周有光逝去

“China's Zhou Youguang, father of Pinyin writing system, dies aged 111” http://www.bbc.com/news/world-asia-38621697
羅虵「”漢語拼音之父”周有光去世 享年112歳」http://news.qq.com/a/20170114/013716.htm
沈杰群、蒋肖斌「周有光:這位思想有光的百歳老人、終於被上帝想起了」http://news.sina.com.cn/c/2017-01-14/doc-ifxzqnva3583454.shtml


1月14日、中国語の羅馬字化(拼音)の考案者である言語学者の周有光氏*1が逝去。前日に誕生日を迎えたばかりだった。享年は111歳(112歳)。
See also


楊敏「周有光:一生追光、一生有光」http://cul.qq.com/a/20170114/019323.htm
馬国川*2「周有光:今日中国以何出不了大師?」http://finance.sina.com.cn/roll/2017-01-14/doc-ifxzqhka3033359.shtml *3
Louisa Lim “At 105, Chinese Linguist Now A Government Critic” http://www.npr.org/2011/10/19/141503738/at-105-celebrated-chinese-linguist-now-a-dissident
Michael Bristow “The man who helped 'simplify' Chinese” http://www.bbc.com/news/world-asia-china-17455067

「ツイ廃」

橘エコ「ツイ廃トランプ、メリル・ストリープに暴言でテレビの笑いものに」https://joshi-spa.jp/646527


ゴールデン・グローブ賞の受賞スピーチにおけるメリル・ストリープ*1ドナルド・トランプ*2批判とトランプの反撃を巡る記事だが、ここで「ツイ廃」なる言葉を知った。


その時の感情をただ垂れ流しにするトランプのツイッターですが、米国内で周囲を見回してみると、面白半分で彼の次のツイートを待っている人たちが半分、「ツイ廃老人のたわ言」と相手にしていない人たちがもう半分といったところ。

 セキュリティ上の問題で、1月20日の大統領就任後もトランプがツイッターを続けることはおそらく不可能になります。これでツイ廃老人とはおさらば出来るかと思いきや? 現在、トランプ陣営は「それに代わる暴言ツールとして“トランプTV”なる新チャンネルを作ろうとしている」という噂がまことしやかに囁かれています。

オバマは大統領になってもツィッターをやっていたけれど。それはともかくとして、「ツイ廃老人」が廃業したとしても、一部では「大阪のドナルド・トランプ」と呼ばれているらしいUnder-the-bridge*3は「ツイ廃」中年を辞めないわけだ。

*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091217/1261019809 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091220/1261293566 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110727/1311800728

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160112/1452559076 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160129/1454064240 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160220/1455946832 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160330/1459312281 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160410/1460305771 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160522/1463941481 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160601/1464744478 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160615/1465947659 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160615/1465947658 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160629/1467212026 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160725/1469418870 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160915/1473959248 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160925/1474806496 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161018/1476760956 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161027/1477592471 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161109/1478709983 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161110/1478789303 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161111/1478828492 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161112/1478913484 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161112/1478918624 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161115/1479228554 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161116/1479312313 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161118/1479473645 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161119/1479516478 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161121/1479707976 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161122/1479780988 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161123/1479921429 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161127/1480233348 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161128/1480299444 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161203/1480738016 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161204/1480822785 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161227/1482857738 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170103/1483402345 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170112/1484191517

*3:http://b.hatena.ne.jp/shigeto2006/20170113#bookmark-315755345

パンツを盗んだサル

承前*1

「やはり!「パンツ大臣」高木毅(極悪の元敦賀市長・故高木孝一のドラ息子)は逮捕されていた!!」http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160121/1453396297 http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20170114/1484355093


下着泥棒疑惑が『週刊新潮』などによって報じられていた高木毅だが、「自民党福井県連会長の山本拓衆院議員」が「「女性宅に侵入し現行犯逮捕されていた」と述べた」のだと*2。逮捕容疑は家宅侵入であって窃盗(下着泥棒)ではなかったわけ? しかし、「侵入された女性」と「示談」が行われなければらなかったわけだから、やはり「示談」に値する何かしらの被害はでているわけだ。ところで、「自民党福井県連が暴露したのは、衆議院福井県の定数が削減されるため、山本拓に高木毅を追い落としたい意向があるものとみられる」という。今後、高木さんどうするのだろうか。植草一秀と組んで、漫才やる?

