アニメ「売れない」?

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070808/1186539958http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070917/1190056062にも関係するか。

岡田有花「日本のアニメが世界に「売れない」 生き残りの道は」(但し前半)http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/28/news115.html


少し抜き書き;


世界同時不況やネットの違法配信の影響などで、北米市場は「ぼろぼろ」、欧州市場も厳しく、中東やアジアなど新市場も期待薄。「このままでは、日本のアニメを日本の市場だけで売る一昔前に戻るかもしれない」ほど事態は深刻だ。

日本アニメの海外進出は、「新世紀エヴァンゲリオン」(1996〜97年)を機に急拡大したという。それまでは「金髪のジェニー」や「ムーミン」といった、海外を舞台にした“無国籍アニメ”が受け入れられていたが、エヴァは日本のアニメとして歓迎され、市場を一気に広げた。

 97年ごろから「ポケットモンスター」が海外でメジャー作品化。02年には「遊戯王」がさらに市場を拡大し、日本のアニメは売り手市場に。「こんなものでも買うんだ、と思うようなアニメがセットで売れていった」。02年以降、「NARUTO」も世界的にヒットし、海外のティーンエイジャーや「OTAKU」層の心をとらえた。

 その後は「ケロロ軍曹」「ブルードラゴン」といったタイトルが海外展開を開始・準備しており、09年までは、NARUTOまでの作品が広げてきた海外ファンからのニーズを、複数のタイトルで支えている状況が続くと岩田さん*1はみる。

 だが市場はすでに飽和状態。「10年以降、世界市場が縮小するというシナリオが、容易に想像できる」

 市場の飽和に加え、世界同時不況や各国の事情、動画共有サイトの違法配信が、日本アニメ輸出に暗い影を落としている。


アニメ業界も、世界同時不況の波をかぶっている。輸出産業として円高の影響を受けている上、最大の輸出市場だった米国や欧州も不況のまっただ中だ。

 市場環境の厳しさに加え、米国では、地上波放送で日本アニメの視聴率が低迷。地上波放送局は、日本アニメの暴力的な内容や、グッズ販売を前提にした構成を嫌い始め、アニメへのニーズ自体が低下しているという。

 日本のアニメ配給を手掛けてきた米国の「4Kids TV」は、FOXテレビのアニメ枠から撤退。アニメ専門チャンネルCartoon Network」も一時日本アニメから全面撤退した。Cartoon Networkは、「オタク向けの『Adult Swim』(14歳以上限定)で一部復活した」が、ポケモンNARUTOレベルのヒットは望めない状況だ。DVD市場も厳しく、「全米で400本しか売れないタイトルもあった」という。

 欧州も状況は厳しい。もともと自国文化の育成に力を入れている国が多く、海外アニメを放送できる枠が少ない中で、「買ったものの放送できず、手つかずのタイトルが山のように残っている。新しい物がいらない状況」。言語や文化のギャップも大きいという。

 成長市場として期待していたアジアや中東諸国も、不況の影響で「マーケットがひどい状態」。中東では「各国の投資庁が昨年、アニメ投資を発表していたが、頓挫している」という。

 さらに、違法配信サイトや動画共有サイトの台頭が、地上波テレビを中心としたアニメのビジネスモデルを破壊。「日本でアニメを放送された翌日には、現地語の字幕を付けてネットにアップされてしまう」ため、日本で放送終了した作品を海外に販売するころには、海外ファンはすでにそのアニメを見ており、視聴率が取れなくなる。「成功の方程式――テレビメディアのビジネスモデルが崩れた」

とは言っても、ジャパニメーションって、そもそもJ-POPと同様に日本という人口1億を超える厚い国内市場に依拠してきたわけで*2、グローバルな市場というのはおまけみたいなものだったわけでしょ。アニメについては、また、お子様文化の国民文化化というプロセスもあるわけで。それよりも、その国内市場がすかすかになってしまう可能性について心配すべきなのでは?*3
ところで、映画では、米国や日本、或いは韓国を除いては、J-POPのような(http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081114/1226679921で「メジャー(ナショナル)」と位置づけた)立ち位置の作品の存立は難しくなっており、また所謂大作や逆にマイナーでアーティスティックな作品は公的な助成や外国資本の投資なしには製作ができなくなっているともいえるだろう。映画では資本というレヴェルにおいて既に多国籍化しており、他方では容易く外資を導入できる映画作家とできない作家との格差も顕著になっている。ジャパニメーションもそのような途を歩むのかどうか。