Living, Loving, Thinking

2006-09-24

合計600冊?

産経』の記事なり;

捨てるなら売ればいいのに… 学術書150冊不法投棄

 千葉中央署は21日、他人の土地に大量の学術書を捨てた廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、住所不定、無職の男(54)を逮捕した。投棄された本の中には古本でも1万円以上の値が付く高価な本も含まれていたという。捜査員は「捨てるくらいなら、売って生活の足しにすればいいのに」と首をかしげている。

 調べによると、男は21日午前1時ごろ、千葉市中央区千葉の民家の敷地に学術書約150冊を不法に捨てた疑い。約3カ月前から民家向かいの廃アパートに無断で居ついていたが、アパート所有者から立ち退きを求められ、「どうしようもなくなって捨てた」と供述している。

 不法投棄されたのは、日本語の哲学書、宗教書のほか、古代ローマ博物学者、プリニウスの「博物史」などの洋書。男は芸術関係の有名大学を卒業後、植物学などに関する学術書を独自に研究し、植物辞典のような物も自ら編纂(へんさん)していたという。

 犯行の約6時間前にも同じ民家の敷地に約150冊を捨てた疑いが持たれており、男が居ついていた室内には、なお300冊以上の学術書が残されていた。

(09/23 01:19)

http://www.sankei.co.jp/local/chiba/060923/chb001.htm

正しくは『博物誌』だろうと先ず突っ込み。

このおじさんが「研究」していたという「植物学」というのは、近代的な(自然科学としての)「植物学」というよりは、プリニウスに連なる博物学、東洋風にいえば本草学のようなものだったのだろうか。また、「自ら編纂していた」という「植物辞典のような物」というのも、フーコー風に言えば、古典主義以前的なエピステーメーに属するようなものだったのだろうか。俗世間の直中で俗世間との関係を断って、博物学の世界に引き籠もっていった動機は何だったのだろうか。彼が「どうしようもなくなって捨てた」書物というのは、彼の生の支えであり、その数百冊によって、辛うじて(俗世間を通り越して)世界と繋がっていたのではないか。とすれば、これからの余生を彼はどう生きていくのだろうか。どうせ、このような微罪なので、刑務所に長くいられるわけではない。

そういえば、知り合いに、早稲田を中退して、何か独自の哲学らしきものを思考していた男がいた。生活のためにアルバイトはしていたが、それ以外は俗世間との関係を一切断ち、インターネットにも繋がらずに、いつかその思考の成果を出版したいといっていた。俗世間の直中で学会とかも含む俗世間との関係を一切断って、人知れず日々思考している人というのは、このおじさんに限らずけっこういるのだ。

「捜査員は「捨てるくらいなら、売って生活の足しにすればいいのに」と首をかしげている」――これは一見俗世間的な思考の典型に見えるけれど、考えてみれば、「学術書」の価値をちゃんと評価できる古書店が身近にあったのだろうか。こういう本は、ブックオフではまず値段がつかない。このおじさんとともにその蔵書の行方というのも気にはなる。

mmmm 2006/09/25 08:26 そうなんです。
ブックオフは、買取人も値付人も、本自体の価値を知らないようです。
だから、たまにスゴイ掘り出し物が百円コーナーにあるんですよ。
本の価値を見極めてくれる古本屋さんも、町から消えました。

t-hirosakat-hirosaka 2006/09/25 14:09 知らないのではなく、本自体の価値を評価することを拒否しているんです。

happa3happa3 2006/09/26 02:38 お店なので、どうしたら利益を出せるか?ということを先に考える気もしますが。それが無理だったから、本の価値を見極めてくれる古本屋がなくなったということではないでしょうか?本の価値を考えるのが理想でしょうが、図書館などへの寄付でもいいわけで・・。

tttt 2006/09/26 12:42 ブックオフの利用価値を分かってない。ブックオフは、本来捨てる程度のマンガや小説を少額でも引き取ってくれることに価値がある。価値があると思うのなら、ブックオフを利用しなければいい。そんなに貴重だと思える本をブックオフに持ち込む人が間違っている。本の価値なんて、オークションと同じなんだから、一般人には分からん。

sumita-msumita-m 2006/09/26 13:14 <ttさん
その通りだと思います。ただ、そもそもが『産経』の記事にあった警官のコメントに対するコメントだという文脈をご理解いただけたらと思います。

toku1961toku1961 2006/09/27 22:20 なんだか読んでみて、納得。自分でブックオフか古本屋かを選んで、売りに行かないといけませんね。先日、ブックオフ以外のチェーン店へ、長男が少し使っただけの、綺麗で著名な大学受験参考書を売りに行ったのですが。7冊中3冊買取可能で20円でした。あまりの安さに、欲しい人があったら譲ったほうがマシだと思いました。

ssddssdd 2006/09/28 12:30 ちょっと一言。引っこ抜き(価値のある物を古書店に転売する事)だけで食べている人もいますね。毎日、ブックオフ20店舗を回るそうです。同業者間での縄張り争いが絶えないと聞いたことがあります。

.. 2006/09/28 19:55 >>tt
君の勝ちだ。

qwertyqwerty 2007/01/25 11:29 しかし、ブックオフのような業態でしか商売が成立しないというのが
日本の現状だと思います(特に地方都市)。
学術的価値はさておき、値段の元となる価値は、
「欲しがる人がいるかどうか」で決まるので
自分の行動エリア内に欲しがる人がいなければ無価値かと。
ちなみに、図書館はなかなか本を引き取ってくれません。
特定の宗教団体や思想集団が寄付として大量に持ち込んだりするからですが、
それが行き過ぎて、価値があるものでも駄目なのです。

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