さて、今度は福井ではなく福岡。
朝日新聞』の記事;


コインランドリーで女性の下着盗んだ疑い 26歳男逮捕

大野択生

2017年1月13日19時39分

 コインランドリーで女性の下着を盗んだとして、福岡県警は13日、福岡市中央区の会社員の男(26)を窃盗の疑いで逮捕し、発表した。「女性下着が好きだった」と容疑を認めているという。

 同居の母親が、男の部屋から約400点の女性用下着を見つけて県警に提出。周辺のコインランドリーでは下着が盗まれる被害が相次いでおり、県警は関連を調べる。

 中央署によると、男は昨年12月13日午前1時半ごろ、福岡市中央区春吉2丁目のコインランドリー店で、同区に住む女性(26)の下着4点(計2万円相当)を乾燥機から盗んだ疑いがある。

 同店では昨年10月ごろから下着が盗まれる被害が頻発。被害を受け警察が設置した防犯カメラに、今回の下着を盗む男の姿が映っていた。

 1月2日、特徴の似た男が同店に現れ、張り込み中の捜査員が職務質問。男は関与を認め、自宅にあった数十枚の女性下着を任意で提出した。さらに翌日、母親が「息子の部屋にあった」と約400点の女性下着を署に提出し、その中に今回の下着があったという。(大野択生)
http://www.asahi.com/articles/ASK1F6CVLK1FTIPE02S.html

30年後は56歳か。将来が楽しみだね。これにめげずに頑張れば、国会議員、さらには「大臣」にもなれるよ。
タイトルは勿論、栗本慎一郎の本から*3
パンツをはいたサル―人間は、どういう生物か (カッパ・サイエンス)

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William Peter Blatty

Sian Cain “Exorcist author William Peter Blatty dies aged 89” https://www.theguardian.com/books/2017/jan/13/exorcist-author-william-peter-blatty-dies-aged-89
Matt Schudel “William Peter Blatty, author of ‘The Exorcist,’ dies at 89” https://www.washingtonpost.com/entertainment/books/william-peter-blatty-author-of-the-exorcist-dies-at-89/2017/01/13/729974bc-d9a1-11e6-9a36-1d296534b31e_story.html
“Exorcist writer William Peter Blatty dies aged 89” http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-38613928


現地時間1月12日、メリーランド州ベセスダ*1の病院で、小説『エクソシスト』で知られる作家のウィリアズム・ピーター・ブラッティ氏*2が多発性骨髄腫のため他界。享年89歳。
エクソシスト』の縁起について、『ワシントン・ポスト』の記事から引用しておく;


William Peter Blatty was a senior at Georgetown University in 1949 when he heard the extraordinary story that, more than two decades later, would change his life ― and scare the devil out of everyone else.

One of the priests at the university told him about a case from nearby Prince George’s County in which a 14-year-old boy seemed to be possessed by a demon. After months of solemn rites of exorcism by Catholic priests, the demon appeared to be expelled.

Mr. Blatty went on to sell vacuum cleaners, drive a beer truck and serve in the Air Force before becoming a comic novelist and a screenwriter in Hollywood. Years later, out of work and out of ideas, he sat down at a typewriter and, as if possessed himself, wrote “The Exorcist.”

Changing the central character to a 12-year-old girl living in Georgetown, he produced a dark theological thriller that became an international blockbuster when it was published in 1971. The 1973 film version, for which Mr. Blatty won an Academy Award for his screenplay, revolutionized the genre of horror movies and, thanks to head-spinning special effects and the acting of young Linda Blair, became a pop-culture phenomenon.

