マルチ商法に関する俺の体験談を書く

俺ね、5年以内に起業して年収1000万超えるから。」を見て似たような話を思い出したので、体験談を書く。

直接勧誘されたのは当時社会人一年目の弟で、気づいた時には完全に重症だった。被害者は勧誘された本人とその家族だよねという、とある片田舎で起こった本当の話。
登場人物は東京にいる俺と実家に住む両親。同じく実家に住む、世間知らずで素直すぎる弟。一応兄弟共に大卒。


300万の外車を新車で購入

今を去ること数年前、ある年の大晦日。久しぶりに実家に戻ると見慣れない外車が置いてあった。オープンカーでツーシーターの外車・・・!黄色い外装とゾロ目のナンバーがまぶしい。
母親に聞くと、一週間前の12月24日に突然ディーラーから届いたらしい。弟がマルチ商法に参加し、クリスマスプレゼントとして自分に買ったんだそうだ。ビックリした母親は俺に相談しようと思ったが、心配かけたくないのとうまく整理できなかったので言えなかったとの事。泣いて謝っていた。よほど悩んでいたようで、なだめつつ家に入る。

とりあえず自室にいた弟を呼んで問い詰めてみたが、「別に」と反抗的な態度だったので一発殴る。


リビングで話を聞く

家の空気が重い。リビングに家族全員集め、弟から話を聞いてみる。

  • マルチで30万の浄水器を買い
  • 夢を語り合える友達ができ
  • 成功して結果を出して儲けている凄い人たちの仲間になれて
  • その凄い人たちに「羽振りがよくなきゃ大物になれんぞ!」と言われて、サラ金で借金して外車を買った

お・・・おま・・・


マルチの詳細

浄水器から夢とか友達に話が飛躍するし、よく分からない。とりあえずクーリングオフできるかどうか聞いてみた。「始めたのは去年の夏頃」って一年半も前じゃねーか!手遅れ過ぎるorz


もう少し話を聞いてみると、

  • 地元の友達にご飯を誘われて、ファミレスに行った
  • 凄く儲かって熱くて楽しいサークルみたいなものがあると教えてもらった
  • 成功者続出
  • 上位ランクに有名タレントのバックダンサー*1もいる
  • バリ旅行に行けるらしい
  • 週末は川原でバーベキューもやる。フットサルもやる。
  • 近くに住んでる、成功してる凄い人を友達が呼んだ
  • 友達が呼んだ成功してる凄い人の話も聞いて、感動した
  • その成功してる人が外車に乗っていて高そうな服を着ていたから、信用した
  • そのサークルみたいなものには浄水器を買わないと入れない
  • 浄水器に30万の価値が無いことは知っている(入会金みたいなモノらしい)
  • 入るのにお金かかるけど、5人に売って、その5人がまた別の5人に売ってくれたら元は取れる
  • 5人くらいならすぐ売れる
  • 大体、一日にして800円程度(30万/365日≒822円)も出せない小心者なんか成功できない

と説得され、何の取りえもない自分も成功できるなら・・・、俺今まで逃げてばっかりだったもんな・・・と思い購入・入会したとの事。
弟は社会人1年目で当時はまだ学生で貯金もないはずなので、30万どうしたんだと聞いたら、その場ですぐに友達がサラ金に連れてってくれたと。節子それ友達やない・・・、学研クレジット*2や・・・。

入会したのは一年半も前だったので、誰か勧誘したのか?と聞いてみた。当時バイトしていた同僚二人に声をかけて、一人は買ったらしい。その後別のバイトに移ったときに、自分の夢を叶えるためにメチャメチャ頑張ってる奴と友達になったので、感動して応援したくなり勧誘したらしい。意味が分からんw


俺:今すぐそいつに電話して謝って来い
弟:は?なんで?俺はいいと思って勧めてるし、相手も理解して入ってるし、すげー楽しそうだし、謝る理由ないけど?
俺:学校で「マルチとかねずみ講は違法」って習っただろうが。お前は家庭科の授業*3寝てたのか。
弟:俺がやってるのはMLMって言って、アメリカで生まれたマーケティングのやり方で、マルチ商法とは違って合法なの。みんな儲かって楽になれるんだから、正直もっと広まればいいと思ってるし、知らない奴は損をしてる。



お約束



とりあえず家族全員でマルチの説明をしたり、誰かが損するような商売するんじゃねえ!と説教したらちょっと凹んでいた。翌日の元日は毎年恒例の親戚の集まりがあるんだけど、それには連れていかず留守番させる事にした。これでは恐ろしくて連れて行けん。


