万引き

本の「万引き」については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060703/1151942109で採り上げたことがある。
『読売』の記事;


本の万引き、年間40億円…小学生も犯行、とがめぬ親も

 紀伊国屋書店三省堂書店有隣堂など大手書店14社の万引きによる年間被害額が約40億円と試算されることが、出版社や書店などでつくる日本出版インフラセンター(東京・新宿区)の調べで分かった。

 最近は小学生による犯行や、万引きをとがめない親も目立つ。万引き被害は書店の経営に打撃を与えており、出版関係者の間では「このままでは日本の出版文化が衰退するおそれもある」との危機感が強まっている。

 同センターの調査は、今年1月から2月にかけて、大手書店14社計1161店舗を対象に行われ、14社643店舗から回答があった。本の販売に伴って発生した店側の損失額は計約55億円で、このうち、伝票の打ち間違いなど店側のミスや売れ残った本の処分による損失は約15億円。同センターは損失額の合計からミスなどによる損失を除いた約40億円が万引きによる被害と推計している。この額は年間総売り上げ2909億円の1・4%にあたる。

 また、全国の書店約1万5000店舗で、同じ割合で万引きがあったと仮定すると、被害額は約190億円に上ると推計される。

 書店側が取り押さえた万引き犯が盗もうとした本を金額ベース別でみると、コミック本が4割と最も多く、写真集は3割、単行本は1割だった。万引きの理由は、7割以上が「最終的に換金目的」と答えていた。

 被害を受けている都内の書店によると、コートの裏側にたくさんのポケットを作ったり、ベビーカーやキャリーケースなどを使ったりして大量に盗もうとするケースが相次いでいるという。2人組の1人が店員に本の注文方法を聞いている間にもう1人が盗む例もあった。「万引きに対する罪の意識が薄くなった」と、この書店の社員は嘆く。

 万引きの若年化も進んでおり、都心の書店約60店舗と契約している警備会社の調べでは、今年3月の1か月間に取り押さえた60人のうち、小学生が3人含まれ、中高生も17人に上った。

 万引きした子供を引き取りに来た際、子供をかばって、「捕まえられてかわいそう。なんで取りやすい場所に置くんだ」と店側に抗議する親もいる。また、店側に呼び出された親が「払えばいいんだろう」と開き直ったり、子供に向かって「つかまってアンラッキーだったね」などと慰めたりする光景も見られるという。

 同センターの永井祥一・運営委員(講談社)は「万引きが横行して新刊の本が売れなくなると、書店が倒産するだけでなく、作家に印税が入らない。作家の生計が立てられなくなり、著作活動の衰退につながる危険性もある」と指摘している。

(2008年4月24日15時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080424-OYT1T00483.htm

疑問は幾つかあって、この「40億円」の「損失」というのは昔と比べて増えているのか減っているのかという時系列的な疑問が先ずある。また、記事には「万引きの若年化」ということも言われているのだが、「若年化」ということをいうためには、万引きの平均年齢が前年比で何歳下がったとか、そういう数字を示す必要があるだろう。さらに、売上げの「1・4%」というのは多いのか少ないのか。
ところで、「万引きの理由は、7割以上が「最終的に換金目的」と答えていた」という。疑問に思うのは、万引きをビジネス或いは労働として考えたとき、それは果たしてわりのいいものかどうかということである。結局、金が欲しいならまっとうなアルバイトの方がいいぞとは思うのだが。子どもがかあちゃん腹が減ったよぉ〜というと、親が子どもの頭を引っ叩いて、おやつ代くらいてめえで稼いで来いとかいって、万引きをさせるというならわかりやすいのだが、そういうのはあったとしてもレアであろう。