ところで、ブラッティが自ら脚本を書いている映画版の方は観たことがあるけれど、原作小説の『エクソシスト』は読んでいないのだった(汗)。また、そもそもブレイク・エドワーズ*3と組んで、(例えば)『暗闇でドッキリ』などのコメディ映画の台本を書いていたということも今知った。
エクソシスト [DVD]

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ところで、私と世代が近い人だと、この映画でexorcistとかexorcismとかexorcizeといった英単語を、臭ぇなとか言いながら憶えたという人は少なくないのでは?

『ならず者1号』を観た

ネタばれだったらごめんね。
ギャレス・エドワーズ監督のRogue One: A Star Wars Story*1を観てきた。TimeOut Shanghaiの記事だと、”Ocean's 11 with spaceship”と規定されていたのだが*2、実際は、それに〈座頭市〉も加えなければいけなかった。〈座頭市〉といったのは甄子丹*3演じるチアルート・イムウェで、たんに盲人という設定だけでなく、その所作や醸し出す雰囲気が〈座頭市〉そっくりだった。チアルート・イムウェは姜文*4演ずるベイズ・マルバスと或る意味で凸凹コンビをなしているのだが、相対的に出番は少ないものの、主役のジン・アーソ(フェリシリティ・ジョーンズ)とキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)のペアを食いかねない存在感。残念なのは、チアルート・イムウェ/ベイズ・マルバスにせよ、ジン・アーソ/キャシアン・アンドーにせよ、今後『スター・ウォーズ』或いは『星球大戦外伝』という枠組みの中で見ることは不可能だということである。『ローグ・ワン』の特異性は〈玉砕〉ということである。主要登場人物がみんな討ち死にしてしまうのだ。とはいっても、『スター・ウォーズ』的世界観においては霊的な存在として登場するという裏技はあるわけだけど。登場人物、或いは物語それ自体が『新たなる希望』(エピソード4)以降に『スター・ウォーズ』の物語が再生するための捨て石になったという感じだ。悪(帝国)側についていうと、ダース・ヴェイダーがとにかくかっこいい。「フォース」というのはやはり〈善悪の彼方(手前)〉なのだということを再認識させる。ダース・ヴェイダーのあまりの凄さに、他の帝国側の連中は悪としての存在感が翳んでしまった。ジンの母親を殺し、父親のゲイレン・アーソを拉致して、デス・スターの仕上げをさせるオーソン・クレニック(ベン・メンデルソーン)なんかは、ちょっと惜しかった。それから、最後にレイア・オーガナ姫が登場し、エピソード4の始まりを予感させつつ、物語は閉じられる。てっきり、若い頃のキャリー・フィッシャー*5をCGで再現したのかと思った。実はイングヴィルド・デイラという諾威人の女優*6

オーシャンズ11 特別版 [DVD]

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See also
「盲目の戦士【チアルート・イムウェ】がカッコよすぎると話題にーローグワンー」http://hikiyosesmith.hatenablog.com/entry/2016/12/20/160620
スターウォーズ8ローグワンを観た感想。座頭市大暴れ!?期待以上に面白いツ。[多少ネタバレ有]」http://tyoiniji.hateblo.jp/entry/rogue_one_starwars_review
「ローグ・ワンのタイトルの意味とそこに隠された秘密」http://www.eiganohimitsu.com/2610.html
スター・ウォーズ新作「ローグ・ワン」特報公開!新ヒロインは一匹狼」http://eiga.com/news/20160408/20/

*1:http://www.starwars.com/rogue-one/ See eg. https://en.wikipedia.org/wiki/Rogue_One https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%B3/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC 中国語のタイトルは『侠盗一号:星球大戦外伝』。

*2:January 2017, p.18

*3:See eg. https://en.wikipedia.org/wiki/Donnie_Yen https://zh.wikipedia.org/wiki/%E7%94%84%E5%AD%90%E4%B8%B9 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%A7%E3%83%B3 Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090201/1233467610 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100805/1280973793

*4:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060808/1155057802 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070618/1182147489 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070618/1182147489 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091027/1256611953 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110722/1311261927 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141120/1416410691

*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050720 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161116/1479307532 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161219/1482075667 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161224/1482544622 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161225/1482656805 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161228/1482889625 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161229/1483035378