正月早々、調べまくる

元日は3人で親戚の集まりに参加し、「弟君は?」「あ・・・、なんか友達と遊びに行くって・・・」と微妙な受け答えでやりすごし、翌日の2日から色々と調べる。

いやー、調べたら出るわ出るわ。「悪徳商法マニアックス」「苦情の坩堝」「2chベンチャー板」。マルチまがいの悪質な勧誘の被害報告がわんさと。

あれ、俺いつのまに書き込んだんだろ。
つか、ベンチャー板ってマルチネタばっかじゃねえか。


調べてわかったことは、こんな感じ。

  • 地元の中心都市を拠点として活動中。公式サイトあり(翌年に潰れたらしく、サイト消失)
  • MLMってのはマルチ商法の別名でマルチレベルマーケティングと読む。アヤシイ商売だから法規制が多い
  • MLMとかNB(ネットワークビジネス)とかいろんな種類を名乗ってるけど、同じもの
  • マルチの仕組みはよくある代理店方式とバイナリー方式。確かにそんなような事言ってたな・・・、代理店になって個人の判断でビジネスができるとかどうとか。
  • 15人子供を作れば1回入金。後は10人増えるごとに入金される。
  • ただしちょっとルールがあって、二分木をバランスよく育てないと人数集まってもお金がもらえない。
  • 勧誘方法は主にファミレス、たまに本社事務所。勧誘方法はABC(後述)。
  • 困ったら消費者センターへ。警察でもおk

あと面白いのを見つけた。
よく「MLMは有名大学の経済学部で教えている」って言われるから、実際にうわさされた大学が「そんなわけねーだろ」と声明文を出してる。

あと、マルチ商法を規制してる特定商取引法に目を通しておく。


※ABC
マルチ商法の勧誘テク。
A=上司(Adviser)、B=誘ってきた友達(Bridge)、C=被害者(Customer)。

ファミレスなどの席で、なぜか二人の男が壁を背にして座っていたらビンゴ。
友達とご飯のはずなのに、並んで座ってホモなの・・・?と思いつつそのまま席に着くとすでに術中。友達・凄いらしい上司・壁しか視界に入らず、プレッシャーが強くなる。他のお客さんの視線を感じられないため異変を確認しづらく、また助け舟も呼びづらい。悲惨なのはさらに3人目が来て出口をふさがれる事。困ったら携帯に「111」と発信して脱出しよう。(着信試験番号:docomoは111、auは136IDOの頃のものらしく、auになった今はなさそうです。「アラームまたはマナーモードで電話がかかってきたふりで離脱するのが良さそうです。by id:westerndog」)




この辺を印刷して、夜にまた家族会議。

俺:おととい聞いた話だと、そのマルチやるとみんな儲かるんだよね?
弟:そう。
俺:お前の上に、誘った友人と、その上の成功してる人と、あと何人かいるんだよね?
弟:そう。
俺:一番上から数えて、お前はマルチの何段目くらい?
弟:6〜8段目・・・くらい。
俺:初項1、公比5、項数7(6段目)だと、お前と同階層のメンバーは2万人くらいいる事になる。8段目で考えると5万人弱いる事になるけど。
弟:2万人くらいならいるんじゃないかな。大阪の方にも支部があるし。
俺:(うちの町の人口の倍・・・だと・・・)
弟:実際にはやめる人もいるし、もう少し少ないと思うけどね。
俺:日本の人口が今1億2000万くらいなんだけど、みんな5人ずつ増やしてったら13段目でメンバー数が3億人になるのね。
弟:いや実際はやめる人もいるし、そんなことないよ。
俺:んでも子供増やし続けたらそうなるでしょうが。
弟:・・・?
弟:もしそうなったら、その時考える。


答えになってねー

意外な展開

弟:ていうか俺ね、今まで心から語り合える友達いなかったのね。学校でもなんか微妙な感じだし、「親友」って呼べるような奴がいなかったのね。

弟:それが、マルチに入ってすげーいい奴に恵まれて、みんなすげー大きな夢持ってて、すげーかっこいいのね。マジで輝いてる。今行ってる会社なんかこんな熱い奴らいないし。

弟:そんなすげー奴らと一緒にいられると、俺もすげー成長できる気がするし、そう素直に思えることって悪いことじゃないと思うんだよね。だから俺は悪いことしてないし、誰からも文句言われる筋合いはないし。

弟:だから家族に文句言われるとすっごい腹立つんだよね・・・。俺こんな一生懸命やってるしさ。初めてできた友達だしさ・・・。俺・・・友達大事にしたいしさ・・・(号泣)。


