Living, Loving, Thinking

2016-05-09

「住所、職業不詳」?

最初はベタ記事;

畑から女性遺体 一部白骨化 愛知豊田

2016年4月26日21時56分


 26日午前8時ごろ、愛知県豊田市樹木町4丁目の畑で近くに住む女性が遺体を発見し、親族が110番通報した。遺体は女性で一部白骨化しており、年齢は不明。県警は死体遺棄事件とみて豊田署に捜査本部を設置し、捜査を始めた。

http://www.asahi.com/articles/ASJ4V74NVJ4VOIPE034.html

そして、

畑に遺体を遺棄した疑い、24歳の男逮捕 愛知

2016年5月8日23時38分

 愛知県豊田市樹木町4丁目の畑で女性の遺体が4月に発見された事件で、県警は8日、近くに住む元派遣会社社員で無職の万井(よろずい)大輝容疑者(24)を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。また、遺体は住所、職業不詳の小谷川(こたにがわ)彩さん(22)と判明したという。

 県警豊田署捜査本部によると、万井容疑者は2月9日ごろ、畑に小谷川さんの遺体を放置した疑いがある。今月7日夕、県警中村署(名古屋市中村区)に出頭したため、事情を聴いたところ、死体遺棄容疑について自供したという。

 事件当時、万井容疑者は派遣会社の社員として豊田市内に勤務。小谷川さんは同じ会社の登録社員だった。県警は2人は面識があり、万井容疑者が小谷川さんの自宅を知っていたとみている。

 小谷川さんは愛知県尾張旭市出身で、昨年11月ごろから登録社員となり、豊田市内のアパートに住んでいた。同市内の派遣先で昨年12月初旬ごろまで勤務していたのが確認されているという。県警は、小谷川さんが死亡した経緯についても調べる。

 小谷川さんの遺体は4月26日午前8時ごろ、近くに住む女性が発見し、女性の親族が110番通報した。解剖の結果、刃物による傷や骨折の形跡はなく、死因は特定できていないという。県警が死体遺棄事件とみて豊田署に捜査本部を設置し、捜査していた。

http://www.asahi.com/articles/ASJ587KRYJ58OIPE016.html

「住所、職業不詳」というけれど、小谷川さんはこの万井容疑者と「同じ会社の登録社員だった」わけでしょ。また、「豊田市内のアパートに住んでいた」わけでしょ。そして、「県警は2人は面識があり、万井容疑者が小谷川さんの自宅を知っていたとみている」。つまり、警察も朝日新聞も万井容疑者も小谷川さんの「住所」や「職業」を知っているわけじゃん! 

「万井容疑者は2月9日ごろ、畑に小谷川さんの遺体を放置した疑いがある」。「放置」ですよ。隠したわけじゃない。土をかけて隠したわけじゃないし、ましてや土を掘って埋めたわけじゃない。それで、よくも2か月以上見つからなかったものだと思った。「畑」というのは山中とかと違って、見晴らしのいい場所ということだ。それも不思議。また、最初は「年齢」もわからなかった遺体がどういう経緯で同定されたのだろうか。それもわからない。まあ、万井容疑者の「自供」ということなのだろうけど、「小谷川さん」だという客観的な証拠(例えば、虫歯を治療した痕跡とか)があったのだろうか。捜索願とかは出ていなかったのだろうか。「死因」も含めて、謎でいっぱい。

To be continued

承前*1

朝日新聞』の記事;

ろくでなし子被告、女性器作品の陳列無罪 データは有罪

千葉雄高

2016年5月9日20時09分

 漫画家五十嵐恵ペンネーム・ろくでなし子=被告(44)の作品などのわいせつ性が争われた刑事裁判の判決が9日、東京地裁田辺三保子裁判長)であった。女性器をかたどった立体作品を店内に並べたとするわいせつ物陳列罪については無罪と判断した。一方で、女性器の3Dデータを配布したとするわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪については有罪とし、罰金40万円を言い渡した。

 検察側は罰金80万円を求刑していた。「女性器をモチーフにした芸術作品だ」などと全面無罪を訴えていた被告は、判決を不服として控訴した。

 判決によると、被告は2014年7月に東京都文京区のアダルトショップで女性器をかたどった立体作品3点を展示したほか、13年10月から14年5月にかけ、自身の女性器の3Dデータをインターネットなどを使って東京都名古屋市などに住む計9人に配布した。

 判決は、作品や3Dデータがわいせつ物にあたるかを検討。作品については現実の女性器とは違う着色や装飾がされているため、「ただちに女性器を連想させない」とした。「ポップアート一種ととらえることが可能で、女性器への否定的なイメージをちゃかすなどの制作意図を読み取ることができる」とも指摘。「芸術性、思想性によって性的刺激が緩和されている」としてわいせつ物にはあたらないと結論づけた。

