造語「逆権力」「逆権力問題」

上位者の言うことをノータイムで聞く下位者という権力関係にある二者を想像してみよう。安定的な秩序の形成という観点からは権力関係による秩序の維持は望ましくないと上位者が考える時、上位者は下位者に合意による秩序形成を呼びかけるだろう。しかし、そのような呼びかけすら権力作用として捉えられるほどに、下位者が権力に対して従順であり立場を内面化してしまっている場合、このような上位者の試みは徒労に終わることになるし、不安定な秩序状態が続いていくことになりかねない。

このように、上位者が権力関係的に上位であるにもかかわらず権力関係を覆せずに、逆に関係によって拘束されてしまう状態を「逆権力」と呼び、どのように克服すればよいかという社会学的課題を「逆権力問題」と呼ぶことにする。