MとKの差?

承前*1

伊藤博*2「籠池「逮捕直前」最後の咆哮:安倍政権「凋落」ならば本望だ!」https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170801-00542601-fsight-pol&pos=4


森友学園」の籠池泰典の「逮捕」直前のインタヴュー記事。


「安倍(晋三首相)さんの正体が見えてきた。(自民党総裁の)3選はとても無理だし、あの人にやらせたら大変なことになる。私は逮捕されるが、そのことで国民が、安倍政権をますます見放すことになれば本望だ」

 7月上旬、大阪市内のホテルで行った2時間以上に及ぶインタビューの最後を、籠池泰典森友学園前理事長(64)は、こう締めくくった。実際、そうなった。

 高支持率を背景に、菅義偉官房長官らによる危機管理能力も高く、磐石に思えた安倍政権が、都議選大敗と支持率の急落に揺さぶられている。このままでは、大願の憲法改正どころか前提となる3選も危うい。

 そのきっかけを作った籠池前理事長だったが、大阪地検特捜部は7月27日の1回目に続いて7月31日、2回目の任意聴取を行い、そのまま籠池前理事長と妻の諄子(じゅんこ)容疑者(60)夫妻を逮捕した。容疑は、国や大阪府補助金を不正受給したという詐欺の疑い。今後は、森友学園に対して国有地を8億円あまりも安く払い下げた財務官僚らの捜査も控えており、「忖度させたのは誰か」を含め、安倍政権も無傷ではいられない。

記事では、「生長の家」信者だった籠池の父の影響、「教育勅語」との出会い、安倍晋三に期待して・裏切られた経緯などが語られている。
ここでメモしておきたいのはそういった籠池の語り(見解)ではなく、伊藤氏の見解。「森友学園」と「加計学園」の待遇の差。「森友」と「加計」の違いは、たんに汁があるかどうかということではないようだ。

籠池は葬り、加計は助ける――。その違いが、安倍政権と安倍首相個人との手前勝手な「距離感」「都合」でしかないことに国民は気付いている。

 加計孝太郎氏は一切、口を閉ざしているが、文科省官僚を次々と学園に迎え入れ、下村博文文科相のもとに学園秘書室長が日常的に出入りして献金をあっせんし、萩生田光一官房副長官客員教授に迎え入れ、安倍首相とは食事とゴルフを頻繁に行う仲であることも、すでに国民には周知である。

 まさに「政商」と言っていい存在で、検察が「政界と政治家を監視する」という本来の機能を発揮すれば、森友学園同様、加計学園疑惑も捜査しなければならなかった。今治市に建設中の新設獣医学部の校舎建設坪単価は、通常の大学病院の倍近い約150万円。逢沢一郎代議士のファミリー企業が受注したことと合わせ、ツッコミどころ満載。建設費の半分が補助金であることを考えれば、補助金詐取を疑うこともできよう。

 だが、検察は捜査しない。それも「官邸の力」であり、法務・検察官僚の忖度であることに、国民は薄々気が付いている。支持率低下は、国民を舐めきった国会運営を含めた安倍「一強」政権への大ブーイングである。

 

改正の可能性

박세회「同性愛を処罰する軍刑法、韓国政府が改定を検討」http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/04/korea-minority_n_17673930.html


「韓国政府は、「合意による同性愛」まで処罰するようになっている軍刑法*1の改正の必要性を検討するとの立場を明かした」。あくまでも「改正の必要性を検討する」という団体。新しい文在寅政権になってからも、有罪判決が出され、同性愛行為を行った軍人が処罰されている。
さて、女性自衛官下士官)が自衛隊隊舎の自室で出産し、新生児を放置し死に至らしめたということで警察に逮捕されたという事件があった*2。警察に逮捕されたということで、自衛隊武装組織ではあっても〈軍〉ではないんだなと思った。改憲策動というのは強いが、改憲によって自衛隊が〈軍〉になったら、彼女は警察に逮捕され、送検され、裁判所で裁かれるというコースを辿るのではなく、憲兵隊に逮捕され、軍法会議で裁かれるということになるのだろう。適応される法律も一般社会の刑法ではなく、(韓国のような)「軍刑法」ということになるのだろう。そして、一般の刑法とのずれが指摘されても、政府は(韓国政府が行ったように)「軍という共同生活の特殊性を勘案し」て正当化を図ることになるのだろう。

*1:See also 허완「同性愛者の軍人を探し出すため、韓国陸軍が特別捜査 NGOが暴露」http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/21/korea_n_16139136.html Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170503/1493833690

*2:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170802/1501694179

ジャズと寿司

7月に行った築地場外市場の寿司屋*1は店の中でジャズを流していた。寿司屋とジャズとの相性はいいと一般に認識されているのだろうか。堀江敏幸*2の『なずな』という小説にも「蛇寿司」と書いて「「へびずし」ではなく、Jazzushiと読」み、「営業中はずっとジャズを流している」回転寿司屋が登場しているのだった(pp.72-73)。料理と音楽ということだと、以前坂本龍一が中華料理屋のボサ・ノヴァは許せないと言っていたのだった*3

なずな (集英社文庫)

なずな (集英社文庫)

