帰ってきたスナブログとエヴァ論争

昨年の秋口に仕事が怒濤の修羅場に突入して以来、ブログのことなど気にかける余裕もないまま年を越した。

トップ絵を秋バージョンに描き替える間もなく季節は冬へと移り、もうめんどくさいから冬バージョンも作らなくていいかな〜と思い始めた今日このごろ。

当然この3ヵ月の間には色んなコトがあったわけで、政権が変わったり、北のロケットが不意打ち発射されたり、スギちゃんが流行語大賞を穫ったり、満を持して公開されたヱヴァQがアレな感じだったり、中二病の最終回もアレな感じだったり、ペヤングイカスミ焼きそば』(!?)が発売されたり、弟氏が漢の35年ローンで立派なマンションを購入したり、懸念してた通り隣の空き地で工事が始まってしまったり、ほうっておいた虫歯がとうとう痛みだしてしまったりと、日記に書けるようなことはたくさんあった。

…いや、どうせ時間があってもそんなに書いてないだろうけど。

とりあえずこの沈黙期間中、特に気になってたコトを書き留めておこうと思い、久々にマウスを取ったわけです。


やはり昨年暮れの注目事項といえば、ペヤング……ではなく、
『ヱヴァQアレな感じ事件』でしょう。

もうすでにネット上は考察やら推測やら酷評やらで溢れかえってる状態なんで、今更それに参加したいわけではないけれど、まるで15年前をなぞるかのような議論闘争を見ていると、なんだか微笑ましく思えてくる。

喧々諤々やればやるほど、庵野くん達の思うツボだというのに。

スナブロ的には本編の感想などは置いといて、音楽(劇伴)という視点からこの作品を批判したいと思います。(結局批判するんかい)

いや、鷺巣先生のサントラがショボかったって訳じゃないです。
むしろ前作よりパワーアップし過ぎてしまったくらいで、逆に“やり過ぎちゃったな〜”っていうのが率直な感想。

苦しい繁忙期に耐えたあかつきには、お正月ゆっくりと『ヱヴァQ』の音楽を堪能しようと楽しみにしてたもので、若干期待を裏切られたのはショックだったわけです。


思えばこれまでの新劇場版のサントラは、映画の体裁そのものをなぞるかのごとく進化してきたように感じる。

過去作のリメイクである『序』では、TV版の劇伴をちょっぴり格好良くアレンジするかたちになっていたし、新要素満載でリメイクの域を脱してしまった『破』に至っては、カッコ良い新曲もたくさん登場し、詩郎さんイイ仕事するな〜って唸ったものですよ。
特に冒頭の仮設5号機の戦闘シーンでかかる曲やクライマックス部のテーマ曲である「The Final Decision We All Must Take」など、
なんと言うかエヴァサウンドが正当進化したような、非常にゴージャスな仕上がりに感動したわけです。
自分が作った映画にこんな豪華な劇伴が付けられるなんて、庵野くんは幸せ者だよな〜って、本当に羨ましく思った。

前作のサントラはそれくらい良い出来だったと思うわけ。

そういう意味では今回の『Q』の劇伴も順当に進化し、よりゴージャスなサウンドになってると思うけど、前作とはまったく異なる印象を受けるんです。
個人的には。
なんと言うか、派手さばかりが増して、ハリウッドっぽいノリ?になっちゃったと言うか。
前作から3年経って、明らかに音楽の質が変わってしまったと感じるわけです。
ライナーノートにもハリウッド御用達のスタジオでどうこうって書いてあった気がするけど、そのあたりが影響してるんでしょうか。

特にクライマックスを盛り上げる劇伴とか、なんか非常にエヴァっぽくない曲が今回は多いと思う。
序盤で使徒っぽいものが現れる時にかかる「Gods Message」とか連弾の曲とか、エヴァらしくてイイと思うわけだけど。

今回やたらと歌唱が増えて、全体的にオペラ調になってきてるのも、個人的に抵抗を感じる部分なのかもしれない。
次回予告でおなじみのあの曲にまでオペラ調の歌を付けたバージョンがボーナストラックで入ってるけど、なんかもうギャグにしか聴こえない(笑)


あと『破』の時から気になってたけど、自分が監督した他の作品の楽曲を混ぜるのはやめていただきたい。

今回はミサトさんの戦艦がグワーッと登場するシーンで「ナディア」の曲がかかるわけだけど、あの曲はやっぱり『Nノーチラス』のものですよ。
せっかく映画の目玉となる新メカが初お目見えするシーンなのに、「あれー?なんか聴いたコトある曲だな〜」って頭をよぎるだけで、なんかシーン全体に“既視感”みたいなものが漂っちゃうんですよ。

そう思いませんか?庵野さん?
…ボクだけかな〜…。

劇伴と言えど、やっぱり違う作品のテイストが混ざっちゃうのは、違和感あるんじゃないかと感じますよ〜。


あとトドメは宇多田ヒカル桜流しね。

なんとも無味乾燥な曲だよねーコレ。
メロディーも歌詞もまったく心にひっかからないというか…。

劇場からの帰り道で、「あれ?そういえばヒッキーのエンディングどんな曲だったっけ?」ってホントに思い出せなかったから。
良くも悪くも今回の『ヱヴァQ』を体現しているかのように聞こえるのはボクだけでしょうか。


そういったわけで、何回聴いたか分からないくらいの『破』のサントラと比べてしまうと、『Q』のサントラはボクにとって、ちょっぴり残念な結果となりました。
映画本編の内容と同じく、本当の良さを理解するには時間を要するってことかもしれませんがね。


みんなが次作の本編において、最高のカタルシスを得る結末を期待するように、次作の劇伴こそ最上級のエヴァサウンドであってほしいとボクは願うばかりです。

鷺巣先生、ほどほどにがんばってください。


…と、いろいろ文句を言いつつも、ちゃんとリンクを貼ってあげる鷺巣信者のボクだった。

Shiro SAGISU Music from“EVANGELION 3.0

Shiro SAGISU Music from“EVANGELION 3.0"YOU CAN(NOT)REDO.