「子どもと一緒に知る 『がん』になるってどんなこと?」
林和彦著 セブン&アイ出版 2017年
がんの数字
2人に1人が「がん」にかかります
1 死ぬ原因の1位は、「がん」です
20 「がん」が1cmの大きさになるまで、10〜20年かかります
90 早期発見された「がん」が治る確率は。90%以上です
60 「がん」治療後の5年生存率は、約60%です
75 病院で死ぬ人の割合は、75%です
はじめに
大切な人が「がん」になったら
「お母さんが、突然乳がんになった」
「お父さんは、働きながらがんとたたかっている」
「おばあちゃんのがんは、もう治らない」
家族みんなで今すぐはじめよう! がんを予防するために、できること
なぜ今「がん教育」が必要なのか
おわりに
林さんのお父さんは町の歯科医だったが、林さんが中学生のときに胃がんで亡くなった。
林さんは医者になり、がんの専門医になる。
食道がんの外科医として手術や内視鏡治療の腕を磨く。
ある日「神の手」をもって完璧な手術をしても治らないがんの人がたくさんいることに気づき、他の治療法も学ぶためにアメリカに留学、化学療法やがん関連遺伝子について学ぶ。
帰国後、東京女子医大に戻り、抗がん剤治療や緩和ケアに専念。
現在は東京女子医大がんセンター長。
今や、「がん=死」という時代ではなく、がんを抱えながら長く生きる時代。
数年前から学校における「がん教育」に取り組む。
がん教育を通して、子供たちにいのちの大切さや、自分だけでなく他人も大切にする気持ちを育みたい。
小学校から高校までたくさんの学校で教える。
通信制の大学で教育学を学び、特別支援学校自立教科教諭1種免許状と中学校・高等学校保健教科教諭1種免許状を取得された。
林さんが言われるのは、病院のスタッフがチームを組んでがんの患者さんたちを支えるが、その力よりも、家族や仲間の支えの方が大きい。
がん教育の授業の中で「みんなの笑顔や声かけが、がん治療の大きな力になる」ということを話すと、子供たちの目の輝きが俄然違ってくる。
そして「がんは死んでしまう病気ではないことがわかった」「いのちを大切にしようと思った」「がんとたたかっている身近な人がいたら、その人を支えられる人になりたいと思う」という感想を寄せるようになる。
「がんはやっぱりこわいです。たばこを吸ったり、お酒を飲んだりせず、食事のバランスにも気をつけて、運動もする。がんにならないようにしたいです。」
教育の目的は「自立」、自分で考えて行動できるようになること。
覚えても考えないとあかんもんね。
これはよくわかる本であった。