*6:See 「ローグ・ワンに出てたレイア姫の女優って誰?」http://www.eiganohimitsu.com/3126.html

コピーとオリジナル

若松真平*1 「時空のゆがみ?『13まである時計』 設置した予備校「3つの説が…」」http://withnews.jp/article/f0170113002qq000000000000000W00o10101qq000014508A


西船橋*2にある「早稲田予備校西船橋校」の壁面に描かれたアナログ「時計」の話。数字が13まで描かれていて、長針は5、すなわち25分を指している。


早稲田予備校の広報担当者によると、「この『13時時計』は、普通の時計と違って動いていません。13まである理由については3つの説があります」とのことでした。その3つとは……

 (1)1日を24時間ではなく26時間勉強する意気込みで学んでほしいというメッセージ

 (2)13と5を指すことで「いざ合格」(135=イザゴウカク)というメッセージになる

 (3)小学校(6年)、中学校(3年)、高校(3年)を足して12。そこに浪人時代の1年を足して13になるため「13年目で合格」というメッセージになる

それはともかく、最後に「この13時時計、西船橋だけでなく、東京都の高田馬場にある東京本校の壁面にも設置されているそうです」と書かれている。実は、この記事を読みながら、もしかして高田馬場の「早稲田予備校」は既に存在せず、「早稲田予備校」は西船にしか存在しないのか! と思ったのだけど、まだ健在じゃん! 西船橋のはあくまでもコピーであって、高田馬場の方がオリジナルだよ。しかし、「東京本校の壁面に」って、コピーとオリジナルが逆転しているよ。ということで、この記事の意味(vouloir-dire=wanna-say)がわからなくなったのだ。Withnewsでもよく取り上げているオリジナルのソースよりも二次的・三次的なソースの方が大きな顔をしている〈キュレーション・サイト〉問題に対する皮肉なのだろうか。或いは、船橋市内における一応の交通の要衝でありながらこれといった名所もなくいまいちぱっとしない西船橋を盛り上げようという地域ステマなのだろうか。

「私は偽証した場合には罰金・懲役刑を受ける可能性があることを理解しております」

栗原潔「STAP細胞特許出願に急展開:バカンティ教授が宣誓供述書提出」http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20170108-00066366/


何故、みんなちゃんとチャールズ・ヴァカンティ*1と表記しないのだろうか。「バカンティ」なんて書いたら、いやんばかん……と歌い出してしまうではないか。


STAP細胞の米国国内特許出願に非最終拒絶が出ており(延長も加味した)応答期日が先日の1月6日であったことは既に書いています*2。その後、応答した記録がなかったのでてっきりそのまま放棄されるものかと思っていたのですが、なんと本当にぎりぎりの最終日に応答が行なわれていました。

応答ではクレームが3つに整理され、新規性・進歩性への対応が行なわれているのですが、特に注目すべきは、発明の実施可能性について発明者の一人であるチャールズ・バカンティ教授(久しぶりに名前を聞きました)が宣誓供述書(Affidavit)を提出しているという点です。他の発明者(マーチン・バカンティ教授、小島教授、小保方氏、若山教授、故笹井教授、大和教授)からの宣誓供述はありません。なお、この出願自体は、理研はもう関係なく、ハーバード大すらも関係なく、VCell Therapeutics Inc.という会社にすべての権利が移っているのですが、発明者としての責任は残っています。


大雑把に内容を書くと、以下のような感じです。

確かに私はNatureの論文取下げには合意したが他のほとんどの著者はSTAP細胞の概念は有効であると感じていた(栗原注:そうなんですか?)
一人の著者がデータに疑義があると述べただけなのにNatureの発表では「全員が疑義を持った」とされてしまった(栗原注:だったらなんでその時にコメントしなかったんでしょうか?)
Natureの論文取下げは内容の不備によるものであってSTAP細胞の存在自体を否定するものではない
STAP現象は(バカンティ教授による)独自の実験により再現できている