信者と書いて儲かると読むが・・・。ある意味信者だけど、こんなパターンもあるのか。
友達作りと変な自己啓発とお金・・・。
話のトーンから、友達がメインでお小遣い稼ぎもできて嬉しい、くらいのようだ。そんな悠長な・・・。借金の返済は大丈夫なのか…。


弟が落ち着いたところで続き。


俺:勧誘するときってファミレス?
弟:そう。
俺:相手呼ぶときなんて言うの?
弟:ちょっとご飯でもとか。
俺:それ、「30万の浄水器売りたいからちょっと話したいんだけど、ファミレス来てくれない?」って言わないと故意の不告知により違法。
弟:・・・?
俺:「絶対儲かる」も違法。「長時間勧誘」しても違法。「夜9時以降」で違法。合法で悪いことしてないって言ってたけど、この辺全部クリアしてんの?
弟:・・・。
俺:特商法でいろいろ規制されてるのはもちろん「知っててやってるんだよな?」。その辺を理解したうえで「わかってやってんだよな?」。
ネットで調べたら色々出てきたけど、大手のマルチも業務停止になってたりするし、普通に商売してたら停止されるわけないだろうが。他にも同じマルチの被害の声が出てたり、そっくりなマルチの被害とか出てたぞ。(印刷した苦情の坩堝を見せる)

どうよ。ちょっとは目を覚ませ。


弟:(一瞥して)ネットに書いてあるのは嘘ばっかりだし、大体被害にあったとか言ってる奴は本気でやってないからそうなるんだよ。言い方悪いけど、逃げた奴っていうか・・・。そういう連中は被害者意識が強すぎるし何も分かってない。

俺:(開き直りやがったー!!)

俺:よし、今から警察行くぞ。担当者に話つけてあるから相談に行く。

弟:!?


警察署にて

正月早々警察官から普通に説教される。
弟は凹みながら話を聞く。
担当者の方、お忙しい中ありがとうございました。

自宅にて

俺:・・・で、警察もやるなって言ってるし、消費者センターにも苦情がたまってるし、あんまり広まって欲しくない商売方法だから法律もちょこちょこ追加されてたりするのね。大学の声明文も「あやしいビジネス」って出てるし。家族も心配しているし、やってほしくないわけよ。

友達増やしたいならサッカーの社会人チームに入るとか、前みたいにmixiサマソニ友達作るとかすればよくて、嘘ついて騙したり、サラ金に連れて行くような奴は友達ではない。真面目に、正々堂々生きてれば(すぐじゃないけど)ちゃんと結果は出るんで、焦らずじっくり進んでいけばいいでしょうが。




自分が同じ時期に経験したことや悩みなんかを、ゆっくり話してやった。ずっと不信感で閉ざされていた弟の心も緩んだようで、大泣きしながら聞き、謝罪をはじめた。


弟:みんながそんなに心配して、俺のこと考えてくれててホント嬉しいよォ〜…。俺、やり方が間違ってたよォ〜・・・。これ以上みんなの事心配させないために、もっともっと力付けて立派な人間になれるように、俺、今まで以上にマルチ(のサークル)で頑張るよォ〜・・・(号泣)。


家族:( ゚д゚ )!?


その後

弟が斜め上を行き過ぎていたので再度イチから説明し、現実的な金の話をし(サラ金の借金が増えていたこと。多重債務で管理しきれず、金利分も返せていなかった)、信用情報を公開させて他に借金がないか調べ、情報に間違いがないことを本人に確認し、外車を買ったディーラーに頼み込んで新古車扱いで引き取ってもらい、銀行へ連れて行き300万借り入れ、駅前のサラ金ビル内をはしごして返済し、ちゃんと普通の仕事して計画的に家族に返済する計画を立て、もうマルチの連中と連絡取るな。携帯も変えろと言ったあたりで俺の正月休みが終わったので帰ってきた。

帰り際もまだマルチにご執心だったので、ちょっと心配になって正月明けに弟の会社に電話してみたところ、直属の上司から「あー、弟君ね。年末に1月いっぱいで会社辞めるって言ってましたよ。」と返答が。マジか・・・。内心やりすぎかな・・・と思いつつマルチの事を聞いてみると、驚きつつもそういった話はなかったとのこと。ていうか2月からまさかの無職w マルチ一本でやるつもりだったのかwww
「一応説得してみます」と言ってもらったけど、どうも弟の気持ちは変わらなかったらしく、後日本当に無職になった。


