさとへの愛を、独り占めしたいと思ってしまった。