Living, Loving, Thinking

2018-07-15

「観客」と「サポーター」

フーリガンの社会学 (文庫クセジュ)

フーリガンの社会学 (文庫クセジュ)

ドミニック・ボダン『フーリガン社会学』(陣野俊史、相田淑子訳)*1から。

サッカーの(普通の)「観客」と「サポーター」の区別を巡って。

(前略)観客は「なんとなく試合を見物するだけ」の人間であり、サポーターとは「自分こそがそのチームの本物の支持者」と考える人間たちだ(ミニョン、一九九三年*2、七三頁)。付け加えておくべき区別があるとすればこんなところか。観客は、二チーム間の試合を愉しむことができて、ファインプレイを励ましたり賞賛したりする。ただそれでも自分のクラブが勝つのがみたいと思っている。一方、サポーターは、独特のやり方で応援する、排他的なチームの支持者だと自己認識している。不公平で無条件に支持し、野次や怒号を浴びせて昂じる狂信的排他主義に染まっている。しかしそれに過剰に意味を付け加えるべきではない。それはおそらく「大騒ぎしながらアイデンティティー肯定すること」であり、「感情の高まりの必要条件」である。サポーター現象は、まず「役割への距離」(ゴッフマン、一九五六年)*3否認することだ。「サッカーの試合に行くことは、一般的にいえば、映画館に行くような予定された消費行動とは違う。劇場や絵画展のように瞑想に耽ったりもしない。テレビを見ているときのようなぼんやりとした消費行動でもない。テニスやゴルフのようなフェアプレイを前提に観る、競技でもない。おそらくこの四つのやり方でサッカーの試合を観ることは可能だが、サポーター行動とは呼べない」(エランベール『成績信仰*4、五三頁)。サポーターは感情をうちに秘めない、大騒ぎや幸福感、騒々しく下品振る舞ううちに共有してしまう不平不満、そんななかに感情が表現されている。しかし、スタジアムは感情を爆発させても許される最後の社会空間だとは簡単には言えないだろう。現代の、安全と予防を重視した社会では、おそらくスタンドは、「ロクでもない連中と付き合い」、卑猥な身振りや言葉を撒き散らし、生きる喜びと存在することの不安、明日の不安を生々しく感じる最後の場所なのである。(後略)(pp.85-86)

著者の調査によると、「観客」に25歳以下の人間が占める割合は39.9%なのに対して、「サポーター」では64.1%である;

(前略)サポーターであるということは、人生のある時期と関連している。青年期を終えたばかりの、大人の生活への移行期間である。個人としての自立と、社会的なアイデン店ティティーを確立する時期に、若者たち友達や恋人スタジアムにやってきて、両親の制限や制約を離れて初めて、人生の入口に立った自分を意識するのだ。よくあることだが、こうした感情は父親から受け継ぐものである。父親はまだほんの小さな息子をサッカー・スクールに登録したのち、スタジアムに連れてゆく。そこで情熱を磨きあげ、「男同士」の時間を共有するのである。青年期になれば、最も情熱的な若者は父親のもとを離れ、別の情熱を抱えて生きる。仲間とつるむのだ。(後略)(pp.87-88)

女性の参加は徐々に増えてきているとはいえ、サッカーが(プレイヤーにせよ「サポーター」にせよ)基本的にはホモソーシャル*5な男性文化であること。

(前略)イングランドフランスをはじめとして、どの国の連盟の責任者たちもサッカー場に女性客を増やそうとしている。女性客が増えれば、サッカーの試合を家族の愉しみにすることができる。女性客の増加は、「見世物としてのスポーツの、よりブルジョワ的起源」(ブロンベルジェ『サッカーの試合』*6、一九九五年、二一八頁)に、再び繋がることを意味する。たがそれだけではない。他意のない明確な方策でもあるのだ。女性の増えた群衆暴力的な側面を減らすことができる。妻や女友達の前では、男性たちは行儀よくなり、いっそうの自制を見せるようになるからだ。(p.89)

事実婚

デイリースポーツ』の記事:

はあちゅう、しみけんとの結婚を報告「お付き合いして4年、事実婚の手続きを取りました」

2018年7月15日 12時30分 デイリースポーツ


 ブロガーで作家のはあちゅう*7が15日、自身のツイッターを更新し、AV男優のしみけんと結婚したことを報告した。

 ツーショット写真とともに「結婚しました。(事実婚です)先月、お付き合いして4年になるAV男優のしみけんさんと事実婚の手続きを取りました。いつも応援してくださっている皆様にもご報告させて頂きます。今後ともよろしくお願いします。」と記した*8

 さらに事実婚については、「『事実婚って手続きあるの?』って結構聞かれるので書いておきますね。区役所で職員さんがお互いの本籍地に電話して、独身であるかどうかを確認し、確認後、住民票の続柄に妻(未届)という記載をつけてくれました&保険証の世帯主氏名に彼の名前が入りました。証明書とかは特にないみたいです」と説明した。

 はあちゅうは、慶大から電通入社し、現在はフリーで活動。「半径5メートルの野望」、「自分の強みをつくる」などの著書があり、過去には日本テレビ系「スッキリ!!」でコメンテーターを務めていた。

http://news.livedoor.com/article/detail/15015144/

See also

J-CASTニュースはあちゅう、「妻(未届)」になる 事実婚して仕組みも解説」http://news.livedoor.com/article/detail/15015481/

日暮里」に行けないわけはない

春山有子「「手コキで許してもらった」「キスをされ暴行された」 ここ数年で起こったタクシーの怖い話http://tablo.jp/case/news003116.html