その後、地元の就職説明会に行き、第二新卒で拾ってくれる会社を見つけ、無事に就職。会社が家賃を半分持ってくれる所だったので念願の一人暮らし。・・・と思ったら就職先が某電話会社の下請けで、ひたすら飛び込み営業。どうみてもブラックです本当に(ry
再就職当初にいきなり研修セミナーとして日創研の洗礼を受け、参加者から罵詈雑言を浴び、その後祝福され大泣きし、なりたい自分の理想像を叫び(お前はエヴァンゲリオンか。おめでとうwwwってやかましいわ)(マルチのときもベンツ買うぞー!とやってたらしい)、翌年の正月に親戚の前で得意げに営業トークかましひんしゅくを買った。


やりがいのある仕事で、自分はいい先輩方に恵まれていて感謝していると言ってたにもかかわらず次第に愚痴が増え、先にやめた同僚が別の営業会社に移って給料がよくなったと聞き転職。次の会社は家賃自腹だったがなんとかなるだろうと思い転職。親への送金が途絶える。「返済が遅れれば遅れるほど信用落ちるよ?」と念を押しておく。

業種は電話回線のテレアポ。(参考:光回線のテレアポのバイトに受かったお!!:VIPPERな俺)そこでしばらく働くも給料は思ったより安く、「今何してんの?ちょっと飯行かない?」と別の元同僚に誘われてホイホイついて行ったファミレスで彼の上司のお墨付きをもらい保険会社の営業に転職。やればやるほど儲かる!と意気込んで始めたものの、保険の仕組みの理解が足りないのと生来の押しの弱さで結果を出せず極貧生活に。同僚の薦めでランドマークエデュケーションにはまる。そんなに自己啓発が好きならとデールカーネギーの本を送ってやったが、「翻訳の文章は読みづらくてさ・・・ちょっとね・・・」と読んでもらえなかった。

ついに営業ノルマを達成できなくなり、会社をクビになりそうだということで禁断の家族に手を出すも俺に断られ、「やっぱりそうだよね・・・」と引き下がる。「返済が遅れれば遅れるほど信用落ちるよ?」と再度確認すると濁しながら返事。「儲かる職場に行ったんじゃないの?」「仕事取れば取るほど儲かるんでしょ?」「こないだ帰省したときに、得意げに保険の説明してたじゃん」やはり濁しながら返事。

その月は何とか繋いだものの業種が向いていなかったと感じ、今は派遣として某電機店の店頭で電話回線を売っている。

その後2

最初の事件から数年経ち、弟もだいぶ振り返ることができるようになってきて、口調や物腰も落ち着いてきた。自我がやっと形成されたというか、自分探しの旅がそろそろ終わる兆しを見せてきた(誰でも自我形成前って黒歴史多いよね)。新卒の頃は自分を大きく見せたかったせいか口調や態度が芝居がかっていて、いちいちオーバーアクションで驚いたり、笑ったりするのでちょっと怖かった。キャラ作りすぎやで・・・。動きが小島よしおみたいやで・・・。

ランドマークにはまっている辺りで一度電話した時に、「自己啓発セミナーを受けると一時的にやる気が出るが、時間が経つと忘れてしまう。何度も参加すると高額なコースを勧められるが、自分は会場にいたいだけなのでボランティアで会場作りの手伝いをしているだけ」と言っていた。はよ金返せよというと、「それは分かっているので、薦められても強く断った」と言っていた。日創研のやり方についても冷静に分析していたので、ちょっと不気味だがなんとか大丈夫なようだ。

数年前を思い返してみると、なんであんなに執着していたのかよくわからないらしい。「熱病みたいなもの」と揶揄されることもあるけど、ホントそんな感じ。

人間の思い込みのパワー

熱病ってのは言いえて妙というか、人間って欲しいものがある時はその事ばっかり考えちゃうものである。対象は物だけじゃなくて異性もあてはまる。異性の場合はそれこそ恋の病から始まり、行き過ぎるとストーカーになったりする。
今回の場合は弟の需要に供給がバチーン!とはまってしまって、盲目状態になったと。恋は盲目ですねホント。

需要
ビッグになりたい、友達欲しい
供給
ビッグになれるよ!友達もできるよ!ついでにお金も稼げるよ!