 一方、3Dデータについては「女性器の形状を立体的、忠実に再現している」として、わいせつ物にあたると認定。被告は「3Dデータを使った創作活動への出資者に配布しており、芸術活動だ」と主張したが、判決は「わいせつ性は、3Dデータ自体のみで判断されるべきだ」と退けた。(千葉雄高)

http://www.asahi.com/articles/ASJ5945NZJ59UTIL01Y.html

また、千葉雄高「弁護団「一部無罪は画期的」 ろくでなし子被告は不満も」という記事*2から;

「自分の活動を裁判官に理解してもらえるか不安だったが、アートと認識してくれたことはうれしかった」。判決後に東京都内で会見した漫画家五十嵐恵ペンネーム・ろくでなし子=被告(44)は笑顔を見せた。一方で、「わいせつではなく芸術活動だ」という無罪の主張は、一部で退けられた。「自分の体の一部が『わいせつな物』というのはおかしい、と思ってずっと活動してきた。無罪の理由が『女性器に見えないから』というのは納得できない」とも話した。

弁護団山口貴士弁護士は「わいせつ性が問われた刑事裁判で一部でも無罪になったのは非常に珍しい。画期的な判決だ」と評価。だが判決は、有罪とした3Dデータの配布について「データを使って創作活動をしてもらいたいという被告の意図が、かえってデータのわいせつ性を高める可能性も否定できない」とも指摘した。主任弁護人の須見健矢弁護士は「最低限の結果は出たが、一部が有罪になったことで創作活動に対する萎縮効果もある。控訴審で引き続き頑張りたい」と話した。

ミッフィーとほくさいさん』など

代官山蔦屋書店に行って本を買う。

国井美果『ミッフィーとほくさいさん』(菊池敦己構成)美術出版社、2016

Julia Annas & Jonathan Bernes『古代懐疑主義入門――判断保留の十の方式――』(金山弥平訳)岩波文庫、2015

村上春樹色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年文春文庫、2015

四方田犬彦『テロルと映画 スペクタクルとしての暴力』中公新書、2015

Paul Auster『オラクル・ナイト』(柴田元幸訳)新潮文庫、2016

Roland Barthes『ロラン・バルト 中国旅行ノート』ちくま学芸文庫、2011*3

ロラン・バルト 中国旅行ノート (ちくま学芸文庫)

ロラン・バルト 中国旅行ノート (ちくま学芸文庫)

ディクソン『言語の興亡』

言語の興亡 (岩波新書)

言語の興亡 (岩波新書)

ディクソン*4『言語の興亡』(大角翠訳)*5を読了したのは先週のこと。

謝辞

はじめに

第I章 序説 

第II章 ことばの伝播と言語圏

第III章 系統樹モデルはどこまで有効か

第IV章 言語はどのように変化するか

第V章 断続平衡モデルとは何か

VI章 再び祖語について

第VII章 近代西欧文明と言語

第VIII章 今、言語学は何を優先すべきか

第IX章 まとめと展望


補論 比較方法の発見手順では見誤ってしまうもの


訳者あとがき

参考文献

本書の理論的な狙いは、ナイルズ・エルドリッジとスティーヴン・ジェイ・グールド*6の「断続平衡(punctuated equilibrium)」モデル*7を言語進化に適用することであろう(p.4)。すなわち、「進化」には変化の少ない「平衡期」と急速な変化(分岐)が起こる「中断期」がある。また、そのことを通じて、言語間関係についての「系統樹(family tree)によるモデル」と「言語圏(linguistic area)によるモデル」とを「総合する」こと(p.3)。或いは、前者(比較言語学における〈語族〉至上主義)を相対化すること。「言語の系統樹モデルが適用できるのはこの、非常に長い平衡期の間に挟まっているごく短い中断期なのである」(pp.4-5)。また、言語学の形式化*8に抗しての記述言語学の復権である(p.182ff.)。言語学者は「形式文法」の洗練に現を抜かしていないで、現にある(あった)言語の記述(記録)を行わなければならない(See p.187ff.)。また、踏まえておかなければいけないのは、著者の理論的関心及び言語学者への提言の背景であろう。近代に入って、マイナーな言語の絶滅*9が加速していること。また、

(前略)この二〇〇〇年は――特にこの数百年間は――かつてこれほどの変化が起きた時期はないと言えるくらい格別の中断期なのである。世界的な宗教帝国主義の出現、銃の発明、書記法の確立その他の要素が組みあわさり、一部の人々とその人々の言語が勢力を増し他を制圧するに至った。我々のように読み書きができ言語学を研究する人間もまた、この現象に加担した一員である。後略)(pp.5-6)

この意味で、著者の動機は例えば『消滅する言語』*10のデヴィッド・クリスタルと共通している。

さて、唐突かも知れないが、「断続平衡」モデルの「中断期」からレヴィ=ストロースのいう〈熱い社会〉というのを思い出した(see eg.ジョルジュ・シャルボニエ 『レヴィ=ストロースとの対話』)。