菊池桃子がタクシー運転手にストーカーされていた事件を承けての4月の記事*9。春山さん自身を含む3人の女性の「タクシー」で怖い目に遭った話が言及されている。また、「ここ数年でのタクシー運転手による強制わいせつ等事件」;

◎2016年3月、車内で眠っていた女性客を、わいせつ行為をしようとし目的地とは違う山中に連れていった岡山県の男(44)が監禁や準強制わいせつで逮捕される。

◎2017年4月、女性が乗車すると運転席のシートを倒し、女性の脚を触りながら片手運転。その間、停車させて女性の足を数分舐め、「また乗ってくれたら料金サービスする」といい連絡先を渡した宮城県の男(30代)が、監禁と強制わいせつで逮捕される。

◎2016年6月、停車中の車内で後部座席の女性客にわいせつな行為をしようとしていたところを、警戒中の警察官が発見、大阪府の男(31)が現行犯逮捕される。のちに男のDNA型が、8年前と9年前に起きた強姦事件の遺留物と一致した。

◎2017年11月、「手相を見てあげる」など言い、女性客の手を掴み引き寄せ、キスや体を触るなどのわいせつ行為をしたとして、静岡県の男(53)が逮捕される。

◎2018年2月、酒に寄った女性客を乗せたままラブホテルに連れ込み、抵抗できない状態の女性に暴行したとして、京都府の男(44)が準強制性交の疑いで逮捕される。

ところで、春山さんは自らが遭遇した「青白い顔の、伊集院光を理系っぽくしたような運転手」について、「上京数時間後にタクシー運転手になったため本当に日暮里を知らなかったのかもしれません」という可能性を示唆しているけれど、「上京数時間後」というのはさすがにありえない。タクシー・ドライヴァーになるには、先ず二種免許を取得せねばならず、「上京数時間後」に二種免に合格するというのは不可能(Cf梁石日タクシードライバー日誌』*10)。また、仮令知らなくとも、今、どんなタクシーにもカーナビが搭載されている筈。また、スマートフォンタブレットのナヴィゲーション・アプリを使えばいいという話になる。カーナビは、タクシー運転手特有のスキルを解体してしまったという側面があるけど、住所とかを入力すれば誰でも道順がわかってしまうので、ストーカー被害者の恐怖は増すわけだ。

タクシードライバー日誌 (ちくま文庫)

タクシードライバー日誌 (ちくま文庫)

宅間に抗い

finalvent*11死刑をなくすということ」http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2018/07/post-6fec.html


finalvent氏が「死刑廃止論者」であることを知る。

私が死刑廃止論者になったのは、21世紀に入ってからである。というのも、2001年の附属池田小事件*12がきっかけだったからだ。この事件で無防備な小学生8人を殺害した宅間守*13に彼の望みである死刑を与えてはいけないと思った。この人間を自然に命尽きるまで生かせて、その口から自らの意思で悔恨の言葉を公にするのを聞きたい、そして、その命が尽きるまでその罪に苦しんでほしいと思ったからだ。

この動機というのは十分に共感可能だ。また、「死刑廃止論」を安易に「リベラル思想」に結びつけるなということも。亀井静香氏は「リベラル」からは遠い人だろうけど、一貫した「死刑廃止論者」である*14。また、平安時代も数百年間に亙って「死刑」が存在しなかった。「死刑」が復活したのも、押し詰まった保元の乱の始末において。

私が死刑制度に反対する理由はhttp://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060127/1138329871で考えたことがある。

*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180626/1530034510 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180701/1530473298

*2:Mignon, P. La societe du samedi: supporters ultras et hooligants. Etude cpmparee de la Grande-Bretagne et de la France

*3:巻末の文献目録にはない。1956年のゴフマンの著作というと、The Presentation of Self in Everyday Life。ただ、この本は1959年に改訂版が出ており、一般に参照されるのは1959年の改訂版の方であり、日本語版もこちらの方を底本にしている。 なお、ゴフマンにおける「役割への距離」に関して、一般に参照されるテクストは『出会い』(1961)所収の「役割距離」。

The Presentation of Self in Everyday Life

The Presentation of Self in Everyday Life

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)

出会い―相互行為の社会学 (ゴッフマンの社会学 2)

出会い―相互行為の社会学 (ゴッフマンの社会学 2)

*4:Ehrenberg, A. La culte de la performance

*5:See eg.http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060305/1141591716 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061012/1160664502 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080430/1209520910 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090702/1246541132 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090716/1247682636 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091124/1259062337 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110711/1310400277 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150512/1431444219 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160310/1457624745 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160423/1461397446 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160730/1469838677 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161115/1479241450 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171114/1510685554 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171121/1511240378 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180217/1518868359 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180320/1521518896 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180412/1523502822 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180517/1526522149

*6:Bromberger, C. Le match de football: ethnologie d'une passion partisane a Marseille, Naples, et Turin

*7https://lineblog.me/ha_chu/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150424/1429891088 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171117/1510885925 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180312/1520823136 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180628/1530150747 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180702/1530508826

*8https://twitter.com/ha_chu/status/1018327287320608768

*9:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180406/1523029045 この男はその後も菊池へのストーカーを続け、6月に再逮捕されている。See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180625/1529886956

*10:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131024/1382624831

*11:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060206/1139201519 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060225/1140836763 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061009/1160366520 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061013/1160761446 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070602/1180721182 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070819/1187536541 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080607/1212815124 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100925/1285447119 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101123/1290447049 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101215/1292353461

*12:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150128/1422414486

*13:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050717 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060122/1137952844

*14:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120520/1337485527 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20171008/1507428500