Living, Loving, Thinking

2007-01-22

新風舎」と井狩春男その他

所謂「新風舎」問題というのは谷川さんのblog*1を読んで知ってはいた。その被害者である三浦ヒロシという方の「「新風舎」にだまされた 自費出版の巧妙手口」*2という文章を読む。これと同様の〈被害体験談〉はネット上のあちこちで読むことができるだろう。

ところで、三浦さんの文章の中に、

今週、私の元へ「新風舎・出版賞」への申し込み用紙が送られてきました。同封の冊子には「エッセイスト井狩春男」なる人物が「新風舎は本を出版するすべての人の味方である!」と片棒を担いでいる記事が掲載されていました。
という一節あり。ということで、久々に名前を見かけた「井狩春男」という名前に反応。この人はたしか取次店に勤務していた人で、出版関係のエッセイを書いている。たしか、「親鸞会」という宗教団体*3関係の出版社をマイルドなタッチのスピリチュアル系出版社としてプロデュースした人ですよね。

こういう商売が成立する背景としては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070120/1169274863で言及した文学の「カラオケ化」という事態も関係しているのであろう。三浦さんの場合は「絵本」であり、「新風舎」の被害者には写真家志望の人が多いと聞く。またさらに、1980年代以来、自分史ブームがあり、それが「自費出版」産業を支えてきたというのは周知のことだろう。その根柢にあるのは、自己を公に客体化したいという欲望だろう。さらに万民ブロガー化という現象もある(と他人事のように書く)。勿論、昔から作家とかアーティストを志望する人は沢山いたわけだが、現代社会においては(公に語られた)自分史なくしては自分というものが存立し得ないという思い込みが相当に蔓延しているといって過言ではないだろう。抑も私という存在、私の生は私以外の他者の〈証言〉なくしては(私の主観的思い込み以上の)リアリティを持ち得ない。その〈証言〉の構造が変容していることはたしかなのだろう。

*1http://d.hatena.ne.jp/lelele/20061124/1164313635 http://d.hatena.ne.jp/lelele/20061126/1164481399 なお、正確には「協力出版」問題と言った方がいいのだろう。

*2http://www.janjan.jp/media/0701/0701148009/1.php

*3:森葉月さんはこの団体をファンダメンタリズムと形容しているが、私見ではファンダメンタリズムというには、政治や社会倫理へのコミットメントが弱いような気がする。

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