「書くこと」/「メモすること」

若松英輔*1「亡き者からの促し」『図書』(岩波書店)822、pp.56-59


『『こころ』論――語られざる「遺書」』という夏目漱石の『こころ』*2を巡る連載の一部。


書くこととメモすることは、外見上は似た営みであっても内実はまったく異なっている。メモをするとき、何を記すかはすでに決まっているが、書くことにおいて人は、単に考えていたことを言葉にするだけではない。むしろ、書くことによって自分が何を考え、感じていたのかを知る。「書く」とは自らの内面にある未知なるものと出会おうとする試みである、とも言える。
遺書には、書くことに戸惑う「先生」の姿がはっきりと刻まれている。自らの意思*3でペンを握ってはいるが、「先生」は自分が何を書くのかを厳密には知らない。遺書を書く決意は定まっていても、自分のこころが何を感じているのかを彼は十分に認識できていない。
出さなかった手紙を書いた経験は誰にもあるだろう。もし、手紙がメモのように考えたものを文字にするだけなら、出せないという現象は起こらない。手紙を書くことは、しばしば書き手の思いを超えた行為になる。予想と異なる言葉を書く手を止めることもできるはずなのだが、それも自由にならず、最後まで書き切ったうえで、投函しないまま机に仕舞い込む。それが手紙の現場だ。(後略)(p.57)
こころ (新潮文庫)

こころ (新潮文庫)

Orphan Pamuk The Naive and the Sentimental Novelist(translated by Nazim Dikbas)*4に曰く、

(…) in the process of writing, we suddenly have new ideas about the deeper reaches and meaning of our book, about what it will imply when it is finished. Then we review and reconsider what we have already written, in the right of this new center.(...) (p.175)
The Naive and the Sentimental Novelist: Understanding What Happens When We Write and Read Novels

The Naive and the Sentimental Novelist: Understanding What Happens When We Write and Read Novels

何時知った?

承前*1

戦後史入門 (河出文庫)

戦後史入門 (河出文庫)

成田龍一『戦後史入門』に曰く、


いままでの歴史の語り方は、すべてを日本人という「われわれ」のなかに閉じ込めてしまっています。つまり、歴史を窮屈に語ってきたのではないでしょうか。
私たちが学んできた歴史は、中心・中央の「われわれ」の戦後史であって、周縁の・他者の戦後史ということを考えたときに、その狭さが見えてくるということになります。「かれら」他者の歴史を考えることによって、歴史はもっともっと複雑で、もっともっと多様なものであるということがわかるでしょう。(p.164)
勿論、これは「戦後史」だけでなく、「通史」においても言えるわけだ。
さて、


斎藤美奈子*2サルでもわかるアイヌ文化」の入門書を探してみた」『ちくま』556、pp.20-23


曰く、


(前略)釧路市内の博物館でふと目に入った年表に、私は釘付けになったのだった。
学校で習う日本史の区分は、おおむねこんな感じである。
縄文時代弥生時代古墳時代飛鳥時代奈良時代平安時代鎌倉時代室町時代安土桃山時代→江戸時代→明治時代*3
だが、北海道の歴史は弥生時代以降がまるでちがう。時代区分をざっと列挙してみよう(カッコ内はいわゆる日本史)。
縄文時代縄文時代)→続縄文時代弥生時代古墳時代飛鳥時代)→擦文時代(奈良時代平安時代)→アイヌ文化時代(鎌倉時代室町時代安土桃山時代・江戸時代)→明治時代。
縄文には「続」があった! 「弥生」ではなく「擦文」があった? そんなの聞いてねえぞ、である(それとも私以外の人にはこんなの常識なのだろうか)。ともあれ、私たちが「日本史」として習った歴史は「本州・四国・九州の歴史」にすぎず、北海道の歴史は別物だったのだ(ついでにいえば沖縄の歴史もちがう)。知らず知らずのうちに刷り込まれていた単一民族史観、ないし大和朝廷史観。われながら、これは少々問題でないか?(p.20)
私は勿論「続縄文時代」という言葉も「擦文時代」という言葉も知っている*4。自慢するわけじゃないけど。しかし、何時頃知ったのかは憶えていない。大人になってからということはたしかなのだけど。大学入試で社会科は日本史を選択していたのだけど、「続縄文」とか「擦文」といった用語を暗記したという記憶はない。高校のときに使用していた日本史の教科書は三省堂家永三郎『新日本史』、つまり当時としてはいちばん左がかった教科書だったわけだけど、そこでも「続縄文」とか「擦文」といった用語を見た記憶はない。また当時は、受験生は山川出版社の日本史教科書を併読することも常道だったけれど、そこにもなかったんじゃないか。皆様方は何時頃「続縄文」とか「擦文」といった用語を知ったのだろうか。採用すると右翼やウヨから脅迫されるという学び舎の『ともに学ぶ人間の歴史』という中学校歴史教科書*5には記載されているのだろうか。

Untitled

2016年2月7日。

Storm troopers*1 @Uniqlo(淮海中路/茂名南路)。

淮海中路・茂名南路の交差点*2

「野生救援(WildAid)」*3の広告。「犀の角の成分はあなたの爪と同じ」(李冰冰*4 )。地下鉄・陝西南路駅*5


天鑰橋路。

天鑰橋路・斜土路の交差点*6

*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170130/1485788100

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161108/1478582678

*3:http://www.wildaid.org/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150529/1432921161

*4:http://www.libingbing.net/ Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110806/1312604655 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150227/1425060549

*5:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20051230/1135913094 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060309/1141925761 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080918/1221707711 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130304/1362408394 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130505/1367679876 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150720/1437357993 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170309/1489072365

*6:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140922/1411397146 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140926/1411699356 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150224/1424748813 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150417/1429196644 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160726/1469489315 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160912/1473651025 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160913/1473733322 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160921/1474424003 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161016/1476624251 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161105/1478368914 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161123/1479912264 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161229/1483031021 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170220/1487522213 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170221/1487700640 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170227/1488212009 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170314/1489517202 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170318/1489801876 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170324/1490378551 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170401/1491068281 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170405/1491319354 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170411/1491888252 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170428/1493358856 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170501/1493658799 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170604/1496604035

徐家匯駅

2016年3月5日。

地下鉄・徐家匯駅*1

辛耕路

2016年3月4日。

辛耕路*1