クリストファー・リーブ、亡くなる

クリストファー・リーブも亡くなりました。心不全と報じられています。52歳。早いなあ……。
今回、事故で全身麻痺になった後の映像をはじめて見ましたが、奇跡的ともいわれる回復を遂げたとはいえ、やはり映画の中のスーパーマンのイメージからすればあまりに痛々しい様子でした。後遺症か薬の副作用か、眉毛や頭髪がなかったせいも大きいでしょう。でも、相変わらずハンサムでした。


以下、id:finalventさんの日記経由で発見したページをご紹介します。


「スーパーマン」のクリストファー・リーブさん死去 短くまとまった訃報。


クリストファー・リーブの1996年民主党大会におけるスピーチ 受傷後一年二ヶ月の時、民主党全国大会の壇上にあって、人口呼吸器を搭載した車椅子から、自らの言葉で、アメリカのあるべき福祉政策、障害者政策、脊損者の医療的救済について、根本的な問題提起を行いました。

スピーチの冒頭を引用します。

皆さん、大変ありがとうございます。ここでお話し出来る機会を頂き、大変ありがとうございます。ここ2〜3年「家族の価値」について多くのことが語られてきました。私は事故にあって受傷して以来、私達は全て家族であり、全て等しく価値を持っているということに深く思い至るようになりました。もし、そうだとすれば、即ちアメリカが実際、一つの家族であるとするならば、私達はこの家族の多くの成員が傷ついていることを知らなければなりません。5人に1人が何らかの障害を負っているのです。皆さんの伯母さんがパーキンソン病かもしれません。あるいは隣人は脊髄損傷者かもしれません。兄弟にエイズ患者がいるかもしれません。もし「我々は皆家族」という立場に立つとすれば、私達はこのような事態に対して何かを為していかねばなりません。

まず、第一に申し上げたいことは、我が国はいかなる種類の差別も許していないということであります。それ故に「障害を持つアメリカ人の法(Americans with Disabilities Act、ADA)」が極めて重要なのであります。この法はいかなるところにおいても尊重されねばなりません。これは建造物だけでなく、人々の心の中の障壁をも取り壊す「公民権法(Civil Rights Law)」なのであります。

その目的は、障害者が自由に建物に出入り出来るだけでなく、社会のあらゆる機会に参加出来るようにすることにあります。今、私は、我々の国が、障害者の自立生活を支え、その介護にあたる人々に全面的なサポートを与えるにちがいないと強く確信しております。勿論、国家予算のバランスは考えねばなりません。そして私達は使う1ドル1ドルを大切にしなければなりません。しかし私達は同時に、私達の家族のケアを引き受けねばなりません。人々が必要とするプログラムを切り捨てるわけにはいかないのです。

冒頭のみ引用しましたが、これはぜひ全文を読んでください。力づけられます。


クリストファー・リーブは、スーパーマンの撮影が始まった最初の頃はそれほど筋肉がなかったので、当初は肉襦袢のようなものを中に着込んで演じていたそうです(たしか、そのように「メイキング・オブ・スーパーマン」のインタビューで本人が語っていました)。
それが次第に筋肉もついて(筋肉をつけて)、肉襦袢を必要としなくなった。

そして、落馬による脊髄損傷という痛ましい事故の後、彼はさらに大きな成長と活躍を見せてくれました。上に引用したスピーチもそうですし、またクリストファー・リーブ財団を設立したこともそうです(その後アメリカ麻痺協会と合併してクリストファー・リーブ麻痺財団に。日本語での概要)。


クリストファー・リーブは単なる「スーパーマンを演じた人」という域を超えて、亡くなった今でも、私にとってのヒーローです。


追記:『車椅子のヒーロー―あの名俳優クリストファー・リーブが綴る「障害」との闘い』という本がありました。