その後3

事件の後、俺はリスタートの事も考え「返済は早ければ早いほどいい」とプランを提案したが、弟は「お金は返したいが、楽しいこともしたい」と考えていて憧れの一人暮らしを選び、家具もドンキで楽しみながら選び、何かと理由を付けて携帯は変えず、返済は遅れに遅れて未だに返せていない。母親は30歳になるまで好きにさせるわ…と諦め顔だ。(携帯はしばらくして変えたようだ)

マルチ自体はその一年後に潰れてなくなった。一時期はクラブのホールを貸しきってビンゴ大会もやっていたそうだが・・・(パジェロが当たるらしい)。人が増えなくなったら潰して次のマルチを始めるのは、どこも同じようだ。



マルチに勧誘してきた地元の友達は、俺も母親も知っている奴だった。家族ぐるみで遊んだこともある家なのが悲しい。今回のことで頭にきた母親はそこの家に電話して事情を話し、親子そろって謝りに来させたようだ。
そこの兄弟はそろって借金漬けらしく、マルチで作った借金を別のマルチで返そうと泥沼にはまってるとかなんとか。兄貴の方は自己破産させたとも。昔はいい奴だったのになぁ・・・。

地元の弟の学年にはそいつを筆頭にマルチにハマった、またはハマっている人間が何人かいるらしく、当然のようにグループになっているらしい。弟がよく集まってるという面子を確認すると、残念ながらそのメンバーだった。けどもう面倒であまり関わりたくないので、放っている。何かあったら信用情報を開示すればよい。


カーネギー本はまだ読んでいないらしい。
金持ち父さんは読んだらしい。

バリ旅行は一度だけ自腹*4で行ったが、その旅費はアコムのATMから出てきたらしい。
というか一度サラ金を使うと、感覚が麻痺して銀行のATMと区別がつかないらしい。


まとまらないけど無理やりまとめ

自己啓発自体は悪いことじゃないんだけど、なんで有料のセミナーだけおかしな方向へ行くんだろうか。マルチやカルトのやり方もしかり。無理やりこじ開けようとするから、反動があるのか。運動しすぎると肉離れしたり、最近の桑田さんのエントリにあるように肩壊したりするんだけど、頭(精神)も同じなんだよな。適度な大きさの負荷がいいんであって、かけ過ぎたらおかしくなるわけで。


勧誘が多くなるのは、自分で契約できるようになる18歳〜25歳ごろの時期。青年期後半。出会いは大学だったり、職場だったりする。職場の場合はパワハラ気味に薦められることもある。大学だったら…あー、俺も大学のときあったわ。勧誘。友達の知り合いが薦めていたらしく、興味を持った友達が俺を誘ってたことがあった。俺は「稼げるならいいねぇ!」と言ってたわ。なんとなく面倒で立ち消えたけど、変にやる気出してたら俺も引っかかってたっぽい。
そういや別の友達も妙に興奮した感じで「サークルの集まりが・・・!」とか言ってた事あったな。今は普通の奴だから普通のサークルだったのかも知れんけど、変な所だったのかも知れん。後者の場合だったら今ごろ黒歴史なんだろうな・・・。何かの拍子に思い出して、枕に顔うずめて「ヌアーーー!」とかなるんだろうな。

実家に友達を名乗る人間から電話がかかってきて、連絡先を聞かれた事もある。電話に出た母親が「本人に確認とってから教える」と言うと、じゃあいいですと切れたそうだ。元エントリのブコメを見ても、似たような事例がたくさん出ている。義務教育中に、もっと強く教育してやれ。

他にも同窓会の往復はがきに返信したら、知らない女から携帯に電話がかかってくるようになったこともある。「スノモノく〜ん、元気だった〜?」みたいな感じで、いきなり名前で呼んでくる。久しぶりの人との会話にうれしくなったが、そもそも電話をかけてくる女なんか俺の人生にいなかったことを思い出し、涙をこらえながら携帯を置いたのだった。(定期的に何度もかかってきてたが、不思議と25歳を過ぎたあたりから無くなった)


外に出て働いて、30歳くらいでようやく世の中の仕組みがうっすら見えてくる。二十歳そこそこじゃ悪いと知りつつも手を出してみたりするし、自己防衛しきれないと思うんだよな。小さい子供に「飴あげるからついておいで」っていうと何人かはついてくるでしょ。あれと一緒。しつけ+運がある程度ないとかわしきれない。


結論

非モテ*5は無理するな。特に大学新生活デビューで無茶するな。ヒッヒッフーとかして落ち着け。


元エントリの方、色々参考にさせていただきありがとうございました。




追記

上のエントリを書いた理由は、元記事に触発されたのと、春が近いこの時期だったから。こういうのを実際に目にする人も増えるだろうなと思ったので、誰かの一助になればと願う。
以下は自分の思ったことや考えてたことを書く。上手くまとめられなくて申し訳ない。