ヴァカンティ氏はたんにそういっているのではない。「宣誓供述書」は議会や裁判における証言と同様に、虚偽であれば刑事罰を蒙る。そのような「宣誓供述書」において、〈真実〉として、STAP現象が「再現できている」と書いているわけだ。
ヴァカンティの前でpost-truth*3なんて言ったら、一発で眠らされてしまうだろう。一応麻酔医なので。とはいっても、それは愛弟子の小保方晴子の場合でもそうなのだが、私たちは虚偽とは何かという問題に戸惑わざるを得ないだろう。虚偽を構成する要素は、たんに事実に反する言明ということだけでいいのか。主観的な要素、すなわち事実に反しているということを理解しつつ、敢えてそう言ってしまう、手短に言えば嘘をつくという要素も必要だということだろうか。しかし、嘘なのか悪意なき事実誤認*4なのかを言明それ自身から判定することはできないだろう。それを推定するためには、例えばポリグラフのデータを添付する必要があるのだろうか。その場合、逆に主観的には嘘だけど客観的には真実という言明だったらどうなるのだろうか、とか。

8時間目或いは18年目の蝉

“Stolen baby found alive in South Carolina 18 years on” http://www.bbc.com/news/world-us-canada-38614824


1998年7月に米国フロリダ州ジャクソンヴィルの大学病院から生後8時間目に病院のスタッフを装った女性によって誘拐された少女が18年後の1月13日、サウス・カロライナ州ウォルターボロ*1にて発見された。彼女は現在51歳になる誘拐の容疑者を実の母親だと思い込んでおり、(当然のことながら)生物学的な親のことは全く知らない。健康上は別に問題はないという。
角田光代の小説というか永作博美主演の映画のタイトル*2を捩っていえば、八日目ならぬ8時間目或いは18年目の蝉ということになるのだろうけど、記事からは実母と養母(誘拐犯)との関係、或いは誘拐の動機とかは全然わからない。

八日目の蝉 (中公文庫)

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八日目の蝉 通常版 [DVD]

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傾向と対策の社会学は?

「赤本」が赤丸急上昇?

「赤本を売りたい!と思って中古の買取情報を調べていたら日本の闇が見えた!赤本の処分方法まとめ」http://www.airdays.net/diary/2017/01/14/502/



「赤本」、つまり何ちゃら大学『傾向と対策』の古本が熱いという話。特に女子大学の「赤本」が高く取引されている。例えば、青山学院大学経営学部よりも青山学院女子短期大学の方が圧倒的に高い。著者は「なんとなく今回赤本の買取価格を調べてみて、日本の闇を見てしまったような気もしてならないです」という。ただ、「日本の闇」に具体的に懐中電灯を持って踏み込むということはしていない。
実は中古の「赤本」は買おうと思えば安く買える。著者もブックオフとか普通の古本屋とかでは安く買い叩かれると述べている。私も、中古の「赤本」に関して持っている鮮烈なイメージは、『傾向と対策』がいっぱいに並べられて赤く染まった古本屋の100円均一のワゴンなのだ*1。何故、amazon.co.jpとかネットでわざわざ高い「赤本」を買おうとするのか。


「女子大赤本の転売について転売ヤーの視点から伝えたい」http://self-reliance.hatenablog.jp/entry/2017/01/15/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E5%A4%A7%E8%B5%A4%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%A6%96%E7%82%B9%E3%81%8B%E3%82%89


こちらは最初に言及したエントリーに対する但し書きみたいなエントリー。全ての「女子大」が高いわけではない。また、「赤本」相場は変動が激しい、云々。
こちらも「赤本」を買う動機には言及がない。社会学の場合、社会的行為の動機の理解は不可欠である。(例えば)XX大学の「赤本」の相場はこういうふうに変容したよと示したとしても、その主観的・客観的な動機(文脈)に踏み込まない限り、考察は始まりもしないのでは?

さて、私も人並みに「赤本」を何冊か買い・読んだのだけど、用済みになってから、たしか後輩にあげてしまったのではないかと思う。

*1:これは消費税が導入される以前のイメージ。現在だと、108円か。