こういう話が減らない理由

中学校くらいで多くの人がアヤシイ商売について学ぶけど、正直現実味がない。自分も聞いたときは遠い世界の話に感じて、へー怖いねー、ひっかかる奴馬鹿だよねー、としか思えなかった。そして、お年頃になると実際に遭遇するようになる。


※下の段落は"お年頃"の情景を思い出したり、想像して読むといいかも

昔の友達だったり、新しい環境で知り合った妙に調子のいい奴から話を持ちかけられる。あーこういうの授業でやったなぁとか、テレビで見たなぁとか、一応思う。が、相手に「絶対大丈夫だから」と言われるとなぜかぐらつく。「ホントかよー胡散くせえな」とも思う。「みんなやってるから」と言われるとぐらつく。「俺もやってるけど大丈夫」と言われると更にぐらつく。「世間で悪く言われてるけど、俺の目の前にあるこれだけは大丈夫なんじゃねぇの?」と思う。「本気出してうまくやれば、俺だけは大丈夫なんじゃねぇの?」と思う。相手も「お前の性格なら絶対うまくいく」と言ってくれている。失敗した奴も少しはいるらしいけど、「それは本気で取り組んでいなかったから」だという。「なんだってそうだろ?ある程度のリスク背負わなきゃ勝てないでしょ」そりゃそうだ。そうだよなぁ――・・・。


この後の流れは、多分こんな感じ。

  • ヤバイと思って回避できる人→◎
  • 断れず買ってしまう人
    • 持ち帰って周りに相談し、回避できる人→○
    • 持ち帰って親バレして、回避させられた人→○
    • 持ち帰るも周りに相談できない人
      • しばらく自分で溜め込み、なんか嫌だなと思って回避する人→△
      • しばらく自分で溜め込みつつも、周りに相談できずに続ける人→×
  • 鵜呑みにして、喜んで買ってしまう人。→×


「古い友達からの突然の電話」という言葉だけでネタになる昨今、回避できる人は多いと考えて、上のリストのうちの◎を5割としてみる。親や友人、ネットで相談して回避できる○と△があわせて3割いるとしてみる。ズルズル続けてしまう×が1割としてみる。喜んで払ってしまうもう一つの×が1割としてみる。×が10人に2人。多いかな?30人のクラスだと6人。これはちょっと多いな。30人のクラスに1人くらいだったら、まぁいるかな?

ところで、少子化とはいえ20歳になる人間は毎年どんどん出てくるわけで、今年ハタチになるのは男女合わせて128万人いる(参考:wikipedia:日本の人口統計)。来年はちょっと減って123万人。向こう15年は毎年100万人以上の新人が出てくる。少なく見積もって100万人としても、1クラスに一人いる計算で約3万人。毎年3万人も感染者がいたら、「減らないなぁ」って実感もあながち間違ってない。


ということで、「毎年新人が出てくる」というのが減らない理由。対策は多分、防災訓練みたいに定期的に擬似体験したり、話題にすることと、そんなの今時やんねーだろ的な空気を作ることだと思う。(対策しないのは「そこまで必死にならんでもエエやんw」という程度の被害しか出てないから、多分)


売り手視点

ちなみに売り手である業者側視点になると、超ざっくりだけど30万円の商品を3万人に売れることになる。
300,000円×30,000人=9,000,000,000円(90億円)


きゅうじゅうおくえ〜〜〜〜ん!!

適当に予想して出した数字なんで何の信憑性もないけど、大まかな規模は感じられるかなぁと。90億だと、今年のブログ市場(の予測)よりちょっと多いくらいらしい。アメブロとかJugemとかはてなとか、あちこちのポータルで客の取り合いしてるブログの市場・・・って事なのかな。http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/06/20496.html

これだとちょっとわかり辛いので別の例え。ジェイコム男ことB・N・F氏が買ったアキバのビルが90億。これが毎年買える規模だと思ってくだせぇ。http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200810281158

商品開発しなくていいし、始めるのに人手もいらないし、使い古しのノウハウで出来るんで、おいしいよねぇ・・・。実際は一人で何度も買う人がいるし、金額はもっと大きいんじゃないかなと思う。

一回でもうまくいっちゃうとやめられないよねぇ・・・。そんで、無くならないよねぇ・・・。


親父の世代では

親父の若い頃は「天下一家の会」ってねずみ講が大流行して、今以上にド田舎だったウチの地元でもやってた人間がいたそうな。はす向かいの加藤さん(仮名)にすごい勧められたらしい。今回の件で昔のことをちょっと教えてもらった。「俺はああいうの大ッ嫌いなんだよ」だそうだ。
wikipedia:天下一家の会事件

実家にいる人は、お父さん、お母さんに聞いてみよう。甘酸っぱい思い出を語ってくれるかもしれない。

海外では

ねずみ講だけどアルバニア暴動が有名。
"出資者の多かった同国南部を中心に暴動となり、大統領の辞任などの混乱を招いた。"という事件。

google:アルバニア ねずみ講


自己啓発系の書籍について

俺はずっと「自己啓発」って言葉を怪しいモノだと思ってて、怖くて一切読んでこなかった。長男というのは、えてして慎重かつビビリなものである。

ある時たまたまカーネギーを読んでみたら、思ってたより普通でちょっと拍子抜けした。「当たり前なんだけど、この当たり前がなかなか出来ないんだよねー」という感想を持っただけだった。もしかしてと思い他の本もいくつか読んでみたけど、大体似たような感じ。孔子論語も同じ。地元の寺に張ってある言葉も同じ。ナポレオン・ヒルも同じ。広い意味で本田宗一郎松下幸之助も同じ。弾言の前半も似たような感じ。
※なんか誤解を呼びそうな内容だな…。本質と言うか、奥の奥の奥の方では似たようなこと書いてるよね、と軽く流しちゃってください。

自己啓発」って言葉に怪しいイメージがあるのは、こういう話題の本を「心でなく言葉でしか理解しない」変な連中が、中途半端なハウツーとして使ってるからなんじゃあないかな、と思うわけです。

本読んでいきなり目がキラッキラになるわけじゃないので、食わず嫌いな人もチラ見してみてはどうかと。読まずに批判するのは過去の俺と同じだぜ。金持ち父さんもひとつの考え方としては、悪くないんだぜ。



関連エントリも読もう

渋谷にアムウェイの人たちがよく集まるカフェがある - ハックルベリーに会いに行く

id:aureliano:20080903

アムウェイも勧誘方法を2対1でやってる。ABC方式。そのうち見に行きたい。
携帯のくだりは、うちも同じなんだろうなぁ。正月でも携帯鳴りまくりで、そわそわしまくりだったわ。通話料も結構な額だと聞いている。

それに引き換え俺は、着信は月に一回くらい、発信は一昨年の夏にかけた番号が履歴に出る、メールはGoogleリマインダから「家賃」というメールが月一回という優等生っぷり。何?目のふちが光って見える?ハハッ、そんなわけはない。男が泣いていいのは「お金を落としたときと、うんこを踏んだときと、蜂に刺されたとき」だけだからな。

春になるとこの話題が出てきますね - タケルンバ卿日記

id:takerunba:20090317

ここの過去記事は以前読んでいて、リンク張ろうかと思ってたのでちょうどよかった。リストの内容はあるあるネタにしていいと思う。

ビッグに なりたきゃ 壺を買え! ハイ!
 (( (`Д´) (`Д´)
  (/ /)  (/ /) ))
  < ̄<  < ̄< 
悪徳商法で販売される商品具体例まとめ - orangestarの日記

id:orangestar:20080807

学生の頃、ふとんクリーニングの営業が何度も来てたのを思い出したわ・・・。シルクスクリーン(アールビバン)と英会話のキャッチについて行った事もあったなぁ。英会話なんか本屋の中のエスカレーター脇でやってたんで、キャッチだなんて全然思わなかったよ。後日電話攻勢にあって気づいたんだった。知らないだけで損するこんな世の中じゃ。


id:taitoku しかしだ、人の心を持ったメイドロボットを売りつける悪徳商法とかあったら、たぶん俺は抵抗できないね。自信がある。

まったくだ。産総研に修理出してもメモリが飛ばない奇跡が起きたら、俺は無条件降伏するね。自信がある。



追記2

ブコメのフォローを少し。

id:circled 『ビッグになりたい、友達欲しい』←この需要を周りの環境が満たしてあげれないと、結局マルチとかの罠に嵌る原因は消えないんじゃないの?この体験談を弟さんが読んだ時に、またマルチ側に逃げるんじゃないかなぁ?

これは家族みんな同意してて、心の渇きみたいなのを満たしてやんないと危なそうだなぁ、と思ってました。実は消費者センターと話をしたときに近所のカウンセラーを紹介されてて、タイミングが合えば行こうと話してました。結局連れて行くことはできなかったが・・・。
こういうのは本来自分で見つけるものであり、人に言われてやるもんじゃないので、当面は家族がこっそり先回りしてあぜ道の草むしりくらいをしといてやろう、と話しています。彼が今これを読んで耐えられるかどうかは・・・、7対3くらいでなんとかセーフだろう、と思っとります。


id:amanoiwato しかし、正直なところ、弟さんがこうなってしまったのには、この「良く出来た兄(エントリ主)」に対するコンプレックスが少なからずあるのでは…と考えてしまった。

多分よくできて見えるのは、俺視点の、事後報告の文章だからだと思う。家族から見たら突っ込み所あるとおもうしなぁ。実物を見てがっかりするのは、俺だけで十分だ。
コンプレックスは多少あるかもしれないけど、誰でも「自分より少し年上」かつ「自分よりスペックが少し上」の人間に対しては憧れを持つし、比較できる状況にいたらコンプレックスにも感じる。学校とか職場の上司・先輩って妙にすごく見えるでしょ?でも分解して調べたらあまり変わらないことも多いよ。
そして20代後半に入った今なら、この呪縛は解かれるものと思う。


id:monacha「儲かる職場に行ったんじゃないの?」〜/マルチじゃない仕事で弟へのこの辺の言葉攻め部分はちょっと引っかかる。もし普段からこんな感じで接してたんだとしたらその弟さん形成の原因は案外こういう事だったりして

もともとは仲のいい兄弟で、一緒にファミコンしたり、サッカーするような間柄だった。二人とも仕事はものづくり系の業種に憧れて、似たような所に入った。入ったはずだったんだ・・・。

俺が責めるような口調になった理由は、弟が以前まで持っていた夢を諦めてしまったから(と、はよ親に金返さんかいという気持ち)。諦めて、「他に特技ないから」「しゃべることは出来るから」「人と接するの好きだから」というような理由で営業職を選んだこと。三連荘でブラック企業だったこと。などがある。育て方のせいか、二人とも職人寄りの性格なんだが・・・。


(ちょっと気持ちが入ってしまうので暑苦しくなるかも。ご勘弁を)


俺も就職したときは、その業種に憧れがあるだけで何も出来ない新人だった。スキルは自宅警備員レベルなのに「いつか有名になってやるお!フフン!」と息巻いていた。現場では口だけ番長で何も出来ないので、ずっと営業の手伝いをしたり、雑用していた。

半年経ったころ社長さんに「作る方行くか、営業行くか選べ」と言われ、自分にはスキルがないし、しゃべる事くらいなら出来るし、人と接するのも面倒だったけどやってみたらちょっと楽しかったので、営業が向いているのかな・・・?と考え、またそう自分に言い聞かせたりして、気持ちが揺れた。(こんな考えだったので本職の営業マンに申し訳ないと思う。スーツを馬鹿にしててすいません><)
手伝いが欲しかった営業の人にも「ぶっちゃけさ・・・、君って何も出来ないじゃん?」と言われ、子分続行を熱望されてた。

迷いに迷ってしばらく悩んでいたが、漫画ARMSの「人の足を止めるのは 絶望ではなく"諦観(あきらめ)"、人の足を進めるのは 希望ではなく"意志"」という台詞を見て、「わざわざ東京まできてやりたくない事するとは何事!!!」と決め、社長と営業が怖かったので半べそかきながら、「作る方やらせてください」と頼んだのだった。

ARMSを全巻揃えたのは弟。上の言葉も当然知っているので、「何で諦めるんだよこのバカチンがっ!」という気持ちが強く出てしまう。弱ってる時期だしあまり強くいうのもよくない事は理解しているので、ちょっと反省している。


id:adatom マルチは酷いな間抜けだな、で済む部分が無くも無いが、第二新卒以降の話が実はかなりヤバイよなあ
id:y_arim マルチから抜け出したところで、どう見てもこの弟の人生は失敗ルートを辿っているあたり救いがないなあ。(後半省略)

上記のように、第二新卒以降の失敗ルートに俺は大変お冠です。が、失敗を続けながらも自分なりに何かしているらしく、先日、なぜか妙に絵が上手くなっているという嬉しい発見をしました。普通のスケッチ画。絵なんて中学の時の厨設定マンガしか見たことがなかったので、いい方向へ進んでるかなーと思ってます。
俺も負けてられんよ。

*1:実際はちょっとかじっただけの人だった。過去の経歴を引っ張る人は多い。

*2:マルチ商法に偏った事業をしてる割賦販売会社。ローンだけど実質借金である。あの学研と名前が似てるけどたぶん無関係・・・と思ったら元子会社との情報が。教えていただきありがとうございます!

*3:中学で習う。だから大抵の人はクーリングオフという言葉を知っている。

*4:もともとイベント参加費は自腹だった

*5:見た目だけでなく、中身の非モテ